微分方程式 — 変数分離・1階線形・定数係数2階線形 β版
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この章で学ぶこと
未知関数とその導関数を含む方程式が微分方程式です。1級で問われる代表的な3つの型を、解法とともに学びます。
- 変数分離形の微分方程式
- 1階線形微分方程式(積分因子)
- 定数係数2階線形微分方程式(特性方程式)
- 初期条件による任意定数の決定
ポイント: 微分方程式を解くとは「その方程式を満たす関数を求める」こと。型を見分けて対応する解法に持ち込み、最後に必ず元の方程式へ代入して検算するのが鉄則です。
1. 変数分離形
の形は、 と を左右に分けて両辺を積分します。
例題: 、 を解け。
として変数分離する。
初期条件 より 。よって 。
検算: を微分すると 。元の方程式を満たす。また 。初期条件も満たす。正しい。
2. 1階線形微分方程式
の形は、積分因子 を両辺にかけると左辺が にまとまります。
例題: を解け。
なので積分因子は 。両辺に をかける。
両辺を積分して
検算: より 。。元の方程式を満たす。正しい。
3. 定数係数2階線形微分方程式(同次)
の形は、 を代入して得られる特性方程式
の根によって一般解が決まります。
| 特性方程式の根 | 一般解 |
|---|---|
| 相異なる実数 | |
| 重根 | |
| 共役複素数 |
例題: を解け。
特性方程式は 、すなわち で (相異なる実数)。よって
検算: について 。 について 。どちらも満たす。正しい。
例題(複素根): を解け。
特性方程式 より ()。よって
検算: について 、。満たす。正しい。
大事: 2階線形微分方程式の一般解は任意定数を2つ()含みます。 階線形なら任意定数は 個。初期条件(または境界条件)が 個与えられて初めて解が一意に定まります。
4. 初期値問題の例
例題: 、 を解け。
一般解 、。初期条件を代入する。
辺々引くと 、よって 。
検算: 、 で 。両方の初期条件を満たす。正しい。
どう問われるか
- 一次では「与えられた微分方程式の一般解を求めよ」が頻出。型(変数分離・1階線形・2階線形)の見分けが鍵。
- 二次では「初期条件・境界条件つきで特解を求める」「物理現象(減衰振動・人口モデルなど)を微分方程式で記述して解く」応用が問われます。
よくまちがえるところ
微分方程式では、任意定数の扱いと解の取りこぼしが二大失点です。
| まちがい | 例 | 直し方 |
|---|---|---|
| 任意定数を落とす | 変数分離で両辺を積分したときに C を書かない | 1階なら1個、2階なら2個。階数と同じ個数を必ず残す |
| 一般解と特殊解を混同する | 初期条件が与えられているのに C を残したまま答える | 初期条件を代入して C を決めたものが答え |
| 変数分離で定数解を見落とす | dy/dx = y(1 - y) で y ≠ 0, 1 として割り、そこで終える | y = 0 と y = 1 も解。割った値が 0 の場合を必ず調べる |
| 重根なのに指数関数を2つ並べる | 特性方程式が重根 λ のとき C1 e^(λx) + C2 e^(λx) とする | (C1 + C2 x) e^(λx)。x を掛けた項が2つ目の解 |
いちばん多いのは定数解の見落としです。変数分離では dy/g(y) の形を作るために g(y) で割りますが、この操作は g(y) = 0 のときには許されません。そして g(y) = 0 を満たす定数 y は、それ自体が微分方程式の解になっています(左辺も右辺も 0 になるため)。dy/dx = 2xy なら y = 0 がそうです。この例では一般解 y = C e^(x²) が C = 0 のときに y = 0 を含むので結果的に問題になりませんが、ロジスティック型 dy/dx = y(1 - y) の y = 1 のように、一般解の式には現れない解もあります。割ったら、割った値が 0 の場合を調べるを手順に組み込んでください。
型を見分ける手順
| 順番 | 見ること | 型と解法 |
|---|---|---|
| 1 | 最高階の階数はいくつか | 1階か2階かで進む先が変わる |
| 2 | (1階)右辺が x の式と y の式の積に分かれるか | 変数分離形。両辺を積分する |
| 3 | (1階)dy/dx + P(x) y = Q(x) の形か | 1階線形。積分因子 e^(∫P dx) を掛ける |
| 4 | (2階)y'' + a y' + b y = 0 の形か | 定数係数2階線形。特性方程式 λ² + aλ + b = 0 を解く |
| 5 | 特性方程式の根の種類を見る | 相異なる実根・重根・共役複素根で一般解の形が変わる |
| 6 | 初期条件があるか | あれば代入して任意定数を決める |
| 7 | 得た解を元の方程式に代入する | 必ず成り立つことを確かめる |
特性方程式の根と一般解の対応は次のとおりです。
| 根 | 一般解 |
|---|---|
| 相異なる実根 λ1, λ2 | C1 e^(λ1 x) + C2 e^(λ2 x) |
| 重根 λ | (C1 + C2 x) e^(λx) |
| 共役複素根 p ± qi | e^(px) (C1 cos qx + C2 sin qx) |
大事: 微分方程式は必ず検算できる分野です。求めた解を元の方程式に代入すれば、正しいかどうかが確定します。初期条件があればそれも代入します。たとえば y = -e^x + e^(2x) なら、y(0) = -1 + 1 = 0、y' = -e^x + 2e^(2x) で y'(0) = 1、さらに y'' - 3y' + 2y = 0 も成り立つ、と3点を確かめます。時間があるかぎり必ず行ってください。
自分でチェック
- 一般解の任意定数の個数が階数と一致すると言える
- 一般解と初期条件つきの特殊解を書き分けられる
- 変数分離で割った値が 0 の場合を調べられる
- 特性方程式の根の種類で一般解の形を選べる
- 求めた解を元の方程式と初期条件に代入して検算できる
まとめ
- 変数分離形は にして両辺積分
- 1階線形は積分因子 をかけて
- 定数係数2階線形は特性方程式の根で場合分け
- 任意定数の個数 = 階数、初期条件で確定
次章では、変数が複数ある関数を扱う多変数(偏微分・全微分・重積分・極値)を学びます。
学習ロードマップ(10件)
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