この章で学ぶこと
中学で学んだ an (n は正の整数) を、 この章で 負の数 ・ 0 ・ 分数 ・ 実数 まで拡張します。 その逆関数として 対数 が生まれ、 桁数 ・ pH ・ 音量 (デシベル) ・ 地震 (マグニチュード) などを表せるようになります。
- 指数の拡張: a0=1、 a−n、 a1/n=na、 am/n の定義
- 指数法則 ap+q=apaq、 (ap)q=apq など
- 指数関数 y=ax のグラフと性質 (a>1 で増加、 0<a<1 で減少)
- 対数 logax の定義と 対数法則
- 常用対数 で桁数を求める
- 指数 ・ 対数の方程式 ・ 不等式を解ける
1. 指数の拡張
0 と負の整数指数
a=0 に対し、 a0=1、 a−n=an1 と定めます (これで指数法則が連続的につながる)。
分数指数と累乗根
n乗して a になる数を n乗根 といい、 na で表します (a≥0、 n は自然数)。 これを用いて、
a1/n=na,am/n=(na)m=nam
例題
| 式 | 値 |
|---|
| 81/3 | 38=2 |
| 163/4 | (416)3=23=8 |
| 25−1/2 | 251=51 |
指数法則
a>0,b>0、 p,q を実数として、
ap⋅aq=ap+q,aqap=ap−q,(ap)q=apq,(ab)p=apbp
2. 指数関数
グラフと性質
y=ax (a>0,a=1) を 指数関数 といいます。
| 場合 | 性質 | グラフ |
|---|
| a>1 | 単調増加、 急に大きくなる | 右上がり |
| 0<a<1 | 単調減少 | 右下がり |
どちらも 必ず点(0,1) を通り、 x軸が 漸近線 になります (x→±∞ で値が限りなく 0 に近づく)。 値域は y>0。
指数方程式 ・ 不等式
底 をそろえて 指数だけを比べる のが基本。 a>1 なら不等号の向きは変わらない、 0<a<1 なら 逆転する ので注意。
例題
2x+1=8 を解け。
8=23 より 2x+1=23 ⇒ x+1=3 ⇒ x=2。
3. 対数
対数の定義
a>0,a=1、 M>0 のとき、 ap=M を満たす唯一の p を logaM と書き、 対数 といいます。
ap=M⇔p=logaM
例: log28=3 (23=8)、 log100.01=−2 (10−2=0.01)、 loga1=0、 logaa=1。
対数法則
M,N>0 に対し、
loga(MN)=logaM+logaN
logaNM=logaM−logaN
logaMk=klogaM
底の変換公式
logab=logcalogcb(a,b,c>0,a=1,c=1)
例題
log212−log23 を計算せよ。
log212−log23=log2312=log24=2。
やってみよう: log23+log24−log26 を求めよ。 (答え: log263⋅4=log22=1)
4. 対数関数
グラフと性質
y=logax は y=ax の 逆関数 (y=x に関して対称)。 定義域は x>0、 値域は全実数。
| 場合 | 性質 |
|---|
| a>1 | 単調増加、 ゆるやかに大きくなる |
| 0<a<1 | 単調減少 |
必ず点(1,0) を通り、 y軸が 漸近線 (x→+0 で y→−∞)。
常用対数と桁数
底が 10 の対数log10N を 常用対数 といい、 桁数計算に使います。 N が正の整数で、 log10N の整数部分を n とすると N は (n+1)桁です。
例題
230 は何桁か。 log102=0.3010 とする。
log10230=30×0.3010=9.030。 整数部分が 9 なので、 230 は 10桁。
5. 指数 ・ 対数の方程式 ・ 不等式
例題
log2(x−1)=3 を解け。
定義から x−1=23=8 ⇒ x=9。 真数条件 (x−1>0、 x>1) も満たすので OK。
大事: 対数の方程式では必ず 真数が正 (M>0) と 底の条件 (a>0,a=1) を確認する。 これを忘れると解が増えたり減ったりする。
やってみよう: log3(x+2)=2 を解け。 (答え: x=7)
指数方程式の置き換え
4x−3⋅2x−4=0 のように ax が二種類の指数で出てくる場合、 t=2x (t>0) と置いて 二次方程式に帰着 させます。
4x=(22)x=(2x)2=t2 なので、
t2−3t−4=0⇒(t−4)(t+1)=0⇒t=4 (t>0 より t=−1 は不適)
2x=4=22 ⇒ x=2。
対数不等式
log2(x−1)<3 を解こう。
真数条件: x−1>0 ⇒ x>1。 不等式 ⇒ x−1<23=8 ⇒ x<9。 合わせて 1<x<9。
底が 0<a<1 の場合は、 対数の大小関係が反転します。 例えば log1/2(x−1)<3 なら、 x−1>(1/2)3=1/8 (向き逆転)、 つまり x>9/8、 真数条件と合わせて x>9/8。
6. 自然対数と利子計算 (発展)
連続複利と e
預け入れた元金1円が、 年利r ・ 年n回複利で 1年後になる金額は (1+nr)n です。 これを n→∞ とした 「連続複利」 の極限が、
limn→∞(1+nr)n=er
ここに現れる定数e≈2.71828… を 自然対数の底 といい、 数学 III で詳しく学びます。 e を底とした対数logex を 自然対数 と呼び、 lnx とも書きます。
桁数 ・ 概数計算の練習
320 は何桁か。 log103=0.4771 とする。
log10320=20×0.4771=9.542。 整数部分9 ⇒ 10桁。
最上位の数字は? 小数部分0.542 より 320=109×100.542。 100.542 は 100.5=10≈3.16 と 100.6≈3.98 の間、 だいたい 3.5前後。 よって最上位は 3 か 4。
やってみよう: 510 は何桁か。 log105=0.699 とする。 (答え: 10×0.699=6.99、 7 桁)
まとめ
- 指数を 負 ・ 0 ・ 分数 ・ 実数 に拡張して連続関数になる
- 指数法則 と 対数法則 は表裏一体 (ap+q=apaq ⇔ logMN=logM+logN)
- y=ax と y=logax は 互いに逆関数 (y=x に対称)
- 不等式は底が 0<a<1 なら 不等号の向きが逆転
- 常用対数 で桁数や概数計算ができる
- 対数では真数条件 (M>0) を必ず確認
次の章: 第 7 章で今度は 微分 に入ります。 関数の 「変化の速さ」 を数でつかむ道具で、 高校数学後半の大黒柱になります。