この章で学ぶこと
「ある数を x とおくと、 2x+3=11 になる。 この x を知りたい」 — そんなときに使う強力な道具が 一次方程式 です。
- 等式 と 方程式 のちがいを知る
- 等式の性質 (両辺 に同じ数をたす・ひく・かける・わる) を理解する
- 移項 のしくみを身につける
- 1 元 1 次方程式の標準的な解き方を身につける
- カッコ・分数・小数をふくむ方程式を解く
- 解を必ず 検算 する
- 文章題を 方程式を立てて 解く 5 ステップを身につける
ポイント: 「等式の両辺を同じように動かして x= … の形を作る」 — これが方程式の本質。 移項 はその動きを早くする 「ショートカット」 です。
1. 等式と方程式
等式とは
= でむすばれた式を 等式 といいます。
3+5=8,2x+1=7,a+b=b+a
方程式とは
文字をふくむ等式のうち、 その文字に 特定の値を 代入 したときだけ 等式が成り立つものを 方程式 といい、 その値を 解 といいます。
2x+1=7⟹x=3 のときだけ成り立つ
| 式 | 種類 | 説明 |
|---|
| 3+5=8 | 等式 | 文字がない |
| 2x+1=2x+1 | 等式 (恒等式) | x がどんな値でも成り立つ |
| 2x+1=7 | 方程式 | x=3 のときだけ成り立つ |
大事: 「方程式を解く」 とは 「解をすべて求める」 こと。
2. 等式の性質
等式 は てんびん にたとえるとわかりやすいです。 両辺に同じことをすれば、 つりあいはくずれません。
| 性質 | 言い方 | 式 |
|---|
| ① 加法 | 両辺に同じ数をたしても等しい | a=b⇒a+c=b+c |
| ② 減法 | 両辺から同じ数をひいても等しい | a=b⇒a−c=b−c |
| ③ 乗法 | 両辺に同じ数をかけても等しい | a=b⇒ac=bc |
| ④ 除法 | 両辺を同じ 0 でない数でわっても等しい | a=b⇒ca=cb (c=0) |
例題
例題
| 問題 | 解法 |
|---|
| x−3=5 を解け | 両辺に 3 をたす: x=5+3=8 |
| x+4=9 を解け | 両辺から 4 をひく: x=9−4=5 |
| 3x=12 を解け | 両辺を 3 でわる: x=12÷3=4 |
| 5x=2 を解け | 両辺に 5 をかける: x=2×5=10 |
やってみよう: −2x=8 を解け。 (答え: 両辺を −2 でわって x=−4)
3. 移項
移項とは
= の一方の辺にある項を、 符号を変えて もう一方の辺にうつすことを 移項 といいます。
x+5=8⟹x=8−5⟹x=3
これは 「両辺から 5 をひく」 操作と同じこと。 移項は 等式の性質のショートカット です。
| 移項する項 | 符号の変化 |
|---|
| +5 | −5 になる |
| −7 | +7 になる |
| +3x | −3x になる |
例題
例題
| 問題 | 解法 |
|---|
| 2x+3=11 | +3 を移項: 2x=11−3=8、 両辺を 2 でわる: x=4 |
| 5x=2x+9 | 2x を移項: 5x−2x=9、 3x=9、 x=3 |
| 4x−7=−3 | −7 を移項: 4x=−3+7=4、 x=1 |
やってみよう: 3x−5=x+7 を解け。 (答え: 2x=12、 x=6)
4. 一次方程式を解く手順
標準的な 5 ステップ
- カッコをはずす (分配法則)
- 分数・小数ははらう (両辺に数をかける)
- x をふくむ項を左辺へ、 数だけの項を右辺へ 移項
- 同類項をまとめる (ax=b の形に)
- 両辺を x の係数でわる (x=ab)
カッコをふくむ例
3(x−2)=x+4
ステップ 1: カッコをはずす → 3x−6=x+4
ステップ 3: x を左、 数を右 → 3x−x=4+6
ステップ 4: 2x=10
ステップ 5: x=5
分数をふくむ例
2x+1=3x+2
両辺に 分母の最小公倍数 6 をかけて分数をはらう:
3x+6=2x+12
3x−2x=12−6
x=6
小数をふくむ例
0.3x+0.5=1.4
両辺に 10 をかけて整数化:
3x+5=14,3x=9,x=3
やってみよう: 2x−1=4x+5 を解け。 ヒント: 両辺に 4 をかけて、 2(x−1)=x+5。 (答え: x=7)
5. 解の検算
求めた解が正しいかは、 もとの方程式に代入 して確かめます。
例: 2x+3=11 で x=4 と出たなら、 左辺 = 2×4+3=11、 右辺 = 11、 両辺が等しいので正しい。
大事: テストでは必ず検算する。 1 ヶ所の符号ミスで全問不正解になるのを防ぐ。
6. 文章題を方程式で解く
5 ステップ
- 何を x とおくか を決める
- 問題の関係を文で書く
- 方程式を立てる
- 方程式を解く
- 問題の答えに合うか検算 + 単位をつけて答える
例題 1: 個数と代金
例題
| 問題 | 解法 |
|---|
| 1 個 80 円のりんごと 1 個 60 円のみかんをあわせて 12 個買い、 代金が 880 円だった。 りんごは何個か。 | りんごを x個とおくと、 みかんは (12−x)個。 代金: 80x+60(12−x)=880。 80x+720−60x=880、 20x=160、 x=8。 答え: りんご 8 個 |
例題 2: 速さ・時間・きょり
例題
| 問題 | 解法 |
|---|
| A さんは家から駅まで時速 4 km で歩くと 30 分おそく着き、 時速 6 km で走ると 10 分早く着く。 駅までのきょりを求めよ。 | きょり x km、 「ちょうどの時間」 を t時間とすると、 4x=t+6030、 6x=t−6010。 引き算: 4x−6x=6040=32。 両辺 12 倍: 3x−2x=8、 x=8。 答え: 8 km |
例題 3: 年齢の問題
例題
| 問題 | 解法 |
|---|
| 父は今 42 才、 子は 12 才。 父の年齢が子の年齢の 3 倍になるのは何年後か。 | x年後とおく: 42+x=3(12+x)。 42+x=36+3x、 −2x=−6、 x=3。 答え: 3 年後 |
やってみよう: 連続する 3 つの整数の和が 75 であるとき、 まんなかの数はいくつか。 (答え: まんなかを x とおく → (x−1)+x+(x+1)=75、 3x=75、 x=25)
まとめ
- 方程式 は 「文字が特定の値のときだけ成り立つ等式」、 その値が 解
- 等式の性質: 両辺に同じ操作をしても等しい
- 移項: 符号を変えて反対の辺にうつす
- 解く 5 ステップ: カッコをはずす → 分数・小数をはらう → 移項 → まとめる → 係数でわる
- 検算 を必ずする (もとの式に代入)
- 文章題は 「何を x とおくか」 を決め、 関係を式にする