この章で学ぶこと
4 年生の 「雨水の行方と地面のようす」 では、 雨が流れて低い方へ集まり、 すなは水がしみこみやすく、 ねん土はしみこみにくいことを学びました。
5 年生では、 もっと大きなスケールで 川や水のはたらき を見ます。 雨や川の水が 長い時間をかけて土地を変える こと、 ときには 洪水 や災害 を引き起こすことまで学びます。
- 流れる水 の 3 つのはたらき (浸食・運搬・堆積) を知る
- 流れの 速さ ではたらきが変わることを理解 する
- 川の上流・中流・下流 で石の大きさ・川幅・流れがちがうことを知る
- 川岸がけずられて 川原 ができるしくみを知る
- 大雨と 洪水 で流れる水の力がもっと大きくなることを知る
- 堤防・ダム・遊水地 など 治水 のくふうを知る
ポイント: 4 年生で学んだ 「水は高い所から低い所へ」 が、 5 年生では 「水は長い時間をかけて土地そのものを動かす」 に進化します。 自分の町の川を思い浮かべながら学ぶとわかりやすいです。
1. 流れる水 の 3 つのはたらき
流れる水 にはつぎの 3 つのはたらき があります。 すべて 5 年生で必ず覚える言葉 です。
| はたらき | よみ | 意味 |
|---|
| 浸食 | しんしょく | 水が地面を けずる はたらき |
| 運搬 | うんぱん | けずった土砂を 下流へ運ぶ はたらき |
| 堆積 | たいせき | 運んだ土砂を 積もらせる はたらき |
| 場しょ | 主なはたらき |
|---|
| 水が 速く流れる ところ | 浸食 と 運搬 が強い |
| 水が 遅く流れる ところ | 堆積 が強い |
大事: 3 つは 同時に起きている。 けずって、 運んで、 積もる、 が川の中でずっとくり返されている。 だから川の形や土地がゆっくり変わっていくのです。
流れる水による浸食 (大雨で畑が削られた溝)。 流れが速いほど浸食のはたらきが強い。
2. 流れの速さではたらきが変わる
水を流す速さが変わると、 はたらきも変わります。 校庭 のすな場 や 流水装置 で確かめられます。
実験: 校庭 のすな場で川を作る
| ステップ | やること | 起きること |
|---|
| ① | 板を少しななめに置き、 上から水を流す | 上 (傾斜急) でけずられて、 下 (傾斜ゆるい) で積もる |
| ② | 板の傾斜 を きつくする (= 流れ速く) | けずる量が増える (浸食強い) |
| ③ | 板の傾斜 を ゆるくする (= 流れ遅く) | 積もる量が増える (堆積強い) |
| ④ | 流す 水の量をふやす | けずる量も運ぶ量も どっと増える |
考察: 流れが 速いほど 浸食 と 運搬 が強くなり、 流れが 遅いほど 堆積 が強くなる。 また 水の量が多いほど 全部のはたらきが強くなる。
カーブでのはたらき (内側と外側)
川がカーブすると、 外側と内側で流れの速さがちがう ので、 はたらきもちがいます。
| カーブの場しょ | 流れの速さ | 起きること |
|---|
| 外側 (大回り側) | 速い | 浸食 が強く、 川岸がけずられる |
| 内側 (小回り側) | 遅い | 堆積 が強く、 川原 ができる |
ポイント: だから川のカーブの内側には砂や小石が積もった 川原 (かわら) ができ、 外側は がけ になる。 自分の町の川でカーブを見て、 確かめてみよう。
3. 川の上流・中流・下流
川を山から海まで見ると、 場しょでようすが大きくちがいます。
| 場しょ | 流れ | 川幅 | 石の大きさ・形 | 主なはたらき |
|---|
| 上流 (山) | 速い・急 | せまい | 大きい・ごつごつ・角ばっている | 浸食 |
| 中流 (野原) | ゆっくり | 中くらい | 中くらい・少しまるい | 運搬 と 堆積 |
| 下流 (海近く) | おそい・ゆるい | 広い | 小さい・とてもまるい・砂 | 堆積 |
大事: 川の石は上流では角ばって大きく、 下流に行くほどまるく小さくなる。 これは 長い距離を運ばれるうちに、 石同士がぶつかってけずれてまるくなる からです。 自分の町の川の石を上流と下流で拾ってくらべると一目 でわかる。
川が平地に出るところ — 扇状地
山から平地に出ると、 急に傾斜 がゆるくなって流れが遅くなるので、 そこで大量の土砂が 堆積 して 扇状地 (せんじょうち、 おうぎ形の平地) ができます。
川が海にそそぐところ — 三角州
川が海に入ると、 流れが止まってしまい、 さらに細かい土砂が 堆積 して 三角州 (さんかくす、 デルタ) ができます。 大阪 やナイル川河口が有名。
| 地形 | できる場しょ | できる理由 |
|---|
| 扇状地 | 山と平地のさかい | 急に流れが遅くなるので砂利が積もる |
| 三角州 | 川が海に入るところ | 流れが止まって細かい砂が積もる |
| V 字谷 | 上流の山の中 | 浸食が強くて深くけずれる |
4. 川岸がけずられる・川原 ができる
川のカーブで 外側がけずられて 内側 に 川原 ができる ことはさっき学びました。 これが 何十年・何百年 と続くと、 川の形がだんだん変わっていきます。
この流れで 「川のつけ替え」 や 「三日月湖」 ができる
カーブがどんどん強くなると、 ある時大雨が来て カーブの根もとを一気に流れ抜けて、 古いカーブが取り残される。 この取り残された部分が 三日月湖 (みかづきこ、 三日月の形をした湖) です。 北海道の石狩川で多く見られます。
大雨で川岸がくずれる
ふだんはゆっくりと進む川岸の 浸食 が、 大雨 の日には 一気に 進む。 これが 「川岸がくずれた」 「土砂崩れ」 というニュースになる。
5. 大雨と 洪水
ふだんはおだやかな川が、 大雨 で一気 に 危険 になるのはなぜでしょうか。
流量がふえると流れも速くなる
| ふだん | 大雨のとき |
|---|
| 水量少ない | 水量 何倍にもふえる |
| 流れゆっくり | 流れ 速くなる |
| 浸食・運搬弱い | 浸食・運搬 何倍にも強くなる |
大事: 水の量が 2 倍になると、 けずって運ぶ力は 2 倍を超えてとても強くなる。 だからふだんは動かない大きな石や倒れた木まで流され、 とても危険。
川があふれる = 洪水
水量が多すぎて、 川が 堤防 を越えてあふれるのが 洪水。 家や田畑がしずんでしまう。
| こわいこと | 起きること |
|---|
| 流される | 速い流れで大人の力でも立っていられない (足首ほどの深さでも危険) |
| 土砂崩れ | 山の土が水をふくみ過ぎてくずれる、 家が流される |
| 泥でうまる | 引いた後に大量の泥が残り、 片づけが大変 |
雨が多い国の日本
日本は 梅雨 (6 月) と台風 (8 〜 10 月) で大雨が多く、 昔から川の災害 がとても多かった国。 だから 治水 のくふうが進んできた。
6. 治水 のくふう (人が川を守る)
川の災害 を減らすために、 人はたくさんのくふうをしてきた。 これを 治水 と言う。
堤防
- 川岸に高い土手を作って、 水があふれないようにする
- コンクリートや石で補強 してある
- 一番古くからあるくふう
ダム
- 川の上流に大きな壁を作って水をためる
- 大雨の時に 水をためこんで、 下流に一気 に流さない
- ふだんは 電気を作る (水力発電) や飲み水に利用
遊水地
- 川の横にわざと 水があふれてよい場しょ を作る
- 大雨で川があふれそうな時、 ここに一時水をためて、 街を守る
- ふだんは公園 やグラウンドとしてつかう (ふだん使いと防災 を両立)
砂防ダム (さぼうダム)
- 山の上流に作る小さなダム
- 大雨で大きな石や土砂が一気 に流れるのをふせぐ
- 土砂崩れ の被害 を減らす
| くふう | はたらき |
|---|
| 堤防 | 川があふれないように守る |
| ダム | 上流で水をため、 下流を守る + 発電・水道 |
| 遊水地 | あふれそうな水を一時 にためる場しょ |
| 砂防ダム | 上流の土砂をふせぐ |
ポイント: 治水 は 完全 に災害 を防げるものではない。 「100 年に 1 回の大雨」 のような時には、 ダムも堤防も越えてしまうことがある。 だから 避難 や ハザードマップ で安全な場しょを知っておくことがとても大事です。
7. ふりかえり
この章で学んだことをふりかえりましょう。
この章の安全配慮
- 大雨の日やその後に川へ近づかない — ふだんの川と全然 ちがう、 大人 でも流される
- 川で遊ぶ時は必ず大人 と — 急に深くなるところ、 流れの速いところがある
- 足首ほどの流れでも危険 — 速い水は足元をすくう力がある
- 土砂崩れ の前ぶれ を知る — 山から 「ガラガラ」 と音がする、 にごった水が流れてくる、 木がゆれる、 すぐに高い場しょへ
- 校庭 の流水装置 をつかうときも、 水ですべらないように、 服をぬらさないように
- 川の観察 はふだんの晴れた日に、 大人 と一緒 に、 浅い場しょで
- ハザードマップ で自分の家が 「洪水浸水そうてい」 区域 か確かめ、 避難場しょを家族 と話し合っておく
次の章: 第 9 章では 「天気 の変化」 を学びます。 4 年生で学んだ 「天気と気温」 が、 5 年生では 雲・偏西風・台風 という大きなスケールに進化します。 「日本の天気が西から東へ変わる」 のはなぜか、 気象衛星がどう役立つか、 台風 の進路 と災害 まで、 ニュースの天気予報 が一段 とわかるようになります。