この 章 で 学ぶ こと
中学 で 学んだ 「一次方程式」 の 不等号版 を 高校 で は 不等式 と して 体系的 に 整理 し、 さらに 二次 まで 拡張 し ます。 第 4・5 章 の 二次関数 の 解析 で 中心的 に 使う 道具 です。
- 一次不等式 の 解法 と 注意点
- 連立不等式 の 共通範囲
- 絶対値 を 含む 不等式
- 二次不等式 と 二次関数 の グラフ の 関係
- 判別式D で 解 の 様子 を 知る
ポイント: 不等式 で 一番注意 する の は 「負 の 数 で 両辺 を かけ たり わったり する と 不等号 の 向き が 変わる」 こと。 ここ を 落とす と すべて が 狂い ます。
1. 一次不等式 の 基本
不等式 の 性質
| 操作 | 不等号 |
|---|
| 両辺 に 同じ 数 を 加える / 引く | 変わら ない |
| 両辺 に 正 の 数 を かける / わる | 変わら ない |
| 両辺 に 負 の 数 を かける / わる | 逆転 する |
解法 の ステップ
例: 3x+5<2x+9 を 解け。
3x−2x<9−5
x<4
数直線 で は 「4 より 左 (4 を 含ま ず)」。
負 の 数 で わる 例
例: −2x+3≥7 を 解け。
−2x≥4
両辺 を −2 で わる と 不等号 が 逆転:
x≤−2
大事: 答え が x≤−2 なら 数直線 で 「−2 を 含む 左半分」。 不等号 と 黒丸 / 白丸 の 対応 (≤ なら 黒丸、 < なら 白丸) を 必ず 確認。
2. 連立不等式
共通範囲 を とる
複数 の 不等式 を 同時 に 満たす x の 範囲 を 求める の が 連立不等式 です。
例:
{3x−1>22x+5≤11
それぞれ 解く と
x>1かつx≤3
両方 を 満たす の は
1<x≤3
数直線 で 視覚化
| 範囲 1 | 範囲 2 | 共通 |
|---|---|---|
| x>1 | x≤3 | 1<x≤3 |
ポイント: 「かつ」 は 重なる 部分 (せまい)、 「または」 は 合わせた 部分 (広い)。 命題 の 章 で 学んだ ∩ と ∪ と 同じ 関係 です。
3. 絶対値 を 含む 不等式
基本形
a>0 の とき:
∣x∣<a⇔−a<x<a
∣x∣>a⇔x<−aまたはx>a
例題
∣x−2∣<3 を 解け。
−3<x−2<3
−1<x<5
∣x−2∣≥3 を 解け。
x−2≤−3またはx−2≥3
x≤−1またはx≥5
場合分け を 使う 例
∣x−1∣+∣x−3∣<6 を 解け。
| 範囲 | ∣x−1∣ | ∣x−3∣ | 不等式 |
|---|---|---|---|
| x<1 | 1−x | 3−x | 4−2x<6⇒x>−1 |
| 1≤x<3 | x−1 | 3−x | 2<6 (常に 成立) |
| x≥3 | x−1 | x−3 | 2x−4<6⇒x<5 |
各範囲 と 元 の 範囲 の 共通部分 を とり 合わせ て:
−1<x<5
大事: 絶対値 を 含む 不等式 の 王道 は (1) 公式 が 使える 形 か (2) 場合分け を する か。 公式 が 使える なら 必ず そちら を。
4. 二次関数 の グラフ の 復習
二次不等式 を 解く に は 二次関数 y=ax2+bx+c の グラフ を 思い浮かべる の が 一番速い です (詳細 は 次章)。
| a の 符号 | 形 |
|---|
| a>0 | 下 に 凸 (お椀形) |
| a<0 | [上 |
x軸 と の 交点 (y=0 の 解) を 実数解 と いい、 判別式
D=b2−4ac
の 符号 で 個数 が 決まり ます:
| D の 符号 | 実数解 の 個数 |
|---|---|
| D>0 | 2 個 |
| D=0 | 1 個 (重解) |
| D<0 | 0 個 |
5. 二次不等式 の 解法
基本 の 流れ
- 右辺 を 0 に する: ax2+bx+c[<,>,≤,≥]0
- y=ax2+bx+c の グラフ を 描く
- y が 不等号 を 満たす x の 範囲 を 読み とる
a>0 の 場合 (D>0, 実数解α<β)
| 不等式 | 解 |
|---|---|
| ax2+bx+c>0 | x<α または x>β |
| ax2+bx+c<0 | α<x<β |
| ax2+bx+c≥0 | x≤α または x≥β |
| ax2+bx+c≤0 | α≤x≤β |
例題
x2−5x+6>0 を 解け。
因数分解: (x−2)(x−3)>0。 グラフ は 下 に 凸、 x軸 と の 交点 は x=2,3。
「y>0 (x軸 より 上)」 の 範囲 は
x<2またはx>3
D=0 の 場合 (重解α)
| 不等式 | 解 |
|---|
| a(x−α)2>0 | x=α |
| a(x−α)2≥0 | すべて の 実数 |
| a(x−α)2<0 | [解 |
| a(x−α)2≤0 | x=α |
D<0 の 場合 (実数解 なし)
a>0 なら グラフ は 全体 が x軸 より 上:
| 不等式 | 解 |
|---|
| >0,≥0 | すべて の 実数 |
| <0,≤0 | [解 |
ポイント: 「グラフ を 必ず 描く」 こと。 描か ない で 暗算 する と 符号 ミス を 必ず し ます。
6. 二次不等式 の 応用
例題: 文字 を 含む 不等式
x2−(a+1)x+a<0 を 解け。
因数分解: (x−1)(x−a)<0。
| a の 場合 | 解 |
|---|---|
| a>1 | 1<x<a |
| a=1 | 解 なし (重解 なので <0 に なら ない) |
| a<1 | a<x<1 |
例題: 全実数 で 成り立つ 条件
「すべて の 実数x で x2+2kx+3>0」 と なる k の 範囲 を 求めよ。
「下 に 凸 で x軸 と 交わら ない」 が 条件。 判別式:
D=(2k)2−4⋅1⋅3=4k2−12<0
k2<3⇔−3<k<3
大事: 「すべて の 実数 で 成り立つ」 系 の 問題 は 判別式D の 符号 に 帰着 し ます。 第 5 章 の 「解 の 分布」 の 前振り。
まとめ
- 不等式 は 負 の 数 で わる と 向き が 逆転 が 第一鉄則
- 連立不等式 は 数直線 で 重なる 部分 を 取る
- 絶対値 を 含む 不等式 は 公式 か 場合分け で 外す
- 二次不等式 は グラフ を 描いて 解く の が 王道
- 判別式D の 符号 で 解 の 様子 が わかる
次章 から は 二次関数 本体 を、 グラフ の 頂点・軸・平行移動 の 観点 で 学び ます。