この章で学ぶこと
第 6 章で 積分 の計算 ができるようになりました。 ここからは 何を求めるために使うか が主役 になります。
- 定積分 と 面積 の関係 (復習)
- 2 曲線 で囲まれる面積
- 区分求積法 と 定積分 の定義
- 回転体 の 体積 (V=π∫y2dx)
- y軸まわりの 回転体 (シェル法 = バウムクーヘン 積分)
ポイント: 「微分 が 接線 の 傾き」 「積分 が面積 と体積」 という 幾何的なイメージ が、 数学 III の応用 を支えます。
1. 面積の復習
1 曲線と x軸
f(x)≥0 が区間 [a,b] で連続 なとき、 曲線 y=f(x)、 x軸、 直線 x=a、 x=b で囲まれる面積 は、
S=∫abf(x)dx
正負が混ざる場合
f が正負を変える場合、 絶対値 をつけて:
S=∫ab∣f(x)∣dx
正と負の区間 で分けて計算 する。
例 1
y=x3 と x軸と x=−1、 x=2 で囲む面積。
S=∫−10(−x3)dx+∫02x3dx=41+4=417
2. 2 曲線で囲む面積
公式
f(x)≥g(x) が区間 [a,b] で成り立つなら、
S=∫ab{f(x)−g(x)}dx
「上から下を引く」。 上下が入れ替わる場合 は 入れ替わる点で区切る。
例 2 放物線と直線
y=x2 と y=x+2 で囲む面積。 交点 は x2=x+2⇒x=−1,2。 区間内で 上が直線:
S=∫−12{(x+2)−x2}dx=[2x2+2x−3x3]−12=29
大事: 「上と下を描いて確かめる」。 グラフ をざっくりでも描いておくと、 「上から下を引く」 を間違えない。
例 3 sin と cos の囲む面積
y=sinx と y=cosx が x∈[0,2π] で囲む面積。 交点 x=π/4,5π/4。
S=∫π/45π/4(sinx−cosx)dx=22
3. 区分求積法と定積分
区分求積法の定義
区間 [a,b] を n等分 し、 各小区間の幅を Δx=nb−a、 xk=a+kΔx (k=1,2,…,n、 各小区間の右端点) とする。 各短冊 の面積 を足して n→∞ とした極限 が 定積分:
∫abf(x)dx=limn→∞∑k=1nf(xk)Δx
注: ここではサンプル点として右端点を採用していますが、 f が連続であれば、 左端点 (xk−1) や中点、 任意の内部点でも極限値は同じです (リーマン和 の性質)。 高校では右端点で統一するのが標準。
数列の和を定積分で計算
limn→∞n1∑k=1nf(nk)=∫01f(x)dx
例 4
n→∞limn1k=1∑nn+kk を求めよ。
1+k/nk/n=f(nk)、 f(x)=1+xx より、
=∫011+xxdx=∫01(1−1+x1)dx=1−log2
大事: シグマ の中に nk が出てきたら 区分求積法 を疑う。 数学 III の 大定番 出題パターン。
4. 回転体の体積 (x軸まわり)
公式
曲線 y=f(x)≥0 を x軸まわりに 1 回転 させてできる 回転体の体積:
V=π∫ab{f(x)}2dx=π∫aby2dx
イメージ: 厚さ dx の 円板 (半径 y) を無限 に重ねる。 円板の面積 πy2 × 厚さ dx を足す。
例 5 球の体積
y=r2−x2 を x軸まわりに回転 (半球ふたつで球):
V=π∫−rr(r2−x2)dx=π[r2x−3x3]−rr=34πr3
中学で暗記 した公式 が、 数学 III の 積分 で 証明 できました。
例 6 円錐の体積
直線 y=hrx (0≤x≤h) を x軸まわりに回転:
V=π∫0hh2r2x2dx=πh2r2⋅3h3=31πr2h
「底面積 × 高さ ÷ 3」 の円錐公式 も積分 で。
5. 2 曲線で囲まれた部分の回転体
公式
f(x)≥g(x)≥0 で、 両曲線 で囲まれた部分 を x軸まわりに回転させた体積:
V=π∫ab{f(x)2−g(x)2}dx
「外側の体積 から内側の体積 を引く」 (ドーナツ型)。
例 7
y=x2 と y=x で囲まれた部分 (0≤x≤1) を x軸まわりに回転:
V=π∫01(x2−x4)dx=π(31−51)=152π
6. y軸まわりの回転体
方法 1 x で表す
y=f(x) を x=g(y) と解いて、
V=π∫cd{g(y)}2dy
方法 2 シェル法 (バウムクーヘン)
x で解けないとき、 半径 x、 高さ f(x)、 厚さ dx の 円筒殻 を重ねる:
V=2π∫abxf(x)dx
例 8
y=sinx (0≤x≤π) を y軸まわりに回転。 シェル法で:
V=2π∫0πxsinxdx=2π[−xcosx+sinx]0π=2π⋅π=2π2
(部分積分 を使用。)
発展: バウムクーヘン 積分 は教科書に載らないことが多いが、 国公立の入試 で頻出。 「x で解けないときは円筒殻」 を覚えておくと強い。
7. 体積の一般公式
断面積がわかる立体
立体 を x軸に垂直 な平面 で切った断面積 が S(x) であるとき、
V=∫abS(x)dx
例 9 三角錐 (断面三角形)
底が一辺 a の正三角形で高さ h の三角錐:
各高さ x で断面が一辺 a(1−x/h) の正三角形、 S(x)=43a2(1−x/h)2。
V=43a2∫0h(1−hx)2dx=123a2h
「底面積 × 高さ ÷ 3」 の一般化 (底面 の形は何でもよい)。
8. 章末まとめ
| 計算対象 | 公式 |
|---|
| 1 曲線 と x軸で囲む面積 | ∫∣f(x)∣dx |
| 2 曲線 で囲む面積 | ∫(上−下)dx |
| 区分求積法 | n1∑f(k/n)→∫01f |
| 回転体 (x軸) | π∫y2dx |
| 回転体 (y軸シェル) | 2π∫xf(x)dx |
| 一般立体 | ∫S(x)dx |
次の章へ: 第 8 章では 「曲線 の長さ」 「物理量 (仕事・重心) の 積分」 へ進み、 数学 III の 応用の多様さ を体験 します。