この章で学ぶこと
中学 1, 2 年でも円を扱いましたが、 中学 3 年で学ぶ 円周角 の 定理 は図形単元の中でも 最強の武器 の 1 つ。 円の中に隠れた等しい角を一瞬で見つけられるようになります。
入試では 「円周角を利用して角度を求める」 「円周角で 相似 を 証明 する」 「接線 や接弦定理と組み合わせる」 等、 円が絡む問題は必ず出題されます。
ゴール:
- 円周角の定理: 同じ 弧 に対する円周角は等しく、 中心角の半分
- 半円 の弧に対する円周角 = 90° (直径を見込む角)
- 円周角の逆を使い、 4 点が同一円周上にあることを示せる
- 接線は 接点を通る半径と垂直
- 2 接線の長さは等しい
- 接弦定理: 接線と弦のなす角 = その弦に対する円周角
1. 円周角と中心角
円周上の 1 点から、 円周上の 2 点を結んだ角を 円周角 という。 また、 円の中心と同じ 2 点を結んだ角を 中心角 という。
円周角の定理
1 つの弧に対する円周角はすべて等しく、 中心角の半分である。
∠(円周角)=21∠(中心角)
例題 1: 中心角が 80° のとき、 同じ弧に対する円周角は?
80÷2=40°
例題 2: 円周角が 35° のとき、 中心角は?
35×2=70°
ポイント: 「同じ弧」 が大事。 別の弧 (反対側) を見ていると別の角度になります。
2. 弧と円周角の大小関係
同じ円では、 弧が長いほど円周角も大きい。 等しい弧 → 等しい円周角、 等しい円周角 → 等しい弧。
例題 3: 円で弧 AB = 弧 CD のとき、 弧 AB に対する円周角と弧 CD に対する円周角は等しいことを確認する。
これは 「等しい弧に対する円周角は等しい」 の言い換え。
3. 半円の弧に対する円周角 = 90°
直径を AB、 円周上の別の点を P とすると、
∠APB=90°
これを タレスの定理 ともいう。 円周角の定理から、 中心角 = 180° (直線) なので円周角 = 90°。
例題 4: 直径 AB、 円周上の点 P で、 ∠PAB=30° のとき ∠ABP を求めよ。
∠APB=90° なので、 三角形 ABP の内角和で、
∠ABP=180°−90°−30°=60°
応用: 「直径を見込むと 90°」 を使い、 直径を 斜辺 とする直角三角形が隠れていることを見抜く。 入試頻出の視点。
4. 円周角の定理の逆
「2 点 P, Q が直線 AB に対して同じ側にあり、 ∠APB=∠AQB なら、 4 点 A, B, P, Q は同一円周上にある」。
つまり、 「角度が等しいから同じ円に乗っている」 が言える。
例題 5: 四角形 ABCD で、 ∠ABD=∠ACD なら、 4 点 A, B, C, D は同一円周上にある。
(2 点 B, C が直線 AD に対して同じ側にあり、 同じ線分 AD を見ている角が等しい)
5. 接線の性質
円と直線が 1 点で接するとき、 その直線を 接線、 接する点を 接点 という。
性質 1: 接線 ⊥ 半径
接線は、 接点を通る半径 (中心からの線分) と垂直。
例題 6: 半径 5 の円の中心 O、 円外の点 P で OP = 13。 接線 PA を引いたとき、 PA の長さを求めよ。
△OAP で ∠OAP=90°、 三平方 の定理 (次章で詳しく学ぶ) で、
PA=132−52=144=12
性質 2: 2 接線の長さは等しい
円外の 1 点から引いた 2 本の接線の 長さは等しい。
例題 7: 円に外接する三角形 ABC がある。 接点を P (BC 上)、 Q (CA 上)、 R (AB 上) とし、 AR=4,BP=5,CP=6 のとき、 AB の長さを求めよ。
性質 2 で AR=AQ=4、 BR=BP=5、 CP=CQ=6。 AB=AR+RB=4+5=9。
6. 接弦定理
円とその接線、 接点を端に持つ弦で、 接線と弦のなす角 = その弦に対する円周角 (反対側の弧の)。
例題 8: 円の接線 ATがあり、 弦 AB と接線のなす角 (∠TAB) が 50° のとき、 弦 AB に対する反対側の弧の円周角 (∠APB, P は反対側の弧上) は?
接弦定理で、
∠APB=50°
使い道:接弦定理は 接線がある図での角度移動の切り札。 入試で突然使う場面があるので必ず暗記。
7. 円と相似の融合 (入試頻出)
円周角で角度が等しいことを利用すると、 三角形の相似が簡単に証明できる。
例題 9: 方べきの状況
円の内部で 2 つの弦 AB と CD が点 P で交わるとき、 △PAC∼△PDB を示せ。
証明
- ∠APC=∠DPB (対頂角) ... ①
- ∠PAC=∠PDB (弧 BC に対する円周角) ... ②
- ①、 ② より 2 組の角がそれぞれ等しい ので、 △PAC∼△PDB
このとき相似比から、
PA×PB=PC×PD
これを 方べきの定理 といい (中学範囲 では 「相似を利用して求める」 形で出題)、 線分の長さを求めるのに強力。
例題 10
円内で弦 AB と CD が P で交わり、 PA = 6, PB = 4, PC = 3 のとき、 PD を求めよ。
6×4=3×PD⟹PD=8
8. 角度計算の入試パターンまとめ
入試で円が絡む角度計算の切り口:
- 同じ弧 → 円周角等しい
- 中心角 = 円周角の 2 倍
- 直径を見込む角 = 90°
- 四角形が円に内接 → 対角の和 = 180° (高校で詳しく学ぶが中学でも知っておくと楽)
- 接弦定理
- 三角形の内角和 = 180°、 外角 = 内対角の和 も併用
コツ:円が絡む図では 「等しい角に 同じ印 をつける」。 視覚化すると 解法が見えてきます。
9. 章末演習 (入試形式)
(1) 円周上に 4 点 A, B, C, D がある。 中心角∠BOD=120° のとき、 円周角∠BAD を求めよ。
(2) AB が直径の円で、 円周上に点 C を取る。 ∠BAC=25° のとき ∠ABC を求めよ。
(3) 円外の点 P から接線 PA を引き、 PA = 8、 PB を引き円と P 以外で C, B で交わる (PC<PB)、 PC=4。 PB を求めよ (方べきの定理を相似で導く)。
(4) 円周上に 4 点 A, B, C, D がある。 円周角∠ABD=30°, ∠ACD=30°。 4 点が同一円周上にあると言えるか。
略解:
(1) 21×120=60°
(2) 直径を見込む角で ∠ACB=90°、 内角和で ∠ABC=65°
(3) △PCA∼△PAB (∠P共通、 接弦定理で ∠PAC=∠PBA)。 PA2=PC×PB⇒64=4×PB⇒PB=16
(4) AD を見込む角が等しく、 B, C が AD に対して同じ側 → 円周角の定理の逆で 同一円周上
章のまとめ:円単元の主武器は 円周角の定理 と 接弦定理、 加えて 「直径 → 90°」。 これらを自在に使えれば、 円と相似の融合問題も短時間で解けるようになります。
まとめ — 円を 3 行で
- 円周角の定理は「同じ弧に対する円周角は中心角の半分」 で、 同一弧の円周角はすべて等しいという強力な性質を持つ
- 直径に対する円周角は必ず 90° となり、 「直径を見たら直角を疑え」 が標準的な解法着眼点である
- 接弦定理 (接線と弦のなす角 = その弦に対する円周角) と方冪の定理を組み合わせると、 円と相似の融合問題が迅速に解ける