この章で学ぶこと
中学 2 年 で 学ん だ 合同 (ごうどう) は 「形 も 大きさ も 同じ」。 中学 3 年 で 学ぶ 相似 は 「形 は 同じ で 大きさ は 違う」。 拡大・縮小 し て ぴたっ と 重なる 関係 です。
入試 で は 三角形 の 相似 を 証明 する 問題 と、 相似比 から 長さ・面積・体積 を 求める 問題 が 必ず 出 ます。 図形単元 の 中 で も 配点 が 大きい 重要章。
ゴール:
- 相似 の 定義 と 表記 (△ABC∼△DEF) が 理解 でき る
- 三角形 の 相似条件 3 つ を 暗記 し、 証明 で 適切 に 使え る
- 相似比 = 1 : 2 → 面積比 = 1 : 4、 体積比 = 1 : 8 を 即答 でき る
- 中点 連結 定理 を 使い こな せ る
- 平行線 と 比 (平行 線 と 線分 の 比) で 線分 の 長さ を 求め られる
1. 相似 と は
2 つ の 図形 で、 一方 を 拡大 ・ 縮小 する と 他方 と ぴったり 重 なる とき、 これ ら は 相似 で ある と いう。 記号 は ∼。
例: △ABC∼△DEF と 書く と、
- 対応 する 角 は 等しい: ∠A=∠D, ∠B=∠E, ∠C=∠F
- 対応 する 辺 の 比 が 等しい: AB:DE=BC:EF=CA:FD
この 等しい 比 を 相似比 と いい ます。 相似比 が 1 : 1 なら 合同。
表記 の 鉄則:相似 を 書く とき は 対応順 に 頂点 を 並べる。 △ABC∼△DEF なら A↔D、 B↔E、 C↔F。 順序 を 間違える と 減点。
2. 三角形 の 相似条件 (3 つ)
合同条件 (3 辺、 2 辺 と 間 の 角、 1 辺 と 両端 の 角) と 似 て いる が、 角 が 1 つ 緩く なる イメージ。
- 3 組 の 辺 の 比 が すべて 等しい
- 2 組 の 辺 の 比 と その 間 の 角 が 等しい
- 2 組 の 角 が それぞれ 等しい
中学入試 で は 3 番 (2 組 の 角) が 圧倒的 に 出題多い。 角度 は 平行線 の 錯角 / 同位角、 共通 の 角、 円周角等 から 取る こと が 多い。
例題 1: 相似 の 証明
△ABC で、 BC // DE (D は AB 上、 E は AC 上) の とき、 △ADE∼△ABC を 証明 せよ。
証明
- ∠A は 共通 ... ①
- BC // DE より、 同位角 で ∠ADE=∠ABC ... ②
- ①、 ② より 2 組 の 角 が それぞれ 等しい ので、 △ADE∼△ABC。 (証明終)
ポイント: 「平行線 が ある」 と 言わ れ たら 即 「同位角・錯角 で 角 を 持っ て こ よう」。 これ が 相似証明 の テンプレ。
3. 相似比 と 線分 の 長さ
相似比 が 分かる と、 対応 する 辺 の 長さ が 求 まり ます。
例題 2: △ABC∼△DEF、 相似比 が 2 : 3、 AB=8 cm の とき、 DE の 長さ を 求め よ。
AB:DE=2:3 なので、
8:DE=2:3⟹DE=12 cm
例題 3: 図 で BC // DE、 AD=4,DB=6,BC=15 の とき DE を 求め よ。
△ADE∼△ABC、 相似比 = AD:AB=4:10=2:5。
DE:BC=2:5⟹DE=15×52=6
4. 面積比 と 体積比
相似 な 図形 の 大きさ の 比 が、 何 と どう 連動 する か を 整理。
| 量 | 比 |
|---|
| 長さ (相似比) | a:b |
| 面積比 | a2:b2 |
| 体積比 | a3:b3 |
例題 4: △ABC∼△DEF、 相似比 が 2 : 3 の とき、 面積比 を 求め よ。
22:32=4:9
例題 5: 半径比 が 1 : 2 の 球 の 体積比 は?
13:23=1:8
例題 6 (入試頻出): 相似 な 三角形 で 面積比 が 9 : 16 の とき、 周 の 長さ の 比 (= 相似比) は?
9:16=3:4
鉄則: 「面積比 から 相似比 を 出す」 とき は 、 「相似比 から 体積比 を 出す」 とき は 3 乗。 暗記 し て 使い こな す。
5. 中点連結定理
三角形 の 2 辺 の 中点 を 結ん だ 線分 は、 残り の 辺 と 平行 で、 長さ は その 半分。
△ABC で、 M が AB の 中点、 N が AC の 中点 なら、
MN∥BC,MN=21BC
例題 7: △ABC で、 AB = 10, AC = 8, BC = 12, M を AB の 中点、 N を AC の 中点 と する。 MN の 長さ を 求め よ。
MN=21×12=6
例題 8 (応用): 四角形 ABCD の 各辺 の 中点 を P, Q, R, S と する。 四角形 PQRS は どんな 四角形 か。
[[考|かんが]え[方|かた]]対角線 AC を 引く と、 PQ, SR は AC の 中点連結 で それぞれ AC // で 長さ 21AC。 同様 に PS, QR は BD // で 長さ 21BD。 → 向かい合う 辺 が 平行 で 長さ も 等しい → 平行四辺形。
ポイント:中点連結定理 は 入試 で 「気づける か」 が 鍵。 中点 が 2 つ 以上出 たら すぐ 疑う。
6. 平行線 と 線分 の 比
3 本 の 平行線 が 2 直線 に 切 られ た とき、 切り取られる 線分 の 比 は 等しい。
直線ℓ1,ℓ2 が 平行線a,b,c と それぞれ 交わる 交点 を A,B,C と A′,B′,C′ と する と、
AB:BC=A′B′:B′C′
三角形 で の 形 (基本中 の 基本)
△ABC で、 BC に 平行 な 直線 が AB を D、 AC を E で 切る とき、
AD:DB=AE:EC
AD:AB=AE:AC=DE:BC
例題 9: △ABC で BC // DE、 AD=6,DB=4,AE=9 の とき EC を 求め よ。
AD:DB=AE:EC⟹6:4=9:EC⟹EC=6
7. 相似 を 利用 する 文章題 (入試頻出)
例 1: 影 の 長さ
例題 10: 高 さ 1.6 m の 人 の 影 が 2 m。 同じ 時間 の 木 の 影 が 7 m。 木 の 高 さ は?
人 と 木 の 三角形 (太陽光 を 斜辺 と する) は 相似。
21.6=7x⟹x=5.6 m
例 2: 鏡 を 使う 測量
例題 11: 鏡 を 床 に 置き、 木 の てっぺん が 鏡 に 映る 位置 から 鏡 まで 1 m、 木 から 鏡 まで 5 m、 観測者 の 目 の 高 さ 1.5 m。 木 の 高 さ は?
入射角 = 反射角 → 三角形 が 相似。
11.5=5x⟹x=7.5 m
8. 入試 で の 相似 の よく ある パターン
(1) 円 と の 融合 (次章 で 学ぶ 円周角 と 一緒 に)
例題 12: 円 に 内接 する 四角形 の 対角線 で できる 4 つ の 三角形 の うち、 隣り合 わ ない 2 つ は 相似 (円周角 で 角 が 等しい)。
(2) 折り返し 図形
例題 13: 長方形 を 折り 返し て でき る 三角形 の 相似 を 利用 し、 折り 目 や 線分 の 長 さ を 求める。
(3) 1 つ の 図 に 何度 も 相似 が 隠れる
入試 では 1 つ の 図 で 3 〜 4 組 の 相似 が 同時 に 成り 立つ こと も。 全部 を 列挙 し て、 必要 な もの を 選ぶ 力 が 問 われる。
9. 章末演習 (入試形式)
(1) △ABC∼△DEF、 相似比 4 : 5。 △ABC の 面積 が 32 cm2 の とき △DEF の 面積 を 求め よ。
(2) △ABC で BC∥DE、 AD=5,DB=3,BC=16 の とき DE の 長 さ。
(3) 中点連結定理 を 使い、 △ABC (BC=14 cm) の 各辺 の 中点 を 結ん で でき る 三角形 の 周 の 長 さ を 求め よ (AB=10,CA=12)。
(4) 相似比 が 2 : 3 の 直方体 で、 小さい 方 の 体積 が 24 cm3 の とき 大きい 方 の 体積 を 求め よ。
略解:
(1) 面積比 = 42:52=16:25 → △DEF=32×1625=50 cm2
(2) AD:AB=5:8 → DE=16×85=10 cm
(3) 周 = 21(10+12+14)=18 cm
(4) 体積比 = 8:27、 大きい = 24×827=81 cm3
章 の まとめ:相似 の 主役 は 三角形 の 相似条件 (特 に 2 組 の 角) と 相似比 → 面積比 (a2) → 体積比 (a3)。 中点連結定理 と 平行線 と 比 は 「気 づき 力」 で 差 が つく。
まとめ — 相似な図形 を 3 行で
- 三角形 の 相似条件 は「3 組の辺の比が等しい」「2 組の辺の比と挟む角が等しい」「2 組の角が等しい」 の 3 つで、 とくに「2 組の角」 が頻出である
- 相似比 が a:b のとき面積比は a2:b2、 体積比は a3:b3 となり、 次元に応じた累乗が本質である
- 中点連結定理 (中点を結ぶ線分は第三辺に平行で長さは半分) と平行線と線分の比は、 補助線で相似を見つける眼力が問われる