この章で学ぶこと
第 9 章では、 いまから 約 100 年前 (大正 の終わり 〜 昭和 の始め) の くらしと道具 を学びます。
- 昔の 家 のつくり (土間・かまど・いろり・井戸) を知る
- 昔の 道具 (洗濯板・たらい・かまど・行灯・羽釜) を知る
- 道具 の 進化 (洗濯板 → 二槽式 洗機] → 全自動 洗機]) を知る
- 昔を知る 方法 (お年寄り に聞く・郷土資料館・古い写真) を知る
- くらしの変化で 楽になったこと と 失われたこと を考える
ポイント: 100 年というと大昔のようですが、 ひいおばあちゃんやひいおじいちゃんが子どもだったころです。 当時は 電気・ガス・水道 が完全 には通っていない家も多く、 道具 やくらしは今と大きくちがいました。 「なぜそうだったのか」 を考えることで、 今の 便 利 さのありがたみが見えてきます。
1. 昔の家のつくり
100 年前の家は、 いまの家と大きくちがいました。 主に 木と紙と土 でできていました。
昔の家の主な部分
| 部分 | くわしく |
|---|
| 土間 | 家の入り口の 土 の 床。 くつを 履いたままで入れる。 かまど や道具 を置く |
| 板の間 | 木の 床。 食事 や仕事をする |
| 畳の間 | 畳の部屋。 寝る・お客を 迎える |
| 縁側 | 家の外がわの細長い板の 床。 日向ぼっこ・洗濯物を干す |
| 井戸 | 家の外。 飲み水を 汲む |
| 厠 | トイレ。 家の外にあることが多かった |
昔の家の中心 — かまどといろり
| 道具 | 場しょ | はたらき |
|---|
| かまど | 土間 | お米を 炊く・お湯を 沸かす。 薪 (木) を 燃やす |
| いろり | 板の間 の真ん中 | 暖まる・煮物をする・家族が集まる場しょ |
| 羽釜 | かまど の上 | お米を 炊く 鍋 |
いろりの役割
いろり は 家の真ん中 にあり、 つぎのように使われました。
| 役割 | くわしく |
|---|
| 暖ぼう | 冬の寒さをしのぐ |
| 明かり | 炎 が部屋を照らす |
| 調理 | 鍋 や鉄瓶 を 吊るす |
| 乾燥 | 服や食品 を乾かす |
| 集いの場 | 家族や近所の人が集まって話す |
大事: 昔の家では、 かまど と いろり が 生活の中心 でした。 家族全員がこの火の 周りに集まり、 食事 をし、 話をしました。 いまの 「リビング」 や 「ダイニング」 の役割 を いろり がしていたのです。
2. 昔の道具
昔のくらしは、 手で作業をする ことが多く、 1 つ 1 つの仕事に時間 がかかりました。
洗濯板 — 大正・昭和初期に洗濯で使った道具。 木や金属の板に凹凸があり、 こすりつけて汚れを落とす。 現在は全自動洗濯機に進化。
七輪 は、 むかし使われた 炭 で火をおこす調理道具。 ガスコンロがないころ、 魚を焼いたり湯をわかしたりするのに使われた。
食事 の道具
| 道具 | 用と |
|---|
| 羽釜 | お米を 炊く 鍋 |
| 七輪 (しちりん) | 炭 を 燃やして 魚 を焼く |
| まな板 | 野菜や 魚 を切る |
| 包丁 | (いまと同じ) |
| すり鉢 | ごまなどをつぶす |
| 杵 と 臼 | お 餅 をつく |
| 鉄瓶 | お湯を 沸かす |
洗濯の道具
| 道具 | 用と |
|---|
| たらい | 大きな 桶。 水を入れて服を洗う |
| 洗濯板 | 木の板にぎざぎざ。 こすりつけて 汚れを落とす |
| 棒 | たらい の中で服を 叩く |
| 物干し竿 | 服を干す 竹 の棒 |
| 洗濯ばさみ | 服を 留める |
明かりの道具
| 道具 | 用と |
|---|
| 行灯 | 油と 芯 で火をつける (江戸時代 から) |
| ろうそく | (いまと同じ) |
| ランプ | 石油を 燃やして明かりにする |
| 電灯 (昭和 から) | 電気を使う明かり |
暖ぼうの道具
| 道具 | 用と |
|---|
| いろり | 部屋の中心で火を 燃やす |
| 火鉢 | 炭 を入れた 鉢。 持ち運べる |
| 湯たんぽ | 金属の 容器 にお湯を入れて寝床に |
| 炬燵 | 中に 炭 を入れた 掘り 炬燵 (いまは電気) |
農業の道具
| 道具 | 用と |
|---|
| 鍬 | 土を 耕す |
| 鎌 | 草や 稲 を 刈る |
| 千歯こき | 稲 からもみを落とす |
| 唐箕 | 風でもみとごみを分ける |
| 牛 や 馬 | 力仕事を手伝う (いまのトラクター) |
通信 の道具
| 道具 | 用と |
|---|
| 手紙 | 一番多い通信 |
| 電報 (昭和 から) | 急ぎの知らせ |
| 黒電話 (昭和 から) | お金持ちの家に 1 台 |
ポイント: 昔の道具 は 木・竹・鉄・土 などの 自然 の素材 で作られていました。 壊れても 修理 しながら何十年 も使えました。 いまのようなプラスチックや電池は使われていませんでした。
3. 道具の進化
道具 は 時代 とともに変化 してきました。 「仕事が早く楽になる」 方向に進んでいます。
洗濯機の進化
| 時代 | 道具 | くわしく |
|---|
| 大正 〜 昭和初期 | 洗濯板 と たらい | 手でこすりつける、 1 時間以上 |
| 昭和 30 年ごろ | 手回し式 洗機] | ハンドルを回す |
| 昭和 40 年ごろ | 二槽式 洗機] | 洗う 槽 と 脱水槽が別 |
| 昭和 50 年ごろ 〜 | 全自動 洗機] | 1 つの機械で全部 |
| 平成 〜 いま | ドラム式 洗乾燥機] | 乾かすまで自動 |
炊事道具 の進化
| 時代 | 道具 | くらし |
|---|
| 昔 | かまど + 羽釜 | 薪 を 燃やす、 火加減 がむずかしい |
| 昭和 | ガスコンロ + 文化 鍋 | ガスで簡単 |
| 昭和 〜 | 電気炊飯器 | ボタン 1 つでお米が 炊ける |
| いま | IH 炊飯器 | 火を使わず電気で |
明かりの進化
| 時代 | 道具 |
|---|
| 昔 | ろうそく・行灯・ランプ |
| 昭和初期 | 白熱灯 (糸が光る) |
| 昭和 〜 | 蛍光灯 |
| いま | LED (長持ち・電気を食わない) |
通信 の進化
| 時代 | 道具 |
|---|
| 昔 | 手紙・電報 |
| 昭和 | 黒電話 (家に 1 台) |
| 平成 | ポケベル → 携帯電話 |
| いま | スマートフォン (世界中と 繋がる) |
暖ぼうの進化
| 時代 | 道具 |
|---|
| 昔 | いろり・火鉢・湯たんぽ |
| 昭和 | 石油ストーブ・電気ストーブ |
| いま | エアコン (1 つで暖房・冷房) |
大事: 道具 が進化したことで、 仕事の時間 が 大幅に短縮 されました。 洗濯板 で 1 時間 かかった 洗濯が、 いまは 5 分 で終わります。 その分、 わたしたちは 勉強・遊び・趣味 に時間 を使えるようになりました。
4. 昔を知る方法
昔のくらしは 写真や記録 が少ない ため、 知るためにはいろいろな方法があります。
主な方法
| 方法 | くわしく |
|---|
| お年寄り に聞く | おじいちゃん・おばあちゃんの思い出を聞く |
| 郷土資料館 に行く | まちの昔の道具 や写真が集められている |
| 博物館 に行く | 全国の大きな集まり |
| 古い写真 を見る | おうちのアルバム・図書館 |
| 古い地図 を見る | 100 年前と今を比べる |
| 歴史本 を読む | 図書館で借りる |
| インターネット で調べる | 市役所のホームページなど |
お年寄りに聞くときの質問例
実際におじいちゃん・おばあちゃんに話を聞くときは、 つぎのような質問 をしてみましょう。
| 質問 | 聞けること |
|---|
| 「子どものころ、 何を食べていましたか」 | 食文化 |
| 「学校までどうやって通っていましたか」 | 交通手段 |
| 「家に電気や 水道 はありましたか」 | 生活設備 |
| 「どんな遊びをしていましたか」 | 子どもの遊び |
| 「テレビやラジオはありましたか」 | 通信・娯楽 |
| 「冬はどうやって暖まっていましたか」 | 暖ぼう |
郷土資料館とは
郷土資料館 は、 その 市・町・村 の昔の道具・写真・古文書 を集めて 展示 している場しょです。
| 見られるもの | 例 |
|---|
| 昔の道具 | かまど・洗濯板・行灯 など |
| 昔の服 | 着物・モンペ |
| 昔の写真 | まちの様子・お祭り |
| 昔の地図 | 100 年前の道・建物物 |
| 昔の道具 の体験 | 洗濯板 で洗う体験 など (許可が 要る) |
古い写真や道具 を見るときのマナー
| マナー | なぜ |
|---|
| ① 触らない (見学だけ) | 古い物は 壊れやすい |
| ② 写真撮影 は許可を取る | 場しょによっては 禁止 |
| ③ 静かに見る | みんながゆっくり見られるように |
| ④ 質問 は 係 の人に | くわしく教えてくれる |
| ⑤ 食べ物・飲み物は持ち込まない | 汚さない |
ポイント: お年寄り の 思い出 は、 本や資料には書いていない 「生きた歴史」 です。 1 人でも多くのお年寄りに話を聞いておくと、 まちの大切な記録 になります。 「聞き取り学習」 という大事な勉強です。
5. くらしの変化で楽になったこと・失われたこと
道具 やくらしが進化して、 わたしたちは とても楽 になりました。 でも、 失われたこともあります。
楽になったこと
| こと | くわしく |
|---|
| 家事 の時間 が短く | 洗濯・炊事・そうじがすぐ終わる |
| 食生活 が豊かに | 1 年中いろいろな食べ物が食べられる |
| 移動 が早く | 電車・車・飛 行機で遠くへ |
| 情報 がすぐ | テレビ・インターネット で何でも知れる |
| 寿命 がのびた | 医学が進んで 健 康 に長生き |
| 学校教育がみんなに | だれでも学べる |
失われたこと・なくなりかけのこと
| こと | くわしく |
|---|
| 家族が集まる時間 | テレビ・スマホで別々になりがち |
| 近所との付き合い | おとなりの顔を知らないことも |
| 伝統行事 | お正月・お盆・節分を知らない子どもも |
| 手作り の文化 | 服も食べ物も買う時代 |
| 自然 との 関わり | 井戸 から水を 汲まなくなった |
| 物を大切にする心 | 壊れたら 捨てて新しく買う |
比べてみよう — 100 年前と今
| 場面 | 100 年前 | いま |
|---|
| 朝の顔洗い | 井戸 の水を 汲む | 水道 の 蛇口 |
| 朝ごはん | かまど で 羽釜 で 炊く | 電気炊飯器 |
| 学校へ | 歩いて 1 時間 | 歩いて 10 分・自転車 |
| 昼ごはん | 家で食べる | 給食 |
| 夕食 | いろり を囲む | テーブルといす |
| **お 風呂 | 薪 で 沸かす | ガス・電気で自動 |
| 就寝 | 行灯 の明かり | LED |
「楽になった = いいことばかり」 とは限らない
| 進化の良い面 | 注意 が必要 な面 |
|---|
| 仕事が早い | 体を動かす機会 が減る |
| 物が安い | ごみが増える |
| いつでも食べられる | 旬 がわかりにくい |
| 何でも買える | 物を大切にしない |
| 遠くへ行ける | 近所との 関わりが減る |
大事: 昔のくらしには 「不 便 だからこその 知恵」 がたくさんありました。 いろり を囲んで家族で話す、 井戸 の水をみんなで 汲む、 手作り のものを大切にする — このような 知恵 を、 いまの 便 利 な時代 でも大切にしていきたいですね。
6. ふりかえりと安全配慮
この章のチェックリスト
古い道具 を触るときの安全 (大事)
郷土資料館 やおうちの 蔵 で昔の道具 を触るときは、 つぎのことに注意 しましょう。
| 注意 | なぜ |
|---|
| ① 必ず大人 といっしょに | 古い物は 壊れやすい・とがった部分 がある |
| ② 手を洗ってから触る | 道具 を 汚さない |
| ③ 重いものは持ち上げない | かまど の 鍋 は何 kg もある |
| ④ 刃物 (鎌・包丁) は触らない | 切れる・さびで怪我する |
| ⑤ 火を使う道具 (七輪・行灯) は火をつけない | やけど・火事 の元 |
| ⑥ 古い 釘 や鉄に注意 | 破傷風の元 |
| ⑦ 倒れてくる物に注意 | 古い 箪笥 や 棚 |
| ⑧ 触った後は必ず手を洗う | カビや古いホコリで病気になることも |
お年寄りに聞くときのマナー
| マナー | なぜ |
|---|
| ① 静かに聞く | お年寄りは大きな声が苦手 |
| ② 失 礼 な質問 はしない | 「なぜそんな古い物を」 など |
| ③ 答える時間 を待つ | お年寄りはゆっくり |
| ④ 「ありがとうございました」 とお礼 | 大切なお話をしてくれた |
| ⑤ メモや 録音 は許可を取る | 勝手にはしない |
大事: 昔の道具 を大切に残してくれているのは、 郷土資料館 の人や お年寄り です。 「大切に見る・触らない・ありがとうを言う」 を 忘れずに。 そして、 100 年前のくらしを大切に 想い出すことで、 いまの自分たちのくらしも大切にできるようになります。
次の章: 第 10 章では、 「市の様子の移り変わり」 を学びます。 第 9 章で学んだ 「くらしの変化」 が、 自分たちの 市全体 でどのように起きたかを、 人口・交通・町並み・産業 の 4 つの 視 から見ていきましょう。