この章から、2級で新しく出てくる文法に入ります。最初は、2級の山場である仮定法です。「もし〜なら…なのに」という、事実とは異なる想定を表す形です。動詞の時制が現実より一つ古くなるのが特徴で、最初はとまどいますが、型をつかめば確実に使いこなせます。
この章で学ぶこと
- 仮定法とは何か(事実と異なる想定を、時制をずらして表す)
- 仮定法過去(If + 過去形, 主語 + would / could + 原形)=今の事実と異なる想定
- 仮定法過去完了(If + had + 過去分詞, 主語 + would have + 過去分詞)=過去の事実と異なる想定
- I wish(〜だったらいいのに)と as if(まるで〜のように)
- without / but for(〜がなければ)
ポイント: 仮定法の最大の特徴は、時制を一つ古くずらすことです。「今」のことを言うのに過去形を、「過去」のことを言うのに過去完了形を使います。この「ずれ」が「これは事実ではなく、想像の話ですよ」という合図になります。
仮定法ってなに?(直説法との違い)
ふつうの「もし〜なら」(直説法)は、起こりうることを表します。一方仮定法は、事実とは違うこと・起こりそうにないことを、想像して述べる形です。
- 直説法: If it rains tomorrow, I will stay home.(もし明日雨が降れば、家にいます。)← 雨は降るかもしれない(現実的)
- 仮定法: If I had more time, I would read more books.(もしもっと時間があれば、もっと本を読むのに。)← 実際は時間がない(事実と異なる)
仮定法では、現実より時制を一つ古くします。だから「今」の話なのに過去形(had)を使い、「〜なのに」と訳します。
ポイント: 「現実に起こりうる条件」なら直説法(If + 現在形, will + 原形)。「事実と異なる想像」なら仮定法(時制を一つ古くずらす)。この区別が出発点です。
仮定法過去(今の事実と異なる想定)
仮定法過去は、今の事実とは異なることを「もし〜なら…なのに」と表します。形は次のとおりです。
If + 主語 + 動詞の過去形, 主語 + would / could / might + 動詞の原形.
- If I were rich, I would travel around the world.(もし私が金持ちなら、世界中を旅するのに。)← 実際は金持ちではない
- If I knew her phone number, I could call her.(彼女の電話番号を知っていれば、電話できるのに。)← 実際は知らない
- If he studied harder, he would pass the exam.(もっと一生懸命勉強すれば、彼は試験に合格するのに。)
be動詞は、主語が何であってもwereを使うのが原則です(口語ではwasも使われますが、試験ではwereが基本)。
注意: 過去形を使っていても、意味は「今」のことです。If I were rich は「もし(今)金持ちだったら」であって、過去の話ではありません。「過去形 = 過去の意味」と思い込まないことが大切です。
仮定法過去完了(過去の事実と異なる想定)
仮定法過去完了は、過去の事実とは異なることを「もし(あのとき)〜だったら…だったのに」と表します。形は次のとおりです。
If + 主語 + had + 過去分詞, 主語 + would / could / might + have + 過去分詞.
- If I had studied harder, I would have passed the exam.(もっと一生懸命勉強していたら、試験に合格していたのに。)← 実際は合格しなかった
- If she had left earlier, she would not have missed the train.(もっと早く出発していたら、電車に乗り遅れなかったのに。)
- If you had told me, I could have helped you.(言ってくれていたら、手伝えたのに。)
仮定法過去より、さらに時制を一つ古くした形(過去 → 過去完了)です。これで「過去の事実と違う」想像を表します。
ポイント: 「今」の想像 → 仮定法過去(過去形)、「過去」の想像 → 仮定法過去完了(had + 過去分詞 / would have + 過去分詞)。時制を一段ずつ古くすると覚えましょう。
I wish(〜だったらいいのに)
I wish の後ろにも仮定法を使い、「実際はそうではないけれど、〜だったらいいのに」という願望を表します。
| 形 | 意味 | 例 |
|---|
| I wish + 主語 + 過去形 | (今)〜だったらいいのに | I wish I were taller.(もっと背が高ければいいのに。) |
| I wish + 主語 + had + 過去分詞 | (過去に)〜だったらよかったのに | I wish I had studied abroad.(留学していたらよかったのに。) |
- I wish I could speak French.(フランス語が話せたらいいのに。)← 実際は話せない
- I wish I had not said that.(あんなことを言わなければよかった。)← 実際は言ってしまった
注意: I wish の後ろは、現在の願望なら過去形、過去への後悔なら had + 過去分詞です。I hope(実現しそうな望み)とは違い、I wish は「実際とは違う」願望を表します。
as if / as though(まるで〜のように)
as if(as though)も後ろに仮定法を使い、「まるで〜であるかのように」という、事実と異なるたとえを表します。
- He talks as if he knew everything.(彼はまるで何でも知っているかのように話す。)← 実際は全部は知らない
- She looked as if she had seen a ghost.(彼女はまるで幽霊を見たかのような顔をしていた。)← 実際は見ていない
主節と同じ時のことなら過去形、主節より前のことなら had + 過去分詞を使います。
ポイント: as if の後ろの時制も、仮定法のルール(時制を一つ古く)に従います。同時なら過去形、前のことなら過去完了形です。
without / but for(〜がなければ)
If を使わずに仮定の意味を表す言い方もあります。without + 名詞やbut for + 名詞は「〜がなければ/〜がなかったら」を表し、後ろの主節は仮定法になります。
- Without water, we could not live.(水がなければ、私たちは生きられないだろう。)= If it were not for water, …
- But for your help, I would have failed.(あなたの助けがなかったら、私は失敗していただろう。)
ポイント: without / but for は「If 〜 not」の代わりに名詞だけで条件を表せる便利な形です。後ろの主節を見て、would(今)か would have(過去)かを判断します。
どう問われる?
2級でこの章の文法は、次のような形でよく問われます。
- 大問1(語句空所補充): 「If I ( ) you, I would accept the offer.」の空所に were を、「If she had left earlier, she ( ) the train.」の空所に would have caught を選ばせる。仮定法過去か過去完了か、時制のずれが問われます。
- 語順整序: I wish や as if を使って、事実と異なる願望・たとえを表す文を組み立てる問題。
- 長文・ライティング: 評論文で「If we did nothing, the problem would get worse.(何もしなければ、問題は悪化するだろう)」のように、論を展開するために使われます。意見論述でも、仮定の議論に使えます。
注意: ねらわれやすいのは、①時制のずれ(今なら過去形、過去なら過去完了)、②be動詞は were、③主節の would / would have の使い分け、の3点です。
まとめ
- 仮定法は、事実と異なる想定を、時制を一つ古くずらして表す。
- 仮定法過去=今の事実と異なる想定:If + 過去形, would / could + 原形(be動詞は were)。
- 仮定法過去完了=過去の事実と異なる想定:If + had + 過去分詞, would have + 過去分詞。
- I wish(〜だったらいいのに)・as if(まるで〜のように)も後ろに仮定法を使う。
- without / but for + 名詞(〜がなければ)で、If を使わず条件を表せる。
ポイント: この章のカギは「時制のずれ」です。今の想像は一段古く(過去形)、過去の想像は二段古く(過去完了形)。例文ごと、現実とのずれをイメージして覚えましょう。