この章で学ぶこと
部屋のあかり、 テレビ、 れい蔵庫、 スマートフォン … 私たちの生活は 電気 なしでは成り立ちません。 でも、 この電気はどこから来て、 どこで使われて、 どのくらいの量を使っているのでしょうか。
5 年生で 電磁石 を学びました。 その学習を発展させて、 6 年生では 「電気を作る・ためる・使う」 という流れを学びます。 また、 プログラミング で電気を効率よく使う工夫も体験します。
- 電気 が 「作る (発電)・ためる (蓄電)・使う」 の 3 つの流れで利用されることを知る
- 手回し発電機・太陽光発電・風力 など発電のしくみを知る
- コンデンサー で電気を一時的にためられることを体験
- 電気が 光・熱・音・動き に変わることを例で言える
- LED が 豆電球 より省エネである理由を説明できる
- プログラミング でセンサーを使い電気を制御できる (条件分岐)
- 節電・再生可能エネルギー と環境の関係を多面的に考えられる
大事: 6 年生では 「電気と環境」 を多面的に考える ことが大切です。 算数で学んだ 「時間 × 電力 = 電力量」 という比例関係も出てきます。
1. 電気を作る — 発電のしくみ
家や学校で使う電気は、 発電所 で作られて、 電線を通って届きます。 でも、 自分たちでも電気を作ることができます。
主な発電の種類
| 発電の種類 | しくみ | 特ちょう |
|---|
| 火力発電 | 石油・石炭・天然ガスを燃やして蒸気でタービンを回す | 多く作れるが 二酸化炭素 が出る |
| 水力発電 | ダムの水が落ちる力でタービンを回す | 二酸化炭素が出ない |
| 原子力発電 | ウランの核反応の熱で蒸気を作りタービンを回す | 二酸化炭素が出ないが、 放射性廃棄物が出る |
| 太陽光発電 | 太陽光をソーラーパネルで直接電気に | 二酸化炭素が出ない、 天候に左右 |
| 風力発電 | 風でプロペラを回す | 二酸化炭素が出ない、 風が必要 |
| 地熱発電 | 地下の熱で蒸気を作る | 二酸化炭素少ない、 場所が限られる |
ポイント: タービン (= 大きな羽根) を回して電気を作る のが基本 (太陽光を除く)。 電磁石 とコイルの仕組みで、 5 年生の学習とつながります。
太陽光発電 — 太陽の光をソーラーパネルで直接電気に。 二酸化炭素 を出さない 再生可能エネルギー。
風力発電 — 風で大きなプロペラを回して電気を作る。 海の上に作る 「洋上風力」 が増えている。
実験: 手回し発電機で電気を作る
| ステップ | やること |
|---|
| ① | 手回し発電機 に 豆電球 をつなぐ |
| ② | ハンドルを回す |
| ③ 観察 | 豆電球 が 光る |
| ④ | ハンドルを速く回す |
| ⑤ 観察 | 光が 明るく なる |
| ⑥ | 逆向きに回す |
| ⑦ 観察 | (LED の場合) 光らなくなる (極が反対になる) |
大事: 速く回すと強い電気、 ゆっくり回すと弱い電気。 つまり 「力の大きさ」 が 「電気の強さ」 に変わる。 これが発電の本質です。
2. 電気をためる — コンデンサー
発電した電気をその場で使うだけでなく、 後で使うためにためる こともできます。 これを 蓄電 と言います。
蓄電の道具
| 道具 | せつめい | 例 |
|---|
| コンデンサー | 電気を一時的にためる部品 (理科室で使う) | 実験用 |
| 充電池 (バッテリー) | 化学反応で電気をためる | スマホ・電気自動車 |
| 乾電池 | 化学反応でためた電気を使い切る (使い捨て) | リモコン |
実験: コンデンサーに電気をためる
| ステップ | やること |
|---|
| ① | 手回し発電機 と コンデンサー をつなぐ |
| ② | ハンドルを 1 分間回す |
| ③ | 発電機をはずして、 豆電球 をつなぐ |
| ④ 観察 | 発電機を回していないのに 豆電球 が光る (約数秒) |
| ⑤ | LED でも同じ実験 をする |
| ⑥ 観察 | LED の方が 長く光る (省エネだから) |
ポイント: コンデンサー にためた電気の量は同じでも、 LED の方が 少ない電気で光る ため長持ちします。
3. 電気を使う — 光・熱・音・動きへの変換
電気は そのまま使うわけではなく、 別のものに変えて使う ことがほとんどです。 何に変わるかで道具が分かれます。
電気の変換の例
| 変わるもの | 道具の例 |
|---|
| 光 | 電灯・LED・豆電球・テレビ・スマートフォンの画面 |
| 熱 | ストーブ・電子レンジ・アイロン・電気ポット・ヘアドライヤ |
| 音 | スピーカー・ブザー・ラジオ |
| 動き (運動) | 扇風機・洗濯機・電車・電気自動車・モータ |
大事: モーターは 5 年生で学んだ 電磁石 の応用です。 電気を動きに変える装置として、 身の回りの多くの機械で使われています。
実験: 電気が何に変わるかを確かめる
| 道具 | 何に変わるか | やってみる |
|---|
| 豆電球 | 光 + 少しの熱 | 触ると温かい |
| LED | 光 (熱は少し) | 触ってもそんなに熱くない |
| 電子オルゴール | 音 | 鳴る |
| モータ | 動き | 回る |
| ニクロム線 | 熱 | 発ぽうスチロールを切れる (糸のこ) |
4. 豆電球と LED の比較 — 省エネのくふう
同じ 「光らせる」 道具でも、 豆電球 と LED では大きなちがいがあります。
比較表
| こうもく | 豆電球 | LED |
|---|
| 仕組み | フィラメント (細い金属線) を熱して光らせる | 半導体が直接光る |
| 熱の出方 | 多い (触れないくらい熱い) | 少ない |
| 電気の使用量 | 多い | 少ない (1/4 〜 1/8) |
| 寿命 | 約 1,000 時間 | 約 40,000 時間 |
| 値段 (1 個) | 安い | やや高い (でも長持ち) |
実験: 同じコンデンサーで何秒光るか
| 光らせるもの | 光っている時間 | 倍数 |
|---|
| 豆電球 | 約 5 秒 | 1 倍 |
| LED | 約 30 〜 40 秒 | 6 〜 8 倍 |
大事: LED が省エネなのは、 電気のほとんどを光に変えていて、 熱として捨てていない から。 豆電球 は約 9 割が熱として失われます。
算数とつなげて考える (時間 × 電力)
電気の使用量は 「電力 (W: ワット) × 時間 (h: 時間)」 で表し、 電力量 (Wh: ワットアワー) と言います。
| 道具 | 電力 | 1 時間での電力量 |
|---|
| 古い白熱電球 | 60 W | 60 Wh |
| LED 電球 (同じ明るさ) | 8 W | 8 Wh |
→ 1 日 8 時間使うと…
| 道具 | 1 日の電力量 | 1 か月 (30 日) |
|---|
| 白熱電球 | 60 × 8 = 480 Wh | 14,400 Wh = 14.4 kWh |
| LED | 8 × 8 = 64 Wh | 1,920 Wh = 1.92 kWh |
ポイント: 電力が 半分 になれば電力量も 半分。 これは算数の 比例 の関係。 「時間をそろえれば電力と電力量は比例」 ということ。
5. プログラミングで電気を制御する
電気を 「必要なときだけ、 必要な分だけ」 使うことができれば、 さらに省エネになります。 そこで役立つのが プログラミング です。
センサーと条件分岐
| 用語 | せつめい | 例 |
|---|
| センサー | 周りの様子を感じ取る部品 | 明るさ・温度・人の動き |
| 条件分岐 | 「もし ○ ○ なら ◆ ◆ する」 という命令 | プログラムの基本 |
| アクチュエータ | 命令を受けて動く部品 | LED・モータ・ブザー |
例: 暗くなったら自動で明かりを点けるプログラム
| ステップ | プログラムの動き |
|---|
| ① | 明るさセンサーで周りの明るさを計る |
| ② | 「もし 明るさが ○ ○ より暗い なら 」 と判断 |
| ③ | LED を点ける |
| ④ | 「でなければ」 LED を消す |
| ⑤ | ① に戻って繰り返す |
例: 人が来たら明かりを点けるプログラム
| ステップ | プログラムの動き |
|---|
| ① | 人感センサーで人がいるか計る |
| ② | 人がいれば LED を点ける |
| ③ | いなくなって 30 秒経ったら自動で消す |
身の回りの例
| 装置 | プログラムの動き |
|---|
| 自動ドア | 人が近づいたら開く |
| エアコン | 室温を計って設定温度になるまで動く |
| 信号機 | 時間で色を変える、 車が来たら検知 |
| 街灯 | 暗くなったら自動で点く |
| 冷蔵庫 | 中があたたかくなったら冷やす |
大事: プログラミング は 「人がずっと見張るかわりに、 機械に自動でやらせる」 技術。 電気のむだづかいを減らし、 省エネにつながります。
6. 電気と環境 — 節電と再生可能エネルギー
電気を作るためには、 多くの場合 石油・石炭 などを燃やして、 二酸化炭素 が出ます。 このことは第 5 章で学んだ 「地球温暖化」 とつながっています。
自分たちにできる節電
| やること | 効果 |
|---|
| 使わない部屋の明かりを消す | 即座に電気が減る |
| LED 電球に切り替える | 約 1/8 の電気ですむ |
| エアコンの設定温度を 1 ℃ 控えめに | 夏 28 ℃・冬 20 ℃ |
| 待機電力 を減らす | 使わない機器はコンセントから抜く |
| テレビ・ゲームの時間を決める | 必要以上に使わない |
| 冷蔵庫をすぐ開け閉め | 冷気を逃がさない |
再生可能エネルギー
再生可能エネルギー とは、 使っても無くならない エネルギーのこと。 太陽光・風力・水力・地熱・バイオマス など。
| 種類 | 利点 | 課題 |
|---|
| 太陽光 | 二酸化炭素 0、 屋根で発電できる | 夜・曇りは発電できない |
| 風力 | 二酸化炭素 0 | 風が弱い日は発電できない |
| 水力 | 安定、 二酸化炭素 0 | ダムを作るに場所が限られる |
| 地熱 | 安定 | 場所が限られる |
ポイント: 再生可能エネルギーだけではまだ全部の電力をまかなえません。 「節電 + 再生可能エネルギー」 の両方が大切です。
7. ふりかえり
- [ ]電気が 「作る・ためる・使う」 の流れで利用されることを言える
- [ ]手回し発電機 や 太陽光発電 などの発電のしくみを 1 つ言える
- [ ]コンデンサー が電気を 一時的にためる 部品であることを言える
- [ ]電気が 光・熱・音・動き に変わることを例で言える
- [ ]LED が 豆電球 より 省エネ である理由を言える
- [ ]プログラミング で センサー と 条件分岐 を使うと電気を自動で制御できることを言える
- [ ]自分でできる 節電 を 3 つ以上言える
- [ ]再生可能エネルギー の例を 3 つ言える
この章の安全配慮
- コンセントに金属を入れない (感電・火災の危険)
- ぬれた手で電気製品を触らない (感電)
- たこ足配線をしない (火災の原因)
- コードを強く引っぱらない (中の線が切れて火災)
- 手回し発電機 を強く回しすぎない (中の部品やつないだ機器が壊れる)
- 電池をショートさせない (+ と - を直接つなぐと発熱・発火)
- 古い電池やふくらんだ電池は使わない (液漏れ・発火)
- 電気製品を自分で分解しない (感電の危険)
- かみなりのときは電気製品を抜く (落雷で壊れる)
- コンデンサーの充電後は触らない (電気が流れる)
次の章 (おわりに): 全 10 章を通して、 「物を多面的に見る」 という 6 年生の大きなテーマを学んできました。 化学 (燃焼・水溶液)・生物 (人体・植物・環境)・地学 (月・土地)・物理 (てこ・電気) と、 理科の 4 分野を一通り体験しました。 中学校の理科では、 ここで学んだことがさらに 数値や公式 で表され、 よりくわしく学びます。 6 年間の理科の学びを大切に、 ふしぎを見つける心をずっと持ち続けてください。
まとめ — 電気 の利用を 3 行で
- 電気は 作る(発電)・ためる(蓄電)・使う ことができる。手回し発電機 や コンデンサー で体験できる。
- 電気は光・熱・音・動きに変えて使われる。LED は 豆電球 より省エネで長持ち。
- プログラミング で センサー と 条件分岐 を使うと電気を自動で制御できる。 節電 や 再生可能エネルギー にもつながる。