この章で学ぶこと
中学 3 年で学んだ y=ax2 のグラフを、 高校では y=ax2+bx+c という一般形で扱い、 自由に動かしたり形を読みとったりできるようになります。 第 5 章の 最大・最小 や第 7 章の 正弦定理 の図形解析でもこの視点が大活躍。
- 二次関数 の標準形y=a(x−p)2+q
- 頂点 と 軸 の求め方
- 平方完成 の計算手順
- 平行移動 と 対称移動
- グラフから式を復元する
ポイント: y=ax2+bx+c を 一発で y=a(x−p)2+q に直せるかどうかがこの章の試験ポイント。 そこからすべてが始まります。
1. y=ax2 の復習
基本グラフ
中学 3 年で学んだ y=ax2 のグラフは 放物線 で、 頂点 は原点(0,0)、 軸 は y軸 (x=0)。
| a の符号 | 開き方 |
|---|
| a>0 | 下に凸 (上開き) |
| a<0 | 上に凸 (下開き) |
| ∣a∣ の大きさ | 形 |
|---|
| 大きい | 細い (たて長) |
| 小さい | 広い (横広) |
グラフの対称性
y=ax2 は y軸に関して線対称。 x と −x で同じ y になる (x2=(−x)2 のため)。
2. 平行移動
基本公式
関数y=f(x) を x軸方向に p、 y軸方向に q平行移動 したグラフは
y−q=f(x−p)
すなわち
y=f(x−p)+q
大事: x の方は 「x−p」 とマイナス で入れるのがポイント。 グラフが右に p動くなら、 同じ y を出すために x から p を引いて元の場所に戻すイメージ。
二次関数の標準形
y=ax2 を平行移動したものが
y=a(x−p)2+q
このとき:
| 要素 | 値 |
|---|
| 頂点 | (p,q) |
| 軸 | 直線x=p |
| 開き | a で決まる |
例
y=2(x−3)2+5 の頂点と軸を求めよ。
頂点(3,5)、 軸x=3、 下に凸 (a=2>0)。
3. 平方完成
一般形から標準形へ
y=ax2+bx+c を y=a(x−p)2+q に変形する操作を 平方完成 といいます。
手順
- x2 の係数a を x2 と x の項だけ でくくる
- かっこの中を (x+2ab)2−(2ab)2 の形に整える
- 定数を計算してまとめる
例題
y=2x2−12x+7 を平方完成せよ。
y=2(x2−6x)+7
=2{(x−3)2−9}+7
=2(x−3)2−18+7
=2(x−3)2−11
よって 頂点 は (3,−11)、 軸は x=3。
一般公式
y=ax2+bx+c の 頂点 は
(−2ab,−4ab2−4ac)
ポイント: 公式を暗記するよりも、 平方完成 を手で動かせる ようになるほうが試験での適応力が上がります。 練習あるのみ。
4. グラフから式を復元する
頂点が与えられた場合
頂点(p,q) と通る 1 点がわかれば、
y=a(x−p)2+q
に代入して a を求める。
例: 頂点(2,−3)、 点(0,1) を通る二次関数を求めよ。
1=a(0−2)2+(−3)=4a−3
a=1
よって y=(x−2)2−3。
3 点が与えられた場合
y=ax2+bx+c に代入して連立方程式を解く。
例: (0,1),(1,0),(2,5) を通る二次関数。
| 点 | 式 |
|---|
| (0,1) | c=1 |
| (1,0) | a+b+1=0⇒a+b=−1 |
| (2,5) | 4a+2b+1=5⇒4a+2b=4⇒2a+b=2 |
辺々引いて a=3, b=−4。 よって y=3x2−4x+1。
x軸との交点がわかる場合
x軸と α,β で交わるなら
y=a(x−α)(x−β)
の形を使うとラク。
大事: 与えられた情報に応じて形を使い分ける。 頂点 → 標準形、 3 点 → 一般形、 x軸交点 → 因数分解形。
5. 平行移動と対称移動
平行移動 (x方向p, y方向q)
y=f(x) → y=f(x−p)+q
例: y=x2 を x方向に 2, y方向に −3動かすと
y=(x−2)2−3
対称移動
| 軸 | 変換 | 例 (y=x2+x) |
|---|
| x軸 (y の符号反転) | y→−y | y=−(x2+x)=−x2−x |
| y軸 (x の符号反転) | x→−x | y=(−x)2+(−x)=x2−x |
| 原点 (両方反転) | x→−x,y→−y | y=−((−x)2+(−x))=−x2+x |
例題
y=x2−4x+5 を x軸に関して対称移動し、 さらに x方向に 1平行移動したグラフの式を求めよ。
平方完成 y=(x−2)2+1。 頂点(2,1), 下に凸。
(1) x軸対称: y=−(x−2)2−1 (頂点(2,−1), 上に凸)
(2) x方向に +1平行移動: y=−(x−3)2−1
ポイント: 「平行移動 → 対称移動」 と 「対称移動 → 平行移動」 で結果が変わる こともあるので、 順番を厳密に守ること。
6. グラフの性質と軸
軸の重要性
二次関数のグラフは 軸 を境に左右対称。 軸上の点が 頂点 で、 そこで y が最大または最小になります (詳細は第 5 章)。
軸と頂点の一覧
| 形 | 頂点 | 軸 |
|---|
| y=ax2 | (0,0) | x=0 |
| y=a(x−p)2 | (p,0) | x=p |
| y=ax2+q | (0,q) | x=0 |
| y=a(x−p)2+q | (p,q) | x=p |
| y=ax2+bx+c | (−2ab,−4ab2−4ac) | x=−2ab |
凸の向き
| a | 凸 | 頂点での値 |
|---|
| a>0 | 下に凸 | 最小値 |
| a<0 | 上に凸 | 最大値 |
大事: 頂点と軸と凸の向き、 この 3 点セットがグラフの 「設計図」。 この 3 つを押さえるだけで二次関数の大半の問題が解けます。
まとめ
- y=ax2 を 平行移動 したものが y=a(x−p)2+q
- 頂点 (p,q)、 軸 x=p
- 一般形 → 標準形は 平方完成
- グラフから式を復元するには 「頂点」 「3 点」 「x軸交点」 で形を使い分ける
- 対称移動は x→−x, y→−y で機械的に
次章ではこのグラフを使って 最大・最小 と解の分布、 つまり 「実戦での二次関数」 を解析します。