この章で学ぶこと
中学数学の出発点となる章です。 小学校では 0 と 0 より大きい数 (正の数) だけで計算してきました。 中学では 0 より小さい数 (負の数) を新しく学び、 数の世界を大きく広げます。
- 正の数 と 負の数 の意味を知る
- 符号 (+・−) と 絶対値 を区別できる
- 数直線上で数の大小を比べられる
- 加法 ・ 減法 の計算ルールを身につける
- 乗法 ・ 除法 の符号のきまりを使える
- 四則を組み合わせた計算と 累乗 の計算ができる
ポイント: 「気温が 0 ℃ より 5 ℃ 低い」 「100 円のもうけと 100 円のそん」 のように、 反対の性質を持つ量を 1 つの数であらわす道具が 負の数 です。
1. 正の数と負の数
0 より小さい数
数直線を思いうかべてください。 0 より右にある数が 正の数、 0 より左にある数が 負の数 です。 0 はどちらでもありません。
| 区別 | 例 | 書き方 |
|---|
| 正の数 | +3、 +1.5、 +dfrac25 | + をつけて書く (省略して単に 3 でもよい) |
| 0 | 0 | 符号はつけない |
| 負の数 | −3、 −1.5、 −dfrac25 | − を必ずつける |
反対の性質を持つ量
身のまわりには、 反対の性質を持つ量がたくさんあります。 これらは 正の数 と 負の数 で表せます。
| 場面 | 正の方向 | 負の方向 |
|---|
| 気温 | 0 ℃ より高い (+5 ℃) | 0 ℃ より低い (−5 ℃) |
| お金 | しゅう入 (+1000円) | しはらい (−1000円) |
| 標高 | 海面より上 (+100 m) | 海面より下 (−100 m) |
| 時こく | 5分後 (+5分) | 5分前 (−5分) |
やってみよう: 「3 階上」 を +3階とあらわすとき、 「2 階下」 はどうあらわせるか。 (答え: −2階)
数直線と大小
数直線上では 右にいくほど大きい 数となります。 だから負の数どうしでは、 絶対値が大きいほうが小さい 数です。
−5<−3<−1<0<+1<+3<+5
例: −7 と −2 を比べると、 −7 のほうが数直線で左にあるので −7<−2 です。
2. 絶対値
絶対値とは
ある数の 符号をとった数 を、 その数の 絶対値 といいます。 数直線で言うと 「0 からのきょり」 です。
| 数 | 絶対値 |
|---|
| +5 | 5 |
| −5 | 5 |
| +dfrac23 | dfrac23 |
| 0 | 0 |
大事: 絶対値 は きょり なので、 必ず 0 か 正の数 になります。 マイナスの絶対値はありません。
例題 1
例題
| 問題 | 解法 |
|---|
| −8 と +3 の絶対値をそれぞれ答えなさい。 | −8 の絶対値は 8。 +3 の絶対値は 3。 |
| 絶対値が 4 である数をすべて答えなさい。 | 数直線で 0 からきょりが 4 の数は 2 つある: +4 と −4。 |
やってみよう: 絶対値が dfrac12 である数をすべて答えなさい。 (答え: +dfrac12 と −dfrac12)
3. 加法 (たし算)
同じ符号のたし算
符号はそのままで、 絶対値をたす。
(+3)+(+5)=+(3+5)=+8
(−3)+(−5)=−(3+5)=−8
ちがう符号のたし算
絶対値が大きいほうの符号をつけて、 大きい絶対値から小さい絶対値をひく。
(+7)+(−3)=+(7−3)=+4
(−7)+(+3)=−(7−3)=−4
例題
| 問題 | 解法 |
|---|
| (−6)+(−4) | 同符号 → −(6+4)=−10 |
| (+8)+(−3) | 異符号、 絶対値大は +8 → +(8−3)=+5 |
| (−9)+(+9) | 絶対値が等しい反対符号 → 0 |
やってみよう: (−12)+(+5) を計算せよ。 (答え: −7)
4. 減法 (ひき算)
ひくことは 「反対符号をたす」 こと
a−b=a+(−b)
ひき算は、 ひく数の 符号を変えてたし算 になおすとできます。
| もとの式 | たし算になおす |
|---|
| (+5)−(+3) | (+5)+(−3)=+2 |
| (+5)−(−3) | (+5)+(+3)=+8 |
| (−5)−(+3) | (−5)+(−3)=−8 |
| (−5)−(−3) | (−5)+(+3)=−2 |
例題
| 問題 | 解法 |
|---|
| (+7)−(−2) | (+7)+(+2)=+9 |
| (−4)−(+6) | (−4)+(−6)=−10 |
| 0−(−8) | 0+(+8)=+8 |
やってみよう: (−3)−(−7) を計算せよ。 (答え: +4)
加減の混じった式 (項だけで表す)
+、 − のカッコをはずすと、 式を 項 だけのならびで書けます。
(+5)−(+3)+(−2)−(−7)=5−3−2+7=7
正の項 (5,7) と負の項 (−3,−2) をまとめて: 5+7=12、 −3+(−2)=−5、 全体で 12−5=7。
5. 乗法と除法
符号のきまり
| 組み合わせ | 結果の符号 |
|---|
| (+)imes(+) | + |
| (−)imes(−) | + |
| (+)imes(−) | − |
| (−)imes(+) | − |
同符号 → 正、 異符号 → 負。 これは除法 (div) でも同じです。
(+4)imes(+3)=+12,quad(−4)imes(−3)=+12
(+4)imes(−3)=−12,quad(−4)imes(+3)=−12
例題
例題
| 問題 | 解法 |
|---|
| (−5)imes(+6) | 異符号 → −(5imes6)=−30 |
| (−8)div(−2) | 同符号 → +(8div2)=+4 |
| (−3)imes(+4)imes(−2) | 負が 2 個 → +、 3imes4imes2=24、 答え +24 |
大事: かけ算がならんでいるときは、 負の数の個数 を数えて符号を決めます。 偶数個 → +、 奇数個 → −。
累乗
同じ数を何回かかけたものを 累乗 といいます。
32=3imes3=9,quad33=3imes3imes3=27
カッコの位置に注意:
| 式 | 意味 | 値 |
|---|
| (−2)2 | (−2)imes(−2) | +4 |
| −22 | −(2imes2) | −4 |
| (−2)3 | (−2)imes(−2)imes(−2) | −8 |
やってみよう: (−3)2 と −32 をそれぞれ計算せよ。 (答え: +9、 −9)
6. 四則の混じった計算
計算の順序は次のとおりです。
- カッコの中 を先に
- 累乗 を次に
- 乗法・除法 (imes、 div)
- 最後に 加法・減法 (+、 −)
例題
| 問題 | 解法 |
|---|
| 5+(−3)imes2 | 乗法が先: (−3)imes2=−6、 5+(−6)=−1 |
| (−4)2−10div2 | 累乗: 16、 除法: 5、 16−5=11 |
| −3imes(5−8) | カッコ: 5−8=−3、 −3imes(−3)=+9 |
やってみよう: 8−2imes(−3)2 を計算せよ。 (答え: 8−18=−10)
まとめ
- 0 より小さい数を 負の数 といい、 「−」 をつけて書く
- 絶対値 は数直線上での 0 からのきょり、 必ず 0以上
- 加法・減法は 「同符号 → 絶対値をたす、 異符号 → 大きい絶対値からひく」
- ひき算は 「ひく数の符号を変えてたし算にする」
- 乗除は 「同符号 → +、 異符号 → −」、 負の個数が偶数か奇数かで符号が決まる
- 計算の順序は 「カッコ → 累乗 → 乗除 → 加減」