この章で学ぶこと
数学 II では 多項式 の 微分 dxdxn=nxn−1 だけでした。 数学 III では 三角・指数・対数 などあらゆる関数 を微分 できるようになるため、 まず 計算道具 をそろえます。
- 微分 係数 と 導関数 の復習 (数学 II)
- 積の微分 (fg の微分)
- 商の微分 (f/g の微分)
- 合成関数 の微分 (= 連鎖律 chain rule)
- 逆関数 の微分
- 陰関数 の微分
ポイント: この章は 公式 を体で覚える 章です。 第 4 章 (三角・指数・対数 の微分) と第 5 章 (応用) で何度も使うので、 ここでの 訓練 が後を決めます。
1. 微分の定義 (復習)
関数 f(x) の x における 微分係数:
f′(x)=limh→0hf(x+h)−f(x)
これを x の関数 とみたものが 導関数 f′(x) です。 別表記 として:
dxdy,dxdf(x),y′
大事: dxdy は 「y を x で微分 する」 という操作。 分数 ではないが、 合成関数の微分 では 分数 のように約分 できる 重要 な性質 があります (後述)。
基本公式の再確認
| 公式 | 内容 |
|---|
| (c)′=0 | 定数 |
| (xn)′=nxn−1 | n は 実数 でも OK (数学 III で拡張) |
| {kf(x)}′=kf′(x) | 定数倍 |
| {f±g}′=f′±g′ | 線形性 |
拡張注意: 数学 II では n は自然数だけでしたが、 数学 III では x=x1/2 や x1=x−1 も同じ公式 が使えます。 例: (x1/2)′=21x−1/2。
2. 積の微分
公式
(fg)′=f′g+fg′
覚え方: 「前を微分して後をそのまま + 前をそのままで後を微分」。 (fg)' = f'g + fg' を 「ふ・じ + ふ・じ」 と唱える人も。
例 1
y=x2sinx の微分 (sin x の微分 が cos x であることは第 4 章で)。
y′=(x2)′sinx+x2(sinx)′=2xsinx+x2cosx
3 つ以上の積
(fgh)′=f′gh+fg′h+fgh′ (微分 する場所 をずらして足す)。
3. 商の微分
公式
(gf)′=g2f′g−fg′
覚え方: 「分子微分 × 分母 - 分子 × 分母微分、 全体 を 分母の 2 乗」。 引き算の 順番 に注意 (分子微分が先)。
例 2
y=x2+1x の微分。
y′=(x2+1)21⋅(x2+1)−x⋅2x=(x2+1)21−x2
応用: y′=0 より x=±1。 これが第 5 章の 極値 につながります。
例 3 商の公式の覚え方別ver
tanx=cosxsinx を微分:
(tanx)′=cos2xcosx⋅cosx−sinx⋅(−sinx)=cos2xcos2x+sin2x=cos2x1
4. 合成関数の微分 (連鎖律)
公式
y=f(u)、 u=g(x) のとき、
dxdy=dudy⋅dxdu
イメージ: dudy と dxdu を 分数 のようにかけ合わせる。 この 記号 の約分 がライプニッツ記法 の強さ。 別表 記 では (f(g(x)))′=f′(g(x))⋅g′(x)。
手順
- 外の関数 f を u で微分
- 内の関数 g を x で微分
- 掛け合わせる
例 4 ベキ関数 × 内側
y=(3x+1)5 の微分。 u=3x+1 とおくと y=u5。
dxdy=5u4⋅3=15(3x+1)4
例 5 三角関数 × 内側
y=sin(x2) の微分。 u=x2、 y=sinu。
dxdy=cosu⋅2x=2xcos(x2)
大事: sin(x2)=sin2x。 前者 は 「x2 の sin」、 後者 は 「sin x の 2 乗」。 連鎖律では 「内側の関数 が何か」 を必ず意識 する。
例 6 多重合成
y=sin(2x+1)。 内から外へ順に: u=2x+1、 v=sinu、 y=v。
dxdy=2v1⋅cosu⋅2=sin(2x+1)cos(2x+1)
コツ: 多重合成は 「外からはがす」。 一番外側 の関数 を微分 して、 中をそのまま残し、 そこに 「中の微分」 をかける。 これを 再帰的 に繰り返す。
5. 逆関数の微分
公式
y=f(x) の 逆関数 を x=g(y) とすると、
dxdy=dydx1
(分母がゼロでないとして)。 これも 分数 の約分 のように見える。
例 7 ルートの微分
y=x (x>0) の微分 を逆関数 で。 y2=x なので dydx=2y。 よって、
dxdy=2y1=2x1
これは (x1/2)′=21x−1/2 と一致。
例 8 逆三角関数の微分
y=arcsinx (−1<x<1) の微分。 x=siny、 dydx=cosy。
dxdy=cosy1=1−sin2y1=1−x21
発展: 高校の範囲 では必須 ではないが、 大学では必須。 余裕 があれば。
6. 陰関数の微分
定義
y が x の関数 として 明示的に解けない 形 (例: x2+y2=1) のことを 陰関数 という。
微分法
両辺を x で微分 し、 y は x の関数 とみなして 連鎖律 を使う。
例 9 円の接線
x2+y2=1 を x で微分:
2x+2ydxdy=0⟹dxdy=−yx
点(21,23) における接線 の 傾きは −3/21/2=−31。
応用: 円や 楕円、 双曲線 など 2 次曲線 の接線 を求めるときに使う。
7. 章末まとめ
| 公式 | 内容 |
|---|
| 積 | (fg)′=f′g+fg′ |
| 商 | (gf)′=g2f′g−fg′ |
| 合成 (連鎖律) | dxdy=dudy⋅dxdu |
| 逆関数 | dxdy=dx/dy1 |
| 陰関数 | 両辺を x で微分 し dxdy を解く |
次の章へ: ここまでの道具 を使って第 4 章で 三角・指数・対数関数 の微分 を一気 に押さえます。 公式 は多いが、 暗記 より 「導出の流れ」 を押さえると楽です。