数検準1級
微分法III — 各種関数の微分・増減・凹凸・変曲点
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この章で学ぶこと
数III の微分では、 多項式以外の関数も微分できるようになります。 そして第2次導関数まで使い、 グラフの形(凹凸)まで調べます。
- 三角関数・指数関数・対数関数の微分公式
- 積の微分・商の微分・合成関数の微分(連鎖律)
- 第1次導関数による増減、 第2次導関数による凹凸と変曲点
ポイント: 微分の基本公式(sinx)′=cosx、 (cosx)′=−sinx、 (ex)′=ex、 (logx)′=x1 は確実に覚えます。 ここを土台に積・商・合成の公式を重ねます。
1. 基本の微分公式
| 関数 | 導関数 |
|---|
| xn | nxn−1 |
| sinx | cosx |
| cosx | −sinx |
| tanx | cos2x1 |
| ex | ex |
| logx | x1 |
2. 積・商・合成の微分
積の微分
{f(x)g(x)}′=f′(x)g(x)+f(x)g′(x).
例題: y=x2ex を微分せよ。
y′=(x2)′ex+x2(ex)′=2xex+x2ex=(x2+2x)ex.
検算: f=x2, g=ex とおくと f′=2x, g′=ex。 公式どおり 2xex+x2ex。 正しい。
商の微分
{g(x)f(x)}′={g(x)}2f′(x)g(x)−f(x)g′(x).
例題: y=x2+1x を微分せよ。
y′=(x2+1)21⋅(x2+1)−x⋅2x=(x2+1)2x2+1−2x2=(x2+1)21−x2.
検算: 分子は (x2+1)−2x2=1−x2。 符号・次数とも合う。 正しい。
合成関数の微分(連鎖律)
{f(g(x))}′=f′(g(x))⋅g′(x).
例題: y=(3x2+1)4 を微分せよ。
外側を u4(u=3x2+1)とみると dudy=4u3、 dxdu=6x。 よって
y′=4(3x2+1)3⋅6x=24x(3x2+1)3.
検算: x=1 で u=4、 y′=4⋅64⋅6=1536。 公式から 24⋅1⋅64=1536(一致)。 正しい。
例題: y=log(x2+1) を微分せよ。
y′=x2+11⋅(x2+1)′=x2+12x.
3. 増減・凹凸・変曲点
- f′(x)>0 の区間で 増加、 f′(x)<0 の区間で 減少
- f′′(x)>0 の区間で 下に凸、 f′′(x)<0 の区間で 上に凸
- f′′(x) の符号が変わる点が 変曲点
例題: f(x)=x3−3x の増減と極値、 変曲点を調べよ。
f′(x)=3x2−3=3(x−1)(x+1)。 f′(x)=0 は x=±1。
| x | ⋯ | −1 | ⋯ | 1 | ⋯ |
|---|
| f′(x) | + | 0 | − | 0 | + |
| f(x) | 増 | 極大2 | 減 | 極小−2 | 増 |
f(−1)=−1+3=2(極大)、 f(1)=1−3=−2(極小)。 また f′′(x)=6x より f′′(x)=0 は x=0 で、 ここで符号が負から正に変わるので (0, 0) が変曲点です。
検算: f(0)=0。 f′′(−1)=−6<0(上に凸=極大側)、 f′′(1)=6>0(下に凸=極小側)。 つじつまが合う。 正しい。
どう問われるか
- 一次では x2ex や x2+1x のような積・商・合成を組み合わせた微分が問われます。
- 二次では増減表をつくり、 極値・変曲点・グラフの概形をまとめて答える問題が中心です。
- 公式の暗記だけでなく、 連鎖律で 「内側の微分」 をかけ忘れないことが大切です。
よくまちがえるところ
微分法III では、 公式そのものより 公式の組み合わせ と 第2次導関数の読み方 でまちがえます。
| まちがい | 例 | 直し方 |
|---|
| 連鎖律で内側の微分をかけ忘れる | (3x² + 1)^4 の導関数を 4(3x² + 1)³ で止める | 内側の導関数 6x をかけて 24x(3x² + 1)³ |
| 商の微分で分子の符号を逆にする | 分子を f'g + fg' と書く | 分子は f'g - fg'。 引く順序も固定 |
| f'' の符号を増減と読む | f'' が正だから増加と答える | f'' は凹凸。 正なら下に凸 |
| f'' = 0 を即変曲点とする | f(x) = x⁴ で x = 0 を変曲点とする | f'' の符号が変わることまで確かめる |
いちばん多いのは 連鎖律のかけ忘れ です。 対策は、 微分するときに 「外側を微分」 「内側を微分」 と声に出して 2 段階で書くこと。 たとえば log(x² + 1) なら、 外側の log の微分で 1/(x² + 1)、 内側の x² + 1 の微分で 2x、 かけて 2x/(x² + 1) です。 検算は x に具体的な値を入れて、 定義に近い差の商 (f(x + 0.001) - f(x))/0.001 と比べると確実です。
最後の行も見のがせません。 f(x) = x⁴ では f''(x) = 12x² で、 x = 0 のとき 0 になりますが、 前後どちらでも f'' は正のままです。 凹凸が変わらないので変曲点ではありません。 f'' = 0 は候補にすぎない と覚えてください。
増減表をつくる手順
グラフの概形は、 次の順に埋めれば必ず作れます。
| 順番 | すること | 確かめること |
|---|
| 1 | 定義域を書き出す | 分母が 0、 根号の中が負になる x を外す |
| 2 | f' を求めて f' = 0 を解く | 因数分解して符号の変わり目を出す |
| 3 | f'' を求めて f'' = 0 を解く | 凹凸の変わり目の候補 |
| 4 | 数直線に区切りを並べ、 各区間で f' と f'' の符号を書く | 区間の代表値を代入して符号を決める |
| 5 | 極値と変曲点の座標を計算する | f'' の符号が実際に変わったかを見る |
| 6 | 端点や漸近線を調べる | 定義域の端での極限をとる |
f(x) = x³ - 3x なら、 f'(x) = 3(x - 1)(x + 1) より x = ±1 が極値の候補、 f''(x) = 6x より x = 0 が変曲点の候補です。 x = 0 の前後で f'' は負から正に変わるので、 (0, 0) は変曲点だと確定します。
ポイント: 極大・極小の判定は、 f' の符号の変化で行うのが基本です。 第2次導関数を使う判定(f' = 0 で f'' が負なら極大、 正なら極小)も使えますが、 f'' = 0 になる点では判定できません。 迷ったら増減表に戻りましょう。
自分でチェック
- 合成関数の微分で内側の導関数をかけられる
- 商の微分の分子を f'g - fg' と正しく書ける
- f' は増減、 f'' は凹凸を表すと言い分けられる
- f'' = 0 だけでは変曲点と決まらない理由を説明できる
- 増減表を定義域・f'・f'' の順に埋められる
まとめ
- 基本公式(sinx)′=cosx、 (ex)′=ex、 (logx)′=x1 を土台に
- 積・商・連鎖律で複雑な関数も微分できる
- f′ で増減、 f′′ で凹凸と変曲点を調べる
次章では、 微分の逆である 積分 を学びます。
※ 「数検」「実用数学技能検定」 は公益財団法人日本数学検定協会の登録商標です。