数検3級
式の展開と因数分解
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この章で学ぶこと
展開 (カッコをひらく) と、 その逆の因数分解 (積の形にもどす) を学びます。 これは二次方程式を解くための大事な準備です。
- 乗法公式を使った展開
- 共通因数をくくり出す
- 公式を使った因数分解
ポイント: 展開は 「公式に当てはめて一気にひらく」、 因数分解は 「展開の逆を想像する」。 同じ公式を右から左に読むか、 左から右に読むかのちがいです。
1. 乗法公式 (展開)
つぎの 4 つが中3 の乗法公式です。
(x+a)(x+b)=x2+(a+b)x+ab
(a+b)2=a2+2ab+b2
(a−b)2=a2−2ab+b2
(a+b)(a−b)=a2−b2
例題: (x+3)(x−5) を展開せよ。
a=3, b=−5 と見て、
(x+3)(x−5)=x2+(3−5)x+3×(−5)=x2−2x−15
検算: x=1 を代入。 もとの式=(1+3)(1−5)=4×(−4)=−16、 答え =1−2−15=−16。 一致する。
例題: (2x−3)2 を展開せよ。
a=2x, b=3 と見て、
(2x−3)2=(2x)2−2×2x×3+32=4x2−12x+9
検算: x=1 でもと =(2−3)2=(−1)2=1、 答え =4−12+9=1。 一致。
大事: (a−b)2 の真ん中は −2ab です。 最後の b2 はつねに + ((−3)2=9 だから)。 「真ん中だけマイナス」 と覚えましょう。
2. 共通因数をくくり出す
すべての項に共通してかかっているものを前に出します。 これが因数分解の第一歩。
例題: 3x2−6x を因数分解せよ。
3x2−6x=3x(x−2)
検算: 3x(x−2)=3x2−6x。 展開するともとにもどる。 正しい。
3. 公式を使った因数分解
乗法公式を逆に使います。
x2+(a+b)x+ab=(x+a)(x+b)
a2+2ab+b2=(a+b)2
a2−2ab+b2=(a−b)2
a2−b2=(a+b)(a−b)
和と積からさがす
例題: x2+7x+12 を因数分解せよ。
「たして 7、 かけて 12」 になる 2 数をさがすと 3 と 4。
x2+7x+12=(x+3)(x+4)
検算: (x+3)(x+4)=x2+7x+12。 一致する。
差の 2 乗の形
例題: x2−16 を因数分解せよ。
16=42 なので、
x2−16=x2−42=(x+4)(x−4)
検算: (x+4)(x−4)=x2−16。 一致。
くふうが必要な例
例題: 2x2−8 を因数分解せよ。
まず共通因数2 をくくり出してから公式を使う。
2x2−8=2(x2−4)=2(x+2)(x−2)
検算: 2(x+2)(x−2)=2(x2−4)=2x2−8。 一致する。
ポイント: 因数分解は まず共通因数をさがす のが鉄則。 2(x2−4) のようにくくり出してから、 残りに公式が使えないかを考えます。
どう問われるか
- 一次では 「(x−4)(x+6) を展開せよ」 「x2−5x−14 を因数分解せよ」 が定番。
- 因数分解は第5章の二次方程式を解くときに直接使います。
- 共通因数の見落としがミスのもと。 まず全体を見て共通因数がないか確認しましょう。
よくまちがえるところ
展開と因数分解は、 公式の細かい符号 と 共通因数の見落とし が二大ミスです。
| まちがい | 例 | 直し方 |
|---|
| 共通因数を見落として公式に飛びつく | 2x² - 8 を (x + 2)(x - 2) だけで答える | まず 2 をくくり出して 2(x + 2)(x - 2) |
| (a - b)² の真ん中の符号をまちがえる | (2x - 3)² = 4x² + 12x + 9 とする | 真ん中だけマイナス。 4x² - 12x + 9 |
| 2 乗の展開で真ん中の項を書き忘れる | (a + b)² = a² + b² とする | 2ab を必ず入れて a² + 2ab + b² |
| たして・かけての符号の組み合わせをまちがえる | x² - 5x - 14 を (x - 2)(x + 7) とする | かけて -14、 たして -5 は 2 と -7。 (x + 2)(x - 7) |
いちばん多いのは 共通因数の見落とし です。 2x² - 8 のように全部の項が同じ数で割れるとき、 先にくくり出さないと公式の形が見えません。 逆に、 くくり出しさえすれば残りは x² - 4 という見なれた形になります。 因数分解の第一歩はいつも 「全部の項に共通なものはないか」 を見ることです。
因数分解の手順
| 順番 | やること | 例 (3x² - 27) |
|---|
| 1 | 全部の項に共通な数・文字をさがしてくくり出す | 3(x² - 9) |
| 2 | 残った式が 2 乗の差の形か見る | x² - 9 = x² - 3² |
| 3 | 差の形なら (和) × (差) にする | 3(x + 3)(x - 3) |
| 4 | 3 項なら 「かけて定数項、 たして x の係数」 の 2 数をさがす | この例では不要 |
| 5 | (a + b)² や (a - b)² の形になっていないかも見る | 該当なし |
| 6 | 展開してもとの式に戻るか確かめる | 3(x² - 9) = 3x² - 27 で一致 |
手順 4 では 符号から先に決める と速く終わります。 かけて負なら 2 数の符号は反対、 かけて正でたして負なら 2 数とも負です。 x² - 5x - 14 は、 かけて -14 なので符号は反対、 たして -5 なので絶対値の大きいほうが負となり、 2 と -7 に決まります。
ポイント: 展開と因数分解はたがいに逆の操作なので、 答えを展開して戻せば必ず検算できます。 時間がないときでも、 この確認だけはしましょう。
自分でチェック
- 因数分解でまず共通因数をさがせる
- (a - b)² の真ん中が -2ab だと言える
- (a + b)(a - b) = a² - b² を使える
- 「かけて c、 たして b」 の 2 数を符号から決められる
- 答えを展開してもとの式に戻して検算できる
まとめ
- 展開は乗法公式で一気に
- (a−b)2=a2−2ab+b2 (真ん中だけマイナス)
- 因数分解はまず 共通因数、 つぎに公式
- 「たして b、 かけて c」 で x2+bx+c を分解
次章では、 これを使って 方程式 (一次・連立・二次方程式) を解きます。