はじめに
中学 3 年間の国語の学びを、 自分の言葉として外に出す — それがこの最終章のテーマです。 スピーチ・自分史・未来への手紙の三つに挑戦します。
この章でできるようになること:
- 卒業や節目の場面でスピーチができる
- 自分史を短くまとめられる
- 未来の自分へ手紙を書ける
- 言葉で自分と他者をつなぐ感覚を持てる
1. 卒業スピーチの構成
卒業式や送る会で話すスピーチは、 聞き手の心に残る短い話 が理想です。
黄金の三段構成
| 段 | 役割 |
|---|
| 導入 | つかみ — 具体的なエピソードや問いかけ |
| 中身 | 中学 3 年間で得たもの — 一つに絞る |
| 結び | これからへの決意・感謝 |
スピーチ見本 (Studia オリジナル)
みなさん、 三年前のこの体育館を覚えていますか。 入学式で「中学校で何をしたいですか」 と聞かれて、 私は答えに詰まりました。 「分からない」 が正直なところでした。
三年がたった今、 私は同じ問いに答えられます。 「人の話を最後まで聞く力」 を、 この三年で身につけました。 一年生のとき、 友人が大切な話をしているのに、 私はすぐ口を挟んでしまいました。 友人は黙りました。 その沈黙が、 私に「聞く」 ことの重さを教えてくれました。
高校でも、 大人になっても、 私は「聞く人」 であり続けたいと思います。 三年間支えてくださった先生方、 友達、 家族に心から感謝します。 ありがとうございました。
スピーチを書くコツ
- 具体的な場面から始める (抽象論ではなく)
- 一つのテーマに絞る (欲張らない)
- 時間を測って練習する (3 分なら 600-800 字程度)
- 声に出して書き直す (耳で聞いて自然か)
- 感謝で結ぶ (聞き手と自分を結ぶ)
2. 自分史を書く
自分史とは、 自分の人生を時間軸で振り返って書く 文章です。 中学卒業のタイミングで一度書いてみると、 自分の中の軸が見えてきます。
構成
| 部分 | 内容 |
|---|
| 出生・幼児期 | 名前の由来・生まれた場所 |
| 小学生時代 | 印象に残る出来事三つ |
| 中学生時代 | 三年間で変わったこと |
| 現在の自分 | 何を大切にしているか |
| これから | どんな大人になりたいか |
書き方の手順
- 年表を作る (西暦・年齢・出来事を表にする)
- 各時期で 印象的な場面を一つずつ 選ぶ
- その場面の情景 (時間・場所・誰と・何が) を書く
- その出来事が自分に与えた影響 を書く
- 全体を貫くテーマ を最後にまとめる
自分史の冒頭の見本 (Studia オリジナル・架空)
私は二〇一一年三月、 ある町で生まれた。 名前の「陽」 は、 太陽のように明るい人になってほしいという両親の願いから付けられたと聞いている。
小学三年生のとき、 引っ越しを経験した。 新しい学校で最初に話しかけてくれた友人の顔を、 今でもはっきり覚えている。 そのときから「最初に手を伸ばす人になりたい」 と思うようになった。
具体的な場面から始めると、 読み手は自然と引き込まれます。
3. 未来への手紙
未来の自分への手紙は、 今の自分を 10 年後の自分が読む つもりで書きます。
書き方の枠組み
- 今の自分の状況 を書く (中学卒業の今、 何を感じているか)
- 未来の自分に伝えたいこと (忘れてほしくないこと)
- 未来の自分への問いかけ (約束を守れているか)
- 未来の自分への祝福 (元気でいてほしい)
未来への手紙の見本 (Studia オリジナル)
二〇三六年三月の自分へ
こんにちは。 これを書いているのは、 中学を卒業する直前の自分です。 今、 あなたは何をしていますか。 仕事をしていますか。 学んでいますか。
私は今、 不安と期待を半分ずつ抱えています。 高校で新しい人と出会えるか、 自分の道を見つけられるか、 まだ何も分かりません。 でも、 一つだけ約束したいことがあります。
「分からない」 ということを、 恥だと思わないでください。 中学生の私は、 分からないことを聞くのが怖くて、 何度も後悔しました。 大人になったあなたも、 きっと知らないことに出会うはずです。 そのとき、 「教えてください」 と素直に言える人でいてください。
あなたが元気で、 笑っていますように。
二〇二六年三月十五歳の私より
4. 表現の集大成
中学三年間で学んだ表現の技を、 すべてここで使えます。
| 技法 | 使いどころ |
|---|
| 具体例 | 「あのとき、 私は…」 |
| 比喩 | 「不安は霧のようだった」 |
| 対句 | 「不安と期待を半分ずつ」 |
| 体言止め | 「ありがとうの一言。」 |
| 倒置 | 「忘れない、 あの日のことを」 |
| 反復 | 「歩こう、 歩こう、 自分の道を」 |
| 呼びかけ | 「未来の自分へ」 |
これらの技は、 使うことそのものが目的 ではなく、 伝えたいことを正確に伝える手段 です。 主役はあくまで「伝えたい中身」 です。
5. 言葉を信じて
言葉には限界があります。 心の全てを伝えきることはできません。 それでも、 言葉だけが私たちに与えられた 他者とつながる橋 です。
- 言葉を選ぶ
- 言葉を磨く
- 言葉を交わす
- 言葉を信じる
中学三年間の国語の学びは、 この四つを少しずつ深めてきました。 これからの人生でも、 言葉とともに歩んでいきましょう。
まとめ
- スピーチは「導入 → 中身 → 結び」 の三段構成
- 自分史は時間軸で印象的な場面を選んで書く
- 未来の自分への手紙は約束と祝福で結ぶ
- 表現技法は「伝えたい中身」 のための道具
- 言葉を信じて、 他者とつながり続ける
卒業おめでとうございます。 みなさんのこれからの言葉が、 自分と人とを豊かに結ぶことを願っています。