この章で学ぶこと
第 2 章は、 6 年生の政治の中心 = 日本国憲法 を学びます。
憲法 は、 国の 「いちばん大もとの約束」 = 最高法規 です。 法律 や政治の全体 が、 この 憲法 に 従わなければなりません。
- 憲法 とはどういうものか (国の 最高法規)
- 日本国憲法 が 1947 年 5 月 3 日に施行 されたこと
- 日本国憲法 の 3 つの原則 (国民主権・基本的人権の尊重・平和主義)
- 平和主義 と 第 9 条 (戦争放棄)
- 国民の三大義務 (教育・勤労・納税)
- 天皇 の役割 (国の 「象徴」)
大事: 憲法 は 「国民 が国を 縛るための約束」 です。 法律 が 「国が 国民 に守らせるルール」 なのに対して、 憲法 は 「国民 が国 (政治家や役所) に守らせるルール」 と言える大事なちがいがあります。
1. 憲法とは (国の最高法規)
法のピラミッド
日本では、 法 (ルール) に上下があります。 上のものほど強いルールです。
| 順 | 名前 | くわしく |
|---|
| 1 (いちばん上) | 憲法 | 国の 最高法規。 これに反する法律 は無効 |
| 2 | 法律 | 国会 が決めるルール (例: 教育基本法) |
| 3 | 政令・省令 | 内閣 や役所が決める細かいルール |
| 4 | 条例 | 都道府県 や市町村 が決めるルール |
法律と憲法のちがい
| 項目 | 法律 | 憲法 |
|---|
| 守る人 | 国民 | 国 (政治家・役所) |
| 決める人 | 国会 | 国民 (国民投票 で改正) |
| 役割 | くらしの細かいルール | 国の 大もとの約束 |
ポイント: たとえば 「悪いことをしない」 というルール (刑法) は 法律 で、 国民 が守ります。 一方、 「国民 の自由 を守れ」 「戦争 をしない」 というルール (憲法) は 国が守る ものです。
2. 1947 年施行と経緯
日本国憲法 の公布原本。1946 年に公布、1947 年に施行された。国民主権・基本的人権の尊重・平和主義 の 3 原則をかかげる国の最高法規。
大日本帝国憲法から日本国憲法へ
| 比較項目 | 大日本帝国憲法 (1889) | 日本国憲法 (1947) |
|---|
| 主権 (主となる力) | 天皇 | 国民 |
| 軍隊 | あり (徴兵制 あり) | 持たない (9 条) |
| 国民 の権利 | 法律 のはん囲 で制限 あり | 基本的人権の尊重 |
| 改正 の主体 | 天皇 | 国民 (国民投票) |
なぜ新しい憲法ができたのか
日本国憲法 は、 太平洋戦争 (1941-1945) が終わったあとの 1946 年 11 月 3 日に 公布 され、 1947 年 5 月 3 日に 施行 (しこう。 効力 が始まること) されました。
戦争 で国内 も海外 もたいへんな被害 が出ました。 「もう二度 と戦争 をしない」 「国民 の自由 と平等 を守る」 という強い願いから、 新しい 憲法 がつくられました。
大事な日
| 日 | こと |
|---|
| 1946 年 11 月 3 日 | 日本国憲法 公布 (文化の日 として祝祭日) |
| 1947 年 5 月 3 日 | 日本国憲法 施行 (憲法記念日 として祝祭日) |
大事: 公布 (発表) と 施行 (始まる) は別の日です。 公布 = お知らせ、 施行 = スタートと覚えましょう。
3. 国民主権 (主権は国民に)
国民主権とは
「国のあり方を最終的 に決める力 (主権) は、 国民 にある」
これが 国民主権 です。 日本国憲法 の第 1 条 と前文 に書かれています。
国民が主権を行使する場面
| 場面 | くわしく |
|---|
| 選挙 | 18 歳以上 が 国会議員や知事・市町村長を選ぶ |
| 国民投票 | 憲法 を改正 するとき、 国民 が賛成 か反対 かを投票 |
| 裁判員 | 18 歳以上 が 裁判 (重大事件) に参加 |
| 意見 を言う | 国民 は国や役所に意見 を言う権利 がある |
天皇の役割
日本国憲法 では、 天皇 は 「日本国の 象徴、 日本国民統合 の 象徴」 とされています (憲法第 1 条)。
| 天皇 が行うこと | くわしく |
|---|
| 国事行為 | 国会 の召集集、 内閣総理大臣 の任命 など |
| しき 典 への出席 | 国民 体育大会、 文化行事 など |
大事: 天皇 は 政治を動かす力を持たない (大日本帝国憲法とはちがう)。 内閣 の助言 と承認 に従って国事行為 を行います。
4. 基本的人権の尊重 (自由・平等・教育・勤労)
基本的人権とは
基本的人権 とは、 「人が人として生まれながらに持っている権利」 です。 だれからも 奪えません。
日本国憲法 では、 これを 「侵すことのできない永久 の権利」 と定めています (第 11 条)。
主な基本的人権
| 種類 | くわしく | 条文 |
|---|
| 平等権 | 性別・人種・身分 で差別 されない | 14 条 |
| 自由権 | 思想・信条・表現・職業 などの自由 | 19-23 条 |
| 社会権 | 健康 で文化的 な最低限度 の生活 | 25 条 |
| 教育 を受ける権利 | 義務 教育 は 無償 (お金がいらない) | 26 条 |
| 勤労 の権利 | だれでも働く権利 がある | 27 条 |
| 参政権 | 選挙 で投票 する権利 | 15 条 |
子どもの基本的人権
| 場面 | 守られている権利 |
|---|
| 学校へ行ける | 教育 を受ける権利 (26 条) |
| 「やめて」 と言える | 自由・尊厳 (13 条) |
| 病気 のとき病院に行ける | 健康 で文化的 な生活 (25 条) |
| 男女区別 なく同じ学習 | 平等権 (14 条) |
国民の三大義務
権利 の一方 で、 国民 が守るべき義務 も 3 つあります。
| 義務 | 内容 | 条文 |
|---|
| 教育 の義務 | 子どもに 教育 を受けさせる義務 | 26 条 |
| 勤労 の義務 | 働く義務 | 27 条 |
| 納税 の義務 | 税を納める義務 | 30 条 |
ポイント: 「教育 の義務」 は 大人 (親) が子どもに学校へ通わせる義務 で、 子どもが学校に行く義務 ではありません。 子どもの立場 では 「教育 を受ける権利」 (26 条) の方が大事です。
5. 平和主義と 9 条
第 9 条の内容
日本国憲法 の 3 原則 の一つ、 平和主義 は 第 9 条 に書かれています。 大事な内容 を簡単 にまとめるとこうです。
| 9 条 の大事な点 | 言っていること |
|---|
| ① 戦争 をしない | 国と国の争いを武力 で解決 しない |
| ② 武力 による威嚇 をしない | 「武力 を使うぞ」 と 脅さない |
| ③ 戦力 を持たない | 軍隊 (戦力) を持たない |
9 条と自衛隊
日本には 自衛隊 という組織 があります。 これは 「日本を守るための組織」 とされています。
ただし、 「自衛隊 は 9 条 で認められているのか」 「軍隊 とはちがうのか」 については 多様 な意見 があります。
| 立場 | 主な考え |
|---|
| 「9 条 と一致 する」 | 自衛隊 は自分を守るための必要最小限度 |
| 「9 条 を改正 すべき」 | 憲法 に 自衛隊 を明記 すべき |
| 「9 条 を守るべき」 | 自衛隊 の海外派遣 を制限 すべき |
大事: 政治 には 1 つの正解 がありません。 9 条 の解釈 や 自衛隊 のあり方については、 国の中でも多様 な意見 があります。 6 年生では 「こういう意見 がある」 と知る ことが大事で、 1 つの答えに決める必要 はありません。
平和を守るための取り組み
日本が 平和主義 を形にするために行っていること:
| 取り組み | くわしく |
|---|
| 非核三原則 | 核兵器を 「持たず・つくらず・持ちこませず」 |
| ODA | 発展途上国への 援助で平和に貢献 |
| PKO | 国際連合 の平和維持活動 への協力 |
| 広島・長崎 の慰霊 | 8 月 6 日・8 月 9 日の式典 |
6. ふりかえり
この章で学んだことをふりかえりましょう。
この章の安全配慮 (民主主義の担い手として)
憲法 を学ぶことは、 わたしたちが将来 の 民主主義 の 担い手になる ための大事な一歩 です。
- 異なる意見 を大切にする — 9 条 や 自衛隊 など、 答えが 1 つでないことが多い。 ちがう意見 をバカにしない
- 基本的人権 を守る — クラスや学校で 「だれもが公平 に 扱われる」 ように行動 する
- 正しい情報 を集める — 憲法 や政治のことは、 1 つの情報 だけで決めつけない。 教科 書 や信頼 できるサイトを確かめる
- 18 歳 になったら 選挙 に行く — 今はまだ投票 できないけれど、 「いつか自分が投票 する」 と思って政治を見ておく
次の章: 第 3 章では、 日本国憲法 が定めた 国の政治のしくみ = 三権分立 (国会・内閣・裁判所) を学びます。