この章で学ぶこと
中学数学の集大成。 公立高校入試の出題パターンを 4 分野 (計算、 関数、 図形、 統計 / 確率) に分け、 「絶対落としてはいけない基本」 と 「差がつく応用」 を一気に整理します。
入試直前の仕上げ、 そして入試中の 解 き方の引き出し として何度も立ち返ってください。
ゴール:
- 中 1 〜 中 3 の 計算ルール を復習し、 短時間で正確に計算できる
- 一次・二次関数と直線・放物線の 融合問題 の解法を整理
- 図形 (合同・相似・円・三平方) の 証明と計算 の王道パターンを押さえる
- 確率・標本調査の 用語と計算 を確認
- 公立入試の 大問構成 と時間配分を知る
1. 公立入試数学の大問構成 (一般例)
公立高校入試の数学は都道府県で多少違うが、 大体つぎの 5 〜 6 題:
| 大問 | 内容 | 配点 (例) |
|---|
| 1 | 小問集合 (計算中心) | 30 〜 40 点 |
| 2 | 関数と グラフ | 15 〜 20 点 |
| 3 | 図形 (証明含む) | 15 〜 20 点 |
| 4 | 確率・統計・場合の数 | 10 点 |
| 5 | 思考力 / 融合問題 | 10 〜 15 点 |
時間配分の目安: 50 分試験なら、 大問 1 を 15 分、 その他を各 7 〜 8 分。 最後に 5 分見直し。 大問 1 を落とさないことが合格の鍵。
2. 計算 (大問 1) — 絶対取りたい基本
(1) 正負の数 ・ 文字式
例題 1: −22−(−3)2=?
注意: −22=−(22)=−4、 (−3)2=9。 答え = −4−9=−13。
つまずきポイント: −22 と (−2)2 の違い。 累乗 が先、 マイナス後が基本。
(2) 平方根
例題 2: 18−26=?
18=32, 26=32。 答え = 0。
(3) 多項式の展開・因数分解
例題 3: (x+2)(x−3)−(x−1)2 を 展開 して整理せよ。
x2−x−6−(x2−2x+1)=x−7
例題 4: 4x2−9 を 因数分解 せよ → (2x+3)(2x−3)。
(4) 連立・二次方程式
例題 5: {2x+y=7x−3y=7 を解け。
加減法で y を消す。 ⋅3 して 6x+3y=21、 と x−3y=7 を足すと 7x=28⇒x=4,y=−1。
例題 6: x2−5x+3=0 を解の 公式 で解け。
x=25±25−12=25±13
(5) 関数の値・変域
例題 7: y=−21x2 で −2≤x≤4 のとき y の 変域。
頂点 (0,0) をまたぐ → 最大 = 0。 端点で最小: x=4 で y=−8 (こちらが大きい方の絶対値)。
−8≤y≤0
3. 関数 (大問 2) — 直線と放物線の融合
王道の流れ
- 与えられた条件から 関数の式 を決める
- 交点を連立 で求める
- 図を描いて線分 / 三角形を確認
- 面積 を計算 (底辺と高さをどこに取るかがポイント)
- 面積を 2 等分する直線、 等積変形等の発展
例題 8 (融合)
放物線 y=21x2 と直線y=x+4 がある。
(1) 交点 A, B の座標を求めよ。
連立: 21x2=x+4⇒x2−2x−8=0⇒(x−4)(x+2)=0。
x=4,−2 → A(−2,2), B(4,8)。
(2) △OAB の面積を求めよ。
直線の y切片 C(0,4)。 OC を底辺 (= 4) として 2 分割。
△OAB=21⋅4⋅2+21⋅4⋅4=4+8=12
(3) y 軸上に点 P を取り、 △PAB の面積が △OAB と等しくなるようにする。 P の y 座標を求めよ (発展)。
P を (0,p) と置く。 △PAB=21⋅∣p−4∣⋅(4−(−2))=3∣p−4∣=12⇒∣p−4∣=4。
p=0 または p=8。 p=0 は 原点 と一致 (元の三角形) なので、 別解は p=8。
4. 図形 (大問 3) — 証明と長さ・面積
中 3 図形 4 大武器
- 合同 (中 2): 3 つの合同条件
- 相似 (中 3): 3 つの相似条件、 特に 「2 組の角」
- 円周角 (中 3): 同弧 → 同角、 直径 → 90°、 接弦定理
- 三平方 (中 3): a2+b2=c2、 1:1:2、 1:2:3
証明の基本手順
- 結論を確認 (何を示すか)
- 使えそうな条件 を図に書き込む (角度・長さ・印)
- 合同 / 相似のどちらかを選ぶ
- 条件を列挙 して、 最後に 「○ ○ より、 △ABC ≡ △DEF (or ∽)」 を書く
- 結論 を 1 行で書く
例題 9 (相似の証明)
△ABC で、 ∠A の二等分線が BC と交わる点を D とする。 BC 上の点 P で ∠APB=∠ACB のとき、 △APB∼△ACB を示せ。
証明
- ∠ABP は共通 ... ①
- ∠APB=∠ACB (仮定) ... ②
- ①、 ② より、 2 組の角がそれぞれ等しい ので、 △APB∼△ACB。 (証明終)
例題 10 (三平方 + 相似融合)
直径 10 の円で、 弦 AB の長さ 8 のとき、 中心 O から弦までの距離を求めよ。
中心から弦への垂線の足を H とすると、 H は AB の中点 → AH = 4。 半径 OA = 5。 △OAH で三平方:
OH=52−42=3
5. 統計・確率 (大問 4)
確率 (中 2 範囲だが入試必出)
「同様に確からしい」 場合の確率:
確率=全ての場合の数条件を満たす場合の数
例題 11: 大小 2 個のサイコロを投げ、 出た目の和が 7 となる確率。
全 36 通り。 和 7 = (1,6),(2,5),(3,4),(4,3),(5,2),(6,1) の 6 通り。
366=61
標本調査 (中 3、 第 9 章の復習)
例題 12: 1000 個の部品から 50 個を取り出して検査し、 不良が 2 個あった。 1000 個中の不良品を推定せよ。
502=1000x⇒x=40 → 約40 個。
データの散らばり (中 1, 中 2 の復習)
- 平均値: 全ての値の和 ÷ 個数
- 中央値 (メジアン): 並べたときのまん中
- 最頻値 (モード): 一番多く出る値
- 範囲 (レンジ): 最大 − 最小
- 四分位数 ・ 箱ひげ図 (近年必出)
6. 入試直前 ・ ケアレスミスチェックリスト
計算ミスで 1 問落とせば 5 点失う。 つぎの 7 つを必ず自己点検。
- 符号チェック: −(−3)=+3、 −22=−4
- 展開後同類項 をまとめたか
- 因数分解が終わっているか (まだ共通因数が残ってないか)
- 方程式の解を全部書いたか (二次は 2 つあるのが普通)
- 文章題で解が問題に適するか確認したか (長さ・人数は正)
- の中を簡単化したか / 分母を有理化したか
- 単位を書いたか (cm, cm2, 個, 人等)
7. 入試解法の引き出し (図形)
| 出題形 | 第一手 |
|---|
| 直角三角形 + 長さ | 三平方 |
| 角度が 30°/45°/60° | 特別な直角三角形 |
| 円 + 角度 | 円周角 |
| 平行線 + 線分 | 相似 (錯角・同位角) |
| 中点が 2 つ以上 | 中点連結定理 |
| 接線がある | 接線 ⊥ 半径 / 接弦定理 |
| 立体の表面上の距離 | 展開図で直線 |
8. 章末演習 (入試形式)
(1) 12×15÷20 を計算せよ。
(2) x2−6x+4=0 を解け。
(3) 放物線y=ax2 が点(2,−8) を通るとき、 a の値と、 x が 1 から 4 まで変わるときの変化の割合を求めよ。
(4) 半径 6 の円 O で、 弦 AB がある。 中心 O から弦までの距離が 32 のとき、 弦 AB の長さ。
(5) 1 辺 6 の立方体の体内対角線の長さ。
(6) 母集団 5000 人から 100 人を無作為抽出したところ、 25 人がある雑誌を読んでいた。 母集団の中で読んでいる人数を推定せよ。
略解:
(1) 2012×15=9=3
(2) x=26±36−16=3±5
(3) −8=4a⇒a=−2。 変化の割合 = a(p+q)=−2×5=−10
(4) 半弦 = 36−18=18=32 → 弦 = 62
(5) 63
(6) 10025=5000x⇒x=1250 → 約1250 人
9. 入試直前の心構え
- 大問 1 を全問正解するつもりで。 ここで 30 点取れば合格ラインに一気に近づく
- 分からない問題は飛ばす。 1 問に 5 分以上は危険。 戻って解けば良い
- 図を大きく描く。 小さい図はミスを招く
- 「式」 と 「答え」 を明確に区別。 部分点が取れる
- 最後に 5 分は見直しに使う
章のまとめ:中学数学は計算 → 関数 → 図形 → 統計の 4 本柱。 公立入試では 「基本の確実さ」 + 「融合問題への対応力」 が勝負。 これまでの 9 章を何度も復習し、 自信を持って試験に臨んでください。 努力は必ず数字として返ってきます。
まとめ — 中 3 数学総復習を 3 行で
- 中学数学は計算・関数・図形・統計の 4 本柱で構成され、 公立入試では基本問題の確実な得点が合格ラインへの最短ルートである
- 融合問題 (関数 × 図形、 円 × 相似、 三平方 × 空間) は各単元の公式を組み合わせて攻略し、 図を大きく描いて条件を整理する
- 入試直前は大問 1 の完全制覇・時間配分・見直し 5 分の 3 戦略で臨み、 これまでの 9 章の反復演習で自信をつけることが合格の鍵である