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テクノロジ系 45 問のうち、この章は 4〜5 問ほどの出題があります。「OS って何をしているの?」「ファイルはどうやって整理されているの?」「Excel の $A$1 って何の記号?」「Linux はタダで使えるけど、仕事で使っていいの?」といった、コンピュータを動かす基本ソフトウェアの話を扱います。
ハードウェア(前章)が「物」だとすれば、ソフトウェアは「物を動かすルール」。そのうち OS は最も土台のソフトウェア で、アプリも OSS もすべてこの上で動いています。試験では「機能名 → OS のどの役割か」「ライセンス → 商用利用できるか」のような**判別問題**が中心です。
シラバス Ver.6.5 中分類 17「ソフトウェア」は 4 つの小分類:
| 小分類 | 項目 | 本章の対応節 |
|---|---|---|
| 45 | オペレーティングシステム | 1 節 |
| 46 | ファイルシステム | 2 節 |
| 47 | オフィスツール | 3 節 |
| 48 | オープンソースソフトウェア(OSS) | 4 節 |
この章を読み終えた時点で、以下ができるようになっていることを目指します。
試験では: OS・ファイル・表計算・OSS はどれも「見たことがある用語」が多いため、細部の違いで引っかける問題が定番です。「
$A1とA$1はどう違うか」「GPL と MIT はどう違うか」のように、**2 つの似た概念を見分ける訓練**を意識して読み進めてください。
アプリ(ワード、ブラウザ、ゲーム)は、実は CPU やメモリやディスクを**直接触っていません**。間に必ず OS が入って、「メモリをこのアプリに割り当てる」「このファイルを保存する」といった**調整役**を担っています。OS がなければ、複数のアプリが勝手にハードを取り合ってすぐ壊れてしまいます。
この節では、OS が具体的に何を管理しているか(プロセス・メモリ・ファイル・入出力・ユーザ)を順に見ていきます。試験では**機能名とシナリオの対応**が頻出なので、「〜という現象は何管理の話か」を意識してください。
OS はハードウェアとアプリケーションの橋渡しをする基本ソフトウェア。アプリは直接ハードウェアを操作せず、OS の機能を呼び出して動きます。たとえばブラウザが「この画像をディスクに保存する」ときも、ブラウザは OS に「保存して」と頼むだけで、実際にディスクのどのセクタに書き込むかは OS が決めます。これによって複数のアプリが同時に動いても**壊れずに共存**できるのです。
PaaS(Platform)
| アプリ(利用者管理) |
| データ(利用者管理) |
| ミドルウェア(事業者) |
| OS(事業者) |
| 仮想化(事業者) |
| サーバ・ストレージ(事業者) |
| ネットワーク(事業者) |
自由度: 中 / 例: Heroku、GAE
具体的には以下を管理:
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| **[[プロセス管理 | プロセスかんり]]** |
| **[[メモリ管理 | メモリかんり]]** |
| 記憶管理 | ファイルの読書き |
| 入出力管理 | 周辺装置との入出力 |
| ユーザー管理 | アカウント・権限管理 |
| ネットワーク管理 | 通信の制御 |
試験での頻出: OS の機能を 1 つ選ぶ問題。**「アプリが Excel と Word を同時に動かせる」は マルチタスク(プロセス管理)、「メモリが足りないときディスクを使う」は 仮想記憶(メモリ管理)、「USB メモリを差し込むと自動認識」**は 入出力管理(プラグアンドプレイ)。
OS は**系統(ファミリー)で覚えると整理しやすくなります。大きく分けて Microsoft 系(Windows)、UNIX 系(Linux、macOS、iOS、Android)、独自系の 3 グループ。UNIX 系は 1970 年代に生まれた UNIX を祖先に持つ一族で、macOS も Android もこの系譜**に入ります。
| OS | 系統 | 主な用途 |
|---|---|---|
| Windows | Microsoft 独自 | PC(個人・業務) |
| macOS | UNIX 系(BSD 系統) | Mac |
| Chrome OS | Linux 系 | Chromebook(教育・軽量) |
| Linux | UNIX 系、OSS | サーバ、組込み |
| UNIX | 商用 UNIX | 基幹サーバ |
| iOS / iPadOS | UNIX 系(macOS 派生) | iPhone / iPad |
| Android | Linux 系 | スマートフォン |
引っかけ: Android は Linux カーネルをベースにした OS。「Google が独自に一から作った」ではなく、Linux の上に Google が作ったアプリ層(Dalvik/ART 等)が載っている構造。iOS も macOS 系の BSD ベースで、実は UNIX 一族。
CPU は本来、同時にひとつのタスクしか処理できません。それなのに、私たちが Word と ブラウザと Zoom を「同時に」動かせるのは、OS が CPU 時間を**数十ミリ秒ごとに切り替えて**、あたかも並行処理しているように見せているからです。この仕組みをマルチタスクと呼び、切り替える単位をタイムスライスと呼びます。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| マルチタスク | 複数のタスクを短時間で切り替えて同時並行に見せる |
| マルチユーザ | 複数のユーザーが同時利用できる(サーバで必須) |
| タイムスライス | CPU 時間を細切れ(例: 10ms)に分割して各タスクに割当 |
| プロセス | 実行中のプログラム単位。メモリ空間を専有する |
| スレッド | プロセス内部で並行実行される最小単位。メモリを共有 |
| 排他制御 | 同時アクセスで競合しないよう順番を調整 |
具体例: 銀行口座の残高に「預入れ」と「引出し」が**同時に**来たとします。排他制御がなければ、片方が残高を読み込んでから書き戻すまでの一瞬に、もう片方が古い値を読んでしまい、10 万円入金したはずが消えたという事故が起きます。これを防ぐのが排他制御(ロック)です。
SaaS(Software)
| アプリ(事業者) |
| データ(事業者) |
| ミドルウェア(事業者) |
| OS(事業者) |
| 仮想化(事業者) |
| サーバ・ストレージ(事業者) |
| ネットワーク(事業者) |
自由度: 低(楽) / 例: Gmail、M365
頻出: 「Excel と Word を同時に動かせる」= マルチタスク、「複数人が同時にファイルサーバを使える」= マルチユーザ。この 2 つを混同する選択肢が典型的な引っかけ。
アプリはメモリ(RAM)上で動きます。しかし物理メモリは限りがあり、開いているアプリ全部のデータが入りきらないこともあります。そのとき OS はディスク(SSD/HDD)の一部をメモリの代わりに使うというトリックを使います。これが**仮想記憶**で、「メモリが 8GB しかない PC で、合計 10GB 分のアプリを開ける」のはこの仕組みのおかげです。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| **[[仮想記憶 | かそうきおく]]** |
| ページング | メモリを固定長のページ(例: 4KB)単位で管理 |
| スワッピング | メモリ不足時にディスクとデータ交換(ページアウト/ページイン) |
| フラグメンテーション | 使用と解放を繰り返すうちに、連続した空き領域が細切れになる現象 |
| ガベージコレクション | 使わなくなったメモリを自動で回収する仕組み |
仮想記憶の副作用: ディスクはメモリの 1000 倍以上遅いため、スワップが頻発すると PC は**激しく遅くなります**(「スラッシング」と呼ばれる状態)。メモリ増設で PC が速くなるのは、スワップを発生させずに済むから。
直列構成(AND)
両方動作で稼働
R = R₁ × R₂
例: 0.9 × 0.9 = 0.81
⚠ 信頼性が下がる(1 台でも止まれば全停止)
引っかけ: 「メモリが足りないときディスクを使う」は仮想記憶。ここで「ディスクそのものが速くなる」と勘違いしないこと。ディスクをメモリに見せているだけで、実際にはディスクアクセスが発生するので遅い。増設すべきは物理メモリ。
1 台のコンピュータを複数人で使うとき、「A さんは B さんのファイルを勝手に見られない」ようにする必要があります。これを実現するのが**ユーザ管理**で、各ユーザに ID(アカウント)を発行し、ファイルごとにアクセス権(読取・書込・実行)を設定します。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| アカウント(ID) | 利用者を識別する ID。パスワードとセットで認証 |
| **[[アクセス権 | アクセスけん]]** |
| 特権ユーザ | 管理者(Linux の root、Windows の Administrator)。全操作可能 |
| 一般ユーザ | 自分のファイルのみ操作可能 |
| グループ | 複数ユーザをまとめて権限管理する単位 |
具体例: 会社の共有ファイルサーバで、「人事部メンバーは給与データを読めるが、編集できるのは人事課長のみ」という設定は、グループに読取権、**課長個人に書込権**を付けることで実現します。
引っかけ: root で常時作業するのは**危険**。ウイルスに感染したとき、root 権限で動作してしまうとシステム全体を壊される。普段は一般ユーザで作業し、必要なときだけ sudo で一時的に権限昇格するのが運用の常識。
OS が管理するデータの置き場のしくみです。ディスクの上に「フォルダとファイル」の階層構造を作り、どこに何があるかをパスで指定します。Windows のエクスプローラ、Mac の Finder、スマホの「ファイル」アプリは、どれもこのファイルシステムを見せているだけ。見た目は違っても**基本の考え方は共通**です。
ディレクトリ(Windows ではフォルダ)は、ファイルを整理する入れ物。ディレクトリの中にさらにディレクトリを作れるので、ルート(最上位)から枝分かれするツリー状の階層構造になります。ファイルの場所を指定するには、このツリー上の経路を文字列で書きます。これがパスです。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| ファイル | データの保存単位(文書・画像・プログラム等) |
| ディレクトリ(フォルダ) | ファイルを整理する入れ物 |
| 階層構造 | ルート → フォルダ → サブフォルダ → ファイル |
| ルートディレクトリ | ツリーの最上位(Linux なら /、Windows なら C:\) |
| **[[絶対パス | ぜったいパス]]** |
| **[[相対パス | そうたいパス]]** |
| カレントディレクトリ | 今作業している場所。.(ドット)で表す |
| 親ディレクトリ | 1 つ上。..(ドットドット)で表す |
具体例: 現在位置が /home/user のとき、同じファイル /home/user/docs/a.txt は 絶対パス では /home/user/docs/a.txt、相対パス では docs/a.txt または ./docs/a.txt と書けます。さらに隣の /home/user2/memo.txt は相対パスでは ../user2/memo.txt(親に一度上がってから下りる)となります。
並列構成(OR)
片方動作で稼働
R = 1 − (1 − R₁)(1 − R₂)
例: 1 − 0.1 × 0.1 = 0.99
✓ 信頼性が上がる(両方止まる確率を 1 から引く)
覚え方: 絶対パスは「住所の全部」(東京都千代田区〜)、相対パスは「ここから右に 3 軒」。スクリプトや Web ページの画像指定は**相対パスのほうが移植しやすく、システム設定ファイルは絶対パス**のほうが安全。
ファイルには、作成・編集・削除以外にも**重要な運用操作があります。企業システムではファイルが消えると事業が止まるので、バックアップとアクセス権**の 2 つが特に重要です。
| 操作 | 内容 | 実例 |
|---|---|---|
| バックアップ | 別場所に複製を保管。障害時の復旧に使う | 毎晩 23 時に外部ディスクへ自動コピー |
| 世代管理 | 複数世代(昨日・先週・先月)のバックアップを残す | 3 世代保持で、誤操作に気付いて戻せる |
| 圧縮 | ファイルサイズを小さくする | ZIP 形式で複数ファイルをまとめて送信 |
| 暗号化 | 第三者が読めないように変換 | 顧客名簿を暗号化 USB で持ち歩く |
| アクセス権設定 | 読取・書込・実行の許可を指定 | 経理ファイルは経理部のみ読取可 |
| アーカイブ | 長期保管用に複数ファイルを 1 つにまとめる | 過去プロジェクトを tar.gz で保管 |
引っかけ: バックアップと**単なるコピーは違う。バックアップは「失われたときに戻せる**」ことが目的で、**定期実行・世代管理・別場所保管**がセット。同じディスクに複製しただけではディスク故障で全滅するので、バックアップとは呼べない。
圧縮には、元に戻せる**可逆圧縮(ZIP 等)と、戻せない代わりに小さくできる非可逆圧縮**(JPEG、MP3 等)があります。文書・プログラムは可逆でなければならず(1 バイトでも欠けたら動かない)、写真・音声は非可逆でも人間には気づかないレベルで圧縮できます。本節の 4 つはすべて可逆圧縮です。
| 形式 | 圧縮方式 | 用途 |
|---|---|---|
| ZIP | 可逆(lossless) | Windows・Mac 標準。世界的に普及 |
| LZH | 可逆 | 旧型(日本で普及したが脆弱性で非推奨) |
TAR + gzip(.tar.gz) | 可逆 | UNIX 系標準。TAR がまとめ役、gzip が圧縮 |
| 7Z | 可逆 | 高圧縮率。オープンソースの 7-Zip が代表実装 |
頻出: 「写真は JPEG(非可逆)、ファイルは ZIP(可逆)」が基本パターン。ZIP に文書と写真を混ぜて入れても、ZIP 自体は全体を可逆圧縮するので、中身の JPEG は JPEG のまま保存される。
オフィスツールは、ビジネス文書を効率よく作るためのアプリ群の総称です。試験では表計算ソフトの出題が多く、特にセル参照と関数は毎年必ず出ます。表計算は「データに数式を当てる」道具で、数式のコピー時にどう変化するかが理解できていれば大半の問題は解けます。
| 種類 | 例 | 用途 |
|---|---|---|
| ワープロ | Word、Google ドキュメント | 文書作成(契約書・報告書) |
| 表計算 | Excel、Google スプレッドシート | 数値計算・集計・グラフ |
| プレゼン | PowerPoint、Google スライド | 発表資料・スライド |
| データベース | Access、FileMaker | 簡易 DB(中規模データ管理) |
| Acrobat、プレビュー | 表示環境に依存しない配布形式 |
表計算の中心は セル参照(他のセルの値を式に使う)です。数式をコピーしたとき「コピー先に応じて変化する参照」と「固定される参照」を使い分ける必要があり、$記号でその区別をつけます。
| 参照方式 | 例 | コピー時の挙動 |
|---|---|---|
| 相対参照 | A1 | 行・列ともコピー先に応じて変化 |
| 絶対参照 | $A$1 | 行・列とも変化しない |
| 複合参照 | $A1 / A$1 | 列だけ固定 / 行だけ固定 |
具体例: 売上表で =B2*C2(単価×数量)を D3・D4・D5 にコピーすると、相対参照なのでそれぞれ =B3*C3、=B4*C4、=B5*C5 と自動調整されます。一方、消費税率のセル B10 をすべての行で参照したい場合は =B2*C2*$B$10 のように絶対参照にしないと、コピー先で B11、B12…を参照してエラーになります。
頻出引っかけ: 「
$は固定の印」。$A$1は列も行も固定(絶対参照)、$A1は列だけ固定(行はコピー時に変化)、A$1は行だけ固定。試験では「B1 セルに=A1と入力した数式を C2 セルにコピーすると何が表示されるか」のような問題が頻出。
**関数**は、あらかじめ用意された計算処理のパッケージです。=SUM(A1:A10) のように書くと、A1 から A10 までの合計を一発で求められます。関数を使いこなせると、数千行のデータも数式 1 本で集計できるようになります。
| 関数 | 用途 | 実例 |
|---|---|---|
| SUM | 合計 | =SUM(B2:B10) → B2〜B10 の合計 |
| AVERAGE | 平均 | =AVERAGE(C2:C10) → C 列平均 |
| MAX / MIN | 最大・最小 | =MAX(D2:D10) → 最大値 |
| COUNT / COUNTIF | 個数カウント(条件付き) | =COUNTIF(E2:E10,">=60") → 60 点以上の人数 |
| IF | 条件分岐 | =IF(A1>=60,"合格","不合格") |
| VLOOKUP | 表を縦方向に検索 | =VLOOKUP(商品コード, 商品表, 2, FALSE) → 商品名を引く |
| HLOOKUP | 表を横方向に検索 | VLOOKUP の横版 |
| RANK | 順位を求める | =RANK(A2, A$2:A$10) → A2 の順位 |
VLOOKUP の具体例: 商品コード表(A 列にコード、B 列に商品名、C 列に単価)があるとき、別シートで「商品コード 1001 の単価はいくら?」を求めるなら =VLOOKUP(1001, 商品表!A:C, 3, FALSE) と書きます。第 3 引数3 は「3 列目(単価列)を返す」の意味。**受注伝票の自動入力**などで業務でも頻用されます。
試験での問われ方: 「A1 の値が 60 以上なら『合格』、未満なら『不合格』を返す数式」という IF 関数の典型問題、「商品コードから商品名を自動入力する関数」という VLOOKUP 問題、「条件に合うセルの個数」という **COUNTIF 問題**が 3 大定番。
現代の IT システムは、OSS なしには成り立ちません。Web サーバの大多数は Linux 上で動き、Android スマホは Linux カーネルを使い、プログラミング言語の Python・Ruby・Node.js もすべて OSS。大手企業も自社製品に OSS を組み込んでいますが、**ライセンス違反で訴訟になった事例**もあり、「タダで使える」わけではなく「ルールを守れば使える」のが OSS です。
OSS(Open Source Software)は、ソースコードが公開されており、OSI(Open Source Initiative)のオープンソースの定義(OSD)10 要件を満たすソフトウェア。単に「ソースが見られる」だけでは不十分で、自由に使える・改変できる・再配布できることが条件です。
主要 4 要件(全 10 要件のうち試験で問われる核心部分):
頻出: 「無償(タダ)= OSS」ではない。OSS は**有償で販売しても OK**(Red Hat Enterprise Linux は有償サポート付きの OSS 商品)。逆にフリーソフトでもソースが非公開なら OSS ではない(フリーウェアと OSS は別物)。
OSS はあらゆる分野で使われています。日常で触れているソフトの多くも、実は OSS。
| 分野 | 例 | 備考 |
|---|---|---|
| OS | Linux | サーバ OS の過半数を占める |
| Web サーバ | Apache HTTP Server、Nginx | 世界の Web サイトの大半を支える |
| データベース | MySQL、PostgreSQL | 業務システムで多用 |
| ブラウザ | Firefox、Chromium(Chrome のコア) | Chrome・Edge・Brave の基盤 |
| オフィス | LibreOffice | Word/Excel 互換の無料オフィス |
| プログラミング | Python、Ruby、PHP、Node.js | 主要言語の処理系 |
| コンテナ | Docker、Kubernetes | クラウド運用の標準技術 |
具体例: スマホで Android を使い、Chrome でネット検索し、オンラインショッピングをする——この一連の流れで触れている大半のシステム(Android の Linux カーネル、Chrome の Chromium、裏で動く Web サーバの Nginx、データベースの MySQL)がすべて OSS。
OSS にはいくつかのライセンスがあり、「改変した場合にソースを公開する義務があるかどうか」で分類されます。義務ありをコピーレフト、義務なしを**非コピーレフトと呼びます。企業が自社製品に OSS を組み込むとき、このライセンスを間違えると「自社ソースを公開せざるを得ない**」という重大なリスクが生じます。
| ライセンス | 特徴 | 代表例 |
|---|---|---|
| GPL(GNU General Public License) | コピーレフト(強): 派生物も GPL で公開する義務 | Linux カーネル |
| LGPL | 弱コピーレフト: ライブラリとしてリンクするだけなら公開義務なし | glibc |
| MIT | 非コピーレフト: 著作権表示のみ残せば自由 | Node.js、jQuery |
| BSD | MIT に近く自由 | FreeBSD |
| Apache 2.0 | MIT に近い + 特許条項(特許訴訟からの保護) | Android、Kubernetes |
| ライセンス | 分類 | 派生物への制約 | 代表例 |
|---|---|---|---|
| GPL | コピーレフト(強) | 派生物も GPL で公開強制 | Linux カーネル |
| LGPL | 弱コピーレフト | ライブラリ利用なら制約軽い | glibc |
| MIT / BSD | 非コピーレフト | 著作権表示のみで自由 | Node.js、jQuery |
| Apache 2.0 | 非コピーレフト + 特許条項 | MIT 系 + 特許訴訟保護 | Android、Kubernetes |
商用ソフトに OSS を組み込む場合の影響: GPL は商用全体を公開要 / MIT は自社ソースは非公開可。
試験での頻出引っかけ: GPL は**派生物にも GPL 適用を強制(コピーレフト)、MIT は著作権表示だけで他は自由**。社内で OSS を改変して利用する場合、この違いが商用展開の可否を分ける。Apache 2.0 は MIT 系 + 特許条項で「特許訴訟リスクへの保護」が加わっている。
OSS は「無保証」が原則。不具合で損害が出ても作者に賠償責任はありません(ライセンス条文に「AS IS」=「現状のまま」と明記されています)。そのため企業が業務で OSS を使うときは、自社で脆弱性情報を追い、パッチ適用の運用体制を整える必要があります。この運用を怠ると、世界規模の事故につながります。
主な留意点:
実例(Log4Shell 事件、2021 年): Java の人気ログ出力ライブラリ Log4j(Apache 2.0 ライセンスの OSS)に重大な脆弱性が発見され、**世界中の企業システムが数日で一斉パッチ対応**を迫られた事件。自社製品がどこで Log4j を使っているか把握していなかった企業は、対応が遅れて侵入被害を受けました。**SBOM で依存関係を管理**する重要性が広く認識される契機に。
引っかけ: 「OSS は無料だから何も考えずに使える」は誤り。ライセンス違反リスクと**脆弱性対応責任の両方が利用者に降りかかる。企業が OSS を採用する際は、法務チェックとセキュリティ運用**をセットで用意する必要がある。
.``..$ は固定の印 — $A$1絶対 / $A1列固定 / A$1行固定.. で親に上がる)が頻出$ の位置で動く軸が変わる出典シラバス: ITパスポート試験シラバス Ver.6.5(2026年1月・IPA公開)