この章では倒置と強調構文を学びます。どちらも、語順を変えて特定の部分を目立たせる表現です。長文や評論で出てくると意味が取りにくく感じますが、形のパターンを知っていれば正確に読めます。
この章で学ぶこと
- 倒置とは何か(否定の副詞句を文頭に出すと、主語と動詞が入れかわる)
- 倒置を起こす語句(Never / Little / Hardly / Not only … but also / Only)
- 強調構文(It is … that …)で、文の一部を「…こそが〜だ」と強調する
- 強調できる部分(主語・目的語・副詞句)と、that / who / which の使い分け
- 強調構文と、It … that の形式主語との見分け方
ポイント: 倒置は「否定の副詞句が文頭 → 主語と動詞が疑問文の語順」、強調構文は「It is + 強調したい部分 + that …」。どちらも形のパターンを覚えれば、長文で出てきても落ち着いて読めます。
倒置(否定の副詞句が文頭)
否定や限定を表す副詞句を文頭に出して強調すると、その後ろの主語と動詞が、疑問文と同じ語順(do / does / did + 主語、または be動詞・助動詞 + 主語)になります。これを倒置といいます。
- I have never seen such a beautiful view. → Never have I seen such a beautiful view.(こんなに美しい景色は今まで見たことがない。)
- 通常: I little knew that … → Little did I know that the trip would change my life.(その旅行が私の人生を変えるとは、ほとんど思いもしなかった。)
倒置を起こす代表的な語句は次のとおりです。
| 語句 | 意味 | 例 |
|---|
| Never | 決して〜ない | Never will I forget this day.(この日を決して忘れない。) |
| Little | ほとんど〜ない | Little did she expect to win.(彼女は勝つとはほとんど思っていなかった。) |
| Hardly … when / Scarcely … when | 〜するやいなや | Hardly had I arrived when it began to rain.(着くやいなや雨が降り出した。) |
| Not only … but also | 〜だけでなく…も | Not only does he sing, but he also dances.(彼は歌うだけでなく踊りもする。) |
| Only + 副詞句 | 〜してはじめて | Only then did I realize my mistake.(そのときはじめて自分の誤りに気づいた。) |
注意: 倒置で大切なのは、一般動詞の文では do / does / did を使うことです。「Never I saw …」ではなく「Never did I see …」が正しい形です。be動詞・助動詞の文では、それらを主語の前に出します(Never have I … / Never will I …)。
Hardly … when と Not only … but also
倒置の中でも、次の2つはよく問われます。
- Hardly had + 主語 + 過去分詞 + when + 過去形.(〜するやいなや…した)
- Hardly had we left home when it started to snow.(家を出るやいなや雪が降り始めた。)
- Not only + (助動詞/do) + 主語 + 動詞, but … also …(〜だけでなく…も)
- Not only did the price rise, but the quality also dropped.(値段が上がっただけでなく、質も下がった。)
ポイント: Hardly … when は「〜するやいなや」。前半が過去完了(had + 過去分詞)、後半が過去形になるのが定型です。Not only が文頭に出ると、その節が倒置(疑問文の語順)になります。
強調構文(It is … that …)
強調構文は、文の中の特定の部分を強調したいとき、It is(was)… that …ではさむ形です。「…こそが〜なのだ」という意味になります。
もとの文: Tom broke the window yesterday.(昨日トムが窓を割った。)
| 強調する部分 | 強調構文 | 訳 |
|---|
| 主語 Tom | It was Tom that broke the window yesterday. | 昨日窓を割ったのはトムだ |
| 目的語 the window | It was the window that Tom broke yesterday. | トムが昨日割ったのは窓だ |
| 副詞 yesterday | It was yesterday that Tom broke the window. | トムが窓を割ったのは昨日だ |
強調する部分が人なら that の代わりに who、物なら which も使えます。
- It is you who are wrong.(間違っているのはあなただ。)
- It was this book that changed my life.(私の人生を変えたのはこの本だ。)
ポイント: 強調構文は「It is と that を取り除いても、文として成り立つ」のが特徴です。It was Tom that broke the window → Tom broke the window(成り立つ)。これが見分けの決め手です。
強調構文と形式主語の見分け方
It … that の形には、強調構文のほかに「It is + 形容詞 + that …」(形式主語の it)もあり、混同しやすいです。
| 強調構文 | 形式主語の it |
|---|
| 形 | It is + 名詞/副詞句 + that … | It is + 形容詞 + that … |
| It と that を外すと | 文が成り立つ | 文が成り立たない |
| 例 | It is money that he needs.(彼が必要なのは金だ) | It is clear that he needs money.(彼が金を必要とするのは明らかだ) |
- 強調構文: It is his honesty that I respect.(私が尊敬するのは彼の誠実さだ。)← his honesty I respect = I respect his honesty(成り立つ)
- 形式主語: It is true that he passed the exam.(彼が試験に合格したのは本当だ。)← that 以下が真の主語
注意: It is と that の間が名詞・副詞句なら強調構文、形容詞なら形式主語の it です。「It と that を外して文になるか」で確実に見分けられます。
どう問われる?
2級でこの章の文法は、次のような形でよく問われます。
- 大問1(語句空所補充): 「Never ( ) such a thing.」の空所に have I heard を、「It was in this city ( ) I met her.」の空所に that を選ばせる。倒置の語順や強調構文の thatが問われます。
- 語順整序: Not only … but also や Hardly … when の倒置、It is … that … の強調構文を組み立てる問題。
- 長文読解: 評論文で、筆者が主張を強調するために倒置や強調構文を使います。「何が強調されているか」を読み取る力が問われます。
注意: ねらわれやすいのは、①倒置では一般動詞に do / does / did、②強調構文は It と that を外しても文になる、③強調構文と形式主語の見分け、の3点です。
まとめ
- 倒置は、否定・限定の副詞句(Never / Little / Hardly / Not only / Only)を文頭に出すと、後ろが疑問文の語順になる。一般動詞では do / does / did を使う。
- Hardly … when(〜するやいなや)、Not only … but also(〜だけでなく…も)は頻出。
- 強調構文は It is(was)… that … で、主語・目的語・副詞句を「…こそが〜だ」と強調する。人は who、物は which も可。
- 強調構文は It と that を外しても文になる。外して文にならず、間が形容詞なら形式主語の it。
ポイント: この章のカギは「語順のパターンを知る」ことです。否定語が文頭なら倒置、It is … that なら強調か形式主語か。形で判断できるようになれば、難しい英文も怖くありません。