数検2級
確率分布と統計的な推測(数B)
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この章で学ぶこと
数Bの統計の単元です。 偶然に左右される量を確率変数としてとらえ、 その平均的なふるまいや、 標本から全体を推測する方法を学びます。
- 確率変数と確率分布
- 期待値(平均) E(X) と分散 V(X)
- 二項分布と正規分布
- 母平均の区間推定
ポイント: 期待値は「値×確率」の総和です。 二項分布 B(n,p) では E(X)=np、 V(X)=np(1−p) という公式が使えます。 大きな n では正規分布で近似できます。
1. 確率変数と確率分布
試行の結果によって値が決まる変数を確率変数といい、 各値とその確率の対応を確率分布といいます。
2. 期待値と分散
X のとりうる値が x1,…,xn、 その確率が p1,…,pn のとき
E(X)=∑kxkpk,V(X)=E(X2)−{E(X)}2.
例題1: 1個のさいころを1回投げ、 出た目を X とする。 E(X) を求めよ。
解答: E(X)=61(1+2+3+4+5+6)=621=27。
3. 二項分布
確率p で起こることがらを n回くりかえすとき、 起こる回数X は二項分布 B(n,p) にしたがい
P(X=k)=nCkpk(1−p)n−k,E(X)=np,V(X)=np(1−p).
例題2: 1枚の硬貨を 100回投げるとき、 表が出る回数X の期待値と分散を求めよ。
解答: X∼B(100, 21)。 E(X)=100⋅21=50、 V(X)=100⋅21⋅21=25。
(検算) 標準偏差V(X)=25=5。 ✓
4. 正規分布
連続的な量の分布で代表的なのが正規分布です。 平均m、 標準偏差σ の正規分布N(m,σ2) にしたがう X は、 Z=σX−m とおくと標準正規分布N(0,1) になります(標準化)。 n が大きいとき、 二項分布は正規分布で近似できます。
5. 母平均の区間推定
標本平均Xˉ をもとに、 母平均m がふくまれる範囲を確率つきで示すのが区間推定です。 母標準偏差σ、 標本の大きさ n のとき、 信頼度95% の信頼区間は
Xˉ−1.96⋅nσ ≤ m ≤ Xˉ+1.96⋅nσ.
例題3: 母標準偏差σ=10 の母集団から大きさ 100 の標本をとったところ、 標本平均が Xˉ=50 であった。 母平均m の信頼度95% の信頼区間を求めよ。
解答: nσ=10010=1010=1。 1.96×1=1.96。 信頼区間は 50−1.96≤m≤50+1.96、 すなわち 48.04≤m≤51.96。
どう問われるか
- 一次では期待値・分散の計算や、 二項分布の E(X)=np, V(X)=np(1−p) の適用が定番です。
- 二次では正規分布表を使った確率の計算や、 母平均の区間推定が問われます。
- 標準化Z=σX−m で正規分布表が引ける形にするのがコツです。
よくまちがえるところ
統計は公式の形が似ているため、 どの量を答えているか を見失いやすい分野です。
| まちがい | 例 | 直し方 |
|---|
| 分散の式で引く順を逆にする | V(X) を {E(X)}²-E(X²) とする | E(X²)-{E(X)}² |
| 二項分布の分散を np とする | B(100, 1/2) で V(X)=50 とする | np(1-p)=100×(1/2)×(1/2)=25 |
| 分散と標準偏差を取りちがえる | V(X)=25 を標準偏差 25 とする | 標準偏差は √25=5 |
| 区間推定で √n で割り忘れる | σ=10、 n=100 で 1.96×10=19.6 とする | σ/√n=1 なので 1.96 |
いちばん多いのは 標本の大きさ n で割る部分の落とし です。 区間推定で使うのは母標準偏差 σ そのものではなく、 標本平均のばらつきを表す σ/√n です。 標本を多く集めるほど平均は安定するので、 n が大きいほどこの値は小さくなり、 信頼区間の幅もせまくなります。 n を4倍すると幅は半分になる、 という関係を覚えておくと計算後の見当づけに使えます。
信頼区間を求める手順
| 順番 | やること | 例(σ=10、 n=100、 標本平均 50) |
|---|
| 1 | 母標準偏差 σ と標本の大きさ n を確認する | σ=10、 n=100 |
| 2 | σ/√n を計算する | 10/10=1 |
| 3 | 信頼度95%なら 1.96 をかける | 1.96×1=1.96 |
| 4 | 標本平均にたし引きする | 50-1.96 と 50+1.96 |
| 5 | 区間の形で書く | 48.04≦m≦51.96 |
n を変えたときの幅は次のようになります。 計算後の確かめに使えます。
| 標本の大きさ n | σ/√n | 信頼区間の幅 |
|---|
| 100 | 1 | 3.92 |
| 400 | 0.5 | 1.96 |
| 900 | 1/3 | 約1.31 |
大事: 正規分布の問題では、 まず Z=(X-m)/σ で標準化してから正規分布表を引きます。 標準化を飛ばして表を引くと、 まったくちがう確率を読んでしまいます。
自分でチェック
- V(X)=E(X²)-{E(X)}² の順に書ける
- 二項分布で E(X)=np、 V(X)=np(1-p) と言える
- 標準偏差が分散の正の平方根だと言える
- 区間推定で σ/√n を使うと言える
- 標準化 Z=(X-m)/σ の式を書ける
まとめ
- 期待値 E(X)=∑xkpk、 分散 V(X)=E(X2)−{E(X)}2
- 二項分布 B(n,p): E(X)=np, V(X)=np(1−p)
- 正規分布: 標準化Z=σX−m で N(0,1) に
- 母平均の 95%信頼区間: Xˉ±1.96⋅nσ
次章では、 これまでの内容を二次(数理技能)対策として総合的に確認します。
※「数検」「実用数学技能検定」は公益財団法人日本数学検定協会の登録商標です。 この教材は非公式の学習教材です。