この章で学ぶこと
数Iの計算の土台です。 ここがあやふやだと二次関数や二次不等式でつまずきます。 一次 (計算技能) で確実に点をとるために、 ていねいに固めましょう。
- 多項式の展開 (公式・3次の展開)
- たすきがけを含む因数分解
- 実数・絶対値・根号の計算 (分母の有理化)
- 1次不等式と連立不等式、 絶対値を含む方程式・不等式
ポイント: いちばんの注意は 符号 と 不等式で負の数をかけ・割るときの不等号の向き です。 公式は暗記より 「展開すると確かめられる」 ことを意識しましょう。
1. 展開の公式
基本の展開公式を確認します。
(a+b)2=a2+2ab+b2,(a−b)2=a2−2ab+b2
(a+b)(a−b)=a2−b2
(x+a)(x+b)=x2+(a+b)x+ab
3次の展開公式も準2級では使います。
(a+b)3=a3+3a2b+3ab2+b3
(a−b)3=a3−3a2b+3ab2−b3
(a+b)(a2−ab+b2)=a3+b3,(a−b)(a2+ab+b2)=a3−b3
例題1: (2x−3)2 を展開しなさい。
解答: (2x)2−2⋅2x⋅3+32=4x2−12x+9。
検算: x=1 のとき左辺(2−3)2=1、 右辺4−12+9=1。 一致。
2. 因数分解
展開の逆です。 共通因数 → 公式 → たすきがけ の順に考えます。
acx2+(ad+bc)x+bd=(ax+b)(cx+d)
これがたすきがけです。 ax2+bx+c で、 かけて ac、 たして b になる組を探します。
例題2: 6x2+7x−3 を因数分解しなさい。
解答: 6×(−3)=−18 で、 たして +7 になる2数は +9 と −2。
6x2+9x−2x−3=3x(2x+3)−(2x+3)=(2x+3)(3x−1)。
検算: (2x+3)(3x−1)=6x2−2x+9x−3=6x2+7x−3。 一致。
3. 実数と根号の計算
実数は有理数と無理数からなります。 2 や π は無理数です。
絶対値は数直線上の原点からの距離で、 ∣a∣≧0。 とくに a2=∣a∣ に注意します。
分母に根号があるときは 分母の有理化 をします。
例題3: 5−23 を有理化しなさい。
解答: 分母・分子に (5+2) をかけます。
(5−2)(5+2)3(5+2)=5−23(5+2)=33(5+2)=5+2
4. 1次不等式
不等式は等式とほぼ同じように解けますが、 両辺に負の数をかける・割るときは不等号の向きが反対 になります。
例題4: 不等式3x−5>5x+1 を解きなさい。
解答: 3x−5x>1+5 より −2x>6。 両辺を −2 で割ると不等号が反対になり x<−3。
検算: x=−4 を代入すると左辺−17、 右辺−19 で −17>−19 は成立。 x=0 なら −5>1 は不成立。 よって x<−3 が正しい。
絶対値を含む不等式は、 ∣x∣<a (a>0) のとき −a<x<a、 ∣x∣>a のとき x<−a または x>a と場合分けします。
どう問われるか
- 一次では 展開・因数分解・根号の計算・1次不等式 が単独の計算問題として出ます。
- 因数分解は たすきがけ が頻出。 かけ算とたし算の2条件を満たす組をすばやく探す練習をします。
- 不等式は 不等号の向き のミスが最大の失点源です。 負の数で割る瞬間に向きを変えるクセをつけましょう。
まとめ
- 展開・因数分解は公式 + たすきがけ。 必ず展開して検算する
- a2=∣a∣、 有理化は共役な式をかける
- 1次不等式は負の数で割ると不等号が反対
- 絶対値の不等式は −a<x<a か x<−a,a<x に分ける
次章では、 数学の論理の土台となる 集合と命題 (必要・十分条件) を学びます。