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数学III

関数かんすうの極限きょくげん

最終確認日:

この章しょうで学まなぶこと

第だい 1 章しょうの 数列の極限すうれつのきょくげん (n→∞n \to \infty) を、 連れん続ぞく的てきな変へん数すう xx に拡かく張ちょうします。 これが 関数の極限かんすうのきょくげん lim⁡x→af(x)\lim_{x \to a} f(x) です。

  • x→ax \to a ・ x→±∞x \to \pm\infty での極きょく限げん
  • 右極限みぎきょくげん と 左極限ひだりきょくげん の区く別べつ
  • 00\dfrac{0}{0}型の不ふ定てい形けいの解かい消しょう (因いん数すう分ぶん解かい / 有理ゆうり化か)
  • 三さん角かく関かん数すうの極きょく限げん lim⁡x→0sin⁡xx=1\displaystyle \lim_{x \to 0} \dfrac{\sin x}{x} = 1
  • 自然しぜん対たい数すうの底ee の定てい義ぎ
  • 連続れんぞく の定てい義ぎと 中間値の定理ちゅうかんちのていり

ポイント: x→ax \to a とは 「xx を aa にいくらでも近ちかづける (ただし x=ax = a ではない)」 という意い味み。 「代だい入にゅうしてしまえばおしまい」 ではなく、 「近ちかづき方かた を観察かんさつする」 のが関かん数すうの極きょく限げんです。

1. 関数かんすうの極限きょくげんの定義ていぎ

xx を aa に限かぎりなく近ちかづけると f(x)f(x) が α\alpha に限かぎりなく近ちかづくとき、

lim⁡x→af(x)=α\lim_{x \to a} f(x) = \alpha

と書かきます。 第だい 1 章しょうと違ちがい、 xx は整せい数すうとは限かぎらず、 aa は有ゆう限げんでも無む限げんでもよい のが特とく徴ちょうです。

直接ちょくせつ代入だいにゅうでよい場合ばあい

f(x)f(x) が x=ax = a で連れん続ぞくなら、 単たん純じゅんに 代だい入にゅう してよい:

lim⁡x→2(x2−3x+1)=4−6+1=−1\lim_{x \to 2} (x^2 - 3x + 1) = 4 - 6 + 1 = -1

大事だいじ: 代だい入にゅうで値あたいが出でれば終おわり。 問もん題だいになるのは 代だい入にゅうすると 00\dfrac{0}{0} や ∞∞\dfrac{\infty}{\infty} になるとき (= 不ふ定てい形けい) です。

2. 不ふ定形ていけいの解消かいしょう

例れい 1 因数いんすう分解ぶんかいで約分やくぶん

lim⁡x→1x2−1x−1\lim_{x \to 1} \dfrac{x^2 - 1}{x - 1}

代だい入にゅうすると 00\dfrac{0}{0}。 因いん数すう分ぶん解かい:

=lim⁡x→1(x−1)(x+1)x−1=lim⁡x→1(x+1)=2= \lim_{x \to 1} \dfrac{(x-1)(x+1)}{x-1} = \lim_{x \to 1} (x+1) = 2

キー: 「x→1x \to 1 だが x≠1x \neq 1」 なので x−1x - 1 で約やく分ぶんしてよい (ゼロで割われるわけではない)。

例れい 2 有理ゆうり化か

lim⁡x→0x+4−2x\lim_{x \to 0} \dfrac{\sqrt{x+4} - 2}{x}

分子ぶんしの共きょう役やくを掛かける。

=lim⁡x→0(x+4)2−22x(x+4+2)=lim⁡x→0xx(x+4+2)=14= \lim_{x \to 0} \dfrac{(\sqrt{x+4})^2 - 2^2}{x(\sqrt{x+4} + 2)} = \lim_{x \to 0} \dfrac{x}{x(\sqrt{x+4} + 2)} = \dfrac{1}{4}

例れい 3 x→∞x \to \infty の分数ぶんすう式しき

lim⁡x→∞3x2−x+52x2+x−1=lim⁡3−1x+5x22+1x−1x2=32\lim_{x \to \infty} \dfrac{3x^2 - x + 5}{2x^2 + x - 1} = \lim \dfrac{3 - \frac{1}{x} + \frac{5}{x^2}}{2 + \frac{1}{x} - \frac{1}{x^2}} = \dfrac{3}{2}

共きょう通つう戦せん略りゃく: 「最さい高こう次じで割われる」 (第だい 1 章しょうと同おなじ)。 xx が整せい数すうか実じっ数すうかは関かん係けいなく、 同おなじ道どう具ぐが効ききます。

3. 右みぎ極限きょくげんと左ひだり極限きょくげん

片側かたがわ極限きょくげん

xx を aa に 右みぎから 近ちかづけるとき lim⁡x→a+0f(x)\displaystyle \lim_{x \to a+0} f(x)、 左ひだりから 近ちかづけるとき lim⁡x→a−0f(x)\displaystyle \lim_{x \to a-0} f(x) と書かきます。

重じゅう要よう: lim⁡x→af(x)\displaystyle \lim_{x \to a} f(x) が存そん在ざいする   ⟺  \iff 両りょう側がわの極きょく限げんが一いっ致ち する。

例れい 4 絶対ぜったい値ちを含ふくむ関数かんすう

f(x)=∣x∣x={1(x>0)−1(x<0)f(x) = \dfrac{|x|}{x} = \begin{cases} 1 & (x > 0) \\ -1 & (x < 0) \end{cases}

極きょく限げん値あたい
lim⁡x→0+0f(x)\lim_{x \to 0+0} f(x)+1+1
lim⁡x→0−0f(x)\lim_{x \to 0-0} f(x)−1-1
lim⁡x→0f(x)\lim_{x \to 0} f(x)存そん在ざいしない

例れい 5 分数ぶんすう関数かんすうの発散はっさん

lim⁡x→1+01x−1=+∞\displaystyle \lim_{x \to 1+0} \dfrac{1}{x-1} = +\infty, lim⁡x→1−01x−1=−∞\displaystyle \lim_{x \to 1-0} \dfrac{1}{x-1} = -\infty なので、 lim⁡x→11x−1\displaystyle \lim_{x \to 1} \dfrac{1}{x-1} は存そん在ざいしない (両端りょうたんが違ちがう無む限げん大に飛とぶ)。

4. 三角さんかく関数かんすうの極限きょくげん

最さい重要じゅうよう公式こうしき

 lim⁡x→0sin⁡xx=1 \boxed{\ \lim_{x \to 0} \dfrac{\sin x}{x} = 1 \ }

ただし xx は ラジアンらじあん で測はかる。

イメージ: 半はん径けい 11 の円えんで中心ちゅうしん角xx ラジアンの弧この長ながさは xx、 その弦げん (= 2sin⁡x22\sin\frac{x}{2}) とはほぼ等ひとしい。 厳密みつにははさみうちで証しょう明めい (図づ形けい的不等とう式しきsin⁡x<x<tan⁡x\sin x < x < \tan x を利り用よう)。

派生はせい公式こうしき

公こう式しき内ない容よう
lim⁡x→0tan⁡xx=1\displaystyle \lim_{x \to 0} \dfrac{\tan x}{x} = 1sin⁡x/x⋅1/cos⁡x\sin x / x \cdot 1/\cos x
lim⁡x→01−cos⁡xx2=12\displaystyle \lim_{x \to 0} \dfrac{1 - \cos x}{x^2} = \dfrac{1}{2}1−cos⁡x=2sin⁡2(x/2)1 - \cos x = 2\sin^2(x/2)
lim⁡x→0sin⁡kxx=k\displaystyle \lim_{x \to 0} \dfrac{\sin kx}{x} = k (kk定てい数すう)置き換えおきかえ u=kxu = kx

例れい 6 派生はせい形がたの計算けいさん

lim⁡x→0sin⁡3xsin⁡5x=lim⁡x→0sin⁡3x3x⋅5xsin⁡5x⋅35=1⋅1⋅35=35\lim_{x \to 0} \dfrac{\sin 3x}{\sin 5x} = \lim_{x \to 0} \dfrac{\sin 3x}{3x} \cdot \dfrac{5x}{\sin 5x} \cdot \dfrac{3}{5} = 1 \cdot 1 \cdot \dfrac{3}{5} = \dfrac{3}{5}

コツ: sin⁡/x\sin / x の形かたちを強きょう制せい的てきに作つくる (係けい数すうをかけたり割わったり)。

5. 自然しぜん対数たいすうの底ee

ee の定義ていぎ

e=lim⁡n→∞(1+1n)n=2.71828…e = \lim_{n \to \infty} \left( 1 + \dfrac{1}{n} \right)^n = 2.71828\dots

これは 無理数むりすう であり 超越数ちょうえつすう でもあります (大学だいがくで証しょう明めい)。 同おなじ値あたいを関かん数すうの極きょく限げんで:

e=lim⁡x→0(1+x)1xe = \lim_{x \to 0} (1 + x)^{\frac{1}{x}}

派生はせい公式こうしき

公こう式しき内ない容よう
lim⁡x→0ex−1x=1\displaystyle \lim_{x \to 0} \dfrac{e^x - 1}{x} = 1exe^x の微分びぶん (第だい 4 章しょう) の元もとネタ
lim⁡x→0log⁡(1+x)x=1\displaystyle \lim_{x \to 0} \dfrac{\log(1+x)}{x} = 1log⁡x\log x の微分びぶんの元もとネタ

大事だいじ: ee は 「微分びぶんと積分せきぶんがいちばん自然しぜんになる底そこ」。 だからこそ 自然しぜん 対たい数すうの底そこと呼よばれます。 第だい 4 章しょうで (log⁡x)′=1x(\log x)' = \dfrac{1}{x}、 (ex)′=ex(e^x)' = e^x となるのはこの公こう式しきのおかげ。

6. 連続れんぞく性せい

連続れんぞくの定義ていぎ

関かん数すう f(x)f(x) が x=ax = a で 連続れんぞく であるとは、 次つぎの 3 条じょう件けん がすべて成なり立たつこと:

  1. f(a)f(a) が定てい義ぎされている
  2. lim⁡x→af(x)\displaystyle \lim_{x \to a} f(x) が存そん在ざいする
  3. lim⁡x→af(x)=f(a)\displaystyle \lim_{x \to a} f(x) = f(a)

イメージ: 「グラフが x=ax = a でつながっている」。 多項式たこうしき、 三さん角かく関かん数すう、 指数関数しすうかんすう、 対数関数たいすうかんすうは それぞれの定てい義ぎ域いきですべて連れん続ぞく。

例れい 7 不連続ふれんぞくな例

f(x)={x+1(x≤0)x2(x>0)f(x) = \begin{cases} x + 1 & (x \le 0) \\ x^2 & (x > 0) \end{cases}

f(0)=1f(0) = 1 だが lim⁡x→0+0f(x)=0\lim_{x \to 0+0} f(x) = 0 なので x=0x = 0 で不ふ連れん続ぞく。

7. 中間ちゅうかん値ちの定理ていり

定理ていり

f(x)f(x) が閉区く間かん[a,b][a, b] で連れん続ぞくで、 f(a)≠f(b)f(a) \neq f(b) なら、 f(a)f(a) と f(b)f(b) の 間かんのどんな値あたいkk に対たいしても、 f(c)=kf(c) = k となる cc が a<c<ba < c < b に存そん在ざいする。

応おう用よう: 「方程てい式f(x)=0f(x) = 0 が区く間かん内に解かいをもつ」 ことを示しめすときに使つかう。 例れい: f(x)=x3−x−1f(x) = x^3 - x - 1 は f(1)=−1<0f(1) = -1 < 0、 f(2)=5>0f(2) = 5 > 0 で連れん続ぞくなので、 1<c<21 < c < 2 に 実数じっすう解かい が存そん在ざいする。

例れい 8 解かいの存在そんざい証明しょうめい

cos⁡x=x\cos x = x は区く間かん [0,π2]\left[0, \dfrac{\pi}{2}\right] に解かいをもつことを示しめせ。

g(x)=cos⁡x−xg(x) = \cos x - x とおく。 gg は連れん続ぞく。 g(0)=1>0g(0) = 1 > 0、 g(π/2)=−π/2<0g(\pi/2) = -\pi/2 < 0 なので 中間値の定理ちゅうかんちのていり より、 g(c)=0g(c) = 0 つまり cos⁡c=c\cos c = c となる cc が存そん在ざいする。

8. 章しょう末まつまとめ

概がい念ねんキーポイント
関かん数すうの極きょく限げんx→ax \to a は 「近ちかづける (= にはしない)」
不ふ定てい形けい因いん数すう分ぶん解かい・有理ゆうり化か・最さい高こう次じで割われる
三さん角かく関かん数すうlim⁡sin⁡xx=1\lim \frac{\sin x}{x} = 1 (ラジアン)
eelim⁡(1+1/n)n\lim (1 + 1/n)^n
連続れんぞく3 条じょう件けん (定てい義ぎ / 極きょく限げん存そん在ざい / 一いっ致ち)
中間値の定理ちゅうかんちのていり「連れん続ぞくなら中ちゅう間かん値あたいを必かならず取とる」

次じの章しょうへ: 「xx を限かぎりなく近ちかづけたときの比f(x+h)−f(x)h\dfrac{f(x+h) - f(x)}{h} の極きょく限げん」 = 微分係数びぶんけいすう。 関かん数すうの極きょく限げんがわかると、 微分びぶんが言げん語ごとして通つうじるようになります。

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