ソフトウェア(OS/OSS)
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この章で学ぶこと
テクノロジ系 45 問のうち、この章は 4〜5 問ほどの出題があります。「OSって何をしているの?」「ファイルはどうやって整理されているの?」「Excel の $A$1 って何の記号?」「Linux はタダで使えるけど、仕事で使っていいの?」といった、コンピュータを動かす基本ソフトウェアの話を扱います。
ハードウェア(前章)が「物」だとすれば、ソフトウェアは「物を動かすルール」。そのうち OS は最も土台のソフトウェア で、アプリも OSS もすべてこの上で動いています。試験では「機能名 → OS のどの役割か」「ライセンス → 商用利用できるか」のような判別問題が中心です。
シラバス Ver.6.5 中分類 17「ソフトウェア」は 4 つの小分類:
| 小分類 | 項目 | 本章の対応節 |
|---|---|---|
| 45 | オペレーティングシステム | 1 節 |
| 46 | ファイルシステム | 2 節 |
| 47 | オフィスツール | 3 節 |
| 48 | オープンソースソフトウェア(OSS) | 4 節 |
学習ゴール
この章を読み終えた時点で、以下ができるようになっていることを目指します。
- OS の 6 大機能(プロセス・メモリ・記憶・入出力・ユーザ・ネットワーク管理)をシナリオから判別できる
- マルチタスク・タイムスライス・仮想記憶の仕組みを説明できる
- ファイルシステムの基本(階層構造・絶対パス・相対パス・アクセス権)を使いこなせる
- 表計算ソフトのセル参照の違い(相対・絶対・複合)を判別して、コピー結果を予測できる
- 代表関数(SUM・IF・VLOOKUP 等)で何ができるかを判別できる
- OSS と商用ソフトの違いを判別して、主要ライセンス(GPL・MIT・Apache 2.0 等)の商用利用可否を説明できる
試験では: OS・ファイル・表計算・OSS はどれも「見たことがある用語」が多いため、細部の違いで引っかける問題が定番です。「
$A1とA$1はどう違うか」「GPL と MIT はどう違うか」のように、2 つの似た概念を見分ける訓練を意識して読み進めてください。
1. オペレーティングシステム(OS)
アプリ(ワード、ブラウザ、ゲーム)は、実は CPU やメモリやディスクを直接触っていません。間に必ず OS が入って、「メモリをこのアプリに割り当てる」「このファイルを保存する」といった調整役を担っています。OS がなければ、複数のアプリが勝手にハードを取り合ってすぐ壊れてしまいます。
この節では、OS が具体的に何を管理しているか(プロセス・メモリ・ファイル・入出力・ユーザ)を順に見ていきます。試験では機能名とシナリオの対応が頻出なので、「〜という現象は何管理の話か」を意識してください。
1.1 OS の役割
OS はハードウェアとアプリケーションの橋渡しをする基本ソフトウェア。アプリは直接ハードウェアを操作せず、OS の機能を呼び出して動きます。たとえばブラウザが「この画像をディスクに保存する」ときも、ブラウザは OS に「保存して」と頼むだけで、実際にディスクのどのセクタに書き込むかは OS が決めます。これによって複数のアプリが同時に動いても壊れずに共存できるのです。
システム階層 (アプリ → OS → ハードウェア)
| レイヤ | 内容 |
|---|---|
| アプリケーション | Word / ブラウザ / Excel など |
| ↕ システムコール経由 | |
| OS(カーネル) | プロセス管理・メモリ管理・ファイル管理・I/O 管理・ユーザ管理・ネットワーク管理 |
| ↕ ドライバ経由 | |
| ハードウェア | CPU・メモリ・ディスク・周辺機器 |
アプリは直接ハードウェアを触らず、OS のシステムコール経由でリソースを使う。OS はドライバを通してハードウェアを操作する。
具体的には以下を管理:
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| プロセス管理 | タスクの CPU 割当て・切替 |
| メモリ管理 | 各プロセスへのメモリ配分 |
| 記憶管理 | ファイルの読書き |
| 入出力管理 | 周辺装置との入出力 |
| ユーザー管理 | アカウント・権限管理 |
| ネットワーク管理 | 通信の制御 |
試験での頻出: OS の機能を 1 つ選ぶ問題。「アプリが Excel と Word を同時に動かせる」は マルチタスク(プロセス管理)、「メモリが足りないときディスクを使う」は 仮想記憶(メモリ管理)、「USB メモリを差し込むと自動認識」は 入出力管理(プラグアンドプレイ)。
1.2 代表的な OS
OS は系統(ファミリー)で覚えると整理しやすくなります。大きく分けて Microsoft 系(Windows)、UNIX 系(Linux、macOS、iOS、Android)、独自系の 3 グループ。UNIX 系は 1970 年代に生まれた UNIX を祖先に持つ一族で、macOS も Android もこの系譜に入ります。
| OS | 系統 | 主な用途 |
|---|---|---|
| Windows | Microsoft 独自 | PC(個人・業務) |
| macOS | UNIX 系(BSD 系統) | Mac |
| Chrome OS | Linux 系 | Chromebook(教育・軽量) |
| Linux | UNIX 系、OSS | サーバ、組込み |
| UNIX | 商用 UNIX | 基幹サーバ |
| iOS / iPadOS | UNIX 系(macOS 派生) | iPhone / iPad |
| Android | Linux 系 | スマートフォン |
引っかけ: Android は Linux カーネルをベースにした OS。「Google が独自に一から作った」ではなく、Linux の上に Google が作ったアプリ層(Dalvik/ART 等)が載っている構造。iOS も macOS 系の BSD ベースで、実は UNIX 一族。
1.3 プロセス・スレッド管理
CPU は本来、同時にひとつのタスクしか処理できません。それなのに、私たちが Word とブラウザと Zoom を「同時に」動かせるのは、OS が CPU 時間を数十ミリ秒ごとに切り替えて、あたかも並行処理しているように見せているからです。この仕組みをマルチタスクと呼び、切り替える単位をタイムスライスと呼びます。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| マルチタスク | 複数のタスクを短時間で切り替えて同時並行に見せる |
| マルチユーザ | 複数のユーザーが同時利用できる(サーバで必須) |
| タイムスライス | CPU 時間を細切れ(例: 10ms)に分割して各タスクに割当 |
| プロセス | 実行中のプログラム単位。メモリ空間を専有する |
| スレッド | プロセス内部で並行実行される最小単位。メモリを共有 |
| 排他制御 | 同時アクセスで競合しないよう順番を調整 |
具体例: 銀行口座の残高に「預入れ」と「引出し」が同時に来たとします。排他制御がなければ、片方が残高を読み込んでから書き戻すまでの一瞬に、もう片方が古い値を読んでしまい、10 万円入金したはずが消えたという事故が起きます。これを防ぐのが排他制御(ロック)です。
タイムスライスによるマルチタスク
CPU 時間を 10ms ごとに切り替えて並行に見せる: [A][B][C][A][B][C][A][B] → 時間 →
| 凡例 | タスク |
|---|---|
| A | Excel |
| B | ブラウザ |
| C | 音楽再生 |
CPU は瞬間瞬間では 1 タスクだけ実行しているが、高速に切り替わるので並行に見える。
頻出: 「Excel と Word を同時に動かせる」= マルチタスク、「複数人が同時にファイルサーバを使える」= マルチユーザ。この 2 つを混同する選択肢が典型的な引っかけ。
1.4 メモリ管理
アプリはメモリ(RAM)上で動きます。しかし物理メモリは限りがあり、開いているアプリ全部のデータが入りきらないこともあります。そのとき OS はディスク(SSD/HDD)の一部をメモリの代わりに使うというトリックを使います。これが仮想記憶で、「メモリが 8GB しかない PC で、合計 10GB 分のアプリを開ける」のはこの仕組みのおかげです。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 仮想記憶 | 物理メモリ不足を補うため、ディスクをメモリのように使う |
| ページング | メモリを固定長のページ(例: 4KB)単位で管理 |
| スワッピング | メモリ不足時にディスクとデータ交換(ページアウト/ページイン) |
| フラグメンテーション | 使用と解放を繰り返すうちに、連続した空き領域が細切れになる現象 |
| ガベージコレクション | 使わなくなったメモリを自動で回収する仕組み |
仮想記憶の副作用: ディスクはメモリの 1000 倍以上遅いため、スワップが頻発すると PC は激しく遅くなります(「スラッシング」と呼ばれる状態)。メモリ増設で PC が速くなるのは、スワップを発生させずに済むから。
仮想記憶(スワップ)の仕組み
| 物理メモリ(RAM、高速・容量小) | ⇄ | ディスク(スワップ領域、低速・容量大) |
|---|---|---|
| 使用中 Page 1 | スワップアウト → | 退避 Page 3 |
| 使用中 Page 2 | ← スワップイン | 退避 Page 4 |
| 空き | 退避 Page 5 |
使われていないページをディスクに退避することで、物理メモリ以上のデータを扱える。ディスクは RAM の 1000 倍以上遅いので多発すると性能低下(スラッシング)。
引っかけ: 「メモリが足りないときディスクを使う」は仮想記憶。ここで「ディスクそのものが速くなる」と勘違いしないこと。ディスクをメモリに見せているだけで、実際にはディスクアクセスが発生するので遅い。増設すべきは物理メモリ。
1.5 ユーザ管理とアクセス制御
1 台のコンピュータを複数人で使うとき、「A さんは B さんのファイルを勝手に見られない」ようにする必要があります。これを実現するのがユーザ管理で、各ユーザに ID(アカウント)を発行し、ファイルごとにアクセス権(読取・書込・実行)を設定します。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| アカウント(ID) | 利用者を識別する ID。パスワードとセットで認証 |
| アクセス権 | 読取 (r)・書込 (w)・実行 (x) の操作可否設定 |
| 特権ユーザ | 管理者(Linux の root、Windows の Administrator)。全操作可能 |
| 一般ユーザ | 自分のファイルのみ操作可能 |
| グループ | 複数ユーザをまとめて権限管理する単位 |
具体例: 会社の共有ファイルサーバで、「人事部メンバーは給与データを読めるが、編集できるのは人事課長のみ」という設定は、グループに読取権、課長個人に書込権を付けることで実現します。
引っかけ: root で常時作業するのは危険。ウイルスに感染したとき、root 権限で動作してしまうとシステム全体を壊される。普段は一般ユーザで作業し、必要なときだけ sudo で一時的に権限昇格するのが運用の常識。
2. ファイルシステム
OS が管理するデータの置き場のしくみです。ディスクの上に「フォルダとファイル」の階層構造を作り、どこに何があるかをパスで指定します。Windows のエクスプローラ、Mac の Finder、スマホの「ファイル」アプリは、どれもこのファイルシステムを見せているだけ。見た目は違っても基本の考え方は共通です。
2.1 ファイルとディレクトリ
ディレクトリ(Windows ではフォルダ)は、ファイルを整理する入れ物。ディレクトリの中にさらにディレクトリを作れるので、ルート(最上位)から枝分かれするツリー状の階層構造になります。ファイルの場所を指定するには、このツリー上の経路を文字列で書きます。これがパスです。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| ファイル | データの保存単位(文書・画像・プログラム等) |
| ディレクトリ(フォルダ) | ファイルを整理する入れ物 |
| 階層構造 | ルート → フォルダ → サブフォルダ → ファイル |
| ルートディレクトリ | ツリーの最上位(Linux なら /、Windows なら C:\) |
| 絶対パス | ルートからの完全な経路(/home/user/docs/a.txt) |
| 相対パス | 現在位置(カレントディレクトリ)からの経路(./docs/a.txt) |
| カレントディレクトリ | 今作業している場所。.(ドット)で表す |
| 親ディレクトリ | 1 つ上。..(ドットドット)で表す |
具体例: 現在位置が /home/user のとき、同じファイル /home/user/docs/a.txt は 絶対パス では /home/user/docs/a.txt、相対パス では docs/a.txt または ./docs/a.txt と書けます。さらに隣の /home/user2/memo.txt は相対パスでは ../user2/memo.txt(親に一度上がってから下りる)となります。
ファイルシステムの階層構造(ツリー)
/ ← ルートディレクトリ
└── home
├── user
│ └── docs
│ └── a.txt
└── user2
└── memo.txt/home/user/docs/a.txt は絶対パス。現在位置が /home/user なら docs/a.txt は相対パス。隣の /home/user2/memo.txt への相対パスは ../user2/memo.txt。
覚え方: 絶対パスは「住所の全部」(東京都千代田区〜)、相対パスは「ここから右に 3 軒」。スクリプトや Web ページの画像指定は相対パスのほうが移植しやすく、システム設定ファイルは絶対パスのほうが安全。
2.2 ファイルの操作
ファイルには、作成・編集・削除以外にも重要な運用操作があります。企業システムではファイルが消えると事業が止まるので、バックアップとアクセス権の 2 つが特に重要です。
| 操作 | 内容 | 実例 |
|---|---|---|
| バックアップ | 別場所に複製を保管。障害時の復旧に使う | 毎晩 23 時に外部ディスクへ自動コピー |
| 世代管理 | 複数世代(昨日・先週・先月)のバックアップを残す | 3 世代保持で、誤操作に気付いて戻せる |
| 圧縮 | ファイルサイズを小さくする | ZIP 形式で複数ファイルをまとめて送信 |
| 暗号化 | 第三者が読めないように変換 | 顧客名簿を暗号化 USB で持ち歩く |
| アクセス権設定 | 読取・書込・実行の許可を指定 | 経理ファイルは経理部のみ読取可 |
| アーカイブ | 長期保管用に複数ファイルを 1 つにまとめる | 過去プロジェクトを tar.gz で保管 |
引っかけ: バックアップと単なるコピーは違う。バックアップは「失われたときに戻せる」ことが目的で、定期実行・世代管理・別場所保管がセット。同じディスクに複製しただけではディスク故障で全滅するので、バックアップとは呼べない。
2.3 主な圧縮形式
圧縮には、元に戻せる可逆圧縮(ZIP 等)と、戻せない代わりに小さくできる非可逆圧縮(JPEG、MP3 等)があります。文書・プログラムは可逆でなければならず(1 バイトでも欠けたら動かない)、写真・音声は非可逆でも人間には気づかないレベルで圧縮できます。本節の 4 つはすべて可逆圧縮です。
| 形式 | 圧縮方式 | 用途 |
|---|---|---|
| ZIP | 可逆(lossless) | Windows・Mac 標準。世界的に普及 |
| LZH | 可逆 | 旧型(日本で普及したが脆弱性で非推奨) |
TAR + gzip(.tar.gz) | 可逆 | UNIX 系標準。TAR がまとめ役、gzip が圧縮 |
| 7Z | 可逆 | 高圧縮率。オープンソースの 7-Zip が代表実装 |
頻出: 「写真は JPEG(非可逆)、ファイルは ZIP(可逆)」が基本パターン。ZIP に文書と写真を混ぜて入れても、ZIP 自体は全体を可逆圧縮するので、中身の JPEG は JPEG のまま保存される。
3. オフィスツール
オフィスツールは、ビジネス文書を効率よく作るためのアプリ群の総称です。試験では表計算ソフトの出題が多く、特にセル参照と関数は毎年必ず出ます。表計算は「データに数式を当てる」道具で、数式のコピー時にどう変化するかが理解できていれば大半の問題は解けます。
3.1 主要オフィスツール
| 種類 | 例 | 用途 |
|---|---|---|
| ワープロ | Word、Google ドキュメント | 文書作成(契約書・報告書) |
| 表計算 | Excel、Google スプレッドシート | 数値計算・集計・グラフ |
| プレゼン | PowerPoint、Google スライド | 発表資料・スライド |
| データベース | Access、FileMaker | 簡易 DB(中規模データ管理) |
| Acrobat、プレビュー | 表示環境に依存しない配布形式 |
3.2 表計算ソフトの基本
表計算の中心は セル参照(他のセルの値を式に使う)です。数式をコピーしたとき「コピー先に応じて変化する参照」と「固定される参照」を使い分ける必要があり、$記号でその区別をつけます。
セル参照
| 参照方式 | 例 | コピー時の挙動 |
|---|---|---|
| 相対参照 | A1 | 行・列ともコピー先に応じて変化 |
| 絶対参照 | $A$1 | 行・列とも変化しない |
| 複合参照 | $A1 / A$1 | 列だけ固定 / 行だけ固定 |
具体例: 売上表で =B2*C2(単価×数量)を D3・D4・D5 にコピーすると、相対参照なのでそれぞれ =B3*C3、=B4*C4、=B5*C5 と自動調整されます。一方、消費税率のセル B10 をすべての行で参照したい場合は =B2*C2*$B$10 のように絶対参照にしないと、コピー先で B11、B12…を参照してエラーになります。
頻出引っかけ: 「
$は固定の印」。$A$1は列も行も固定(絶対参照)、$A1は列だけ固定(行はコピー時に変化)、A$1は行だけ固定。試験では「B1 セルに=A1と入力した数式を C2 セルにコピーすると何が表示されるか」のような問題が頻出。
代表的な関数
関数は、あらかじめ用意された計算処理のパッケージです。=SUM(A1:A10) のように書くと、A1 から A10 までの合計を一発で求められます。関数を使いこなせると、数千行のデータも数式 1 本で集計できるようになります。
| 関数 | 用途 | 実例 |
|---|---|---|
| SUM | 合計 | =SUM(B2:B10) → B2〜B10 の合計 |
| AVERAGE | 平均 | =AVERAGE(C2:C10) → C 列平均 |
| MAX / MIN | 最大・最小 | =MAX(D2:D10) → 最大値 |
| COUNT / COUNTIF | 個数カウント(条件付き) | =COUNTIF(E2:E10,">=60") → 60 点以上の人数 |
| IF | 条件分岐 | =IF(A1>=60,"合格","不合格") |
| VLOOKUP | 表を縦方向に検索 | =VLOOKUP(商品コード, 商品表, 2, FALSE) → 商品名を引く |
| HLOOKUP | 表を横方向に検索 | VLOOKUP の横版 |
| RANK | 順位を求める | =RANK(A2, A$2:A$10) → A2 の順位 |
VLOOKUP の具体例: 商品コード表(A 列にコード、B 列に商品名、C 列に単価)があるとき、別シートで「商品コード 1001 の単価はいくら?」を求めるなら =VLOOKUP(1001, 商品表!A:C, 3, FALSE) と書きます。第 3 引数3 は「3 列目(単価列)を返す」の意味。受注伝票の自動入力などで業務でも頻用されます。
試験での問われ方: 「A1 の値が 60 以上なら『合格』、未満なら『不合格』を返す数式」という IF 関数の典型問題、「商品コードから商品名を自動入力する関数」という VLOOKUP 問題、「条件に合うセルの個数」という COUNTIF 問題が 3 大定番。
4. オープンソースソフトウェア(OSS)
現代の IT システムは、OSS なしには成り立ちません。Web サーバの大多数は Linux 上で動き、Android スマホは Linux カーネルを使い、プログラミング言語の Python・Ruby・Node.js もすべて OSS。大手企業も自社製品に OSS を組み込んでいますが、ライセンス違反で訴訟になった事例もあり、「タダで使える」わけではなく「ルールを守れば使える」のが OSS です。
4.1 OSS の定義
OSS(Open Source Software)は、ソースコードが公開されており、OSI(Open Source Initiative)のオープンソースの定義(OSD)10 要件を満たすソフトウェア。単に「ソースが見られる」だけでは不十分で、自由に使える・改変できる・再配布できることが条件です。
主要 4 要件(全 10 要件のうち試験で問われる核心部分):
- 再配布の自由 — 有償・無償いずれで配布しても OK
- ソースコード公開 — バイナリだけでなくソースも入手できる
- 派生作品を認める — 改変・再配布が可能
- 差別の禁止 — 個人・団体・用途(軍事利用含む)で利用を制限してはならない
頻出: 「無償(タダ)= OSS」ではない。OSS は有償で販売しても OK(Red Hat Enterprise Linux は有償サポート付きの OSS 商品)。逆にフリーソフトでもソースが非公開なら OSS ではない(フリーウェアと OSS は別物)。
4.2 代表的な OSS
OSS はあらゆる分野で使われています。日常で触れているソフトの多くも、実は OSS。
| 分野 | 例 | 備考 |
|---|---|---|
| OS | Linux | サーバ OS の過半数を占める |
| Web サーバ | Apache HTTP Server、Nginx | 世界の Web サイトの大半を支える |
| データベース | MySQL、PostgreSQL | 業務システムで多用 |
| ブラウザ | Firefox、Chromium(Chrome のコア) | Chrome・Edge・Brave の基盤 |
| オフィス | LibreOffice | Word/Excel 互換の無料オフィス |
| プログラミング | Python、Ruby、PHP、Node.js | 主要言語の処理系 |
| コンテナ | Docker、Kubernetes | クラウド運用の標準技術 |
具体例: スマホで Android を使い、Chrome でネット検索し、オンラインショッピングをする——この一連の流れで触れている大半のシステム(Android の Linux カーネル、Chrome の Chromium、裏で動く Web サーバの Nginx、データベースの MySQL)がすべて OSS。
4.3 主な OSS ライセンス
OSS にはいくつかのライセンスがあり、「改変した場合にソースを公開する義務があるかどうか」で分類されます。義務ありをコピーレフト、義務なしを非コピーレフトと呼びます。企業が自社製品に OSS を組み込むとき、このライセンスを間違えると「自社ソースを公開せざるを得ない」という重大なリスクが生じます。
| ライセンス | 特徴 | 代表例 |
|---|---|---|
| GPL(GNU General Public License) | コピーレフト(強): 派生物も GPL で公開する義務 | Linux カーネル |
| LGPL | 弱コピーレフト: ライブラリとしてリンクするだけなら公開義務なし | glibc |
| MIT | 非コピーレフト: 著作権表示のみ残せば自由 | Node.js、jQuery |
| BSD | MIT に近く自由 | FreeBSD |
| Apache 2.0 | MIT に近い + 特許条項(特許訴訟からの保護) | Android、Kubernetes |
| ライセンス | 分類 | 派生物への制約 | 代表例 |
|---|---|---|---|
| GPL | コピーレフト(強) | 派生物も GPL で公開強制 | Linux カーネル |
| LGPL | 弱コピーレフト | ライブラリ利用なら制約軽い | glibc |
| MIT / BSD | 非コピーレフト | 著作権表示のみで自由 | Node.js、jQuery |
| Apache 2.0 | 非コピーレフト + 特許条項 | MIT 系 + 特許訴訟保護 | Android、Kubernetes |
商用ソフトに OSS を組み込む場合の影響: GPL は商用全体を公開要 / MIT は自社ソースは非公開可。
試験での頻出引っかけ: GPL は派生物にも GPL 適用を強制(コピーレフト)、MIT は著作権表示だけで他は自由。社内で OSS を改変して利用する場合、この違いが商用展開の可否を分ける。Apache 2.0 は MIT 系 + 特許条項で「特許訴訟リスクへの保護」が加わっている。
4.4 OSS 利用上の留意点
OSS は「無保証」が原則。不具合で損害が出ても作者に賠償責任はありません(ライセンス条文に「AS IS」=「現状のまま」と明記されています)。そのため企業が業務で OSS を使うときは、自社で脆弱性情報を追い、パッチ適用の運用体制を整える必要があります。この運用を怠ると、世界規模の事故につながります。
主な留意点:
- 無保証が原則 — 障害時の責任は利用側(AS IS 条項)
- ライセンス遵守 — 改変時のソース公開義務、著作権表示の保持等
- 脆弱性の継続ウォッチ — CVE データベース、SBOM(Software Bill of Materials=ソフトウェア部品表)で自社製品の OSS 依存を管理
- 商用サポート検討 — 業務利用なら有償版(Red Hat Enterprise Linux、SUSE 等)で保証を買うのも選択肢
実例(Log4Shell 事件、2021 年): Java の人気ログ出力ライブラリ Log4j(Apache 2.0 ライセンスの OSS)に重大な脆弱性が発見され、世界中の企業システムが数日で一斉パッチ対応を迫られた事件。自社製品がどこで Log4j を使っているか把握していなかった企業は、対応が遅れて侵入被害を受けました。SBOM で依存関係を管理する重要性が広く認識される契機に。
引っかけ: 「OSS は無料だから何も考えずに使える」は誤り。ライセンス違反リスクと脆弱性対応責任の両方が利用者に降りかかる。企業が OSS を採用する際は、法務チェックとセキュリティ運用をセットで用意する必要がある。
📋 章末まとめ
最重要ポイント 10 連発
- OS の役割 — プロセス・メモリ・記憶・入出力・ユーザ・ネットワーク管理の 6 つ
- 代表的 OS の系統 — Windows / UNIX 系(macOS・iOS)/ Linux 系(Android)
- マルチタスク = タイムスライスで並行に見せる、マルチユーザ = 同時利用
- 仮想記憶 = ディスクをメモリ代わりに使う、遅くなる副作用あり
- 階層型ファイルシステム — 絶対パス vs 相対パス、
... - バックアップは「別場所・定期・世代」、単なるコピーと区別
- セル参照
$は固定の印 —$A$1絶対 /$A1列固定 /A$1行固定 - VLOOKUP = 縦方向の表検索、IF = 条件分岐、COUNTIF = 条件付き個数
- GPL(コピーレフト)= 派生物も公開義務、MIT(非コピーレフト)= 自由
- OSS は無保証、Log4Shell のような事故に備え SBOM で管理
出題傾向のコツ
- OS は「シナリオ → 機能名」の判別が中心。「USB 差し込みで自動認識」→ プラグアンドプレイ、等
- ファイルパスは相対パスの計算(
..で親に上がる)が頻出 - 表計算はセル参照のコピー挙動が頻出。
$の位置で動く軸が変わる - OSS ライセンスは「商用ソフトに組み込めるか / 自社ソースを公開せずに済むか」という観点で整理する
出典シラバス: ITパスポート試験シラバス Ver.6.5(2026年1月・IPA公開)
学習ロードマップ(14件)
ほかの分野の練習もチェック
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IT パスポート試験で最重要の情報セキュリティ分野から 20 問を厳選。CIA 3 要素から攻撃手法、暗号・認証、対策技術まで体系的に確認できます。
コンピュータシステム 一問一答
IT パスポート試験のテクノロジ系頻出テーマから 20 問を厳選。CPU/メモリから仮想化・クラウド・RAID・稼働率計算まで、ハードウェアとシステム構成の基礎を体系的に確認。
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IT パスポート試験のデータベース分野から 20 問を厳選。主キー/外部キー/正規化/SQL(SELECT・WHERE・JOIN)/ACID/索引まで体系的に確認。
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IT パスポート試験のネットワーク分野から 20 問を厳選。LAN/WAN・Wi-Fi セキュリティ・TCP/IP・IP アドレス・DNS・HTTP/HTTPS・IoT 通信まで体系的に確認。
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IT パスポート試験の頻出分野「経営戦略」から 20 問を厳選。経営分析フレームワーク・マーケティング・経営管理システム・技術戦略・ビジネスインダストリまで体系的に確認。
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IT パスポート試験のストラテジ系「システム戦略と企画」から 20 問を厳選。情報システム戦略・業務プロセス改革・クラウドサービス・システム企画調達まで体系的に確認。
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IT パスポート試験のマネジメント系「サービスマネジメントとシステム監査」から 20 問を厳選。ITIL・SLA/SLM・主要プロセス・サービスデスク・J-SOX・COSO まで体系的に確認。
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IT パスポート試験のテクノロジ系「基礎理論」から 20 問を厳選。2 進数変換・AND/OR/XOR・確率計算・文字コード・誤差・機械学習 3 分類まで確認。
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IT パスポート試験のテクノロジ系「アルゴリズムとプログラミング」から 20 問を厳選。配列/リスト/スタック/キュー/木/ハッシュ・探索/整列・計算量・HTML/JSON まで確認。
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IT パスポート試験のテクノロジ系「情報デザインとメディア」から 20 問を厳選。LATCH・UX・アクセシビリティ・RGB/CMYK・JPEG/PNG・MPEG・VR/AR まで確認。
IT パスポート 本試験形式 100 問
IT パスポート試験の全 14 章から出題する本試験準拠の総合問題集 100 問。ストラテジ 32 / マネジメント 18 / テクノロジ 50 の分野別配分・120 分で、実試験と同じスケールの実戦演習が可能。