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数学III

微分びぶん法ほうの基本きほん

最終確認日:

この章しょうで学まなぶこと

数学すうがく II では多項式たこうしきの微分びぶん ddxxn=nxn−1\dfrac{d}{dx} x^n = n x^{n-1} だけでした。 数学すうがく III では 三さん角かく・指数しすう・対数たいすうなどあらゆる関かん数すう を微び分ぶんできるようになるため、 まず 計けい算さん道どう具ぐ をそろえます。

  • 微び分ぶん係数けいすうと導関数どうかんすうの復ふく習しゅう (数学すうがく II)
  • 積の微分せきのびぶん (fgfg の微び分ぶん)
  • 商の微分しょうのびぶん (f/gf/g の微び分ぶん)
  • 合成関数ごうせいかんすう の微び分ぶん (= 連鎖律れんさりつ chain rule)
  • 逆関数ぎゃくかんすう の微び分ぶん
  • 陰関数いんかんすう の微び分ぶん

ポイント: この章しょうは 公こう式しきを体からだで覚おぼえる 章しょうです。 第だい 4 章しょう (三さん角かく・指し数すう・対たい数すうの微び分ぶん) と第だい 5 章しょう (応おう用よう) で何なん度ども使つかうので、 ここでの 訓くん練れんが後ごを決きめます。

1. 微分びぶんの定義ていぎ (復習ふくしゅう)

関かん数すう f(x)f(x) の xx における 微分係数びぶんけいすう:

f′(x)=lim⁡h→0f(x+h)−f(x)hf'(x) = \lim_{h \to 0} \dfrac{f(x+h) - f(x)}{h}

これを xx の関かん数すうとみたものが 導関数どうかんすう f′(x)f'(x) です。 別表べっぴょう記きとして:

dydx,ddxf(x),y′\dfrac{dy}{dx},\quad \dfrac{d}{dx} f(x),\quad y'

大事だいじ: dydx\dfrac{dy}{dx} は 「yy を xx で微び分ぶんする」 という操そう作さ。 分数ぶんすうではないが、 合成関数の微分ごうせいかんすうのびぶんでは 分ぶん数すうのように約やく分ぶんできる 重じゅう要ような性せい質しつがあります (後述こうじゅつ)。

基本きほん公式こうしきの再さい確認かくにん

公こう式しき内ない容よう
(c)′=0(c)' = 0定てい数すう
(xn)′=nxn−1(x^n)' = n x^{n-1}nn は 実じっ数すうでも OK (数学すうがく III で拡かく張ちょう)
{kf(x)}′=kf′(x)\{kf(x)\}' = k f'(x)定てい数すう倍ばい
{f±g}′=f′±g′\{f \pm g\}' = f' \pm g'線せん形けい性せい

拡かく張ちょう注ちゅう意い: 数学すうがく II では nn は自し然ぜん数だけでしたが、 数学すうがく III では x=x1/2\sqrt{x} = x^{1/2} や 1x=x−1\dfrac{1}{x} = x^{-1} も同おなじ公こう式しきが使つかえます。 例れい: (x1/2)′=12x−1/2(x^{1/2})' = \dfrac{1}{2} x^{-1/2}。

2. 積せきの微分びぶん

公式こうしき

 (fg)′=f′g+fg′ \boxed{\ (fg)' = f'g + fg' \ }

覚おぼえ方かた: 「前まえを微分びぶんして後ごをそのまま + 前まえをそのままで後のちを微分びぶん」。 (fg)' = f'g + fg' を 「ふ・じ + ふ・じ」 と唱となえる人ひとも。

例れい 1

y=x2sin⁡xy = x^2 \sin x の微び分ぶん (sin x の微び分ぶんが cos x であることは第だい 4 章しょうで)。

y′=(x2)′sin⁡x+x2(sin⁡x)′=2xsin⁡x+x2cos⁡xy' = (x^2)' \sin x + x^2 (\sin x)' = 2x \sin x + x^2 \cos x

3 つ以上いじょうの積

(fgh)′=f′gh+fg′h+fgh′(fgh)' = f'gh + fg'h + fgh' (微び分ぶんする場ば所しょをずらして足たす)。

3. 商しょうの微分びぶん

公式こうしき

 (fg)′=f′g−fg′g2 \boxed{\ \left( \dfrac{f}{g} \right)' = \dfrac{f'g - fg'}{g^2} \ }

覚おぼえ方かた: 「分子ぶんし微分びぶん × 分母ぶんぼ - 分子ぶんし × 分母ぶんぼ微分びぶん、 全ぜん体たいを 分母ぶんぼの 2 乗じょう」。 引ひき算ざんの 順じゅん番ばん に注ちゅう意い (分子ぶんし微分びぶんが先せん)。

例れい 2

y=xx2+1y = \dfrac{x}{x^2 + 1} の微び分ぶん。

y′=1⋅(x2+1)−x⋅2x(x2+1)2=1−x2(x2+1)2y' = \dfrac{1 \cdot (x^2 + 1) - x \cdot 2x}{(x^2 + 1)^2} = \dfrac{1 - x^2}{(x^2 + 1)^2}

応おう用よう: y′=0y' = 0 より x=±1x = \pm 1。 これが第だい 5 章しょうの 極値きょくち につながります。

例れい 3 商しょうの公式こうしきの覚おぼえ方かた別べつver

tan⁡x=sin⁡xcos⁡x\tan x = \dfrac{\sin x}{\cos x} を微び分ぶん:

(tan⁡x)′=cos⁡x⋅cos⁡x−sin⁡x⋅(−sin⁡x)cos⁡2x=cos⁡2x+sin⁡2xcos⁡2x=1cos⁡2x(\tan x)' = \dfrac{\cos x \cdot \cos x - \sin x \cdot (-\sin x)}{\cos^2 x} = \dfrac{\cos^2 x + \sin^2 x}{\cos^2 x} = \dfrac{1}{\cos^2 x}

4. 合成ごうせい関数かんすうの微分びぶん (連鎖れんさ律りつ)

公式こうしき

y=f(u)y = f(u)、 u=g(x)u = g(x) のとき、

 dydx=dydu⋅dudx \boxed{\ \dfrac{dy}{dx} = \dfrac{dy}{du} \cdot \dfrac{du}{dx} \ }

イメージ: dydu\dfrac{dy}{du} と dudx\dfrac{du}{dx} を 分数ぶんすうのようにかけ合あわせる。 この 記き号ごうの約やく分ぶん がライプニッツ記き法ほうの強つよさ。 別表ひょう記きでは (f(g(x)))′=f′(g(x))⋅g′(x)(f(g(x)))' = f'(g(x)) \cdot g'(x)。

手順てじゅん

  1. 外がいの関かん数すう ff を uu で微び分ぶん
  2. 内ないの関かん数すう gg を xx で微び分ぶん
  3. 掛かけ合あわせる

例れい 4 ベキ関数かんすう × 内側うちがわ

y=(3x+1)5y = (3x + 1)^5 の微び分ぶん。 u=3x+1u = 3x + 1 とおくと y=u5y = u^5。

dydx=5u4⋅3=15(3x+1)4\dfrac{dy}{dx} = 5u^4 \cdot 3 = 15(3x + 1)^4

例れい 5 三角さんかく関数かんすう × 内側うちがわ

y=sin⁡(x2)y = \sin(x^2) の微び分ぶん。 u=x2u = x^2、 y=sin⁡uy = \sin u。

dydx=cos⁡u⋅2x=2xcos⁡(x2)\dfrac{dy}{dx} = \cos u \cdot 2x = 2x \cos(x^2)

大事だいじ: sin⁡(x2)≠sin⁡2x\sin(x^2) \neq \sin^2 x。 前ぜん者しゃは 「x2x^2 の sin」、 後こう者しゃは 「sin x の 2 乗じょう」。 連鎖れんさ律では 「内ない側がわの関かん数すうが何なにか」 を必かならず意い識しきする。

例れい 6 多重たじゅう合成ごうせい

y=sin⁡(2x+1)y = \sqrt{\sin(2x + 1)}。 内うちから外そとへ順じゅんに: u=2x+1u = 2x + 1、 v=sin⁡uv = \sin u、 y=vy = \sqrt{v}。

dydx=12v⋅cos⁡u⋅2=cos⁡(2x+1)sin⁡(2x+1)\dfrac{dy}{dx} = \dfrac{1}{2\sqrt{v}} \cdot \cos u \cdot 2 = \dfrac{\cos(2x+1)}{\sqrt{\sin(2x+1)}}

コツ: 多重たじゅう合成ごうせいは 「外がいからはがす」。 一いち番ばん外そと側がわの関かん数すうを微び分ぶんして、 中なかをそのまま残のこし、 そこに 「中なかの微び分ぶん」 をかける。 これを 再さい帰き的てき に繰くり返かえす。

5. 逆ぎゃく関数かんすうの微分びぶん

公式こうしき

y=f(x)y = f(x) の逆関数ぎゃくかんすうを x=g(y)x = g(y) とすると、

 dydx=1dxdy \boxed{\ \dfrac{dy}{dx} = \dfrac{1}{\dfrac{dx}{dy}} \ }

(分母ぶんぼがゼロでないとして)。 これも 分数ぶんすうの約やく分ぶん のように見みえる。

例れい 7 ルートの微分びぶん

y=xy = \sqrt{x} (x>0x > 0) の微び分ぶんを逆ぎゃく関かん数すうで。 y2=xy^2 = x なので dxdy=2y\dfrac{dx}{dy} = 2y。 よって、

dydx=12y=12x\dfrac{dy}{dx} = \dfrac{1}{2y} = \dfrac{1}{2\sqrt{x}}

これは (x1/2)′=12x−1/2(x^{1/2})' = \dfrac{1}{2} x^{-1/2} と一いっ致ち。

例れい 8 逆ぎゃく三角さんかく関数かんすうの微分びぶん

y=arcsin⁡xy = \arcsin x (−1<x<1-1 < x < 1) の微び分ぶん。 x=sin⁡yx = \sin y、 dxdy=cos⁡y\dfrac{dx}{dy} = \cos y。

dydx=1cos⁡y=11−sin⁡2y=11−x2\dfrac{dy}{dx} = \dfrac{1}{\cos y} = \dfrac{1}{\sqrt{1 - \sin^2 y}} = \dfrac{1}{\sqrt{1 - x^2}}

発はっ展てん: 高校こうこうの範はん囲いでは必ひっ須すではないが、 大学だいがくでは必ひっ須す。 余よ裕ゆうがあれば。

6. 陰かげ関数かんすうの微分びぶん

定義ていぎ

yy が xx の関かん数すうとして 明めい示じ的に解とけない 形かたち (例れい: x2+y2=1x^2 + y^2 = 1) のことを 陰関数いんかんすう という。

微分びぶん法ほう

両辺りょうへんを xx で微び分ぶんし、 yy は xx の関かん数すう とみなして連鎖律れんさりつを使つかう。

例れい 9 円えんの接線せっせん

x2+y2=1x^2 + y^2 = 1 を xx で微び分ぶん:

2x+2ydydx=0  ⟹  dydx=−xy2x + 2y \dfrac{dy}{dx} = 0 \implies \dfrac{dy}{dx} = -\dfrac{x}{y}

点(12,32)\left( \dfrac{1}{2}, \dfrac{\sqrt{3}}{2} \right) における接せっ線せんの傾かたむきは −1/23/2=−13-\dfrac{1/2}{\sqrt{3}/2} = -\dfrac{1}{\sqrt{3}}。

応おう用よう: 円えんや楕円だえん、 双曲線そうきょくせんなど 2 次じ曲線きょくせん の接せっ線せんを求もとめるときに使つかう。

7. 章しょう末まつまとめ

公こう式しき内ない容よう
積つむ(fg)′=f′g+fg′(fg)' = f'g + fg'
商しょう(fg)′=f′g−fg′g2\left( \dfrac{f}{g} \right)' = \dfrac{f'g - fg'}{g^2}
合ごう成せい (連鎖れんさ律)dydx=dydu⋅dudx\dfrac{dy}{dx} = \dfrac{dy}{du} \cdot \dfrac{du}{dx}
逆ぎゃく関かん数すうdydx=1dx/dy\dfrac{dy}{dx} = \dfrac{1}{dx/dy}
陰かげ関かん数すう両辺りょうへんを xx で微び分ぶんし dydx\dfrac{dy}{dx} を解とく

次じの章しょうへ: ここまでの道どう具ぐを使つかって第だい 4 章しょうで 三さん角かく・指し数すう・対たい数すう関かん数すうの微び分ぶん を一いっ気きに押おさえます。 公こう式しきは多おおいが、 暗あん記きより 「導出どうしゅつの流ながれ」 を押おさえると楽らくです。

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