この章で学ぶこと
数IIの最初の単元で、 のちの分野の土台になります。 式を自在にあつかう力を身につけましょう。
- 二項定理で (a+b)n を展開する
- 恒等式の考え方と係数の決定
- 整式の割り算、 剰余の定理と因数定理
- 因数定理を使った高次方程式の解法
ポイント: 「恒等式はどんな値でも成り立つ式」、 「方程式は特定の値で成り立つ式」というちがいをはっきりさせましょう。 高次方程式は 因数定理で1つの解を見つけて因数分解する のが基本です。
1. 二項定理
(a+b)n を展開すると、 各項の係数は二項係数 nCr になります。
(a+b)n=∑r=0nnCran−rbr
一般項は nCran−rbr です。 特定の項の係数を求めるときに使います。
例題1: (x+2)5 の展開式における x3 の係数を求めよ。
解答: 一般項は 5Crx5−r⋅2r。 x3 となるのは 5−r=3、 すなわち r=2 のとき。 係数は 5C2⋅22=10×4=40。
(検算) 5C2=2⋅15⋅4=10、 22=4、 積は 40。 ✓
2. 恒等式
すべての x で成り立つ等式を恒等式といいます。 両辺の 同じ次数の係数が等しい(係数比較)ことを使って未知数を求めます。
例題2: ax2+bx+c=2x2−x+5 がすべての x で成り立つとき、 a, b, c を求めよ。
解答: 係数比較より a=2, b=−1, c=5。
3. 整式の割り算と剰余の定理・因数定理
整式P(x) を x−k で割った余りは P(k) に等しい(剰余の定理)。 とくに P(k)=0 ならば P(x) は x−k で割り切れる(因数定理)。
例題3: P(x)=x3−2x2−5x+6 を x−1 で割った余りを求めよ。
解答: 剰余の定理より、 余りは P(1)=1−2−5+6=0。 余りは 0(=x−1 で割り切れる)。
4. 高次方程式
3次以上の方程式は、 因数定理で 1つの解x=k を見つけて x−k で割り、 次数を下げて解きます。
例題4: x3−2x2−5x+6=0 を解け。
解答: P(1)=0 より x−1 を因数にもつ。 割ると x3−2x2−5x+6=(x−1)(x2−x−6)=(x−1)(x−3)(x+2)。 よって x=1, 3, −2。
(検算) x=3: 27−18−15+6=0 ✓、 x=−2: −8−8+10+6=0 ✓。
どう問われるか
- 一次では「(x+a)n の特定の項の係数」「整式の割り算の余り」が定番です。
- 二次では高次方程式を解いたり、 恒等式の係数決定や等式・不等式の証明が問われます。
- 高次方程式は 整数の解を P(k)=0 でさがす(定数項の約数を試す)のが第一手です。
まとめ
- 二項定理: 一般項nCran−rbr で特定の項の係数を求める
- 恒等式: 同じ次数の係数を比較して未知数を決める
- 剰余の定理: x−k で割った余りは P(k)
- 高次方程式: 因数定理で1解を見つけ因数分解
次章では、 分数式の計算と複素数、 方程式の解の性質を学びます。
※「数検」「実用数学技能検定」は公益財団法人日本数学検定協会の登録商標です。 この教材は非公式の学習教材です。