この章で学ぶこと
第 4 章で学んだグラフの知識を使って、 「与えられた区間での 最大値・最小値」 と 「二次方程式 の 解がどこにあるか」 を解析します。 大学入試で最もよく出るテーマの一つ。
- 区間が固定の最大・最小
- 区間が動く / 軸が動く最大・最小
- 解の分布 と 3 条件 (判別式・軸・端点)
- 二次関数 の文章題 (面積・距離等)
ポイント: 「軸が区間の内か外か、 内ならどの端が高いか」 を図を描いて必ず確認します。 暗算では必ず抜けが出ます。
1. 区間内の最大・最小 (基本)
区間が全実数の場合
y=a(x−p)2+q (a>0) はすべての 実数 で動くと 頂点 (p,q) で 最小値q。 最大値 は なし (限りなく大きくなる)。
a<0 なら頂点で 最大値q、 最小値はなし。
区間[α,β] の場合
| 条件 | 最小値 (下凸) | 最大値 (下凸) |
|---|
| 軸が区間内 (α≤p≤β) | f(p)=q | f(α) と f(β) の大きい方 |
| 軸が区間の左 (p<α) | f(α) | f(β) |
| 軸が区間の右 (p>β) | f(β) | f(α) |
例題
f(x)=x2−4x+5 の 0≤x≤3 における最大値・最小値を求めよ。
平方完成: f(x)=(x−2)2+1。 頂点(2,1)。
軸x=2 は区間[0,3] の内部。 下に凸なので
- 最小値: f(2)=1
- 最大値: f(0)=5 と f(3)=2 の大きい方 → f(0)=5
| x | 0 | 2 | 3 |
|---|
| f(x) | 5 | 1 | 2 |
よって最大値5 (x=0)、 最小値1 (x=2)。
大事: 必ず 「軸・両端・頂点の f の値」 を表で並べる。 図を描いて確認するとさらに確実。
2. 軸が動く場合の最大・最小
文字を含む二次関数 で、 区間は固定だが 軸が文字で動く ケース。 場合分け が必要です。
例題
f(x)=x2−2ax+3 の 0≤x≤2 における最小値を a で表せ。
平方完成: f(x)=(x−a)2+3−a2。 軸x=a。
| a の 範囲 | 軸の位置 | 最小値 |
|---|
| a<0 | 区間の左 | f(0)=3 |
| 0≤a≤2 | 区間の内 | f(a)=3−a2 |
| a>2 | 区間の右 | f(2)=4−4a+3=7−4a |
例題 (続き)
同設定で最大値を求めよ。
下に凸なので端点で取る。 軸が区間の中央x=1 より 左か右か で場合分け。
| a の範囲 | 軸と中央の位置関係 | 最大値 |
|---|
| a<1 | 軸が中央より左 | f(2)=7−4a (x=2) |
| a=1 | 軸が中央 | f(0)=f(2)=3 |
| a>1 | 軸が中央より右 | f(0)=3 (x=0) |
ポイント: 軸が動く問題は 「軸と区間の端、 軸と区間の中央」 の比較で場合分け。 最小は端か頂点、 最大は端で 「軸から遠い方」。
3. 区間が動く場合
軸が固定で区間[t,t+1] のように動くケースも出題されます。
例: f(x)=(x−1)2+2 の t≤x≤t+1 における最小値。
| t の範囲 | 軸と区間 | 最小値 |
|---|
| t+1<1 (t<0) | 区間が軸より左 | f(t+1)=(t)2+2=t2+2 |
| t≤1≤t+1 (0≤t≤1) | 軸を含む | f(1)=2 |
| t>1 | 区間が軸より右 | f(t)=(t−1)2+2 |
大事: 動く区間では 「区間が軸を含む条件」 をまず 不等式 で書き出す。 ここを起点に場合分け。
4. 解の分布
二次方程式 f(x)=ax2+bx+c=0 の実数解が どの範囲にあるか を調べる問題。 大学入試必出。
3 つの武器
| 武器 | 役割 |
|---|
| 判別式 D | 実数解が何個か |
| 軸 x=−2ab の位置 | 解が区間の内側か |
| 端点での f の値 | 解が端点をまたぐか |
例題: 異なる 2 つの解がともに正
x2−2(a+1)x+a2+3=0 が異なる 2 つの正の実数解を持つ条件を求めよ。
a>0 なのでグラフは下に凸。 条件:
(1) D>0: 4(a+1)2−4(a2+3)>0⇒8a−8>0⇒a>1
(2) 軸が正: x=a+1>0⇒a>−1
(3) f(0)>0: a2+3>0 (常に成立)
3 つの共通: a>1。
例題: 1 つの解が区間内、 もう 1 つが区間外
f(α)f(β)<0 で 「f が区間の端で符号が異なる」 と言える。 すなわち α<x<β に 1 つの解が入る。
例: x2−2ax+3=0 が 0<x<2 にちょうど 1 つの解を持つ条件を求めよ。
f(0)f(2)<0
3⋅(4−4a+3)<0
7−4a<0
a>47
ポイント: 「解が端を含む区間内に入る」 場合は端での符号 (正・負) を個別に確認する必要があります。 機械的に f(α)f(β)<0 を使えるのは 「両端を含まない」 ときだけ。
5. 文章題
面積最大化
例: 周の長さが 20 cm の長方形の面積を最大にせよ。
縦を x cm とすると横は 10−x cm。 面積:
S=x(10−x)=−x2+10x=−(x−5)2+25
0<x<10 で頂点(5,25) が内部にあるので
最大値S=25 cm² (x=5, つまり正方形)。
距離最短
例: 直線y=2x+1上を動く点P(x,2x+1) と原点O の距離が最小となる点を求めよ。
OP2=x2+(2x+1)2=5x2+4x+1=5(x+52)2+51
最小値51 (x=−52)、 距離51=55。
大事: 文章題では 「変数を自分で設定する」 ことが第一歩。 何を x に取るかで式の複雑さが大きく変わります。
6. 平方で表すことができるか
二次関数の最大・最小は結局 「平方 (≥0)」 を使う計算 に帰着します。
a2≥0,(等号は a=0 のとき)
例: f(a,b)=a2+b2−4a+6b+13 の最小値を求めよ。
f=(a2−4a+4)+(b2+6b+9)=(a−2)2+(b+3)2
(a−2)2≥0 かつ (b+3)2≥0 より最小値は 0 (a=2,b=−3)。
ポイント: 2 変数の二次式でも、 各変数ごとに 平方完成 すれば最小・最大が一気に出ます。
まとめ
- 区間内の最大・最小は 軸・両端・頂点 の f の値を比較
- 軸が動く場合は 軸と区間の端 / 中央 の位置関係で場合分け
- 解の分布は 判別式 / 軸 / 端点の符号 の 3 武器
- 文章題は 変数設定と範囲設定 が第一歩
次章からは 三角比 に入り、 直角三角形と sinθ,cosθ,tanθ の関係を学びます。