式と証明・高次方程式
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この章で学ぶこと
数IIの最初の単元で、 のちの分野の土台になります。 式を自在にあつかう力を身につけましょう。
- 二項定理で を展開する
- 恒等式の考え方と係数の決定
- 整式の割り算、 剰余の定理と因数定理
- 因数定理を使った高次方程式の解法
ポイント: 「恒等式はどんな値でも成り立つ式」、 「方程式は特定の値で成り立つ式」というちがいをはっきりさせましょう。 高次方程式は 因数定理で1つの解を見つけて因数分解する のが基本です。
1. 二項定理
を展開すると、 各項の係数は二項係数 になります。
一般項は です。 特定の項の係数を求めるときに使います。
例題1: の展開式における の係数を求めよ。
解答: 一般項は 。 となるのは 、 すなわち のとき。 係数は 。
(検算) 、 、 積は 。 ✓
2. 恒等式
すべての で成り立つ等式を恒等式といいます。 両辺の 同じ次数の係数が等しい(係数比較)ことを使って未知数を求めます。
例題2: がすべての で成り立つとき、 を求めよ。
解答: 係数比較より 。
3. 整式の割り算と剰余の定理・因数定理
整式 を で割った余りは に等しい(剰余の定理)。 とくに ならば は で割り切れる(因数定理)。
例題3: を で割った余りを求めよ。
解答: 剰余の定理より、 余りは 。 余りは (= で割り切れる)。
4. 高次方程式
3次以上の方程式は、 因数定理で 1つの解 を見つけて で割り、 次数を下げて解きます。
例題4: を解け。
解答: より を因数にもつ。 割ると 。 よって 。
(検算) : ✓、 : ✓。
どう問われるか
- 一次では「 の特定の項の係数」「整式の割り算の余り」が定番です。
- 二次では高次方程式を解いたり、 恒等式の係数決定や等式・不等式の証明が問われます。
- 高次方程式は 整数の解を でさがす(定数項の約数を試す)のが第一手です。
よくまちがえるところ
式と証明では 添字の取りちがえ と 代入する値の符号 が失点の中心です。
| まちがい | 例 | 直し方 |
|---|---|---|
| 二項定理の一般項で r を取りちがえる | (x+2)⁵ の x³ の係数を 5C3×2³=80 とする | 5-r=3 より r=2、 5C2×2²=40 |
| 恒等式を方程式として解こうとする | ax²+bx+c=2x²-x+5 を x について解く | すべての x で成り立つので係数比較 |
| 剰余の定理で代入する値の符号 | P(x) を x+2 で割った余りを P(2) とする | x-(-2) と見て P(-2) |
| 高次方程式で解を1つ見つけて止める | x³-2x²-5x+6=0 の答えを x=1 だけとする | 割って2次式にし x=3、 -2 も求める |
いちばん多いのは 剰余の定理で代入する値の符号 です。 定理は 「x-k で割った余りは P(k)」 という形なので、 割る式を必ず x-k の形に直してから k を読みます。 x+2 は x-(-2) なので k=-2 です。 x+2 を見た瞬間に 2 を代入してしまうミスは非常に多いので、 かならず 「マイナスの形に書きかえる」 という一手をはさみましょう。
高次方程式を解く手順
| 順番 | やること | 例(x³-2x²-5x+6=0) |
|---|---|---|
| 1 | 定数項の約数を書き出す | 6 の約数は ±1、 ±2、 ±3、 ±6 |
| 2 | 小さいものから P(k) に代入する | P(1)=1-2-5+6=0 |
| 3 | P(k)=0 となる k から因数 x-k を作る | x-1 が因数 |
| 4 | 割り算(組立除法でもよい)で次数を下げる | 商は x²-x-6 |
| 5 | 残りの2次式を因数分解する | (x-3)(x+2) |
| 6 | すべての解を代入して検算する | x=3 で 0、 x=-2 で 0 |
大事: 3次方程式の解は最大3個です。 因数分解しきったあと、 解の個数と次数が合っているかを確かめると書きもれに気づけます。
自分でチェック
- 二項定理の一般項から特定の項の係数を求められる
- 恒等式は係数比較で未知数を決めると言える
- x+2 で割った余りが P(-2) だと言える
- 高次方程式で定数項の約数から解をさがせると言える
- 求めた解をもとの式に代入して検算できる
まとめ
- 二項定理: 一般項 で特定の項の係数を求める
- 恒等式: 同じ次数の係数を比較して未知数を決める
- 剰余の定理: で割った余りは
- 高次方程式: 因数定理で1解を見つけ因数分解
次章では、 分数式の計算と複素数、 方程式の解の性質を学びます。
※「数検」「実用数学技能検定」は公益財団法人日本数学検定協会の登録商標です。 この教材は非公式の学習教材です。
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