この章で学ぶこと
プロジェクトマネジメント分野は 3〜5 問程度出題。アローダイアグラムの計算問題が毎年出る定番分野です。
学習ゴール
この章を読み終えた時点で、以下ができるようになっていることを目指します。
- PMBOK の 10 知識エリア(統合・スコープ・スケジュール等)の役割を判別できる
- WBS を作成して、スコープ管理を使いこなせる
- アローダイアグラム(PERT図)で最早・最遅結合点時刻とクリティカルパスを計算できる
- ガントチャートと PERT 図の違いを判別できる
- リスクマネジメントの手順(識別・評価・対応)を使いこなせる
1. プロジェクトマネジメントの基礎
1.1 プロジェクトとは
- 有期性 — 始まりと終わりが明確
- 独自性 — 毎回異なる成果物
- 段階的詳細化 — 進むにつれて詳細が明確になる
1.2 PMBOK(Project Management Body of Knowledge)
PMBOK は 10 の知識エリアでプロジェクトを管理します。
| 知識エリア | 内容 |
|---|
| 統合 | プロジェクト全体の統括 |
| スコープ | 成果物の範囲管理 |
| スケジュール | 時間管理 |
| コスト | 予算管理 |
| 品質 | [[品質管理 |
| 資源 | 人的・物的資源管理 |
| コミュニケーション | 情報伝達管理 |
| リスク | [[リスク対応 |
| 調達 | 外注・購買管理 |
| ステークホルダ | 利害関係者管理 |
1.3 プロジェクトの役割
- プロジェクトマネージャ(PM) — 全体責任者
- ステークホルダ — 利害関係者(発注者、利用者、経営層、運用チーム等)
- プロジェクトスポンサ — プロジェクトを支援する上位管理者
- PMO(Project Management Office) — プロジェクト管理専門部門
2. スコープマネジメント
2.1 WBS(Work Breakdown Structure)
作業を**階層的に分解**した構造図。プロジェクトのゴールを「成果物」→「フェーズ」→「作業パッケージ」へとブレイクダウンします。
- L0: プロジェクトゴール
- L1: 要件定義
- L1: 設計
- L2: 外部設計
- L2: 内部設計
- L2: DB 設計
- L1: 実装
最下層(リーフ)= 作業パッケージ = 見積り・担当割り当て可能な粒度。スコープに含まれない作業は WBS に書かない(=やらない)。
- 最上位 — プロジェクトゴール
- 中間層 — 主要な成果物・フェーズ
- 最下層 — 作業パッケージ(見積り・割り当て可能な粒度)
頻出引っかけ: WBS は「スコープを可視化」するツール。WBS に含まれない作業はスコープ外(やらない)を意味します。途中で「これも追加で…」と作業が増える現象がスコープクリープで、WBS と変更管理プロセスで防ぐ。
2.2 スコープクリープ
プロジェクト進行中に成果物の範囲が肥大化していく現象。防止には変更管理プロセスが重要。
3. スケジュールマネジメント
3.1 ガントチャート
作業を横軸に時間、縦軸にタスクで配置する棒グラフ。進捗の可視化に有効。
3.2 アローダイアグラム(PERT 図)
作業の順序関係を矢印で表す図。**毎年 1 問は出る計算問題の定番**です。
アローダイアグラム例
A ──5日──→ B ──3日──→ D(合計 8 日)
A ──4日──→ C ──5日──→ D(合計 9 日)
⚠ クリティカルパス: A→C→D = 9 日(最長経路)
この経路が遅れるとプロジェクト全体が遅れる。短い経路(A→B→D=8 日)には 1 日のフロート(余裕時間)がある。
- クリティカルパス(CPM) — プロジェクト最短完了時間を決める作業経路(最長の経路)
- 最早開始日 — その作業が最も早く開始できる日
- 最遅開始日 — プロジェクトを遅延させずに開始できる最後の日
- トータルフロート — 最遅開始日 − 最早開始日(余裕時間)
3.3 アローダイアグラムの計算手順
- 各ノード(結合点)の**最早結合点時刻**を前進計算(始点 0 から右へ加算、合流は 最大値 をとる)
- 各ノードの**最遅結合点時刻**を後進計算(終点から左へ減算、合流は 最小値 をとる)
- 最早と最遅が一致する経路がクリティカルパス
頻出引っかけ: クリティカルパスは「最短完了時間を決める経路」だが、経路自体は最長。短い経路には余裕時間(フロート)があり遅れても大丈夫だが、最長経路(=クリティカルパス)は 1 日遅れたら全体が 1 日遅れる。
3.4 その他スケジュール手法
- PERT(Program Evaluation and Review Technique) — 不確実性を考慮した工程管理
- CCPM(Critical Chain Project Management) — 資源制約を考慮
4. コスト・品質マネジメント
4.1 見積り手法
| 手法 | 特徴 |
|---|
| 類推見積り | 過去の類似プロジェクトから推定 |
| パラメトリック見積り | 規模×単価の数式で算出 |
| **[[ファンクションポイント法 | ファンクションポイントほう]](FP 法)** |
| **[[LOC 法 | LOC ほう]]** |
| ボトムアップ見積り | 作業を分解して積み上げ |
| デルファイ法 | 専門家の意見を匿名で集約・収束させる |
| 三点見積り | 楽観・悲観・最頻を加重平均 |
4.2 品質管理の 7 つ道具
- パレート図 — 重要な少数を見つける(80:20 則)
- 特性要因図(フィッシュボーン) — 原因を系統的に整理
- ヒストグラム — データ分布の可視化
- 散布図 — 2 変数の関係を可視化
- 管理図 — 工程の安定性を監視
- チェックシート — データ収集・点検用
- 層別 — データをグループ分け
5. リスクマネジメント
5.1 リスク対応の 4 分類
リスクへの対応は 「回避・軽減・転嫁・受容」 の 4 つに分類されます。発生確率と影響度の組み合わせで適切な対応が変わります。
| 発生確率:低い | 発生確率:高い |
| 影響度:高い | 転嫁(移転) 他者に移す。例: 保険加入、外注 / SLA | 回避 原因をなくす。例: その事業をやめる、新技術 NG |
| 影響度:低い | 受容(保有) そのまま受け入れる。例: 小さなクレーム、軽微なバグ | 軽減(低減) 確率・影響を下げる。例: テスト追加、冗長化・監視 |
影響度 × 発生確率 の組み合わせで「回避・転嫁・軽減・受容」を選ぶ。
| 対応 | 内容 | 例 |
|---|
| 回避 | リスクの原因そのものを排除 | 新技術の採用をやめる |
| 軽減(低減) | 発生確率・影響度を下げる | テストを増やす |
| 転嫁(移転) | 他者に移す | 保険、外注 |
| 受容(保有) | そのまま受け入れる | 小規模リスクを放置 |
覚え方: 4 分類の頭文字「回・軽・転・受」。影響大なら回避 or 転嫁、影響小なら軽減 or 受容、と縦軸で大別、横軸で「発生確率が高い vs 低い」で細分化。
5.2 リスクマネジメントプロセス
- リスク特定
- リスク分析(定量・定性)
- リスク対応計画
- リスク監視
6. コミュニケーションとステークホルダ
6.1 ステークホルダ分析
- **関心度 × 影響度**の 4 象限でマッピング
- 高影響度・高関心度 → 密接に管理
- 低影響度・低関心度 → 最低限の監視
6.2 コミュニケーション管理
- プル型 — 必要な人が情報を取りに行く(ポータル等)
- プッシュ型 — 発信側から届ける(メール等)
- インタラクティブ型 — 双方向(会議等)
📋 章末まとめ
最重要ポイント 10 連発
- PMBOK の 10 知識エリア — スコープ・スケジュール・コスト・品質・リスク等
- WBS — 作業を階層的に分解した構造
- クリティカルパス — 最短完了時間を決める経路。ここが遅れると全体が遅れる
- 最早・最遅の計算 — 前進計算で最早、後進計算で最遅
- ファンクションポイント法 — 機能の複雑度を点数化した見積り
- 品質管理 7 つ道具 — パレート図、特性要因図などの基本
- リスク対応 4 分類 — 回避・軽減・転嫁・受容
- ステークホルダ管理 — 関心度 × 影響度
- ガントチャートとアローダイアグラムの違い — 進捗可視化 vs 作業順序
- スコープクリープ — 範囲の無秩序な拡大を防ぐ
出題傾向のコツ
- **アローダイアグラムの計算問題**は毎年のように出る
- リスク対応 4 分類は具体例とセットで覚える
- 見積り手法は特徴の違いを整理