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政治・経済

市場しじょう経済けいざいの仕組しくみ — 需要じゅよう供給きょうきゅうと市場しじょうの失敗しっぱい

最終確認日:

この章しょうで学まなぶこと

市場経済しじょうけいざいは現代げんだい経けい済ざいの基本きほん的てき仕組しくみです。 価格かかくが自動じどう的てきに需要じゅようと供給きょうきゅうを調整ちょうせいする 「見えざる手みえざるて」 (アダム・スミスあだむすみす) の働はたらきを学まなびます。

  • 需要供給曲線じゅようきょうきゅうきょくせんと価格かかく決定けってい
  • 「見えざる手みえざるて」 と完全かんぜん競争きょうそう市場しじょう
  • 独占どくせん・寡占かせんと独占どくせん禁止きんし法ほう
  • 市場の失敗しじょうのしっぱい (公共こうきょう財ざい・外部がいぶ性せい・情報じょうほう非対称ひたいしょう)
  • 政府せいふの経済けいざい介入かいにゅう

ポイント: 市場経済しじょうけいざいは極きわめて効率こうりつ的てきな仕組しくみですが、 万能ばんのうではありません。 公こう害がい・独占どくせん・情報じょうほう格差かくさなど、 市場しじょうだけでは解決かいけつできない問題もんだい (= 市場の失敗しじょうのしっぱい) もあります。

1. 需要供給曲線じゅようきょうきゅうきょくせん

需要じゅようと供給きょうきゅう

用語ようご内容ないよう
需要じゅよう (demand)買かいたい気持きもちと購買こうばい力りょく (= 消費しょうひ者しゃ)
供給きょうきゅう (supply)売うりたい意思いしと生産せいさん能力のうりょく (= 生産せいさん者しゃ)

曲線きょくせんの形かたち

曲線きょくせん形かたち理由りゆう
需要じゅよう曲線きょくせん右下みぎしたがり価格かかくが上あがる → 需要じゅよう減げん
供給きょうきゅう曲線きょくせん右上みぎあがり価格かかくが上あがる → 供給きょうきゅう増ぞう

両者りょうしゃの 交点こうてん が均衡価格きんこうかかくと均衡数量きんこうすうりょうです。

価格かかく調整ちょうせい機能きのう

状況じょうきょう結果けっか
価格かかくが均衡きんこうより 高たかい供給きょうきゅう > 需要じゅよう (=超過ちょうか供給きょうきゅう) → 価格かかく下落げらく
価格かかくが均衡きんこうより 低ひくい需要じゅよう > 供給きょうきゅう (=超過ちょうか需要じゅよう) → 価格かかく上昇じょうしょう

アダム・スミスあだむすみすは著書ちょしょ 「諸国しょこく民みんの富とみ」 (国富こくふ論ろん、 1776) で 「見えざる手みえざるて に導みちびかれ、 個人こじんの利己りこ心しんが結果けっかとして社会しゃかい全ぜん体たいの利益りえきを生うむ」 と説ときました。

需要じゅよう・供給きょうきゅう曲線きょくせんのシフトしふと

価格かかく以外いがいの要よう因いん (所得しょとく ・嗜好しこう・原材料げんざいりょう費ひ等とう) で、 曲線きょくせん自体じたいが左右さゆうに移動いどうします。

要因よういん需要じゅよう曲線きょくせん
所得しょとく増ぞう右みぎ へシフトしふと (需要じゅよう増ぞう)
代替だいたい品ひん価格かかく上昇じょうしょう右みぎ へシフトしふと
人口じんこう減少げんしょう左ひだり へシフトしふと
要因よういん供給きょうきゅう曲線きょくせん
原材料げんざいりょう費ひ下さがる右みぎ へシフトしふと (供給きょうきゅう増ぞう)
技ぎ術じゅつ革新かくしん右みぎ へシフトしふと
天候てんこう不順ふじゅん (農業のうぎょう)左ひだり へシフトしふと

2. 完全かんぜん競争きょうそう市場しじょう

市場しじょうが効率こうりつ的てきに機能きのうするためには、 次つぎの条件じょうけんが必要ひつようとされます。

条件じょうけん内容ないよう
多た数すうの売うり手てと買かい手て個別こべつに価格かかく操作そうさできない
同質どうしつ財ざい商品しょうひん差別さべつ化かなし
完全かんぜん情報じょうほう全員ぜんいんが同おなじ情報じょうほうを持もつ
自由じゆうな参さん入にゅう・退出たいしゅつ新規しんき業ぎょう者しゃが自由じゆうに参入さんにゅう

現実げんじつにはこの条件じょうけんを全すべて満みたす市場しじょうは稀まれですが、 理論りろん的てきな基準きじゅんとして重要じゅうようです。

3. 独占どくせん・寡占かせん

形かたち生産せいさん者もの数すう例れい
完全かんぜん競争きょうそう多た数すう農産のうさん物ぶつ一部いちぶ
独占どくせん (monopoly)1 社しゃ旧きゅう日本にほん専売せんばい公社こうしゃ・電力でんりょく地域ちいき独占どくせん (~2016)
寡占かせん (oligopoly)少数しょうすう自動車じどうしゃ・ビールびーる・携帯けいたいキャリアきゃりあ
独占どくせん的てき競争きょうそう多た数すうだが差別さべつ化か飲食いんしょく店てん・衣料いりょう品ひん

独占どくせん・寡占かせんの弊害へいがい

  • 価格かかくが高止どまりする (カルテルかるてる = 価格かかく協定きょうてい)
  • 商品しょうひん改良かいりょう意欲いよくが低下ていか
  • 新規しんき参入さんにゅう企業きぎょうを妨害ぼうがい

独占どくせん禁止きんし法ほうと公正こうせい取引とりひき委員いいん会かい

規制きせい対象たいしょう内容ないよう
私的してき独占どくせん単たん独どく・共同きょうどうで他社たしゃ排除はいじょ・支し配はい
不当ふとうな取引とりひき制限せいげんカルテルかるてる (価格かかく・数量すうりょう協定きょうてい)
不公正ふこうせいな取引とりひき方法ほうほう優越ゆうえつ的てき地位ちい濫らん用よう・差別さべつ対価たいか等とう

執行しっこう機関きかんは 公正こうせい取引とりひき委員いいん会かい (公こう取と委い)。 独立どくりつ行政ぎょうせい委員いいん会かいで、 課徴かちょう金かね命めい令れい・排除はいじょ措置そち命めい令れいを発はっせられます。

4. 市場の失敗しじょうのしっぱい

市場しじょう機構きこうだけでは効率こうりつ的てきに機能きのうしない例れいを 「市場の失敗しじょうのしっぱい」 と呼よびます。 主おもに 4 類型るいけいあります。

① 公こう共きょう財ざい

性せい質しつ内容ないよう
非ひ排除はいじょ性せい料金りょうきんを払はらわない人ひとを排除はいじょできない
非ひ競きょう合ごう性せい一ひと人の消費しょうひが他た人にんの消費しょうひを減へらさない

例れい: 国こく防ぼう・警けい察さつ・一般いっぱん道路どうろ・街灯がいとう・灯台とうだい等とう。 民間みんかん企業きぎょうでは採算さいさんが合あわないため、 政府せいふが税金ぜいきんで供給きょうきゅうします。

② 外部がいぶ性せい

第三だいさん者しゃに対価たいかなしで影響えいきょうを与あたえること。

種類しゅるい内容ないよう例れい
外部がいぶ経済けいざい (正せいの外部がいぶ性せい)プラスの波及はきゅう養よう蜂ほうと果樹かじゅ農家のうか、 教きょう育いく
外部がいぶ不経済ざい (負ふの外部がいぶ性せい)マイナスの波及はきゅう公こう害がい・騒音そうおん・地球ちきゅう温暖おんだん化か

負ふの外部がいぶ性せいは、 税ぜい (環境かんきょう税ぜい) や規制きせいで内部ないぶ化かします。

③ 情報じょうほうの非対称ひたいしょう性せい

売うり手てと買かい手てで持もつ情報じょうほうに差さがあること。

例れい内容ないよう
中古ちゅうこ車しゃ売うり手てだけが車くるまの真しんの状態じょうたいを知しる
保ほ険けん加か入にゅう者だけが自分じぶんの健康けんこう状態じょうたいを知しる
医療いりょう医い者しゃと患者かんじゃの情報じょうほう差さ

対応たいおう: 食品しょくひん表示ひょうじ・製造せいぞう年月ねんげつ日ひ表示ひょうじ・PL 法ほう等とうの法規ほうき制せい。

④ 独占どくせん・寡占かせん

既すでに第だい 3 節せつで説明せつめい済ずみ。

5. 政府せいふの経済けいざい役割やくわり

市場の失敗しじょうのしっぱいを補おぎなうため、 政府せいふは経済けいざいに介入かいにゅうします。

役割やくわり内容ないよう
公こう共きょう財ざい供給きょうきゅう道路どうろ・教きょう育いく・警けい察さつ
外部がいぶ性せい対応たいおう公こう害がい規制きせい・補助ほじょ金かね
独占どくせん規制きせい独占どくせん禁止きんし法ほう
情報じょうほう対応たいおう表示ひょうじ制度せいど・消費しょうひ者もの庁ちょう
所得しょとく再さい分配ぶんぱい累進るいしん課税かぜい・社会しゃかい保障ほしょう
景気けいき調整ちょうせい財政ざいせい・金融きんゆう政策せいさく (次じ章しょう)

議論ぎろん: 政せい府ふが介入かいにゅうしすぎると 「政府せいふの失敗しっぱい」 (非ひ効率こうりつ・腐敗ふはい・肥大ひだい化か) を招まねきます。 「市場しじょうと政府せいふの適切てきせつな役やく割わり分担ぶんたん」 が永えい遠えんの課題かだいです。

6. 経済けいざい学派がくはの流ながれ

学派がくは代表だいひょう主張しゅちょう
古典こてん派はアダム・スミスあだむすみす (1723-1790)自由じゆう放ほう任にん (laissez-faire)、 見みえざる手て
マルクスまるくす経済けいざい学がくマルクス (1818-1883)資本しほん主義しゅぎの矛盾むじゅん、 社会しゃかい主義しゅぎへ
ケインズけいんず学派がくはケインズけいんず (1883-1946)有効ゆうこう需要じゅようの原理げんり、 政府せいふ介入かいにゅう推奨すいしょう
マネタリストりすとフリードマン (1912-2006)政府せいふ介入かいにゅう否定ひてい、 通貨つうか量りょう重視じゅうし
新しん自由じゆう主義しゅぎサッチャーさっちゃー・レーガンれーがん規制きせい緩和かんわ・民みん営えい化
アダム・スミスの肖像
アダム・スミス (1723-1790)。 『国富こくふ論ろん』 (1776) で 「見みえざる手て」 「分業ぶんぎょう」 を論ろんじ、 古典こてん派は経済けいざい学がくの祖そとなった。
カール・マルクスの肖像写真
カール・マルクス (1818-1883)。 『資本しほん論ろん』 で資本しほん主義しゅぎを批判ひはんし、 計画けいかく経済けいざい・社会しゃかい主義しゅぎの理論りろん的てき基礎きそを築きずいた。

まとめ

  • 市場しじょう価格かかくは需要じゅようと供給きょうきゅうの均衡きんこうで決きまる
  • 見みえざる手て が効率こうりつ的てきな資源しげん配分はいぶんを実現じつげん
  • しかし 市場の失敗しじょうのしっぱい (公共財こうきょうざい・外部がいぶ性せい・情報じょうほう非対称ひたいしょう・独占どくせん) が存そん在ざい
  • 政府せいふが補完ほかんするが、 介入かいにゅう過剰かじょうは 「政府せいふの失敗しっぱい」 を招まねく

次じ章しょうでは、 一国いっこく全体ぜんたいの経済けいざいを捉とらえる国民こくみん経済けいざい計算けいさん (GDP) を学まなびます。

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学がく習しゅうロードマップ(12件けん)
  1. 1民主みんしゅ主義しゅぎの原理げんり — 立憲りっけん主義しゅぎと人権じんけんの歩あゆみ
  2. 2日本国にっぽんこく憲法けんぽう — 三さん大だい原則げんそくと平和へいわ主義しゅぎ
  3. 3基本きほん的てき人権じんけん — 自由じゆう権けん・社会しゃかい権けん・新あたらしい人権じんけん
  4. 4国会こっかいと内閣ないかく — 議院ぎいん内閣ないかく制せいと選挙せんきょ制度せいど
  5. 5司法しほうと裁判さいばん — 違憲いけん審査しんさと裁判さいばん員いん制度せいど
  6. 6地方ちほう自治じち — 民主みんしゅ主義しゅぎの学校がっこう
  7. 7市場しじょう経済けいざいの仕組しくみ — 需要じゅよう供給きょうきゅうと市場しじょうの失敗しっぱい
  8. 8国民こくみん経済けいざい — GDPと景気けいき循環じゅんかん
  9. 9金融きんゆうと財政ざいせい — 日銀にちぎんの役割やくわりと税制ぜいせい
  10. 10労働ろうどうと社会しゃかい保障ほしょう — 労働三法ろうどうさんぽうと年金ねんきん・医療いりょう・少子しょうし高齢化こうれいか
  11. 11国際こくさい経済けいざい — 比較ひかく優位ゆうい・貿易ぼうえき・為替かわせ
  12. 12国際こくさい政治せいじ — 国連こくれん・SDGs・地球ちきゅう規模きぼ課題かだい