この章で学ぶこと
「振り子」 といえば、 公園 のブランコや、 おじいちゃんの家にある 「振り子時計」 を思い出す人がいるかもしれません。
第 6 章では、 この振り子が どういう 条件 でゆっくり振れるか・速く振れるか を、 5 年生の学年目標 「条件制御 して計画的 にしらべる」 で確かめます。
- 振り子 のしくみ (支点・ひも・おもり) と 周期 の意味 を知る
- 10 往復 の時間を計って 10 で割る = 平均 で 誤差 を減らすやり方を身につける
- 重さ を変えても周期は同じことを実験 で確かめる
- 振れ幅 を変えても周期は同じことを実験 で確かめる
- ひもの長さ を変えると周期が変わる (長いほど遅い) ことを実験 で確かめる
- メトロノーム・振り子時計など身近な例を知る
ポイント: この章は 5 年生の 「条件制御」 学習の 代表例 です。 「変える条件 1 つだけ、 ほかはそろえる」 を何回もくり返します。 第 2 章 (発芽) で学んだやり方を、 今度は 「時間と数字」 で行います。
1. 振り子のしくみ
振り子 とは、 支点 (してん、 ひもをつるすところ) からひもをたらし、 その先に おもり をつけたものです。
振り子時計の設計図 (1659 年、 ガリレオの弟子 Viviani 画)。 振り子の周期がひもの長さで決まることを利用した時計。
| 部分 | 名前 | はたらき |
|---|
| 上 | 支点 | ひもをつるす動かない点 |
| ひも | ひも (糸) | おもりを支点からつるす |
| 下 | おもり | ひもの先につける重いもの |
おもりを横に引いて手をはなすと、 おもりは 左 → 右 → 左 とくり返し動きます。 これが 「振動」 です。
往復 の数え方
「往復」 (おうふく) は、 おもりが 1 つの場しょから出発して、 反対まで行き、 また元の場しょにもどって来るまで で 1 往復 です。
| 動き | 数え方 |
|---|
| 左 → 右 | 半往復 (1/2) |
| 左 → 右 → 左 | 1 往復 |
| 左 → 右 → 左 → 右 → 左 | 2 往復 |
ポイント: 「片道」 ではなく 「往復」 で数える。 1 往復にかかる時間を 周期 といいます。 この章で一番大事な言葉 です。
2. 周期 の測り方 (平均で誤差を減らす)
振り子 の 1 往復 はとても短い時間です。 たとえばひも 50 cm の振り子だと 約 1.4 秒。 これを ストップウォッチで 1 往復 だけ計る とどうなるでしょうか。
| 1 回目 | 2 回目 | 3 回目 | 4 回目 | 5 回目 |
|---|
| 1.5 秒 | 1.3 秒 | 1.4 秒 | 1.6 秒 | 1.2 秒 |
ばらばらです。 これは 誤差 と言って、 ストップウォッチを押すタイミングのズレで起きます。 人間 の反応 は 0.2 秒くらいかかるので、 1 往復 だけ計ると半分くらい誤差になってしまいます。
解決方法: 10 往復 を計って 10 で割る = 平均
そこで、 つぎのくふうをします。
| ステップ | やること |
|---|
| ① | おもりを横に引いて手をはなす |
| ② | 「1 (出発)」 でストップウォッチをスタート |
| ③ | 戻って来たら 「2」、 また戻って来たら 「3」… と数える |
| ④ | 「11」 でストップウォッチをストップ (= 10 往復分 の時間) |
| ⑤ | その時間を 10 で割る = 1 往復 の 周期 |
大事: 誤差はストップウォッチの押すタイミング 1 回のズレ。 だから 10 往復まとめて計ると、 ズレも 10 で割られて 10 分の 1 になる。 これが 平均 の力です。 算数 5 年で学ぶ 「平均」 と同じ考え方です。
さらに確実に: 3 回やって 平均
10 往復で 1 つのデータを取ったあと、 これを 3 回くり返し て、 3 つのデータの 平均 を取ります。
| 回 | 10 往復の時間 | 1 往復 (周期) |
|---|
| 1 回目 | 14.2 秒 | 1.42 秒 |
| 2 回目 | 14.1 秒 | 1.41 秒 |
| 3 回目 | 14.3 秒 | 1.43 秒 |
| 平均 | 14.2 秒 | 1.42 秒 |
これでやっと 「ひも 50 cm の振り子の周期は約 1.42 秒」 と言えるのです。
3. 重さを変えても 周期 は同じ
「重いおもりのほうが速く振れるかな?」 という 予想 を立てる人が多いです。 では実験 で確かめましょう。
じょうけん
- 変える : おもりの重さ (10 g、 20 g、 30 g、 40 g)
- そろえる : ひもの長さ (50 cm)、 振れ幅 (10°)、 同じ振り子をつかう
- 計る : 10 往復 の時間を 3 回、 平均 で 周期 を出す
結果 (例)
| おもり | 10 往復の時間平均 | 周期 |
|---|
| 10 g | 14.2 秒 | 1.42 秒 |
| 20 g | 14.2 秒 | 1.42 秒 |
| 30 g | 14.3 秒 | 1.43 秒 |
| 40 g | 14.1 秒 | 1.41 秒 |
考察: おもりを 4 倍 (10 g → 40 g) にしても、 周期はほとんど変わらない (1.41 〜 1.43 秒)。 1〜2/100 秒のちがいは 誤差 でせつめいできる。 つまり おもりの重さで周期は変わらない。
ポイント: 予想 が外れることも大事な学びです。 「重いほうが速いはず」 と思っていたのに同じだった、 と分かるのが実験 の力です。
4. 振れ幅を変えても 周期 は同じ
つぎは 「振れ幅 (ふれはば、 おもりを横にどれだけ引いたか)」 を変えてみます。
じょうけん
- 変える : 振れ幅 (5°、 10°、 20°、 30°)
- そろえる : ひもの長さ (50 cm)、 おもりの重さ (20 g)、 同じ振り子をつかう
- 計る : 10 往復 の時間を 3 回、 平均 で 周期 を出す
結果 (例)
| 振れ幅 | 10 往復の時間平均 | 周期 |
|---|
| 5° | 14.2 秒 | 1.42 秒 |
| 10° | 14.2 秒 | 1.42 秒 |
| 20° | 14.3 秒 | 1.43 秒 |
| 30° | 14.3 秒 | 1.43 秒 |
考察: 振れ幅を 5° から 30° まで変えても、 周期はほとんど同じ (1.42 〜 1.43 秒)。 つまり 振れ幅で周期は変わらない。
大事: 振れ幅が大きいと、 おもりが動く 道のり は長くなります。 でも同時に 動く速さも速くなる ので、 1 往復の時間は同じになるのです。 ふしぎですね。 (※ 30° を大きく越えると少し周期が長くなるが、 小学校では 「同じ」 でよい)
5. ひもの長さを変えると 周期 が変わる
最後 に 「ひもの長さ」 を変えてみます。 これが一番大事な実験 です。
じょうけん
- 変える : ひもの長さ (25 cm、 50 cm、 100 cm、 200 cm)
- そろえる : おもりの重さ (20 g)、 振れ幅 (10°)、 同じおもりと支点
- 計る : 10 往復 の時間を 3 回、 平均 で 周期 を出す
結果 (例)
| ひもの長さ | 10 往復の時間平均 | 周期 |
|---|
| 25 cm | 10.0 秒 | 1.00 秒 |
| 50 cm | 14.2 秒 | 1.42 秒 |
| 100 cm | 20.0 秒 | 2.00 秒 |
| 200 cm | 28.4 秒 | 2.84 秒 |
考察: ひもの長さを長くすると、 周期は はっきり 長くなる (1.00 → 2.84 秒、 約 3 倍)。 つまり 周期を決めるのはひもの長さだけ。
| ひもの長さ | 周期 |
|---|
| 短い (25 cm) | 短い (速く振れる) |
| 長い (200 cm) | 長い (ゆっくり振れる) |
ポイント: 「周期 はひもの長さだけで決まる。 おもりの重さ・振れ幅では変わらない」 — これが振り子のはたらきの **一番大事なきまり です。 ガリレオ というピサの人が約 400 年前に教会のシャンデリアを見て発見したと言われています。
くらべてまとめ
| 変えたもの | 周期はどうなる? |
|---|
| おもりの重さ | 変わらない |
| 振れ幅 | 変わらない |
| ひもの長さ | 変わる (長い = ゆっくり) |
6. 身近な 振り子 とそのくふう
「振り子の周期はひもの長さだけで決まる」 = 同じ長さならいつも同じリズムをきざむ。 この性質 を利用 した道具が身近にあります。
振り子時計
おじいちゃんやおばあちゃんの家にある 振り子時計 (ふりこどけい) は、 振り子の動きで 「カチ・カチ」 と 1 秒ずつきざみます。
- 周期が 約 2 秒 (1 往復に 2 秒) になるように、 ひもの長さを 約 1 m に調節 してある
- 1 往復の 半分 = 1 秒 で 「カチ」 と音が鳴る
- ひもの長さを少し変えると、 時計が進んだり遅れたりする → 時計屋さんが直す
メトロノーム
ピアノやバイオリンの練習 でつかう メトロノーム も、 振り子のしくみでリズムをきざみます。
- 上下さかさまの振り子で、 重りの場しょを上下にずらすと速さが変わる
- 重りを 上にすると遅く (周期長い)、 下にすると速く (周期短い)
- 「♩ = 60」 = 1 分 (60 秒) に 60 回きざむ = 1 きざみ 1 秒
大事: 振り子の性質 が 「正確 なリズム」 を作るから、 時計や楽器 につかわれて来ました。 今はぜんまいや電池や水晶 をつかった時計が多いけれど、 もとは 振り子 が時をきざむ始まりでした。
公園 の ブランコ
公園 のブランコも大きな振り子です。
- ブランコのくさり (= ひも) はふつう 3 〜 4 m
- だから周期は 約 4 秒 (1 往復に 4 秒)
- いくらこいでも (= 振れ幅を大きくしても)、 周期はほぼ同じ
- 大人がこいでも子どもがこいでも、 同じブランコなら周期は同じ
公園 でブランコに乗ったら、 「自分で時間を計ってみる」 と振り子のきまりが確かめられます。
7. ふりかえり
この章で学んだことをふりかえりましょう。
この章の安全配慮
- おもりの落下に注意 — ひもがほどけたり切れたりすると、 おもりが飛んで来る (顔・足を守る)
- 支点をしっかり固定 — 机の角やつくえ上のフックが動くと、 周期がばらつくだけでなく危険
- おもりの下に物を置かない — 落ちて割れるもの (コップ・ガラス) はどける
- 強く振り過ぎない — 振れ幅 30° 以上は周期が変わってしまうし、 おもりが飛び出す危険 も
- 公園 のブランコで立ち乗りはしない — 落下の大きな事故 の元、 4 m の高さから落ちるのと同じ
次の章: 第 7 章では 「電流 がつくる 磁力」 を学びます。 4 年生で学んだ 「電気のはたらき」 が 電磁石 というものづくりへ進化します。 鉄しんにコイルを巻いて電気を流すと磁石になるふしぎ、 電流の大きさやコイルの巻き数で磁力がどう変わるか、 自分の手でたしかめましょう。