この章で学ぶこと
論説文 とは、 筆者が 「私 はこう考える」 と主張し、 その 根拠 を 論理的に 展開 する文章です。 中 2 では、 第 1 章で学んだ 「主張 と 根拠」 をさらに深め、 論理構造 と 反論 への 対応 を学びます。
- 三段論法 (大前提・小前提・結論) がわかる
- 帰納 (例から結論へ) と 演繹 (一般から 個別 へ) を区別できる
- 主張 と根拠の 関係 図 を書ける
- 反論 (筆者と違う意見) を見抜き、 筆者がどう対応しているかを読める
- 論説文を読んで、 自分 の 賛否 を言える
大事: 論説文は 「著者 と 頭 の 中 で 対話 する」読み物。 受け 身 でなく、 反論 を考えながら読むのがコツです。
1. 三段論法 — 論理の基本形
| 区分 | 説明 | 例 |
|---|
| 大前提 | 一般 的 なルール | 人 は 皆死ぬ |
| 小前提 | 個別 の 事実 | ソクラテス は 人 である |
| 結論 | 大と小から 導かれる | ゆえに ソクラテス は死ぬ |
大事: 三段論法 は 古代 ギリシャのアリストテレスが 整理 した論理の形。 西洋論理学の 基本 です。
オリジナル例
(大前提) 継続的な 運動 は 健康 に良い。 (小前提) 毎日 の 散歩 は 継続的な 運動 である。 (結論) ゆえに 毎日 の 散歩 は 健康 に良い。
2. 帰納 と 演繹 — 二つの論の進め方
| 種類 | 流れ | 例 |
|---|
| 帰納 法 | 個別 の例を 積み重ねて 一般 論 を 導く | 「ハトも 人 も 犬 も 死んだ → だから 生物 は 皆死ぬ」 |
| 演繹 法 | 一般 論 から 個別 の 結論 を 導く | 「生物 は 皆死ぬ → だから 私 も死ぬ」 |
帰納 は 例 が 多いほど強くなる。 演繹 は 大前提 が 正しければ 結論 も必ず 正しくなる。
注意: 帰納 は 「例 を数え上げただけでは 完全 には証明 できない」 という 弱さがある。 科学 で 「反証」 (一つでも反例があれば 否定) が 重要 なのはこのため。
3. 主張 と 根拠 の 関係 図
論説文を 読んだら、 ノート に 主張 と 根拠 の 関係 図 を書いてみましょう。
書き方 (オリジナル例)
主張: 中学生も 新聞 を 読むとよい
| 根拠 | 種類 |
|---|
| (1) 語彙 が 豊かになる | 体験・経験 |
| (2) 社会 の 出来 事 に 興味 を持てる | 抽象的効果 |
| (3) 文部科学省の 調査 で、 新聞 を 読む子どもは 成績 が 高い 傾向 | 統計 データ |
| (4) 筆者 自身 の 経験 | 体験 |
四種類の根拠 (体験・抽象・統計・体験) を 組み 合わせていることで説得力が 強まっています。
4. 反論 を見抜く
論説文では、 筆者が 自分と違う 意見 (反論・反対 意見) にも 触れることが 多い。 第 1 章で学んだ 「譲歩」 の形で出てきます。
| 言い回し | 筆者 の 態度 |
|---|
| 「確かに 〜 という 意見 もある」 | 反論 を 認める |
| 「しかし 〜」 | 自分の 主張 に 戻す |
| 「反対 に 〜 と考える人もいるかもしれない」 | 想定 される 反論 を 先取り |
| 「とはいえ 〜」 | 反論 を 認めつつ自説を 補強 |
オリジナル例
もちろん、 新聞 を 読むには 時間 がかかる、 という 反論 もあろう。 確かに一日三 〇 分を 確保 するのは 簡単 ではない。 しかし、 週 に 一・二回、 読みたい 記事 だけを 拾い 読みする方法もある。 時間 の 制約 を 理由 に 全く 読まないのは 惜しい。
筆者 の 流れ: 反論を 認める → 一部同意 する → 別の 方法 を 提案 する → 自説を 補強 する。
大事: 反論 を 認めつつ 論 を 進める形を 譲歩 構文 と呼びます。 中 2 の 論説 文 で必ず出てくるパターンです。
5. 論理 の 飛び 越え (論理の 穴) を見抜く
論説文を批判的に 読むとき、 「論理 の 飛び 越え」 がないかを 確認 しましょう。
| パターン | 落とし 穴 |
|---|
| 一例だけで 一般 化 | 「私 の 友達 がこうだから、 皆 そうだ」 ← 例が 少なすぎ |
| 原因 と 結果 の 取り 違え | 「新聞 を 読む子は 成績 が良い → 読ませれば良くなる」 ← 逆も真とは 限らない |
| 二者 択一 の 強要 | 「読むか 読まないか」 ← 時々 読む等第三の 選択肢 もある |
| 論点 の ずらし | 新聞 の話からスマホ 批判 へ 飛ぶ ← 論点 がずれている |
注意: 論理 の 穴 を見つけたら、 「でもこういう 反論 もできますね」 と 頭 の 中 で言い 返してみましょう。 読解 がさらに深まります。
6. 賛否 を表明する — 読んだあとの一歩
論説文を 読んだら、 必ず 自分の 賛否 を 考えましょう。 賛成 / 反対 / 一部賛成の三通りがあり得ます。
書き方 (200-300 字)
- 筆者 の主張を一文で 要約
- 自分の 立ち 位置 を 宣言 (賛成・反対・部分的に賛成)
- その 根拠 を一つ 〜 二つ
- 反論 を 一つ 想定 し、 反駁
大事: 賛否 を 書くときは 「感情 ではなく 根拠 で」。 「嫌いだから」 「好きだから」 は 根拠 にならない。
まとめ
- 論説文 は 三段論法 や 帰納・演繹 で 論理 を 展開
- 主張 と 根拠 の 関係 図 を 書くと 論理 が 見える
- 反論 への 配慮 (譲歩構文) は 説得 力 を上げる 技
- 論理 の 飛び 越え (例が 少なすぎ・原因結果の 取り 違え等) を 見抜く
- 読んだら必ず 自分の 賛否 を 根拠 とともに 書く
次の章へ: 読む力を 鍛えたら、 次は 書く・話す力。 手紙 の 書き方と 敬語 の 実践 を学びます。