はじめに
書く力は、 小 1 の観察文から始まり、 学年ごとに育ってきました。 6 年生では 小学校 6 年間の集大成 として、 論説文・学級新聞・卒業文集・創作を書きます。
この章でできるようになること:
- 論説文(主張 + 根拠 + 反論への対応 + 再主張) を書ける
- 学級新聞 を編集できる — 見出し・リード文・本文・写真の役割が分かる
- 卒業文集 を書ける — 6 年間の思い出・将来の夢・感謝
- 創作(物語・エッセイ・詩) を書いて卒業文集にのせられる
- 構成パターン を目的に応じて選ぶことができる
1. 書く前の準備 — 構成を目的に応じて選ぶ
5 年生までに 双括型・尾括型・頭括型 の 3 つの構成を学びました。 6 年生では 目的に応じてこの構成を選ぶ段階です。
| 構成 | 目的 | 場面 |
|---|
| 双括型(主張 → 根拠 → 主張) | 説得したい | 論説文・意見文・卒業スピーチ |
| 尾括型(事実・経過 → 結論) | 結論をじっくり導きたい | 観察報告・調査報告・物語 |
| 頭括型(要点 → 詳細) | 要点を先に知らせたい | ニュース記事・社説・新聞リード |
「目的に合う構成」 を選ぶことが、 大人になってからの文章の質を大きく変えます。
2. 論説文を書く
論説文 とは、 自分の主張を根拠で支えて説得する文章 です。 6 年生では 「想定される反論への対応」 を入れた本格的な論説文を書きます。
論説文サンプル — 「学校にスマホを持ち込むべきか」(Studia オリジナル)
私は 「学校へのスマホ持ち込みを、 ルールを決めた上で限定的に許可すべき」 と考えます。
理由は三つあります。 第一に、 緊急時の連絡です。 自然災害や不審者情報など、 すぐに家族と連絡が取れることは子どもの安全を守ります。 第二に、 調べ学習の道具としてです。 図書室にない情報も、 スマホですぐに調べられます。 第三に、 自己管理力の練習です。 中学 ・ 高校 ・ 大人と成長するほどスマホは身近になります。 小学校のうちに「使い方を自分で決める練習」 ができることは大切です。
「依存が心配だから全面禁止が良い」 という反論があるかもしれません。 確かに依存のリスクはあります。 だからこそ、 全面禁止でも完全自由でもなく、 「授業中はカバンに入れる」「休み時間は教室で一度だけ確認 OK」 などのルールを学校と家庭で決めることが必要です。 ルールを共有すれば、 依存を防ぎつつメリットだけを取り入れられます。
したがって、 全面禁止でも完全自由でもなく、 ルールを決めた上での限定的な許可 が一番良い形だと考えます。
論説文のチェックポイント
- [ ]主張が文章の始めと終わりで明確に書かれているか(双括型)
- [ ]根拠が 3 つ程度あり、 それぞれ具体的か
- [ ]想定される反論を取り上げ、 それに答えているか
- [ ]事実と意見が区別されているか
- [ ]接続語(しかし・したがって・第一に) が効果的か
3. 学級新聞を編集する
学級新聞 は 編集を意識して書く良い練習になります。 「読む人にどう届けるか」 を考える力が育ちます。
学級新聞の構成要素
| 要素 | 役割 |
|---|
| 見出し(タイトル) | 一番伝えたいことを一言で。 大きな文字で目を引く |
| リード文(前文) | 5W1H を短くまとめ、 全体を案内 |
| 本文 | 詳細を順序立てて説明 |
| 写真・図 | 言葉で伝えにくいことを視覚で補う |
| キャプション | 写真の下の説明 |
| コラム | 個人の感想や余談 |
学級新聞サンプル — 「6 年生最後の運動会特集」
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六年生最後の運動会 — 全員が主役だった一日
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〔リード文〕 10 月 5 日(土)、 桜ヶ丘小学校の運動会が開かれ
ました。 六年生 86 人が最後の運動会として、 競技・応援・係の仕
事全てで力を出し切りました。
〔本文 1〕 午前の部 — 騎馬戦で赤組が逆転勝利
今年の騎馬戦は、 当初白組がリードしていましたが、 残り 3 分で
赤組の田中さんチームが 4 連続で勝利し、 逆転。 観客から大きな
拍手がおこりました。
〔本文 2〕 午後の部 — 組体操で全員が心を一つに
六年生 86 人で作った大ピラミッド。 練習では何度も失敗しまし
たが、 本番では一度で成功。 観客席からも「すごい!」 と声が上が
りました。
〔キャプション〕 ▶ 大ピラミッドを完成させた六年生全員(写真)
〔コラム〕 担当記者の一言
六年生最後の運動会、 練習中は「失敗したらどうしよう」 と不安で
したが、 本番では全員が笑顔でした。 中学でもこの仲間との思い
出を大切にします。
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編集のコツ:見出しは 10-15 字程度 で。 リード文で「いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どう」 をカバー。 本文は 大切なことから順 に。
4. 卒業文集を書く — 6 年間の集大成
卒業文集 は 小学校の思い出を形に残す大切な作品です。 6 年間を振り返り、 中学への抱負と感謝を書きましょう。
卒業文集のテーマ
| テーマ | 書くこと |
|---|
| 6 年間の思い出 | 一番心に残った出来事、 その時何を感じたか |
| 自分の成長 | 1 年生の時と 6 年生の今で何が変わったか |
| 将来の夢 | 中学・高校・大人で何をしたいか、 なぜ |
| 感謝 | お世話になった人(家族・先生・友達) への言葉 |
| 未来の自分への手紙 | 10 年後の自分に向けて書く |
卒業文集サンプル — 「6 年間でわたしが変わったこと」(Studia オリジナル)
1 年生の入学式の朝、 母と手をつなぎながら校門をくぐりました。 ランドセルが重くて、 教室が大きくて、 先生が高く見えました。 隣の席の子と話すのも 、 名前を言うだけで精一杯でした。
6 年経った今、 同じ校門を、 一人でくぐっています。 ランドセルは軽く感じ、 教室は当たり前の場所になり、 先生と普通に話せるようになりました。
何が一番変わったかと言えば、 「自分で決める力」 だと思います。 4 年生で委員会活動が始まり、 5 年生で林間学校の班長をして、 6 年生で学級委員を務めました。 失敗もたくさんありましたが、 「どうしよう」 と立ち止まるのではなく 「どうすればいいか」 と考える習慣が付きました。
中学ではもっと大きな課題に出会うと思います。 でも、 6 年間で育てた 「自分で決める力」 があれば、 一つずつ乗り越えていけると信じています。
卒業文集のチェックポイント
5. 創作 — 卒業文集にのせる物語・エッセイ・詩
卒業文集には、 自由に創作をのせることもできます。 Ch7 で学んだ複数視点・象徴 を活かしましょう。
物語サンプル — 「卒業の朝」(Studia オリジナル、 短編)
母がテーブルに朝食を並べた。 いつもと同じ焼き魚とみそ汁。 でも今日は、 母が黙って写真を撮った。
「ランドセルの写真はもう撮れないから」
食卓の上の焼き魚が、 いつもより香ばしく感じられた。
エッセイサンプル — 「いちばん心に残ったこと」
5 年生の林間学校で道に迷った時、 班のみんなが「大丈夫、 一緒に探そう」 と言ってくれた。 その一言が、 今でも私の心を強くする言葉になっている。
詩サンプル — 「6 年間ありがとう」(Studia オリジナル)
一年生の春 — 大きな校門
三年生の夏 — プールの水しぶき
五年生の秋 — 林間の焚き火
六年生の冬 — 卒業文集の一ページ
全部、 全部、 ありがとう
6. 推敲のチェックリスト(6 年生完成版)
書いた後、 必ず 推敲(書き直し) をしましょう。 チェックリストは 5 年生からさらに拡充しました。
- [ ]読み手の立場で読んで分かりやすいか
- [ ]編集を意識 — 見出し・段落・構成が整っているか
- [ ]事実と意見が区別 されているか
- [ ]引用と出典 が明記されているか
- [ ]敬体 と 常体 が文章内で統一されているか
- [ ]主述の対応 — 主語と述語がねじれていないか
- [ ]句読点 が適切か
- [ ]敬語 の使い方が場面に合っているか
- [ ]誤字脱字 がないか
7. まとめ
- 論説文 = 主張 + 根拠 + 反論への対応 + 再主張の 4 段構成
- 学級新聞 = 見出し・リード文・本文・写真・キャプション・コラムの編集
- 卒業文集 = 6 年間の思い出・成長・将来の夢・感謝
- 創作 — 物語・エッセイ・詩を卒業文集に
- 構成パターン を目的に応じて選ぶ
- 推敲 — 読み手の立場で何度も読み直す
書く力は、 中学・高校・大人とずっと育ち続けます。 6 年生で身に付けた「自分の考えを言葉にする力」 を、 これからも大切に育ててください。