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5 年生 で 学んだ 古典入門(枕草子・平家物語・竹取物語・論語) を ふまえ、 6 年生 で は 古典 の 名作 を 本格的 に 味わ い ます。
この 章 で でき る よう に なる こと:
古典 を 読む 意味:千年前 の 人 も、 今 と 同 じ よ う に 季節 を 味わ い、 旅 を 楽 しみ、 別れ を 悲し み まし た。 古典 を 読む こと は、 時 を こえ て 古人 と 心 を かよ わ せ る こ と な の で す。
徒然草 は 兼好法師(吉田兼好) が 14 世紀初め に 書いた 随筆集 です。 無常観(この 世 の もの は 変 わ り やす い)、 鋭 い 人間観察、 ユーモア が 同居 する 古典 の 名作 です。
つれづれなるままに、 日くらし、 硯 に むかひて、 心 に うつりゆく よしなしごと を、 そこ は か と なく 書き つくれ ば、 あやしう こそ もの ぐる ほし けれ。
Studia オリジナル 現代語訳:
や る こ と も な く さ び し い ま ま に、 一日中 すずり に 向かって、 心 に 浮かん で は 消える どう で も よい こ と を、 と り と め も な く 書き つけて い る と、 不思議 と ちょっと 気 が 変 に なって しまい そう だ。
「つれづれ」 は す る こ と が な く て さ び し い 様子。 序段 に 名作 を 書い た 動機 が こ め ら れ て い ます。
花 は 盛り に、 月 は くまな き を のみ 見る もの か は。
Studia オリジナル 現代語訳:
桜 の 花 は 満開 の 時 だけ、 月 は 雲 ひと つ ない 時 だ け を 見る も の だ ろ う か、 いや そ う で は な い。
兼好 は、 散 り か け の 花 も、 月 が 雲 に 隠れ た 様子 も 美 し い と 言い ま す。 「完璧 でない こと の 美 し さ」 を 大切 に する 日本文化 の 中心的 な 考え を 伝え る 名段 です。
出典:徒然草(兼好法師、14 世紀初め 成立)。 原文 は パブリック ドメイン、 現代語訳 は Studia オリジナル。
奥の細道 は 松尾芭蕉 が 17 世紀末 に 書いた 紀行文 です。 江戸 から 東北・北陸 を めぐる 旅 を、 散文 と 俳句 で つづり ました。
月日 は 百代 の 過客 に して、 行きかふ 年 も また 旅人 なり。
Studia オリジナル 現代語訳:
月 や 日 は 永遠 の 旅人 で あ り、 行き かう 年 も ま た 旅人 で あ る。
時間 そ の も の を 旅人 に たとえ た 名文。 芭蕉 は 「人生 そ の も の が 旅 で あ る」 と 考え て い まし た。
夏草 や 兵 ども が 夢 の 跡
Studia オリジナル 現代語訳・解説:
一面 に 茂る 夏草 よ。 こ こ で か つて 戦 い、 夢 を 追っ た 兵 たち の あ と は、 い ま は 草 の 中 に 消え て し まっ た。
平泉 は 12 世紀 に 栄え、 源義経 が 最期 を むかえ た 場所。 五百年後 に 訪れ た 芭蕉 が 栄華 も い ま は 草 の 中 と い う 無常 を 詠み まし た。
閑か さ や 岩 に しみ 入る 蝉 の 声
Studia オリジナル 現代語訳・解説:
な ん と 静か で あ る こ と か。 岩 に しみ こ ん で い く よ う に 蝉 の 声 が ひ び い て い る。
「閑か さ」 と 「蝉 の 声」 の 反対 の もの が 溶け 合う名句。 静か な 山寺 に 立つ 芭蕉 の 心 が 伝わ り ます。
出典:奥 の 細道(松尾芭蕉、17 世紀末成立)。 原文 は パブリック ドメイン、 現代語訳 は Studia オリジナル。
日本 の 和歌 の 歴史 を 知る 上 で、 三大歌集 は 大切 な 三 つ の 山 です。
| 歌集 | 成立 | 時代 | 特ちょう |
|---|---|---|---|
| 万葉集 | 8 世紀 | 奈良時代 | 素朴・力強い、 天皇 から 庶民 まで |
| 古今和歌集 | 905 年 | 平安時代 | 優雅・繊細、 仮名文字 で 書か れた 最初 の 勅撰集 |
| 新古今和歌集 | 1205 年 | 鎌倉時代 | 幽玄・象徴的、 高度 な 技巧 |
銀(しろがね) も 金(くがね) も 玉 も 何 せ む に まされる 宝子 に しか め や も ——— 山上憶良
Studia オリジナル 現代語訳:
銀 も 金 も 宝石 も、 何 に なる だ ろ う か。 何 よ り も すぐれ た 宝 は 子ども で あ る。 そ れ に 勝 る も の は な い。
奈良時代 の 役人 で あった 山上憶良 が、 我 が 子 へ の 愛 を 詠ん だ 歌。 千三百年経って も、 親 が 子 を 思う 気持ち は 変わ ら ない こと を 教え て く れ ます。
久方 の 光 のどけき 春 の 日 に しづ 心 なく 花 の 散る らむ ——— 紀友則
Studia オリジナル 現代語訳:
こ ん な に も 光 が の ど か な 春 の 日 に、 ど う し て 桜 の 花 は 落ち 着 い た 心 も な く 散って し まう の だ ろ う か。
の どか な 春 と、 早く 散って しまう 桜 と の 対比 が 美 し い 一首。 平安 の 人 たち も、 桜 の 散り 際 の は か な さ を 大切 に し て い まし た。
心 なき 身 に も あはれ は 知 ら れ け り 鴫立 つ 沢 の 秋 の 夕暮 ——— 西行法師
Studia オリジナル 現代語訳:
出家 を し て 心 を 動 か さ な い はず の 自分 で さ え、 し み じ み と し た 趣 を 感じ て し まう。 鴫(しぎ) が 飛び 立 つ 沢 の、 秋 の 夕暮 よ。
西行 は 武士 を や め て 旅 を し た 歌人。 静か な 秋 の 夕暮 を こ と ば の 数 を し ぼっ て描く こ と で、 深 い 静 け さ を 伝え て い ます。
出典:万葉集・古今和歌集・新古今和歌集(8 世紀-13 世紀)。 原文 は パブリック ドメイン、 現代語訳 は Studia オリジナル。
漢詩 は 中国 で 生まれ た 詩 で、 唐 の 時代(7-9 世紀) に 黄金期 を むかえ ました。 日本 で は 訓読 で 読む の が 一般的 です。
| 白文 | 書き下し 文 |
|---|---|
| 春眠不覚暁 | 春眠暁 を 覚え ず |
| 処処聞啼鳥 | 処処啼鳥 を 聞く |
| 夜来風雨声 | 夜来風雨 の 声 |
| 花落知多少 | 花落つる こ と 知 ん ぬ 多少 ぞ |
Studia オリジナル 現代語訳:
春 の 眠 り は 心地 よ く て、 朝 が 来 た こ と も 気付 か な か っ た。 あち こち で 鳥 の さ え ず る 声 が 聞こえる。 昨夜 は 風 と 雨 の 音 が 聞こえて い た が、 花 は ど の く ら い 散って しまっ た こ と だ ろ う か。
孟浩然 の 春 の 朝 を 詠ん だ 名作。 目覚め た 朝 の ゆ っ た り と し た 時間 と、 散っ た 花 へ の か す か な 心配 が、 わ ず か 二十字 で 表 さ れ て い ます。
| 白文 | 書き下し 文 |
|---|---|
| 牀前看月光 | 牀前月光 を 看 る |
| 疑是地上霜 | 疑 ふ ら く は 是 れ 地上 の 霜 か と |
| 挙頭望山月 | 頭 を 挙 げ て 山月 を 望 み |
| 低頭思故郷 | 頭 を 低 れ て 故郷 を 思 ふ |
Studia オリジナル 現代語訳:
ね どこ の 前 に 月 の 光 が さ し て い る。 ま る で 地面 に お り た 霜 か と 思 っ た ほ ど だ。 頭 を 上 げ て 山 の 上 の 月 を なが め、 頭 を 下 げ て 遠 い ふ る さ と を 思 う。
旅先 で 月 を 見上 げ、 故郷 を 思 う 李白 の 名作。 動作(看る・挙げる・低れる・思う)の 流れ で 心 の 動き が 鮮明 に 伝わ り ま す。
出典:春暁(孟浩然、7-8 世紀)/静夜思(李白、8 世紀)。 原文 は パブリック ドメイン、 現代語訳 は Studia オリジナル。 書き下し 文 は 広く 流布 する 形 に 拠 る。
狂言 は 室町時代 に 完成 し た 笑い の 古典芸能。 庶民 の 暮らし や 失敗 を、 ユーモア た っ ぷり に 演じ ま す。
主人 が 留守 に する 時、 太郎冠者 と 次郎冠者 に 「あの 桶 の 中 に は 附子(毒) が 入って い る。 近づ く な」 と 言って 出かけ ます。 二人 は 興味 を お さ え きれ ず 桶 を 開け、 中 の 砂糖 を す っ か り 食べ て し ま い ます。 さらに 主人大切 の 掛 け 物 と 茶 わ ん を わ ざ と こ わ し、 「お こ ら れ そ う で こ わ く て、 死 の う と 附子 を 食 べ た が 死 ね な か っ た」 と い い わ け を す る の で す。
名 セリフ の れい:「畏(かしこ)まって ご ざ る」(家来 が 「分かり ま し た」)、「な ん と し た こ と じ ゃ」(おど ろい た と き)。 狂言 の 言葉 は 古い 日本語 です が、 今聞いて も 場面 が 想像 で き ます。
出典:狂言「附子」(室町時代成立、 作者未詳)。 流布本 の 言葉 は パブリック ドメイン、 現代語訳・あら すじ 解説 は Studia オリジナル。
古典 を 味わ う だ け で な く、 自分 で 詩・短歌・俳句 を 作 っ て み ま しょう。 5 年生 で 学ん だ 短歌入門・4 年生 で 完了 し た 俳句 の 発展 です。
詩「卒業 の 朝」
ラン ドセル を 背負 う 最後 の 朝 / 玄関 で 母 が 写真 を と る / 六年間通っ た 道 が / い つ も よ り ま ぶ し い
短歌: 五七五七七 の リズム。 景色 と 気持ち を 重ねる。
教科書 を 閉じ た 教室 の 窓 に は 桜散り ゆく 卒業 の 朝
俳句: 五七五 + 季語。 場面 を 切り 取る、 説明 し ない。
六年間 ラ ン ド セ ル の 桜色
「桜色」 が 季語(春)。 卒業 の 春 を、 直接言 わ ず 場面 で 伝え る 一句 です。
注意:自作 を 発表 する 前 に、 既存作品 と 一致 して い な い か Google 検索 で 確かめ ま しょう。
中学 で は 古文 の 文法(係り 結び・活用・助動詞)、 漢文(返り 点・句法)、 古典名作(源氏物語・伊勢物語・方丈記・おく の ほそ 道全文・論語) を 本格的 に 学び ます。 百人一首 の 鑑賞 は 次 の Ch6 で 扱い ま す。
千年 を こえ て 伝わ っ た 古典 の 言葉 と、 自分 が 今書 く 詩・短歌・俳句 が、 同 じ 「日本語 の 大き な 流れ」 の 中 に あ る こ と を 感じ て み ま しょう。