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国語 2年

古文こぶん入門にゅうもん — 徒然草つれづれぐさ と 平家へいけ物語ものがたり

最終確認日:

この章しょうで学まなぶこと

中学ちゅうがく 2 年ねんで初はじめて本格ほんかく的てきに 古文こぶん (古典こてんの文章ぶんしょう) を読よみます。 千せん年ねん前後ぜんご の日本人にっぽんじんが書かいた文章ぶんしょうは、 今いまの言葉ことばと少すこしちがうルールで書かかれています。

  • 歴史的仮名遣いれきしてきかなづかい を現代げんだいの読よみ方かたに直なおせる
  • 古文こぶん特有とくゆうの語法ごほう (係かかり 結むすび・終助詞しゅうじょし) がわかる
  • 徒然草つれづれぐさ (兼好けんこう法師ほうし、 鎌倉かまくら時代じだい) の冒頭ぼうとうを読よめる
  • 平家へいけ物語ものがたり (作者さくしゃ未詳みしょう、 鎌倉かまくら時代じだい) の冒頭ぼうとうを読よめる
  • 古典こてんに 流ながれる 無常観むじょうかん を感かんじ取とれる

大事だいじ:古文こぶんは 「暗号あんごう」 ではなく、 同おなじ日本語にほんご。 ルールを一ひとつずつ覚おぼえると、 案外あんがい 親したしく読よめます。

1. 歴史的仮名遣いれきしてきかなづかい の基本きほんルール

古文こぶんでは、 現代げんだいとはちがう 仮名かなの書かき方かた が使つかわれます。 これを 歴史的仮名遣いれきしてきかなづかい と呼よびます。

古文こぶんの表記ひょうき現代げんだいの読よみ例れい
ゐいゐる → いる
ゑえこゑ → こえ
を (助詞じょし以外いがい)おをかし → おかし
は (語かたり中ちゅう・語末ごまつ)わあはれ → あわれ / かはず → かわず
ひ (語ご中ちゅう・語末ごまつ)いあひだ → あいだ / にほひ → におい
ふ (語ご中ちゅう・語末ごまつ)うおもふ → おもう / かふ → かう
へ (語ご中ちゅう・語末ごまつ)えこへ → こえ
ほ (語ご中ちゅう・語末ごまつ)おなほ → なお
くわ・ぐわか・がくわじ → かじ (火事かじ)
au・iu・eu・ouô・yû・yô・ôやうやう → ようよう / きうり → きゅうり

注意ちゅうい: 「は・ひ・ふ・へ・ほ」 が 語頭ごとう (単語たんごの最初さいしょ) にあるときはそのまま読よみます。 例れい: 「花はな」 は 「はな」 で OK。 「あはれ」 は 「あ + はれ」 で 「は」 が語かたり中ちゅう → 「あわれ」 と読よむ。

2. 古文こぶん特有とくゆうの語法ごほう — 係かかり 結むすび

古文こぶんには 係かかり 結むすび という 独特どくとく のルールがあります。 文中ぶんちゅうにある言葉ことば (係がかり助詞じょし) が、 文末ぶんまつの形かたちを決きめるのです。

係かかり 助詞じょし文末ぶんまつの形かたち意味いみ例れい
ぞ連体形れんたいけい強調きょうちょう花ぞ 咲さきける
なむ連体形れんたいけい強調きょうちょう (やさしい 感かんじ)花なむ咲さきける
や連体形れんたいけい疑問ぎもん・反語はんご花や咲さきける
か連体形れんたいけい疑問ぎもん・反語はんご花か咲さきける
こそ已然形いぜんけい強調きょうちょう (強つよい)花こそ咲さきけれ

ふつうは 「花咲さきけり」 のように 終止形しゅうしけい で終おわる文ぶんが、 これらの言葉ことばが入はいると別べつの形かたち (連体形れんたいけい 「咲さききける」・已然いぜん形がた 「咲さきけれ」) になるのがポイントです。

大事だいじ: 「ぞ・なむ・や・か → 連体形れんたいけい」 「こそ → 已然いぜん形がた」。 この二ふたつを覚おぼえておくだけで、 古文こぶんの文末ぶんまつがグッと読よみ取とりやすくなります。

3. 徒然草つれづれぐさ — 兼好けんこう法師ほうし (鎌倉かまくら時代じだい末期まっき)

徒然草つれづれぐさ は、 鎌倉かまくら時代じだい末期まっきに 兼好けんこう法師ほうし (吉田よしだ兼好けんこう、 約やく 1283-1352?) が書かいた 随筆ずいひつ です。 枕まくら の草子そうし・方丈ほうじょう記きと並ならび 「日本にほん三さん大だい随筆ずいひつ」 と呼よばれます。

冒頭ぼうとう (序じょ段だん) — 原文げんぶん

徒然つれづれ なるままに、 日にち暮くらし、 硯すずり に向むかひて、 心こころに 移うつり行いく 由無よしなし事ごとを、 そこはかとなく書かきつくれば、 あやしうこそもの狂きょうほしけれ。

現代げんだい語ご訳やく

やることもなく 手持てもち 無沙汰ぶさた なままに、 一いち日にち中ちゅう、 硯すずり に向むかって、 心こころに 次々つぎつぎ と浮うかんでは消きえる 取とるに 足たらないことを、 とりとめもなく書かいていると、 妙みょう に気きがおかしくなってくる。

ここがポイント

古文こぶん読よみ・解説かいせつ
徒然つれづれなるままに「徒然つれづれ」 = やることがなく 退屈たいくつ な様子ようす。
硯すずりに向むかひて「向むかひて」 → 歴れき史的してき仮名遣かなづかい 「ひ」 を 「い」 と読よみ 「向むかいて」。
由よし無なし事ごと「由よし無なし」 = 取とるに足たらない、 どうでもよい 事こと。
あやしうこそもの狂ぐるほしけれ「こそ」 + 已然いぜん形がた 「狂ぐるほしけれ」 = 係結かかりむすび。 「妙みょう に気きがおかしい」 と強調きょうちょう。

この段だんが教おしえること

兼好けんこう法師ほうしは、 書かくことを 「気きがおかしくなる」 と 表現ひょうげん しました。 これは自じ嘲ちょう的でもあり、 同時どうじに 書かくことの不思議ふしぎな力 を表あらわしてもいます。 私わたしたちが SNS で思おもいを書かくのも、 ある意味いみで兼好けんこうと同おなじことをしているのかもしれません。

4. 平家へいけ物語ものがたり — 作者さくしゃ未詳みしょう (鎌倉かまくら時代じだい)

平家へいけ物語ものがたりは、 鎌倉かまくら時代じだいに成立せいりつした 軍記ぐんき物語ものがたり。 平たいら家いえ一族いちぞくの 栄華えいが と 滅亡めつぼう を描えがきます。 琵琶びわ法師ほうしが 語かたり 継ついだことで有名ゆうめいです。

冒頭ぼうとう — 原文げんぶん

祇園ぎおん精舎しょうじゃ の 鐘かね の声こえ、 諸行しょぎょう無常むじょう の 響ひびきあり。 沙羅さら双樹そうじゅ の 花はな の色いろ、 盛者じょうしゃ必衰ひっすい の 理ことわり をあらはす。 驕おごれる人ひとも 久ひさしからず、 ただ 春はる の夜よるの 夢ゆめ のごとし。 猛たけき者しゃも 遂つひ には 滅ほろびぬ、 ひとへに 風かぜ の 前まえ の 塵ちり に 同おなじ。

現代げんだい語ご訳やく

祇園ぎおん精舎しょうじゃ の 鐘かね の音おとには、 「この世よのすべては 移うつろい変かわってゆく」 という 響ひびきがある。 沙羅さら双樹そうじゅ の 花はな の色いろは、 「栄さかえた者ものも 必かならず 衰おとろえる」 という 道理どうり を表あらわす。 驕おごり 高たかぶった人ひとも長ながくは続つづかず、 まるで 春はる の夜よるの 夢ゆめ のように 儚はかない。 強つよい者しゃも 結局けっきょく は 滅ほろぶ。 まったく、 風かぜ の前まえの 塵ちり と 同おなじである。

ここがポイント

古文こぶん読よみ・解説かいせつ
あらはす「は」 を 「わ」 と読よみ 「あらわす」。
久ひさしからず「久ひさし」 (形容詞けいようし) + 「からず」 (打だ消しょう)。 「長ながくはない」。
ごとし「〜のようだ」 という古文こぶんの 比喩ひゆ表現ひょうげん。
遂ついには「遂つひ」 を 「つい」 と読よむ。 「結局けっきょく は」 の意味いみ。
ひとへに「へ」 を 「え」 と読よみ 「ひとえに」 = 「一ひとすじに・まったく」。

無常観むじょうかん とは

「諸行しょぎょう無常むじょう」 とは、 「この世よのすべての物事ものごとは 変化へんか し続つづけ、 永遠えいえん に 不変ふへん なものはない」 という 仏教ぶっきょう の 考かんがえ方かた。 平家へいけ物語ものがたりはこの 思想しそう を物語ものがたり全体ぜんたいの 基調きちょう としています。

徒然草つれづれぐさ の 「移うつり 行ゆく 由無よしなし事ごと」 にも、 同おなじような 感覚かんかく が 流ながれています。 中世ちゅうせい日本にほんの文学ぶんがくに 共通きょうつう する大おおきなテーマです。

5. 古文こぶんを読よむときのコツ

  1. 音読おんどくを何なん度どもする — 古文こぶんは 「耳みみ」 で覚おぼえる文学ぶんがく。 リズムを 体からだ に入いれる。
  2. 歴史れきし的てき仮名遣かなづかいを 直なおしながら読よむ — 「ふ」 「ひ」 「へ」 を 即そく座ざ に直なおす 練れん習しゅう を重かさねる。
  3. 係結かかりむすびに気きを配くばる — 「ぞ・なむ・や・か・こそ」 が出でてきたら、 文末ぶんまつを 必かならず 確たしかめる。
  4. 古語こご辞典じてん を 活かつ用ようする — 知しらない単語たんごはその場ばで 調しらべ、 ノートに 記録きろく する。

平家へいけ物語ものがたりの世界せかい

平家物語に描かれた宇治川の合戦場面の屏風絵
平家物語へいけものがたり 「宇治川うじがわ先陣せんじん」 を描えがいた屏風びょうぶ絵え。 根本こんぽん幽かそけ峨筆ひつ (19 世紀せいき)、 渡辺わたなべ美術館びじゅつかん蔵ぞう。 出典しゅってん: Wikimedia Commons (Public Domain)。

平家へいけ物語ものがたりは 琵琶びわ法師ほうしが語かたった軍記物語ぐんきものがたりで、 後ごの時代じだいには屏風びょうぶ絵えや浮世絵うきよえにも多おおく 題材だいざい とされました。 「無常観むじょうかん」 が文学ぶんがくだけでなく絵画かいがにも 浸透しんとう していることが分わかります。

まとめ

  • 歴史的仮名遣いれきしてきかなづかい はルール (ひ→い、 ふ→う、 を→お等とう) を 暗あん記き すれば読よめる
  • 係かかり 結むすび 「ぞ・なむ・や・か → 連体形れんたいけい」 「こそ → 已然いぜん形がた」
  • 徒然草つれづれぐさ (兼けん好こう法師ほうし、 鎌倉かまくら時代じだい) は 随筆ずいひつ、 平家へいけ物語ものがたりは 軍記ぐんき物語ものがたり
  • 中世ちゅうせい文学ぶんがくの 基調きちょう は 無常観むじょうかん (諸行無常しょぎょうむじょう・盛者じょうしゃ必衰)
  • 音読おんどくと古語こご辞典じてんで 親したしむ習慣しゅうかんをつける

次の章しょうへ:古文こぶんに 親したしんだら、 続つづいて 短歌たんか・俳句はいく。 三十一文字みそひともじ、 十七文字じゅうしちもじという世界せかい最短さいたんの詩しを鑑賞かんしょうし、 自分じぶんでも一いち首しゅ詠よんでみましょう。

この教材きょうざいは役やくに立たちましたか?
学がく習しゅうロードマップ(10件けん)
  1. 1説明せつめい的てき文章ぶんしょう の 読解どっかい応用おうよう — 筆者ひっしゃ の 主張しゅちょう と 段落だんらく関係かんけい
  2. 2文法ぶんぽう — 品詞ひんし の 復習ふくしゅう と 用言ようげん の 活用かつよう
  3. 3中なか 2 配当はいとう漢字かんじ約やく 400 字じ と 同どう訓くん異字いじ・同音どうおん異義いぎ語ご
  4. 4古文こぶん入門にゅうもん — 徒然草つれづれぐさ と 平家へいけ物語ものがたり
  5. 5短歌たんか と 俳句はいく — 鑑賞かんしょう と 創作そうさく
  6. 6小説しょうせつ読解どっかい — 情景じょうけい・心情しんじょう・人物じんぶつ像ぞう の とらえ 方かた
  7. 7論説ろんせつ文ぶん読解どっかい — 論理ろんり構造こうぞう と 反論はんろん の とらえ 方かた
  8. 8表現ひょうげん — 手紙てがみ の 書かき方かた と 敬語けいご の 実用じつよう
  9. 9情報じょうほうリテラシー — 出典しゅってん・要約ようやく・引用いんよう の マナー
  10. 10中なか 2 の ふりかえり と 中なか 3 へ の 橋渡はしわたし