この章で学ぶこと
中学 2 年では、 常用漢字表のうち 約 350 - 450 字程度 を新たに読み、 また中 1 までに学習した常用漢字と学年別配当表の漢字を 書いて文や文章の中で使う ことが求められます (中 1 約 313 字、 中 2 約 400 字、 中 3 約 350 - 400 字、 中学卒業までに 常用漢字 2136 字の大体を読めるようになる)。
- 中 2 配当漢字の 音訓 の読みが言える
- 同訓異字 (「修める / 治める」 等) を文脈で書き分けられる
- 同音異義語 (「異動 / 移動」 等) を意味で選べる
- 熟語 の構成 (主述・並立・修飾・補助・打消) を分類できる
ポイント:中 2 漢字は 抽象概念 や 社会・歴史用語 が急にふえます。 一字ずつ覚えるのでなく、 熟語でセットで覚える のが 効率的です。
1. 中 2 で新出する漢字 — 領域別
自然・空間系
| 漢字 | 音 | 訓 | 例 |
|---|
| 湾 | ワン | — | 湾岸・港湾 |
| 峰 | ホウ | みね | 山峰・峰々 |
| 沼 | ショウ | ぬま | 湖沼・沼地 |
| 岬 | — | みさき | 岬 の灯台 |
| 渓 | ケイ | — | 渓谷・渓流 |
| 泉 | セン | いずみ | 温泉・泉 |
| 岳 | ガク | たけ | 岳麓・山岳 |
| 峡 | キョウ | — | 峡谷・海峡 |
社会・歴史系
| 漢字 | 音 | 訓 | 例 |
|---|
| 侵 | シン | おかす | 侵略・侵入 |
| 戒 | カイ | いましめる | 警戒・戒律 |
| 詔 | ショウ | みことのり | 詔書・詔勅 |
| 皇 | コウ | — | 天皇・皇族 |
| 誓 | セイ | ちかう | 宣誓・誓い |
| 盟 | メイ | — | 同盟・盟主 |
| 侯 | コウ | — | 諸侯・侯爵 |
| 爵 | シャク | — | 公爵・爵位 |
心・抽象 概念系
| 漢字 | 音 | 訓 | 例 |
|---|
| 慈 | ジ | いつくしむ | 慈愛・慈悲 |
| 憶 | オク | — | 記憶・追憶 |
| 懐 | カイ | なつかしい | 懐古・懐かしい |
| 憂 | ユウ | うれい | 憂愁・憂い |
| 慮 | リョ | — | 配慮・考慮 |
| 寂 | ジャク・セキ | さびしい | 静寂・寂しい |
| 惜 | セキ | おしむ | 惜別・惜しい |
| 悟 | ゴ | さとる | 覚悟・悟る |
動作・行為系
| 漢字 | 音 | 訓 | 例 |
|---|
| 迫 | ハク | せまる | 迫力・迫る |
| 忍 | ニン | しのぶ | 忍耐・忍ぶ |
| 凍 | トウ | こおる | 冷凍・凍る |
| 拒 | キョ | こばむ | 拒否・拒む |
| 討 | トウ | うつ | 討論・討つ |
| 擁 | ヨウ | — | 擁護・抱擁 |
| 操 | ソウ | あやつる | 操作・操る |
| 擦 | サツ | する・こする | 摩擦・擦る |
学術・芸術系
| 漢字 | 音 | 訓 | 例 |
|---|
| 訂 | テイ | — | 訂正・改訂 |
| 詠 | エイ | よむ | 詠歌・詠む |
| 韻 | イン | — | 韻文・音韻 |
| 賦 | フ | — | 賦課・天賦 |
| 彩 | サイ | いろどる | 色彩・彩る |
| 幻 | ゲン | まぼろし | 幻想・幻 |
| 匠 | ショウ | たくみ | 名匠・匠 |
| 繊 | セン | — | 繊細・繊維 |
大事: ここで挙げたのは中 2 配当約 350 - 450 字の 一部。 教科書巻末の配当表と合わせて確認しましょう。 一字ずつでなく 熟語 で覚えるのがコツです。
2. 同訓異字 — 中 2 でよく出る区別
「おさめる」 の書き分け
| 漢字 | 意味 | 例 |
|---|
| 修める | 学問・技術 を身につける | 学業 を 修める |
| 治める | 国・家 を 治める | 国 を 治める / 痛みを 治める |
| 収める | しまいこむ・手 に入れる | 利益 を 収める / 箱に 収める |
| 納める | 支払う・受け渡す | 税金 を 納める / 棺 に 納める |
「かえる」 の書き分け
| 漢字 | 意味 | 例 |
|---|
| 変える | 状態を別のものにする | 態度 を 変える |
| 替える | 同種類の別のものに入れ替える | 電池を 替える |
| 代える | 別の人や物が 役割 を引き継ぐ | 命に 代えても / 代理 |
| 換える | 物と物を 交換する | お金に 換える |
「つとめる」 の書き分け
| 漢字 | 意味 | 例 |
|---|
| 努める | 努力 する | 改善に 努める |
| 務める | 役 を引き受ける | 議長を 務める |
| 勤める | 仕事 に行く | 会社に 勤める |
「あう」 の書き分け
| 漢字 | 意味 | 例 |
|---|
| 会う | 人と顔を 合わせる | 友達に 会う |
| 合う | 一致する・つり合う | 意見 が 合う / 服が 合う |
| 遭う | 思いがけない出来事に出くわす | 事故 に 遭う |
3. 同音異義語 — 中 2 でよく出る区別
| 読み | 書き分け |
|---|
| いどう | 異動 (人事 の変動) / 移動 (場所を移す) |
| かんしょう | 鑑賞 (芸術 を味わう) / 観賞 (花・魚 を見て楽しむ) / 感傷 (寂しい気持ち) / 干渉 (口出し) |
| しんろ | 進路 (進む道) / 針路 (船・飛行機の方向) |
| たいせい | 体制 (社会のしくみ) / 態勢 (備えの状態) / 体勢 (体の 姿勢) / 大勢 (大体の形勢) |
| かいほう | 開放 (開け放つ) / 解放 (自由にする) / 快方 (病気が良くなる) / 介抱 (看病) |
| たいしょう | 対象 (目あて) / 対称 (つり合い) / 対照 (くらべる) |
やってみよう: 「花 を ___しょうする」 — 答えは 観賞。 「名画 を ___しょうする」 — 答えは 鑑賞。 対象 (もの) が 芸術 か 自然物 かで使い分けます。
4. 熟語 の構成
熟語 (二字漢字語) は、 二つの漢字の関係で五種類に分類できます。
| 構成 | 関係 | 例 |
|---|
| 並立 | 似た意味を並べる | 岩石 (岩と石) / 救助 |
| 対 | 反対の意味を並べる | 左右 / 公私 / 増減 |
| 修飾 | 上が下を飾る | 青空 / 新人 |
| 主述 | 上が主語、 下が述語 | 地震 (地が 震える) / 国立 |
| 補助 / 打消 | 下が上の目的 / 上が打ち消し | 読書 (書を読む) / 非常 (常に 非ず) |
大事: 熟語の構成が分かると、 知らない熟語の意味を 推測 できるようになります。
5. つまずきやすい ポイント
| つまずき | 対処 |
|---|
| 「修める / 治める / 収める / 納める」 が混ざる | 「学業 = 修」 「国 = 治」 「利益 = 収」 「税 = 納」 とセットで暗記 |
| 「鑑賞 / 観賞」 を取り違える | 対象 が 芸術 か 自然 かで判断 |
| 抽象漢字 (慮・憶・憂等) を書けない | 必ず 熟語 で覚える (配慮・記憶・憂愁) |
6. 書写 — 行書 の基礎
中学 2 年では、 これまでの 楷書 に加え、 行書 の書き方を学びます。 行書は筆を紙から離さず、 一部の点画を続けたり省略したりする書体で、 楷書より 速く書ける のが特徴です。
楷書と行書の違い
| 観点 | 楷書 | 行書 |
|---|
| 点画 | 一画ずつ独立 | 続けたり省略 |
| 字形 | 整然と角ばる | 丸みを帯びる |
| 速さ | ゆっくり | 速く書ける |
| 用途 | 公式文書・教科書 | 日常の手紙・メモ |
行書の三原則
- 点画の連続 — 「林」 の木と木の間を続ける
- 点画の省略 — 「言」 の横線が一部一画になる
- 筆順の変化 — 「左」 の一画目と二画目が入れ替わることも
大事:行書は 「楷書 を速く書くための工夫」 から生まれた書体。 楷書が書けなければ行書は書けません。
仮名の行書
漢字の行書と調和させるため、 仮名もやわらかく連続させた書き方を学びます (中 3 でさらに深めます)。
7. まとめ
- 中 2 配当漢字は 約 350-450 字程度。 抽象 概念 と社会・歴史系が多い
- 同訓異字 は 意味ごとにセット暗記 (修・治・収・納)
- 同音異義語 は 文脈 で選ぶ (異動 vs 移動)
- 熟語 は 五つの構成 (並立・対・修飾・主述・補助/打消) で整理
- 書写 では 楷書 に加え 行書 (連続・省略・筆順変化) を学ぶ
次の章へ:漢字が増えたら、 次は 古文入門。 千年前の言葉を読み解く楽しみを 徒然草・平家物語で体験しましょう。