この章で学ぶこと
第 4 章は、 第 3 章 (人の体) で学んだことを 植物 につなげる章です。 植物 にも、 「養分 をつくるしくみ」 と 「水を運ぶしくみ」 と 「酸素 と 二酸化炭素 をやりとりするしくみ」 があります。
- 葉で でんぷん がつくられる こと (光合成) を、 ヨウ素液 でたしかめる
- 光合成 には 日光 が必要 であることを、 おおいをしてくらべる
- 水の通り道 (根 → 茎 → 葉) を、 食紅 で観察 する
- 葉から 水が出ていく (蒸散) ことを、 ふくろをかぶせてたしかめる
- 植物 の全体 が 光合成・蒸散・吸水 でつながっていることを知る
ポイント: 5 年生で学んだ 「植物 の 発芽 と成長」 では、 種子 の中の 養分 (= でんぷん) を使って育つことを学びました。 6 年生では、 種子 が終わったあと、 植物 が 自分で 養分 をつくるしくみ を学びます。
1. 葉ででんぷんがつくられる — 光合成
植物 は 葉 で でんぷん をつくっています。 でんぷん は植物 にとっての 養分 で、 おもに葉にたくわえられます。
でんぷんはどこでつくられるか
でんぷん は 葉のみどり色の部分 でつくられます。 このみどり色を出しているのが 葉緑体 という小さなつぶです。
葉緑体 — コケの葉を顕微鏡で見た様子。 細胞の中に緑色のつぶが並ぶ。 ここで 光合成 が起きる。
| 部分 | 中にあるもの | はたらき |
|---|
| 葉 (みどり色) | 葉緑体 | でんぷん をつくる |
| 茎・根 | ほとんどない | でんぷん はつくらない |
実験: 葉にでんぷんがあるかしらべる
でんぷん のあり・なしは、 5 年生で学んだように ヨウ素液 でたしかめられます。
ヨウ素デンプン反応: でんぷん に ヨウ素液 をつけると 濃い青紫色 に変色 する。
葉はそのままではかたいので、 つぎの順番 でやわらかくしてから ヨウ素液 をつけます。
| ステップ | やること |
|---|
| ① | 葉を 熱湯 に 1 分つける (やわらかくする) |
| ② | エタノール につけて 緑色をぬく (湯せんであたためながら) |
| ③ | もう一度水ですすぐ |
| ④ | ヨウ素液 をつける |
結果
- 葉が 濃い青紫色 に変わった → でんぷん がある
大事: エタノールは火に弱い ので、 アルコールランプで直接 あたためてはいけません。 必ず 湯せん (お湯の中にエタノールの入った容器 を入れる) で行います。 火をつかうと引火します。
2. 日光とでんぷんの関係
「でんぷん をつくるのに 日光 が必要 かどうか」 を、 条件制御 でたしかめます。 5 年生の力がここで 活きます。
実験計画 (日光 の条件)
朝、 まだ でんぷん がたまっていない葉を選んで、 つぎの 3 つに分けます。
3 まいの葉を用意 して、 ① ② ③ と名前をつけます。
| 葉 | 朝のとき | 昼までのあつかい |
|---|
| ① | アルミホイルをかぶせて でんぷん をつかい切らせる (前の日の夕方から) | 朝すぐに ヨウ素液 で検査 (スタート時点) |
| ② | アルミホイルを外して日に当てる | 4 時間当てる |
| ③ | アルミホイルをかぶせたまま | 4 時間 かぶせたまま |
結果
| 葉 | ヨウ素液 の色 |
|---|
| ① (朝、 アルミかぶせたまま) | 色が変わらない (でんぷん なし) |
| ② (昼、 アルミを外して日に当てた) | 濃い青紫 (でんぷん あり) |
| ③ (昼、 アルミかぶせたまま) | 色が変わらない (でんぷん なし) |
考察
- 日に当てた葉だけ でんぷん ができた
- → でんぷん をつくるには日光 が必要
光合成のしくみ
葉が日光 を受けて でんぷん をつくるはたらきを 「光合成」 (こうごうせい) と言います。
光合成 のしくみ — 葉緑体 が 水 + 二酸化炭素 + 太陽の光 を使って、 でんぷん と 酸素 を作る。
光合成 のしくみ: 葉は 二酸化炭素 と水 を取り入れて、 日光 のエネルギー をつかい、 でんぷん と 酸素 をつくる。
| 取り入れるもの | つかうエネルギー | できるもの |
|---|
| 二酸化炭素 (空気 から) | 日光 | でんぷん (葉にたくわえる) |
| 水 (根 から吸う) | | 酸素 (空気 に出す) |
大事: 光合成 で出る 酸素 は、 動物 (人ふくむ) の 呼吸 で使われます。 第 5 章で学ぶ 「食物連鎖」 や 「空気 の 循環」 の大事なポイントです。 第 3 章と第 4 章をつなげて 多面的 に考えましょう。
3. 水の通り道 — 根から葉まで
植物 は、 根 から 水 を吸って、 茎 と葉まで運んでいます。 この 「水の通り道」 を、 食紅 (色のつくもの) で見える化します。
実験: 食紅で水の通り道を観察
ホウセンカやセロリの茎を使います。
| ステップ | やること |
|---|
| ① | 切り花用のホウセンカ (またはセロリ) を用意 |
| ② | コップに 赤色の 食紅水 を入れる |
| ③ | 茎 の下を水の中で切って、 すぐコップにさす |
| ④ | 1 〜 3 時間待つ |
| ⑤ | 茎 を横に切って、 ルーペで観察 |
結果
- 茎 の中の 赤く 染まった部分 が、 水の通り道
- 葉にも赤い線が見える (葉脈)
道管 — 水の通り道
茎 や葉の中には、 道管 という 水を運ぶ細い管 がとおっています。
| 部分 | 道管 の並び方 |
|---|
| ホウセンカの 茎 | 茎 の外がわにわのように並ぶ |
| セロリの 茎 | 数本のすじになって通る |
ポイント: 道管 は、 第 3 章で学んだ 血管 と似た役割 をしています。 動物 は 血管 で 酸素 や 養分 を運び、 植物 は 道管 で水を運ぶ。 両方とも 「全身 に必要 なものを運ぶパイプ」。
4. 葉から水が出ていく — 蒸散
根 から吸い上げた水は、 葉まで運ばれたあと、 葉から水蒸気 となって空気中に出ていきます。 これを 「蒸散」 (じょうさん) と言います。
実験: ふくろをかぶせてたしかめる
| ステップ | やること |
|---|
| ① | 葉がしげった植物 (ホウセンカなど) に、 透明な ビニールふくろ をかぶせる |
| ② | ふくろの口をしっかりしばる |
| ③ | 30 分 〜 1 時間待つ |
結果
- ふくろの内側 に 水のつぶ (水滴) がついて白くくもる
- → 葉から 水が出ている
葉をぜんぶ取った場合とくらべる
| 条件 | A (葉あり) | B (葉を取った) |
|---|
| ふくろのくもり | はっきり白くなる | ほとんどくもらない |
考察
- B (葉なし) はほとんどくもらなかった
- → 水が出ているのは 葉
- → これが 蒸散
気こう — 水が出ていく出口
葉の裏には、 とても小さなあながたくさんあります。 これを 気孔 と言います。
気孔 — 葉の裏を顕微鏡で見た様子。 三日月形の 2 つの細胞 (孔辺細胞) にかこまれた小さい穴が、 蒸散 とガス交換の出入り口。
| 項目 | くわしく |
|---|
| 気孔 の大きさ | 0.01 〜 0.05 mm (顕 で見える) |
| 主にある場しょ | 葉の 裏側 |
| はたらき | 蒸散 (水蒸気 を出す) と ガス交換 (酸素・二酸化炭素 の出入り) |
大事: 気孔 は 蒸散 の出口 であり、 同時に 光合成 と 呼吸 のガス交換 の入り口 でもあります。 1 つのあなが 3 つのはたらき をかねているのは、 多面的 な視点 で見ると面白いポイント。
5. 植物の全体のはたらき — 多面的につなげる
ここまで学んだ 光合成・吸水・蒸散 を、 植物全体 でつなげて見ましょう。
植物の体とはたらき
| 場しょ | はたらき | やりとりするもの |
|---|
| 葉 | 光合成 | 二酸化炭素 を取り入れ、 酸素 と でんぷん をつくる |
| 葉 (気孔) | 蒸散 | 水蒸気 を出す |
| 茎 (道管) | 水の通り道 | 根 からの水を葉に運ぶ |
| 根 | 吸水 | 土の中の水と 養分 を吸う |
1 日の流れ
| 時間 | 何がおきているか |
|---|
| 朝 (日が出る) | 光合成 が始まる、 酸素 を出す、 蒸散 も活発 |
| 昼 (日が強い) | 光合成 がもっとも活発、 たくさんの水を吸い上げる |
| 夕方・夜 | 光合成 が止まる、 呼吸 だけする (酸素 を吸い、 二酸化炭素 を出す) |
ポイント: 植物 も、 1 日中 呼吸 をしています (酸素 を吸い、 二酸化炭素 を出す)。 ただし昼は 光合成 の量が 呼吸 の量よりはるかに多いので、 結果 として 「昼は 酸素 を出している」 と見えます。
植物と動物の比較
| 項目 | 動物 (人) | 植物 |
|---|
| 養分 の取り方 | 食る (消化) | 自分でつくる (光合成) |
| 必要 なもの | 酸素・養分・水 | 二酸化炭素・水・日光 |
| 出すもの | 二酸化炭素・尿 | 酸素・水蒸気 |
| 運ぶパイプ | 血管 | 道管 |
| ポンプ | 心臓 | (ポンプなし、 蒸散 の力で吸い上げる) |
大事: 植物 が出す 酸素 を動物 が吸い、 動物 が出す 二酸化炭素 を植物 が吸う。 この やりとり が、 第 5 章で学ぶ 「生物 と環境」 の中心テーマです。
6. ふりかえりと安全配慮
この章のチェックリスト
この章の安全配慮
- ヨウ素液 は服につけない (色が落ちない)
- ヨウ素液 を 口に入れない、 手に付いたらすぐ大量の水で洗う
- 葉の緑色をぬく エタノール は 湯せん であたためる (火で直接 あたためるのは 厳禁、 引火)
- 熱湯 や熱いエタノールで やけどに注意、 保護 めがね 着
- 食紅水を 服につけない、 こぼしたらすぐ 拭く
- 切り花を 採るときは、 学校や家庭で 育てているもの にかぎる (公園 や道路 の植物 を折らない)
- 生命 尊重 — 植物 も生きている。 必要 な分だけつかい、 実験 が終わったら残りを大切にする
次の章: 第 5 章では、 「生物 と環境」 を学びます。 この章で学んだ 「植物 が出す 酸素」 と、 第 3 章の 「動物 が出す 二酸化炭素」 が、 自然 の中でどう やりとり されているかを、 食物・空気・水の 多面的 な視点 で見ていきます。