この章で学ぶこと
最終章では、 第 9 章の積分を 応用 します。 二次 ・ 三次関数で囲まれた様々な図形の 面積、 物理での 速度と位置の関係、 そして数学 II 全体の復習を行います。
- 1/6公式 で二次関数と直線で囲まれた面積を一気に求める
- 三次関数と 接線 で囲まれた面積を求める
- 速度関数を積分して 位置 ・ 距離 を求める
- 数学 II 全体のつながりを整理する
- 数学 III への接続を知る
1. 二次関数と直線で囲まれた面積
1/6 公式
二次関数y=a(x−α)(x−β) (α<β) と x軸で囲まれた部分の面積は、
S=6∣a∣(β−α)3
これを 1/6公式 といいます。 二次関数y=ax2+bx+c と 直線 y=mx+n で囲まれた場合も、 差y1−y2=ax2+(b−m)x+(c−n) が二次式 (直線側に二次項が無いので 二次の係数は a のまま) なので、 α,β を交点の x座標として同じ公式S=6∣a∣(β−α)3 が適用できます。
例題
y=x2 と y=x+2 で囲まれた部分の面積。
交点: x2=x+2 ⇒ x2−x−2=0 ⇒ (x−2)(x+1)=0 ⇒ x=−1,2。 −1≤x≤2 で直線が上、 二次が下。
差の関数は −(x2−x−2)=−(x−2)(x+1)、 二次の係数−1。 1/6 公式で、
S=61(2−(−1))3=627=29
やってみよう: y=−x2+4 と x軸で囲まれた面積を 1/6 公式で求めよ (α=−2,β=2、 a=−1)。 (答え: 61⋅43=332)
2. 三次関数と接線で囲まれた面積
1/12 公式 (発展)
三次関数y=f(x)=a(x−α)2(x−β) の形で、 x=α で 接する 接線と三次関数で囲まれた部分の面積は、
S=12∣a∣(β−α)4
例題
y=x3−3x2+2 の x=0 での接線を引いたとき、 接線と曲線で囲まれた部分の面積。
f(x)=x3−3x2+2、 f′(x)=3x2−6x、 f′(0)=0、 f(0)=2 ⇒ 接線は y=2。
差: g(x)=(x3−3x2+2)−2=x3−3x2=x2(x−3)。 g(x)=0 ⇒ x=0 (重解)、 x=3。
1/12 公式 で、 a=1、 α=0、 β=3、
S=121⋅34=1281=427
3. 物理への応用 (速度と位置)
速度を積分すると位置
時刻t での速度を v(t)、 位置を x(t) とすると、 dtdx=v(t) なので、
x(t)=∫v(t)dt+C,x(b)−x(a)=∫abv(t)dt
つまり 速度を区間[a,b] で 定積分 するとその間の 変位 (x の変化) が出ます。 速度が負になる区間があるとき、 道のり は ∫ab∣v(t)∣dt です。
例題
直線上を動く物体の速度が v(t)=6t−12 (m/s、 t≥0) のとき、 t=0 から t=4 までの変位と道のりを求めよ。
変位:
∫04(6t−12)dt=[3t2−12t]04=48−48=0m
道のり: v(t)=0 ⇒ t=2。 0≤t≤2 で v≤0、 2≤t≤4 で v≥0。
∫04∣v∣dt=−∫02(6t−12)dt+∫24(6t−12)dt
=−[3t2−12t]02+[3t2−12t]24=−(−12)+(0−(−12))=12+12=24m
やってみよう: 速度v(t)=4t で動く物体の t=0 から t=3 までの変位を求めよ。 (答え: ∫034tdt=18)
4. 数学 II 全体の整理
つながりの確認
各章がどう関係しているかを振り返りましょう。
| 章 | 内容 | 何につながる |
|---|
| 1 | 式と証明 | 全章で計算 ・ 論理の基礎 |
| 2 | 高次方程式 | 因数分解 ・ 微分で 極値 を求める計算 |
| 3 | 図形と方程式 | 4 章領域、 9 章面積 |
| 4 | 軌跡 と領域 | 線形計画 ・ 後の多変数関数 |
| 5 | 三角関数 | 数学 III の三角関数の微積 |
| 6 | 指数 ・ 対数 | 数学 III の ex、 logx の微積 |
| 7 | 微分の基本 | 8 章 ・ 9 章 ・ 10 章 |
| 8 | 微分の応用 | 最適化問題、 物理の運動解析 |
| 9 | 積分の基本 | 10 章、 数学 III の体積 |
| 10 | 積分の応用 | 数学 III、 物理 ・ 化学 ・ 経済 |
数学 III への接続
数学 III では次の拡張が待っています。
- 微分: 三角 ・ 指数 ・ 対数関数の微分、 積 ・ 商 ・ 合成関数の微分法
- 積分: 置換積分、 部分積分、 三角 ・ 指数 ・ 対数関数の積分
- 応用: 体積、 曲線の長さ、 微分方程式 (理系進学者)
数学 II の多項式範囲で道具を完全に身につけておくことが、 数学 III での成功の鍵です。
まとめ
- 1/6公式 で二次と直線で囲まれた面積を一気に求められる
- 三次と接線で囲まれた面積は 1/12 公式
- 速度を積分すると 変位、 速度の絶対値を積分すると 道のり
- 数学 II は 「式 ・ 図形 ・ 三角 ・ 指数対数 ・ 微積」 の五本柱
- 微積は物理 ・ 経済 ・ 工学で必須、 数学 III へつながる出発点
5. 総仕上げ例題
二次関数と二直線で囲まれた面積
y=x2−2x と x軸、 直線x=3 で囲まれた部分の面積を求めよ。
y=x2−2x=x(x−2) は x=0,2 で x軸と交わる。 0≤x≤2 で y≤0、 2≤x≤3 で y≥0。 面積は絶対値を取って、
S=∫02−(x2−2x)dx+∫23(x2−2x)dx
=−[3x3−x2]02+[3x3−x2]23
=−(38−4)+(9−9)−(38−4)
=34+0+34=38
微分と積分を組み合わせる問題
F(x)=∫0x(t2−2t)dt の最小値を求めよ。
基本定理から F′(x)=x2−2x=x(x−2)。 F′(x)=0 ⇒ x=0,2。 増減を調べると x=2 で極小 (=最小候補)。
F(2)=∫02(t2−2t)dt=[3t3−t2]02=38−4=−34
最小値は −34。
大事: 「定積分の形で定義された関数」 の微分 は基本定理で一気に出ます。 中を計算しなくても F′(x)=f(x) とわかるのが強み。
おつかれさまでした。 これで高校数学 II の全章が終わりました。 一問一答と問題集で反復して、 確かな力にしてください。 数学 III ・ 数学 B ・ 数学 C へ進む準備が整いました。