この章で学ぶこと
微分が 「変化の速さ」 を取り出す道具であったのに対し、 積分 は逆に 「変化を積み上げた結果 = 全体量」 を求める道具です。 速度から距離、 流量から体積、 そして関数のグラフで囲まれた 面積 を計算できるようになります。
- 不定積分 と 積分定数 C を理解する
- xn の積分公式 (n=−1) を使える
- 定積分 ∫abf(x)dx を計算できる
- 線形性 (∫(kf+lg)=k∫f+l∫g) を使える
- 微分積分学の基本定理 を理解する
- 関数と x軸で囲まれた 面積 を求められる
1. 不定積分
定義
「微分して f(x) になる関数」 を f(x) の 原始関数 といい、 その全体を 不定積分 といって、
∫f(x)dx=F(x)+C
と書きます。 F′(x)=f(x)、 C は 積分定数 (任意の定数)。
大事: 微分して同じ f(x) になる関数は 「定数だけ違う」 無限に多い関数があります (dxd(F(x)+C)=F′(x))。 だから C を必ず添える。
公式
n を −1 でない数として、
∫xndx=n+1xn+1+C
線形性:
∫{kf(x)+lg(x)}dx=k∫f(x)dx+l∫g(x)dx
例題
| 不定積分 | 結果 |
|---|
| ∫x2dx | 3x3+C |
| ∫(3x2−4x+5)dx | x3−2x2+5x+C |
| ∫(x−1)(x+2)dx | 展開: ∫(x2+x−2)dx=3x3+2x2−2x+C |
やってみよう: ∫(4x3−6x)dx を計算せよ。 (答え: x4−3x2+C)
2. 定積分
定義と表記
F を f の原始関数として、
∫abf(x)dx=[F(x)]ab=F(b)−F(a)
を f の 定積分 といいます。 a を下端、 b を上端、 f(x) を被積分関数。 不定積分と違い、 結果は 数値 になります (C はキャンセル)。
例題
∫02(3x2+2x)dx を計算せよ。
[x3+x2]02=(8+4)−0=12。
性質
∫aaf(x)dx=0,∫baf(x)dx=−∫abf(x)dx
∫acf(x)dx+∫cbf(x)dx=∫abf(x)dx
線形性:
∫ab{kf(x)+lg(x)}dx=k∫abf(x)dx+l∫abg(x)dx
やってみよう: ∫−11(x3+2x)dx を計算せよ (奇関数の性質を使うと早い)。 (答え: 0)
3. 微分積分学の基本定理
主張
F(x)=∫axf(t)dt とおくと、
dxdF(x)=f(x)
つまり 「定積分してから微分」 をすると元の関数に戻る。 これは微分と積分が互いに 逆演算 であることを表しています。 ニュートンとライプニッツの大発見。
例題
dxd∫1x(t3−2t)dt を求めよ。
基本定理から、 答えはそのまま x3−2x。
4. 面積
f(x)≥0 の場合
a≤x≤b で f(x)≥0 のとき、 曲線y=f(x)、 x軸、 二直線x=a、 x=b で囲まれた図形の 面積S は、
S=∫abf(x)dx
例題
y=x2、 x軸、 x=0、 x=2 で囲まれた部分の面積を求めよ。
S=∫02x2dx=[3x3]02=38。
f(x)≤0 の場合
f(x)≤0 の区間での定積分は 負の値 になるので、 面積は 絶対値をとる か 積分を反転 させます。
S=∫ab∣f(x)∣dx
実用上は、 f(x)≥0 の区間と f(x)≤0 の区間に分け、 後者では −∫f に置き換え て足します。
二つの曲線で囲まれた面積
a≤x≤b で f(x)≥g(x) のとき、 二曲線y=f(x)、 y=g(x) で囲まれた部分の面積は、
S=∫ab{f(x)−g(x)}dx
大事: 「上の関数ー下の関数」 の順で引くこと。 逆にすると符号が反対になる。
例題
二曲線y=x2 と y=2x で囲まれた部分の面積を求めよ。
交点: x2=2x ⇒ x(x−2)=0 ⇒ x=0,2。 0≤x≤2 で 2x≥x2。
S=∫02(2x−x2)dx=[x2−3x3]02=4−38=34。
やってみよう: y=x2 と y=x で囲まれた部分の面積を求めよ。 (答え: 61)
5. 区分求積法と積分の意味
長方形の和としての積分
定積分∫abf(x)dx はもともとは 「区間を細かく分割し、 各区間での長方形の面積を足して、 分割を無限に細かくする」 という極限として定義されます。 これを 区分求積法 といいます。
∫abf(x)dx=limn→∞∑k=1nf(xk)Δx(Δx=(b−a)/n)
定積分が面積と結びつく理由はまさにここにあります。 物理で 「速度×時間 = 距離」 を細かく足したものが 「位置の変化」 であるのと同じ構造です。
数学 III への接続
数学 II の範囲では 多項式関数 の積分しか学びませんが、 数学 III では次の関数の積分も学びます。
- 三角関数: ∫sinxdx=−cosx+C
- 指数関数: ∫exdx=ex+C
- 対数関数: ∫x1dx=log∣x∣+C (x=0)
そして置換積分法 ・ 部分積分法という 強力な道具 を手に入れます。
まとめ
- 不定積分 ∫fdx=F+C (F′=f)、 C を必ず添える
- 定積分 ∫abfdx=F(b)−F(a) は数値、 C は不要
- 微分積分学の基本定理 で微分と積分が互いに逆演算であることがわかる
- xn (n=−1) の積分公式n+1xn+1 が中心
- 関数と x軸で囲まれた面積 = ∫ab∣f(x)∣dx
- 二曲線で囲まれた面積 = ∫ab{(上)−(下)}dx
次の章: 最終章では積分の 応用 に進み、 様々な図形の面積 ・ 物理での距離計算 ・ 数学 II 全体の復習を行います。