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「政治・経済」 の 出発点 は、 私 たち が 当 たり 前 と 思 っている 「民主主義」 が ど の よ う に 生まれ、 どんな 原理 で 動いて いる か を 知る こ と です。
民主主義 は 「多数決 で 決 める こ と」 と 思われ がち です が、 それ だけ で は あり ません。 「立憲主義 (権力 を 憲法 で 縛る)」 「基本的人権 の 保障」 「三権分立 に よる 権力抑制」 と いう 三本柱 が そろって、 はじめて 民主主義 は 成り立 ちます。
ポイント: 「民主主義 = 多数決」 で は あり ま せ ん。 多数者 が 少数者 の 権利 を 奪 う 「多数 の 専制」 を 防 ぐ た め に、 憲法 と 人権 が 必 ず セット に なって います。
「民主主義 (democracy)」 と いう 言葉 は、 ギリシャ 語 の 「demos (人民)」 と 「kratia (支配)」 を 組み 合わせた もの です。
紀元前 5 世紀 ご ろ の アテネ で は、 成人男子市民 が 民会 に 集まり、 多数決 で 国 の 重要事項 を 決 めて いま した。 政務官 や 裁判官 は 抽選 で 選 ばれる こ と が 多 く、 「市民全員 が 政治 に 参加 する」 形 でした。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 形態 | 直接民主制 (代表 を 介さず 市民 が 直接決定) |
| 参加者 | 成人男子市民 (約 3-4 万人 と 推定) |
| 除外 | 女性・奴隷・在留外国人 (人口 の 大半) |
| 機関 | 民会 (最高議決機関)・評議会・民衆法廷 |
大事: アテネ の 民主政 は 限 ら れた 「市民」 だけ の もの で、 現代 の 「普通選挙 (全成人 に 選挙権)」 と は 大 きく 違 い ま す。 民主主義 が 「全員 の もの」 に なる の は、 20 世紀 まで 待た なければ なり ま せ ん で した。
ローマ 帝国 の 滅亡 (5 世紀) 以降、 ヨーロッパ で は 封建制 と 絶対王政 が 支配 し、 民主主義 は ほぼ 姿 を 消し ま す。 国王 は 「王権神授説」 (王 の 権力 は 神 から 授け ら れた) を 根拠 に 絶対的 な 権力 を 振るい ま した。
民主主義 が 復活 する の は、 17-18 世紀 の 市民革命 の 時代 で す。
社会契約説 は、 「国家 は 神 が 作った の で は な く、 人々 の 契約 (合意) で 作 られ た」 と 説く 思想 で す。 17-18 世紀 の 思想家 が 提唱 し、 近代民主主義 の 基 と なり ま した。
| 思想家 | 主著 | 自然状態 | 契約 の 内容 | 影響 |
|---|---|---|---|---|
| ホッブズ (英、 1588-1679) | リヴァイアサン | 「万人 の 万人 に 対する 闘争」 | 全 て の 権利 を 絶対君主 に 譲渡 | 結果的 に 絶対王政 を 擁護 |
| ロック (英、 1632-1704) | 統治二論 | 比較的平和、 生命・自由・財産 の 自然権 | 政府 に 信託、 違反時 は 抵抗権 | 名誉革命、 米独立宣言 |
| ルソー (仏、 1712-1778) | 社会契約論 | 平和 で 自由、 文明 が 不平等 を 生む | 一般意志 に 基 づ く 人民主権 | フランス 革命 |
ロック は 「政府 が 人々 の 自然権 を 侵し た 場合、 人民 は 政府 を 倒す 権利 を 持 つ」 と 主張 し ま した。 この 「抵抗権 (革命権)」 は、 ア メリカ 独立宣言 (1776) や フランス 人権宣言 (1789) に 大 きな 影響 を 与 え ま した。
アメリカ 独立宣言 (要約): 「全 て の 人 は 平等 に 造ら れ、 生命・自由・幸福追求 の 権利 を 持 つ。 政府 が これ を 侵 す 時、 人民 は 政府 を 変革 する 権利 を 持 つ。」
ルソー は 「一般意志 (volonté générale)」 と いう 概念 を 提示 し ま した。 これ は 「私利私欲 を 超えた、 共通 の 利益 を 求める 意思」 で あり、 主権 は 人民全体 に ある と し ま した (人民主権)。 直接民主制 を 理想 と し、 代表制 を 批判 し た 点 が 特徴 で す。
民主主義 を 支 える もう 一 つ の 柱 が 「立憲主義」 で す。 これ は 「国家 の 権力 を 憲法 で 縛り、 人権 を 守 る」 と い う 考え 方 で す。
似 て 見 え ます が、 内容 は 大 きく 異 なり ます。
| 区分 | 内容 | 国 |
|---|---|---|
| 法 の 支配 (rule of law) | 法 の 内容 も 正義 に 適って いる 必要 | 英米系 |
| 法治主義 (Rechtsstaat) | 法 の 手続 き さ え 守 れ ば 内容 は 問 わ ず | 19 世紀 ドイツ |
戦前 の ドイツ や 日本 で 「法治主義」 の 名 の 下 に 不当 な 法律 (ナチス 法・治安維持法) が 制定 され た 反省 か ら、 戦後 は 「法 の 支配」 が 主流 と なり ました。
| 役割 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 権力抑制 | 政府 が 暴走 し な い よ う 仕組み を 規定 | 三権分立 |
| 人権保障 | 個人 の 基本的権利 を 守 る | 表現 の 自由・平等権 |
| 統治機構 | 国会・内閣・裁判所 の 役割 を 規定 | 日本国憲法第 4-7 章 |
| 国民 と の 契約 | 国民主権 の 表現 | 前文・1 条 |
大事: 憲法 は 「国民 が 守 る ルール」 で は なく 「政府 が 守 る ルール」 で す。 政府 が 暴走 し な い よ う、 国民 が 作り 課した 制限 が 憲法 — これ が 立憲主義 の 中心思想 で す。
三権分立 は、 フランス の モンテスキュー (1689-1755) が 主著 「法 の 精神」 (1748) で 提唱 した 仕組み で す。
「権力 を 持 つ 者 は 必 ず それ を 濫用 する 傾向 が ある。 権力 を 阻止 する の は、 権力 だ け で あ る。」 (モンテスキュー)
一人 / 一機関 に 権力 が 集中 すれ ば、 必 ず 腐敗 し 独裁 に なる。 だ から 権力 を 3 つ に 分割 し、 相互 に 監視 さ せる こ と で 独裁 を 防 ぐ — これ が 三権分立 の 狙い で す。
| 権限 | 担当 | 仕事 |
|---|---|---|
| **[[立法権 | りっぽうけん]]** | 国会 (議会) |
| **[[行政権 | ぎょうせいけん]]** | 内閣 (政府) |
| **[[司法権 | しほうけん]]** | 裁判所 |
3 つ の 機関 は、 互い に 監視 し 合 い ま す。
| 関係 | 例 |
|---|---|
| 国会 → 内閣 | 内閣不信任決議、 国政調査権 |
| 内閣 → 国会 | 衆議院解散 |
| 国会 → 裁判所 | 弾劾裁判 (裁判官 の 罷免) |
| 裁判所 → 国会 | 違憲立法審査権 |
| 内閣 → 裁判所 | 最高裁判官任命 |
| 裁判所 → 内閣 | 行政処分 の 違憲審査 |
基本的人権 は、 一夜 に して 生まれた もの で は あり ま せ ん。 何世紀 も の 闘い の 積み 重 ね で 獲得 さ れて き ま した。
| 年 | 文書 | 国 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 1215 | マグナ・カルタ | 英 | 王 の 課税権 を 制限 |
| 1628 | 権利請願 | 英 | 不当 な 課税・拘束 の 禁止 |
| 1689 | [[権利章典 | けんりしょうてん]] | 英 |
| 1776 | [[アメリカ独立宣言 | アメリカどくりつせんげん]] | 米 |
| 1789 | [[フランス人権宣言 | フランスじんけんせんげん]] | 仏 |
| 1919 | [[ワイマール憲法 | ワイマールけんぽう]] | 独 |
| 1948 | [[世界人権宣言 | せかいじんけんせんげん]] | 国連 |
| 1966 | [[国際人権規約 | こくさいじんけんきやく]] | 国連 |
人権 は 歴史的 に 3 つ の 段階 で 発展 し て き ま した。
| 世代 | 種類 | 時期 | 例 |
|---|---|---|---|
| 第 1 世代 | [[自由権 | じゆうけん]] (国家 か ら の 自由) | 18-19 世紀 |
| 第 2 世代 | [[社会権 | しゃかいけん]] (国家 に よ る 自由) | 20 世紀 |
| 第 3 世代 | 連帯権・新 し い 人権 | 20 世紀末 - | 環境権・平和的生存権 |
ポイント: 「自由権」 は 「政府 は 私 たち を 放って お い て」 と 要求 す る 権利、 「社会権」 は 「政府 は 私 たち を 助け て」 と 要求 す る 権利 で す。 一見反対 の 方向 です が、 ど ち ら も 個人 の 尊厳 を 守 る 上 で 不可欠 で す。
民主主義 は 「多数決 で 決 め る 制度」 と い う 単純 な もの で は なく、 立憲主義・人権保障・三権分立 と い う 三本柱 で 支 え ら れ た 仕組 み で す。
次 の 章 で は、 こ れ ら の 思想 を 踏ま え て 制定 さ れ た 日本国憲法 を 学 ん で い き ま す。