数検準1級
数列と極限 — 漸化式・数列の極限・無限級数
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この章で学ぶこと
数III の出発点は 極限 です。 まず数列を題材に、 無限に進めたときの値(極限)の考え方をつかみます。
- 等差・等比数列と ∑ の復習
- 漸化式(an+1=pan+q型)の解き方
- 数列の極限 n→∞liman の求め方
- 無限等比級数の収束条件と和
ポイント: 極限では 「n を限りなく大きくしたとき、 値がどんな数に近づくか」 を考えます。 近づく相手の数があるとき 収束、 ないとき 発散 といいます。
1. 漸化式
等比型an+1=pan
an+1=pan なら、 数列は公比p の等比数列で an=a1⋅pn−1 です。
an+1=pan+q型(p=1)
まず 特性方程式 α=pα+q を解いて α を求め、 an+1−α=p(an−α) と変形します。 すると {an−α} は公比p の等比数列です。
例題: a1=1, an+1=3an−4 で定まる数列の一般項を求めよ。
特性方程式α=3α−4 より −2α=−4、 α=2。 よって
an+1−2=3(an−2).
{an−2} は初項a1−2=−1、 公比3 の等比数列なので
an−2=−1⋅3n−1,an=2−3n−1.
検算: a1=2−30=2−1=1(○)。 a2=2−3=−1。 漸化式から a2=3⋅1−4=−1(一致)。 a3=2−9=−7、 漸化式から 3⋅(−1)−4=−7(一致)。 正しい。
2. 数列の極限
n→∞ のときの an の極限を考えます。 基本は 最高次の項でくくる ことです。
例題: n→∞lim4n2+n2n2−3n+1 を求めよ。
分母・分子を n2 で割ると
4+n12−n3+n21n→∞4+02−0+0=21.
検算: n=1000 で分子=2000000−3000+1=1997001、 分母=4000000+1000=4001000。 比は約0.4991 で 21 に近い。 正しい。
大事: 公比r の等比数列rn の極限は、 ∣r∣<1 のとき 0、 r=1 のとき 1、 r>1 のとき +∞、 r≤−1 のとき振動して極限なし、 です。
例題: n→∞lim(n2+n−n) を求めよ。
分子の有理化(差を和で割る)を使います。
n2+n−n=n2+n+n(n2+n)−n2=n2+n+nn.
分母・分子を n で割ると
1+n1+11n→∞1+11=21.
検算: n=100 で 10100−100≈100.4988−100=0.4988。 21 に近い。 正しい。
3. 無限級数
無限等比級数
初項a、 公比r の無限等比級数 a+ar+ar2+⋯ は、 ∣r∣<1 のとき収束 し、 その和は
S=1−ra(a=0).
∣r∣≥1 のとき(かつ a=0)は発散します。
例題: n=1∑∞3n2 の和を求めよ。
これは初項a=32、 公比r=31 の無限等比級数です。 ∣r∣<1 なので収束し、
S=1−3132=3232=1.
検算: 部分和S3=32+92+272=2718+6+2=2726≈0.963。 1 に近づいている。 正しい。
ポイント: 無限等比級数では、 まず 初項a と公比r を正しく読み取り、 ∣r∣<1 を確認してから 1−ra を使います。 収束条件の確認を忘れないことが最大の注意点です。
どう問われるか
- 一次では an+1=pan+q型の漸化式から一般項を求め、 さらにその極限を問う問題がよく出ます。
- n2+n−n のような ∞−∞型 は、 有理化で形を変えるのが定石です。
- 無限等比級数では収束条件∣r∣<1 を確認し、 1−ra を正しく使えるかが問われます。
よくまちがえるところ
数列と極限では、 「条件を確かめずに公式を当てる」 まちがいが目立ちます。
| まちがい | 例 | 直し方 |
|---|
| 収束条件を確かめずに和の公式を使う | 公比 2 の等比級数に a/(1-r) を当てて -a と答える | 公比の絶対値が 1 より小さいときだけ和が存在する |
| ∞ - ∞ の形をそのまま処理する | √(n²+n) - n を 「∞ - ∞ だから 0」 とする | 有理化して n でくくってから極限をとる |
| 特性方程式の解を一般項と取りちがえる | a_1 = 1, a_(n+1) = 3a_n - 4 で α = 2 を答えとする | α は等比数列にずらすための定数。 一般項は a_n = 2 - 3^(n-1) |
| 級数の初項を読みまちがえる | 2/3^n (n = 1 から) の初項を 2 とする | n = 1 を代入して初項は 2/3 |
いちばん多いのは 収束条件の確認もれ です。 a/(1-r) は 「公比の絶対値が 1 より小さい」 ときにだけ成り立つ式で、 これを外すと発散する級数に有限の値を答えてしまいます。 しかも計算自体は通ってしまうので、 見直しでも気づきにくいのがやっかいです。 級数を見たら、 まず初項と公比を書き出し、 公比の絶対値を確かめてから和の式に進んでください。
極限を求める手順
極限は 「形を見分けてから処理を選ぶ」 のが基本です。
| 順番 | すること | 見分け方と処理 |
|---|
| 1 | そのまま n や x を近づけて形を見る | 有限の値になればそれが答え |
| 2 | ∞/∞ の分数式か | 分母・分子を最高次の項で割る |
| 3 | ∞ - ∞ で根号を含むか | 有理化して分数の形に直す |
| 4 | 等比 r^n を含むか | 公比の絶対値で場合分けする |
| 5 | 出た値を数値で確かめる | n に大きな値を入れて近いか見る |
第4段階の場合分けは、 次のとおりです。
| 公比 r の範囲 | r^n の極限 |
|---|
| 絶対値が 1 より小さい | 0 に収束 |
| r = 1 | 1 に収束 |
| r が 1 より大きい | 正の無限大に発散 |
| r が -1 以下 | 振動して極限なし |
大事: 極限を求めたら、 n に 100 や 1000 を入れて数値を出してみましょう。 たとえば (2n² - 3n + 1)/(4n² + n) は n = 1000 でおよそ 0.4991 となり、 答えの 1/2 に近いことが確かめられます。 符号や桁のまちがいはこれでほとんど見つかります。
自分でチェック
- 等比級数の和を使う前に公比の絶対値を確かめている
- ∞ - ∞ の形を有理化して処理できる
- 特性方程式の解 α と一般項のちがいを説明できる
- r^n の極限を公比の範囲で場合分けできる
- 求めた極限を大きな n の数値で検算できる
まとめ
- an+1=pan+q は特性方程式α=pα+q で α を求め、 {an−α} を等比数列に
- 分数型の極限は 最高次でくくる、 ∞−∞型は 有理化
- 無限等比級数は ∣r∣<1 のとき収束し和は 1−ra
次章では、 関数そのものの極限と、 分数関数・逆関数などを学びます。
※ 「数検」「実用数学技能検定」 は公益財団法人日本数学検定協会の登録商標です。