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数検1級

微分方程式 — 変数分離・1階線形・定数係数2階線形 β版

最終確認日:

この章で学ぶこと

未知関数とその導関数を含む方程式が微分方程式です。1級で問われる代表的な3つの型を、解法とともに学びます。

  • 変数分離形の微分方程式
  • 1階線形微分方程式(積分因子)
  • 定数係数2階線形微分方程式(特性方程式)
  • 初期条件による任意定数の決定

ポイント: 微分方程式を解くとは「その方程式を満たす関数を求める」こと。型を見分けて対応する解法に持ち込み、最後に必ず元の方程式へ代入して検算するのが鉄則です。

1. 変数分離形

dydx=f(x)g(y)\dfrac{dy}{dx} = f(x) g(y) の形は、yyxx を左右に分けて両辺を積分します。

dyg(y)=f(x)dx    dyg(y)=f(x)dx\frac{dy}{g(y)} = f(x)\, dx \;\Longrightarrow\; \int \frac{dy}{g(y)} = \int f(x)\, dx

例題: dydx=2xy\dfrac{dy}{dx} = 2xyy(0)=1y(0) = 1 を解け。

y0y \neq 0 として変数分離する。

dyy=2xdx    logy=x2+C1    y=Cex2\frac{dy}{y} = 2x\, dx \;\Longrightarrow\; \log|y| = x^2 + C_1 \;\Longrightarrow\; y = C e^{x^2}

初期条件 y(0)=1y(0)=1 より Ce0=C=1C e^{0} = C = 1。よって y=ex2y = e^{x^2}

検算: y=ex2y = e^{x^2} を微分すると y=2xex2=2xyy' = 2x e^{x^2} = 2x y。元の方程式を満たす。また y(0)=e0=1y(0) = e^0 = 1。初期条件も満たす。正しい。

2. 1階線形微分方程式

dydx+P(x)y=Q(x)\dfrac{dy}{dx} + P(x) y = Q(x) の形は、積分因子 μ(x)=eP(x)dx\mu(x) = e^{\int P(x)\,dx} を両辺にかけると左辺が (μy)(\mu y)' にまとまります。

ddx(μ(x)y)=μ(x)Q(x)    y=1μ(x)(μ(x)Q(x)dx+C)\frac{d}{dx}\big(\mu(x) y\big) = \mu(x) Q(x) \;\Longrightarrow\; y = \frac{1}{\mu(x)}\left(\int \mu(x) Q(x)\, dx + C\right)

例題: dydx+y=ex\dfrac{dy}{dx} + y = e^{x} を解け。

P(x)=1P(x) = 1 なので積分因子は μ=e1dx=ex\mu = e^{\int 1\,dx} = e^x。両辺に exe^x をかける。

exy+exy=exex=e2x    (exy)=e2xe^x y' + e^x y = e^x \cdot e^x = e^{2x} \;\Longrightarrow\; (e^x y)' = e^{2x}

両辺を積分して

exy=12e2x+C    y=12ex+Cexe^x y = \frac{1}{2} e^{2x} + C \;\Longrightarrow\; y = \frac{1}{2} e^{x} + C e^{-x}

検算: y=12ex+Cexy = \tfrac12 e^x + C e^{-x} より y=12exCexy' = \tfrac12 e^x - C e^{-x}y+y=(12exCex)+(12ex+Cex)=exy' + y = (\tfrac12 e^x - C e^{-x}) + (\tfrac12 e^x + C e^{-x}) = e^x。元の方程式を満たす。正しい。

3. 定数係数2階線形微分方程式(同次)

y+ay+by=0y'' + a y' + b y = 0 の形は、y=eλxy = e^{\lambda x} を代入して得られる特性方程式

λ2+aλ+b=0\lambda^2 + a\lambda + b = 0

の根によって一般解が決まります。

特性方程式の根一般解
相異なる実数 λ1,λ2\lambda_1, \lambda_2y=C1eλ1x+C2eλ2xy = C_1 e^{\lambda_1 x} + C_2 e^{\lambda_2 x}
重根 λ\lambday=(C1+C2x)eλxy = (C_1 + C_2 x) e^{\lambda x}
共役複素数 p±qip \pm qiy=epx(C1cosqx+C2sinqx)y = e^{px}(C_1 \cos qx + C_2 \sin qx)

例題: y3y+2y=0y'' - 3y' + 2y = 0 を解け。

特性方程式は λ23λ+2=0\lambda^2 - 3\lambda + 2 = 0、すなわち (λ1)(λ2)=0(\lambda - 1)(\lambda - 2) = 0λ=1,2\lambda = 1, 2(相異なる実数)。よって

y=C1ex+C2e2xy = C_1 e^{x} + C_2 e^{2x}

検算: y=exy = e^x について y3y+2y=ex3ex+2ex=0y'' - 3y' + 2y = e^x - 3e^x + 2e^x = 0y=e2xy = e^{2x} について 4e2x6e2x+2e2x=04e^{2x} - 6e^{2x} + 2e^{2x} = 0。どちらも満たす。正しい。

例題(複素根): y+4y=0y'' + 4y = 0 を解け。

特性方程式 λ2+4=0\lambda^2 + 4 = 0 より λ=±2i\lambda = \pm 2i(p=0, q=2p=0,\ q=2)。よって

y=C1cos2x+C2sin2xy = C_1 \cos 2x + C_2 \sin 2x

検算: y=cos2xy = \cos 2x について y=4cos2xy'' = -4\cos 2xy+4y=4cos2x+4cos2x=0y'' + 4y = -4\cos 2x + 4\cos 2x = 0。満たす。正しい。

大事: 2階線形微分方程式の一般解は任意定数を2つ(C1,C2C_1, C_2)含みます。nn 階線形なら任意定数は nn 個。初期条件(または境界条件)が nn 個与えられて初めて解が一意に定まります。

4. 初期値問題の例

例題: y3y+2y=0y'' - 3y' + 2y = 0y(0)=0, y(0)=1y(0) = 0,\ y'(0) = 1 を解け。

一般解 y=C1ex+C2e2xy = C_1 e^x + C_2 e^{2x}y=C1ex+2C2e2xy' = C_1 e^x + 2C_2 e^{2x}。初期条件を代入する。

{y(0)=C1+C2=0y(0)=C1+2C2=1\begin{cases} y(0) = C_1 + C_2 = 0 \\ y'(0) = C_1 + 2C_2 = 1 \end{cases}

辺々引くと C2=1C_2 = 1、よって C1=1C_1 = -1

y=ex+e2xy = -e^{x} + e^{2x}

検算: y(0)=1+1=0y(0) = -1 + 1 = 0y=ex+2e2xy' = -e^x + 2e^{2x}y(0)=1+2=1y'(0) = -1 + 2 = 1。両方の初期条件を満たす。正しい。

どう問われるか

  • 一次では「与えられた微分方程式の一般解を求めよ」が頻出。型(変数分離・1階線形・2階線形)の見分けが鍵。
  • 二次では「初期条件・境界条件つきで特解を求める」「物理現象(減衰振動・人口モデルなど)を微分方程式で記述して解く」応用が問われます。

よくまちがえるところ

微分方程式では、任意定数の扱い解の取りこぼしが二大失点です。

まちがい直し方
任意定数を落とす変数分離で両辺を積分したときに C を書かない1階なら1個、2階なら2個。階数と同じ個数を必ず残す
一般解と特殊解を混同する初期条件が与えられているのに C を残したまま答える初期条件を代入して C を決めたものが答え
変数分離で定数解を見落とすdy/dx = y(1 - y) で y ≠ 0, 1 として割り、そこで終えるy = 0 と y = 1 も解。割った値が 0 の場合を必ず調べる
重根なのに指数関数を2つ並べる特性方程式が重根 λ のとき C1 e^(λx) + C2 e^(λx) とする(C1 + C2 x) e^(λx)。x を掛けた項が2つ目の解

いちばん多いのは定数解の見落としです。変数分離では dy/g(y) の形を作るために g(y) で割りますが、この操作は g(y) = 0 のときには許されません。そして g(y) = 0 を満たす定数 y は、それ自体が微分方程式の解になっています(左辺も右辺も 0 になるため)。dy/dx = 2xy なら y = 0 がそうです。この例では一般解 y = C e^(x²) が C = 0 のときに y = 0 を含むので結果的に問題になりませんが、ロジスティック型 dy/dx = y(1 - y) の y = 1 のように、一般解の式には現れない解もあります。割ったら、割った値が 0 の場合を調べるを手順に組み込んでください。

型を見分ける手順

順番見ること型と解法
1最高階の階数はいくつか1階か2階かで進む先が変わる
2(1階)右辺が x の式と y の式の積に分かれるか変数分離形。両辺を積分する
3(1階)dy/dx + P(x) y = Q(x) の形か1階線形。積分因子 e^(∫P dx) を掛ける
4(2階)y'' + a y' + b y = 0 の形か定数係数2階線形。特性方程式 λ² + aλ + b = 0 を解く
5特性方程式の根の種類を見る相異なる実根・重根・共役複素根で一般解の形が変わる
6初期条件があるかあれば代入して任意定数を決める
7得た解を元の方程式に代入する必ず成り立つことを確かめる

特性方程式の根と一般解の対応は次のとおりです。

一般解
相異なる実根 λ1, λ2C1 e^(λ1 x) + C2 e^(λ2 x)
重根 λ(C1 + C2 x) e^(λx)
共役複素根 p ± qie^(px) (C1 cos qx + C2 sin qx)

大事: 微分方程式は必ず検算できる分野です。求めた解を元の方程式に代入すれば、正しいかどうかが確定します。初期条件があればそれも代入します。たとえば y = -e^x + e^(2x) なら、y(0) = -1 + 1 = 0、y' = -e^x + 2e^(2x) で y'(0) = 1、さらに y'' - 3y' + 2y = 0 も成り立つ、と3点を確かめます。時間があるかぎり必ず行ってください。

自分でチェック

  • 一般解の任意定数の個数が階数と一致すると言える
  • 一般解と初期条件つきの特殊解を書き分けられる
  • 変数分離で割った値が 0 の場合を調べられる
  • 特性方程式の根の種類で一般解の形を選べる
  • 求めた解を元の方程式と初期条件に代入して検算できる

まとめ

  • 変数分離形は dyg(y)=f(x)dx\dfrac{dy}{g(y)} = f(x)dx にして両辺積分
  • 1階線形は積分因子 μ=ePdx\mu = e^{\int P dx} をかけて (μy)=μQ(\mu y)' = \mu Q
  • 定数係数2階線形は特性方程式の根で場合分け
  • 任意定数の個数 = 階数、初期条件で確定

次章では、変数が複数ある関数を扱う多変数(偏微分・全微分・重積分・極値)を学びます。

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