この章で学ぶこと
中学 3 年で初めて学ぶ 新しい数の仲間、 それが 平方根 です。
平方根 は 「2 乗するともとの数になる数」 のこと。 たとえば 32=9 なので、 9 の 平方根は 3 と −3 です。 ところが、 2 や 5 など、 整数にならない平方根があることも学びます。 これが 無理数 です。
入試では 「数の計算問題」 「二次方程式 の 解 の 公式」 「三平方の定理 の答え」 など、 ほぼ全単元に登場する道具です。 計算を自在にこなせるようにしましょう。
この章が終わるころには、 つぎができます。
- a の意味、 a>0 に対して平方根が 2 つ (±a) あることを説明できる
- a×b=ab や ba=ba を使いこなせる
- の中をできる限り簡単にする (12=23等) ことができる
- 分母に を残さない 有理化 ができる
- 平方根の加減算 (32+2=42等) ができる
- 2≈1.41、 3≈1.73、 5≈2.24 を暗記し近似値を出せる
1. 平方根の意味
2 乗して a になる数 を 「a の 平方根」 といいます。 例えば、
- 4 の平方根は 2 と −2 (22=4, (−2)2=4)
- 25 の平方根は 5 と −5
- 0 の平方根は 0 だけ
正の数a に対して、 平方根のうち 正の方 を a (ルート a)、 負の方 を −a と書きます。 つまり平方根は ±a の 2 つ。
例: 9=3、 −16=−4、 0=0。
注意: a は 「正の方だけ」 をさす記号。 「9 の平方根は 9」 と答えたら半分 (実際は ±3)。 「9 の平方根を求めよ」 → ±3、 「9 の値は」 → 3 と区別すること。
2. 有理数と無理数
整数や 分数 で表せる数を 有理数、 表せない数を 無理数 といいます。
| 数の種類 | 例 |
|---|
| 整数 | −3,0,5 |
| 分数 (整数 / 整数) | 21,3−7 |
| 有限小数 | 0.25,1.5 |
| 循環小数 | 0.333…=31 |
| 無理数 | 2,3,π |
2 は 1.41421356… とどこまでも続き、 循環しない小数。 これが無理数です。
ポイント: 4=2 は整数なので 有理数。 がついていれば必ず無理数、 とは限らないことに注意。
3. の中を簡単にする
ab=a×b (a,b≥0) を使い、 2 乗の 因数 を外に出し ます。
例題 1: 12 を簡単にせよ。
12=4×3=22×3 なので、
12=22×3=23
例題 2: 72 を簡単にせよ。
72=36×2=62×2 より、
72=62
例題 3: 50×8 を計算せよ。
積としてまとめる。 50×8=400=20。
コツ:中の数を 素因数分解 し、 偶数個ある素数を外に出す。 180=22⋅32⋅5=65。
4. 加法と減法
「同じ の数同士だけまとめられる」。 これは文字式の 同類項 と同じ感覚です。
32+52=82,73−23=53
例題 4: 12+27 を計算せよ。
まず中を簡単に。 12=23, 27=33。 同じ 3 なのでまとめる。
12+27=23+33=53
例題 5: 8−18+50 を計算せよ。
8=22, 18=32, 50=52
22−32+52=42
注意: 2+3 は これ以上まとめられない。 5 になると思ったら大ミス。 2+3=2+3 です。
5. 乗法と除法
a×b=ab,ba=ba
例題 6: 6×15 を計算せよ。
6×15=90=9×10=310
例題 7: 218 を計算せよ。
218=9=3
6. 有理化 — 分母から を消す
分母に が残る形は標準形ではないので、 分母と分子に同じ をかけて消し ます。 これを 有理化 といいます。
例題 8: 21 を 有理化 せよ。
分母分子に 2 をかける。
21=2×21×2=22
例題 9: 36 を有理化せよ。
36=363=23
例題 10 (分母に a+b型): 3+11 を有理化せよ。
分母が 「和」 のときは 分母の共役 (符号反転) を分母分子にかけます。 (3−1) をかけて、
3+11=(3+1)(3−1)3−1=3−13−1=23−1
(分母が a2−b2公式で整数化される)
ポイント: 「答えに分母の を残さない」 がお約束。 入試では有理化していないと不正解扱いになることも。
7. 近似値 — 暗記する平方根
| n | 近似値 | ごろあわせ |
|---|
| 2 | 1.41421… | ひとよひとよにひとみごろ |
| 3 | 1.7320508… | ひとなみにおごれや |
| 5 | 2.2360679… | ふじさんろくおうむ鳴く |
| 6 | 2.4494… | によよく |
| 7 | 2.6457… | なにむしこな |
| 10 | 3.16227… | みちひとなみに |
例題 11: 12 の近似値を求めよ (3≈1.73)。
12=23≈2×1.73=3.46
例題 12: 21 の近似値を小数第 2 位まで求めよ。
有理化して、 22≈21.414≈0.71
8. 平方根の大小比較
a,b が正の数で a<b なら a<b。 の中で比較すれば OK。
例題 13: 3,8,10 を小さい順に並べよ。
3=9 と見れば、 8<9<10 より、
8<3<10
コツ:整数を n2 の形に直して、 中の数で比べる。 5=25、 21=41。
9. 入試頻出 — 平方根を含む計算と式の値
例題 14: x=2+3, y=2−3 のとき、 x+y, xy, x2+y2 の値を求めよ。
x+y=4,xy=(2+3)(2−3)=4−3=1
x2+y2=(x+y)2−2xy=16−2=14。
(展開 や 因数分解 の公式が平方根でも使える のがポイント)
例題 15: 50−32+26 を計算せよ。
50=52, 32=42, 26=32。
52−42+32=42
10. 章末演習 (入試形式)
(1) 48 を簡単にせよ。
(2) 27+12−75 を計算せよ。
(3) 62 を有理化せよ。
(4) 2−33 を有理化せよ。
(5) x=5+1 のとき、 x2−2x の値を求めよ。
略解:
(1) 43
(2) 33+23−53=0
(3) 626=36
(4) 分母分子に 2+3 をかけて、 4−33(2+3)=6+33
(5) x−1=5、 両辺を 2 乗して x2−2x+1=5 → x2−2x=4
章のまとめ:平方根は 「中を簡単にする」 「有理化」 「同類のものだけ加減」 の 3 大操作。 入試計算での失点を防ぐため、 100 問演習を推奨。
まとめ — 平方根を 3 行で
- 平方根は a2b=ab で中を簡単にし、 無理数 と 有理数 を区別して計算するのが基本である
- 有理化は分母の を除去する操作で、 a1=aa、 a−b1=a2−ba+b (共役) の 2 型がある
- 平方根の加減は同類項扱いで の中身が等しいものだけまとめ、 乗除は中身どうしで掛け割るのが鉄則である