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中学 2 年で初めて本格的に 古文 (古典の文章) を読みます。 千年前後 の日本人が書いた文章は、 今の言葉と少しちがうルールで書かれています。
大事:古文は 「暗号」 ではなく、 同じ日本語。 ルールを一つずつ覚えると、 案外 親しく読めます。
古文では、 現代とはちがう 仮名の書き方 が使われます。 これを 歴史的仮名遣い と呼びます。
| 古文の表記 | 現代の読み | 例 |
|---|---|---|
| ゐ | い | ゐる → いる |
| ゑ | え | こゑ → こえ |
| を (助詞以外) | お | をかし → おかし |
| は (語中・語末) | わ | あはれ → あわれ / かはず → かわず |
| ひ (語中・語末) | い | あひだ → あいだ / にほひ → におい |
| ふ (語中・語末) | う | おもふ → おもう / かふ → かう |
| へ (語中・語末) | え | こへ → こえ |
| ほ (語中・語末) | お | なほ → なお |
| くわ・ぐわ | か・が | くわじ → かじ (火事) |
| au・iu・eu・ou | ô・yû・yô・ô | やうやう → ようよう / きうり → きゅうり |
注意: 「は・ひ・ふ・へ・ほ」 が 語頭 (単語の最初) にあるときはそのまま読みます。 例: 「花」 は 「はな」 で OK。 「あはれ」 は 「あ + はれ」 で 「は」 が語中 → 「あわれ」 と読む。
古文には 係り 結び という 独特 のルールがあります。 文中にある言葉 (係助詞) が、 文末の形を決めるのです。
| 係り 助詞 | 文末の形 | 意味 | 例 |
|---|---|---|---|
| ぞ | 連体形 | 強調 | 花ぞ 咲きける |
| なむ | 連体形 | 強調 (やさしい 感じ) | 花なむ咲きける |
| や | 連体形 | 疑問・反語 | 花や咲きける |
| か | 連体形 | 疑問・反語 | 花か咲きける |
| こそ | 已然形 | 強調 (強い) | 花こそ咲きけれ |
ふつうは 「花咲きけり」 のように 終止形 で終わる文が、 これらの言葉が入ると別の形 (連体形 「咲きける」・已然形 「咲きけれ」) になるのがポイントです。
大事: 「ぞ・なむ・や・か → 連体形」 「こそ → 已然形」。 この二つを覚えておくだけで、 古文の文末がグッと読み取りやすくなります。
徒然草 は、 鎌倉時代末期に 兼好法師 (吉田兼好、 約 1283-1352?) が書いた 随筆 です。 枕 の草子・方丈記と並び 「日本三大随筆」 と呼ばれます。
徒然 なるままに、 日暮らし、 硯 に向かひて、 心に 移り行く 由無し事を、 そこはかとなく書きつくれば、 あやしうこそもの狂ほしけれ。
やることもなく 手持ち 無沙汰 なままに、 一日中、 硯 に向かって、 心に 次々 と浮かんでは消える 取るに 足らないことを、 とりとめもなく書いていると、 妙 に気がおかしくなってくる。
| 古文 | 読み・解説 |
|---|---|
| 徒然なるままに | 「徒然」 = やることがなく 退屈 な様子。 |
| 硯に向かひて | 「向かひて」 → 歴史的仮名遣い 「ひ」 を 「い」 と読み 「向かいて」。 |
| 由無し事 | 「由無し」 = 取るに足らない、 どうでもよい 事。 |
| あやしうこそもの狂ほしけれ | 「こそ」 + 已然形 「狂ほしけれ」 = 係結び。 「妙 に気がおかしい」 と強調。 |
兼好法師は、 書くことを 「気がおかしくなる」 と 表現 しました。 これは自嘲的でもあり、 同時に 書くことの不思議な力 を表してもいます。 私たちが SNS で思いを書くのも、 ある意味で兼好と同じことをしているのかもしれません。
平家物語は、 鎌倉時代に成立した 軍記物語。 平家一族の 栄華 と 滅亡 を描きます。 琵琶法師が 語り 継いだことで有名です。
祇園精舎 の 鐘 の声、 諸行無常 の 響きあり。 沙羅双樹 の 花 の色、 盛者必衰 の 理 をあらはす。 驕れる人も 久しからず、 ただ 春 の夜の 夢 のごとし。 猛き者も 遂 には 滅びぬ、 ひとへに 風 の 前 の 塵 に 同じ。
祇園精舎 の 鐘 の音には、 「この世のすべては 移ろい変わってゆく」 という 響きがある。 沙羅双樹 の 花 の色は、 「栄えた者も 必ず 衰える」 という 道理 を表す。 驕り 高ぶった人も長くは続かず、 まるで 春 の夜の 夢 のように 儚い。 強い者も 結局 は 滅ぶ。 まったく、 風 の前の 塵 と 同じである。
| 古文 | 読み・解説 |
|---|---|
| あらはす | 「は」 を 「わ」 と読み 「あらわす」。 |
| 久しからず | 「久し」 (形容詞) + 「からず」 (打消)。 「長くはない」。 |
| ごとし | 「〜のようだ」 という古文の 比喩表現。 |
| 遂には | 「遂」 を 「つい」 と読む。 「結局 は」 の意味。 |
| ひとへに | 「へ」 を 「え」 と読み 「ひとえに」 = 「一すじに・まったく」。 |
「諸行無常」 とは、 「この世のすべての物事は 変化 し続け、 永遠 に 不変 なものはない」 という 仏教 の 考え方。 平家物語はこの 思想 を物語全体の 基調 としています。
徒然草 の 「移り 行く 由無し事」 にも、 同じような 感覚 が 流れています。 中世日本の文学に 共通 する大きな テーマ です。
平家物語は 琵琶法師が語った軍記物語で、 後の時代には屏風絵や浮世絵にも多く 題材 とされました。 「無常観」 が文学だけでなく絵画にも 浸透 していることが分かります。
次の章へ:古文に 親しんだら、 続いて 短歌・俳句。 三十一文字、 十七文字という世界最短の詩を鑑賞し、 自分でも一首詠んでみましょう。