この章で学ぶこと
第 6・7 章の 三角比 を 図形計量の武器 として使いこなす章です。 中学の 「底辺 × 高さ ÷ 2」 では計算しにくい三角形や空間図形を、 正弦 や 余弦 でエレガントに解きます。
- 三角形の面積公式 S=21bcsinA
- ヘロンの公式 (3 辺から面積)
- 内接円 の半径r と S=rs
- 外接円 の半径R と S=4Rabc
- 空間図形 (四面体・直方体) への応用
ポイント: 「面積をどう表すか」 を状況で切り替える こと。 与えられた情報 (角 + 2 辺、 3 辺、 R、 r など) で公式を選びます。
1. 三角形の面積
基本 (中学復習)
底辺b、 高さ h のとき
S=21⋅b⋅h
三角比を使った公式
△ABC で 2 辺b,c と挟む角A がわかるとき
S=21bcsinA
由来: 高さ h は bsinA で求められるので、 上の公式に代入するだけ。
例題
b=4,c=5,A=30° の三角形の面積。
S=21⋅4⋅5⋅sin30°=10⋅21=5
どの角でも OK
S=21casinB=21absinC
大事: 「2 辺と挟む角」 がそろうならこの公式一発。 中学のように高さを探す必要がない。
2. ヘロンの公式
公式
3 辺の長さ a,b,c から面積S を直接求める:
S=s(s−a)(s−b)(s−c)
ここで s=2a+b+c (半周長)。
例題
a=5,b=6,c=7 の面積。
s=25+6+7=9
S=9⋅4⋅3⋅2=216=66
比較: 余弦定理経由でも求められる
cosA を出して sinA=1−cos2A、 S=21bcsinA。 ヘロンの公式 はそれをまとめたもの。
ポイント: 3 辺だけ がわかるときは ヘロンの公式 が計算が速い。 ただし の計算が出るので整理を忘れずに。
3. 内接円と内接円の半径
三角形の 内接円
3 辺すべてに接する円を 内接円 という。 中心を 内心 と呼ぶ (3 つの内角の二等分線の交点)。
半径r と面積の関係
内接円 の半径r、 三角形の面積S、 半周長s の間に
S=rs
由来
三角形を 3 つの小三角形 (△IAB,△IBC,△ICA, I は 内心) に分解。 各小三角形の高さはすべて r、 底辺はそれぞれ c,a,b なので
S=21cr+21ar+21br=21r(a+b+c)=rs
例題
a=5,b=6,c=7 の三角形の 内接円 の半径。
s=9, S=66 なので
r=sS=966=326
大事: S=rs は 「面積 = 半径 × 半周長」 と覚える。 ヘロンの公式 とセットで使えば 3 辺だけで全てが出る。
4. 外接円と半径
三角形の 外接円
3 頂点すべてを通る円を 外接円 という。 中心を 外心 と呼ぶ (3 辺の垂直二等分線の交点)。
半径R と面積の関係
S=4Rabc⇔R=4Sabc
由来
正弦定理 sinAa=2R より sinA=2Ra。 これを S=21bcsinA に代入して
S=21bc⋅2Ra=4Rabc
例題
a=5,b=6,c=7 の三角形の 外接円 の半径。
S=66 なので
R=4Sabc=4⋅665⋅6⋅7=246210=4635=24356
ポイント: 「3 辺がわかれば R も r も全部求まる」。 ヘロンの公式 → S → R=4Sabc, r=sS の流れが鉄板。
5. 角の二等分線と内分
角の二等分線の性質
△ABC で ∠A の二等分線が辺BC と交わる点を D とすると
BD:DC=AB:AC=c:b
例題
AB=6,AC=4,BC=7 のとき ∠A の二等分線と BC の交点D で
BD:DC=6:4=3:2
BD=7⋅53=521, DC=7⋅52=514。
大事: 「角を二等分する線は、 対辺を隣接する 2 辺の比に内分する」。 中学の平行線の比とセットで図形問題で大活躍。
6. 空間図形への応用
直方体の対角線
縦a, 横b, 高さ c の直方体の対角線の長さ:
d=a2+b2+c2
由来: 底面の対角線a2+b2 と高さ c で 三平方の定理 を 2 回。
例題
1×2×2 の直方体の対角線。
d=1+4+4=3
四面体 (ピラミッド)
三角錐の体積は
V=31⋅(底面積)⋅(高さ)
例題: 正四面体
1 辺a の正四面体 (4つの面がすべて正三角形) の体積。
底面 (正三角形) の面積:
S=43a2
頂点から底面への高さ h は
h=a32=36a
(底面の 重心 から頂点を結ぶ直線で求める)
体積:
V=31⋅43a2⋅36a=3618a3=122a3
空間での三角比
空間図形では、 まず 「ある平面の中で三角形を取り出す」 こと。 その平面の中で第 6・7 章の公式を使う。
ポイント: 空間図形は 平面に落として考える のが鉄則。 立体のまま考えようとしないこと。
まとめ
- 三角形の面積: 底辺 × 高さ、 21bcsinA、 ヘロンの公式 を使い分ける
- 内接円: S=rs、 外接円: S=4Rabc
- 角の二等分線は対辺を隣接辺の比に 内分
- 空間図形は平面に取り出して 三角比 を適用
次章からは数学 I 後半の データの分析 に入り、 平均・分散・標準偏差などの統計量を学びます。