数検準1級
関数と極限 — 分数関数・無理関数・合成関数・逆関数 β版
最終確認日:
この章で学ぶこと
数III では、 これまでより複雑な関数を扱います。 微積分の前に、 関数の基本的な性質と関数の極限を整理します。
- 分数関数 y=x−pk+q のグラフ
- 無理関数 y=ax+b のグラフと定義域
- 合成関数 (g∘f)(x)=g(f(x))
- 逆関数 y=f−1(x) の作り方
- 関数の極限と基本極限x→0limxsinx=1
ポイント: 逆関数は 「x と y を入れかえて y について解く」 と作れます。 もとの関数とそのグラフは 直線y=x について対称 です。
1. 分数関数・無理関数
分数関数
y=x−pk+q は、 y=xk のグラフを x方向に p、 y方向に q だけ平行移動したものです。 漸近線は x=p と y=q です。
例題: y=x−12x+1 を y=x−pk+q の形に変形し、 漸近線を求めよ。
分子を分母で割ると
x−12x+1=x−12(x−1)+3=2+x−13.
よって k=3, p=1, q=2。 漸近線は x=1 と y=2 です。
検算: x=2 のとき、 もとの式=15=5、 変形後=2+13=5(一致)。 正しい。
無理関数
y=ax+b の定義域は根号の中が 0以上、 つまり ax+b≥0 の範囲です。
例題: y=2x−4 の定義域と値域を求めよ。
2x−4≥0 より x≥2(定義域)。 は 0以上なので値域は y≥0。
2. 合成関数・逆関数
例題: f(x)=2x+1, g(x)=x2 のとき、 (g∘f)(x) と (f∘g)(x) を求めよ。
(g∘f)(x)=g(f(x))=(2x+1)2=4x2+4x+1.
(f∘g)(x)=f(g(x))=2x2+1.
検算: x=1 で (g∘f)(1)=g(3)=9、 式から 4+4+1=9(一致)。 (f∘g)(1)=f(1)=3、 式から 2+1=3(一致)。 正しい。 順序を変えると結果が変わる点に注意。
例題: f(x)=2x+3 の逆関数を求めよ。
y=2x+3 で x と y を入れかえると x=2y+3。 これを y について解くと 2x=y+3、 y=2x−3。 よって f−1(x)=2x−3。
検算: f(f−1(x))=2(2x−3)+3=22x=x。 もとにもどる。 正しい。
3. 関数の極限
代入して 00 の形になるときは、 因数分解や有理化で約分します。
例題: x→2limx−2x2−4 を求めよ。
x−2x2−4=x−2(x−2)(x+2)=x+2x→24.
検算: x=2.01 で x−2x2−4=0.014.0401−4=0.010.0401=4.01。 4 に近い。 正しい。
大事: 三角関数の基本極限x→0limxsinx=1(角は弧度法)は、 数III の微積分のいたるところで使う重要公式です。
例題: x→0limxsin3x を求めよ。
xsin3x=3⋅3xsin3x と書きかえると、 3x→0 なので 3xsin3x→1。 よって極限は 3×1=3。
検算: x=0.001 で 0.001sin0.003≈0.0010.0029999955≈3.0000。 正しい。
どう問われるか
- 分数関数は x−pk+q の形に直して漸近線を答える問題が定番です。
- 逆関数は 「入れかえて解く」 手順と、 もとの関数との合成が x にもどることを確認します。
- 関数の極限は 00型の処理と、 xsinx→1 の活用が中心です。
よくまちがえるところ
関数の極限では 「代入してよい形か」 の判断、 逆関数では 「定義域と値域の入れかわり」 でつまずきます。
| まちがい | 例 | 直し方 |
|---|
| 不定形のまま代入して答えにする | (x² - 4)/(x - 2) に x = 2 を入れて 0/0 だから 0 とする | 因数分解して (x + 2) に約分してから x → 2 |
| sin x / x の極限を度数法で使う | x を度で測って sin x / x → 1 とする | この極限が 1 になるのは弧度法(ラジアン)のときだけ |
| 合成関数の順序を逆にする | (g ∘ f)(x) を f(g(x)) として計算する | (g ∘ f)(x) = g(f(x))。 内側が f |
| 逆関数で定義域と値域を入れかえ忘れる | y = √(2x - 4) の逆関数の定義域を x ≧ 2 のままにする | もとの関数の値域が逆関数の定義域になる |
いちばん多いのは 不定形のまま代入 です。 0/0 は 「値が決まらない」 という印であって、 0 でも 1 でもありません。 分母が 0 に近づくのに分子も 0 に近づくときは、 因数分解して約分する・有理化する・基本極限の形に直す、 のいずれかで 0/0 を解消してから極限をとります。 約分できたあとで初めて代入してよい、 と順序で覚えてください。
sin x / x を使える形に直す
三角関数の極限は、 x → 0 のとき sin x / x → 1(弧度法)という 1 つの形にそろえるのがこつです。
| 順番 | すること | 例 |
|---|
| 1 | 角の中身を確かめる | sin 3x なら中身は 3x |
| 2 | 分母を中身と同じにそろえる | sin 3x / x = 3 × sin 3x / (3x) |
| 3 | 中身が 0 に近づくことを確かめる | x → 0 なら 3x → 0 |
| 4 | 基本極限を当てて残りの係数をかける | 3 × 1 = 3 |
同じやり方で使える形をまとめます。
| 極限 (x → 0) | 値 | 直し方 |
|---|
| sin ax / x | a | a × sin ax / (ax) にそろえる |
| tan x / x | 1 | sin x / x × 1/cos x に分ける |
| (1 - cos x)/x² | 1/2 | 分母・分子に (1 + cos x) をかける |
大事: 角の単位は必ず弧度法(ラジアン)です。 度で測ると sin x / x の極限は 1 にならず π/180 になります。 数III の極限・微分では、 三角関数の角はすべて弧度法だと決めておきましょう。
自分でチェック
- 0/0 は値が決まらない印だと説明できる
- 約分・有理化をしてから代入する順序を守れる
- sin ax / x を a × sin ax / (ax) にそろえられる
- (g ∘ f)(x) = g(f(x)) と書ける
- 逆関数の定義域がもとの関数の値域になると言える
まとめ
- 分数関数は x−pk+q に直すと漸近線x=p, y=q がわかる
- 逆関数は x,y を入れかえて y について解く。 y=x について対称
- 00型の極限は約分、 x→0limxsinx=1 は必修
次章では、 これらの関数を 微分 する方法を学びます。
※ 「数検」「実用数学技能検定」 は公益財団法人日本数学検定協会の登録商標です。