この章で学ぶこと
文字式 は 「計算を楽にする道具」 だけではありません。 「いつでも成り立つ性質を説明する道具」 でもあります。 この章ではその力を体験します。
- 偶数・奇数・倍数 を文字式で表す
- 連続する整数 を文字式で表す
- 文字式を使って 数の性質 を説明 (論証) する
- 図形や表から 規則性 を見つけ、 文字式で表す
- 等式の変形 で 公式 を別の文字について 解く
ポイント: 「具体例で確かめる」 → 「文字に置き換えて説明」 — この流れが中学数学の 中心 です。 数学の 「証明」 への第一歩。
1. 偶数・奇数・倍数を文字式で
整数を文字で表す
ふつう 整数 を n とおきます。 n が 整数 であるということは、 n には 0、 1、 -1、 2、 -2、 3 … のどれでも入る、 ということ。
| 表すもの | 文字式 | 説明 |
|---|
| 偶数 | 2n | 2 の倍数 |
| 奇数 | 2n+1 または 2n−1 | 偶数に 1 をたすかひく |
| 3 の倍数 | 3n | |
| 5 でわると 2 あまる数 | 5n+2 | |
連続する整数
| 表すもの | 文字式 |
|---|
| 連続する 2 つの整数 | n、 n+1 |
| 連続する 3 つの整数 | n−1、 n、 n+1 (まんなかを n) |
| 連続する 2 つの偶数 | 2n、 2n+2 |
| 連続する 2 つの奇数 | 2n−1、 2n+1 |
大事: 連続整数を表すときは 「まんなかを文字におく」 と計算が楽になることが多い。
2. 数の性質を説明する
例題 1: 連続する 3 つの整数の和
例題
| 問題 | 説明 |
|---|
| 連続する 3 つの整数の和は 3 の倍数 であることを説明せよ。 | まんなかを n とおくと、 3 数は n−1、 n、 n+1。 和 = (n−1)+n+(n+1)=3n。 n が整数だから 3n は 3 の倍数。 ☐ |
例題 2: 偶数 + 奇数
例題
| 問題 | 説明 |
|---|
| 偶数と奇数の和は 奇数 であることを説明せよ。 | 偶数を 2m、 奇数を 2n+1 (m、 n は整数) とおく。 和 = 2m+2n+1=2(m+n)+1。 m+n は整数だから、 2(m+n)+1 は 奇数。 ☐ |
大事: 「説明 (証明) せよ」 とあれば、 ① 文字で設定 ② 計算 ③ 「○ の倍数 / ○ である」 と結論 の 3 段階を守る。
3. 規則性を見つけて文字式で表す
マッチ棒の例
正方形をマッチ棒で横につなげて作るとき、 何本必要か。
| 正方形の数 | マッチ棒の本数 |
|---|
| 1 | 4 |
| 2 | 7 |
| 3 | 10 |
| 4 | 13 |
| n | 3n+1 |
理由: 1 個目は 4 本、 以降 1 個増やすごとに 3 本ずつふえる。 「最初の 1 本 + 3 本×個数」 と考えると 1+3n=3n+1。
「ご石の並び」 の例
「正三角形 の形にご石を 1 辺n個ずつ並べると、 ご石はいくつ必要か」 など、 図から数を取り出して式化する練習をします。
| 1 辺n | ご石の数 |
|---|
| 2 | 3 |
| 3 | 6 |
| 4 | 10 |
| n | 2n(n+1) (高校で学ぶ。 中 1 では表で法則を確認するだけで十分) |
大事: 表にして差を見る ことが規則性を見抜くコツ。 「毎回何ふえるか」 が一定なら、 □n+△ の形になる。
やってみよう: マッチ棒で正三角形を n個横につなげるとマッチ棒は何本必要か。 (答え: 1 個目 3 本、 以降 2 本ずつ → 2n+1)
4. 等式の変形
公式を別の文字について解く
y=2x+5 を x について解くと:
y=2x+5⟹y−5=2x⟹x=2y−5
例題
例題
| 問題 | 解法 |
|---|
| ℓ=2(a+b) を b について解け | 両辺を 2 でわる: 2ℓ=a+b。 a を移項: b=2ℓ−a |
| S=21ah を h について解け | 両辺を 2 倍: 2S=ah。 両辺を a でわる: h=a2S |
| V=πr2h を h について解け | 両辺を πr2 でわる: h=πr2V |
大事: 等式の変形は 方程式を解くのと同じ操作。 求める文字を 「左辺へ、 1 つだけ」 残す。
やってみよう: a=bc+d を c について解け。 (答え: c=ba−d)
5. 整数の性質を探る (発展)
「連続整数の積」
連続する 2 つの整数の積n(n+1) は 必ず偶数 である。 理由: n と n+1 のどちらかが必ず偶数だから。
文字で説明:
- n が偶数なら n=2m → n(n+1)=2m(n+1) は偶数。
- n が奇数なら n+1 が偶数 → (n+1)=2m で n(n+1)=2mn は偶数。
☐
「3 連続の積」
連続する 3 つの整数の積n(n+1)(n+2) は 必ず 6 の倍数 である。 (3 つのうち必ず偶数が 1 つ以上 + 3 の倍数が 1 つあるため。 中学では表や例で確認する程度でよい)
まとめ
- 偶数 = 2n、 奇数 = 2n+1、 連続整数 はまんなかを文字に
- 「数の性質を説明」 = ① 文字で設定 ② 計算 ③ 結論を言葉で
- 規則性 は表を作って差を見る → □n+△ の形を探す
- 等式の変形 は方程式を解くのと同じ手順
- 文字式は 「計算の道具」 + 「説明の道具」 の二役