振り子の 運動
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この 章で 学ぶこと
「振り子」 と いえば、 公園 の ブランコ や、 おじいちゃん の 家に ある 「振り子時計」 を 思い 出す 人 が いる かも しれません。
第 6 章 では、 この 振り子 が どう いう 条件 で ゆっくり 振れる か・速く 振れる か を、 5 年生 の 学年目標 「条件制御 して 計画的 に しらべる」 で 確かめます。
- 振り子 の しくみ (支点・ひも・おもり) と 周期 の 意味 を 知る
- 10 往復 の 時間 を 計って 10 で 割る = 平均 で 誤差 を 減らす やり方 を 身に つける
- 重さ を 変えても 周期 は 同じ こと を 実験 で 確かめる
- 振れ幅 を 変えても 周期 は 同じ こと を 実験 で 確かめる
- ひも の 長さ を 変える と 周期 が 変わる (長い ほど 遅い) こと を 実験 で 確かめる
- メトロノーム・振り子時計 など 身近な 例 を 知る
ポイント: この 章 は 5 年生 の 「条件制御」 学習 の 代表例 です。 「変える 条件 1 つ だけ、 ほか は そろえる」 を 何回も くり返し ます。 第 2 章 (発芽) で 学んだ やり方 を、 今度 は 「時間 と 数字」 で 行い ます。
1. 振り子の しくみ
振り子 と は、 支点 (してん、 ひも を つるす ところ) から ひも を たらし、 その 先 に おもり を つけた もの です。
| 部分 | 名前 | はたらき |
|---|---|---|
| 上 | 支点 | ひも を つるす 動かない 点 |
| ひも | ひも (糸) | おもり を 支点 から つるす |
| 下 | おもり | ひも の 先 に つける 重い もの |
おもり を 横 に 引いて 手 を はなす と、 おもり は 左 → 右 → 左 と くり返し 動き ます。 これ が 「振動」 です。
往復 の 数え方
「往復」 (おうふく) は、 おもり が 1 つ の 場しょ から 出発 して、 反対 まで 行き、 また 元 の 場しょ に もどって 来る まで で 1 往復 です。
| 動き | 数え方 |
|---|---|
| 左 → 右 | 半往復 (1/2) |
| 左 → 右 → 左 | 1 往復 |
| 左 → 右 → 左 → 右 → 左 | 2 往復 |
ポイント: 「片道」 では なく 「往復」 で 数える。 1 往復 に かかる 時間 を 周期 と いい ます。 この 章 で 一番大事 な 言葉 です。
2. 周期 の 測り方 (平均で 誤差 を 減らす)
振り子 の 1 往復 は とても 短い 時間 です。 たとえば ひも 50 cm の 振り子 だと 約 1.4 秒。 これ を ストップウォッチ で 1 往復 だけ 計る と どう なる でしょう か。
| 1 回目 | 2 回目 | 3 回目 | 4 回目 | 5 回目 |
|---|---|---|---|---|
| 1.5 秒 | 1.3 秒 | 1.4 秒 | 1.6 秒 | 1.2 秒 |
ばらばら です。 これ は 誤差 と 言って、 ストップウォッチ を 押す タイミング の ズレ で 起きます。 人間 の 反応 は 0.2 秒 くらい かかる ので、 1 往復 だけ 計る と 半分 くらい 誤差 に なって しまい ます。
解決方法: 10 往復 を 計って 10 で 割る = 平均
そこで、 つぎ の くふう を します。
| ステップ | やる こと |
|---|---|
| ① | おもり を 横 に 引いて 手 を はなす |
| ② | 「1 (出発)」 で ストップウォッチ を スタート |
| ③ | 戻って 来た ら 「2」、 また 戻って 来た ら 「3」… と 数える |
| ④ | 「11」 で ストップウォッチ を ストップ (= 10 往復分 の 時間) |
| ⑤ | その 時間 を 10 で 割る = 1 往復 の 周期 |
大事: 誤差 は ストップウォッチ の 押す タイミング 1 回 の ズレ。 だから 10 往復 まとめて 計る と、 ズレ も 10 で 割られて 10 分 の 1 に なる。 これ が 平均 の 力 です。 算数 5 年 で 学ぶ 「平均」 と 同じ 考え方 です。
さらに 確実 に: 3 回 やって 平均
10 往復 で 1 つ の データ を 取った あと、 これ を 3 回 くり返し て、 3 つ の データ の 平均 を 取り ます。
| 回 | 10 往復 の 時間 | 1 往復 (周期) |
|---|---|---|
| 1 回目 | 14.2 秒 | 1.42 秒 |
| 2 回目 | 14.1 秒 | 1.41 秒 |
| 3 回目 | 14.3 秒 | 1.43 秒 |
| 平均 | 14.2 秒 | 1.42 秒 |
これ で やっと 「ひも 50 cm の 振り子 の 周期 は 約 1.42 秒」 と 言える の です。
3. 重さ を 変えても 周期 は 同じ
「重い おもり の ほう が 速く 振れる かな?」 と いう 予想 を 立てる 人 が 多い です。 では 実験 で 確かめ ましょう。
じょうけん
- 変える : おもり の 重さ (10 g、 20 g、 30 g、 40 g)
- そろえる : ひも の 長さ (50 cm)、 振れ幅 (10°)、 同じ 振り子 を つかう
- 計る : 10 往復 の 時間 を 3 回、 平均 で 周期 を 出す
結果 (例)
| おもり | 10 往復 の 時間平均 | 周期 |
|---|---|---|
| 10 g | 14.2 秒 | 1.42 秒 |
| 20 g | 14.2 秒 | 1.42 秒 |
| 30 g | 14.3 秒 | 1.43 秒 |
| 40 g | 14.1 秒 | 1.41 秒 |
考察: おもり を 4 倍 (10 g → 40 g) に しても、 周期 は ほとんど 変わらない (1.41 〜 1.43 秒)。 1〜2/100 秒 の ちがい は 誤差 で せつめい できる。 つまり おもり の 重さ で 周期 は 変わらない。
ポイント: 予想 が 外れる こと も 大事 な 学び です。 「重い ほう が 速い はず」 と 思って いた のに 同じ だった、 と 分かる の が 実験 の 力 です。
4. 振れ幅 を 変えても 周期 は 同じ
つぎ は 「振れ幅 (ふれはば、 おもり を 横 に どれだけ 引いた か)」 を 変えて みます。
じょうけん
- 変える : 振れ幅 (5°、 10°、 20°、 30°)
- そろえる : ひも の 長さ (50 cm)、 おもり の 重さ (20 g)、 同じ 振り子 を つかう
- 計る : 10 往復 の 時間 を 3 回、 平均 で 周期 を 出す
結果 (例)
| 振れ幅 | 10 往復 の 時間平均 | 周期 |
|---|---|---|
| 5° | 14.2 秒 | 1.42 秒 |
| 10° | 14.2 秒 | 1.42 秒 |
| 20° | 14.3 秒 | 1.43 秒 |
| 30° | 14.3 秒 | 1.43 秒 |
考察: 振れ幅 を 5° から 30° まで 変えても、 周期 は ほとんど 同じ (1.42 〜 1.43 秒)。 つまり 振れ幅 で 周期 は 変わらない。
大事: 振れ幅 が 大きい と、 おもり が 動く 道のり は 長く なり ます。 でも 同時に 動く 速さ も 速く なる ので、 1 往復 の 時間 は 同じ に なる の です。 ふしぎ です ね。 (※ 30° を 大きく 越える と 少し 周期 が 長く なる が、 小学校 で は 「同じ」 で よい)
5. ひも の 長さ を 変える と 周期 が 変わる
最後 に 「ひも の 長さ」 を 変えて みます。 これ が 一番大事 な 実験 です。
じょうけん
- 変える : ひも の 長さ (25 cm、 50 cm、 100 cm、 200 cm)
- そろえる : おもり の 重さ (20 g)、 振れ幅 (10°)、 同じ おもり と 支点
- 計る : 10 往復 の 時間 を 3 回、 平均 で 周期 を 出す
結果 (例)
| ひも の 長さ | 10 往復 の 時間平均 | 周期 |
|---|---|---|
| 25 cm | 10.0 秒 | 1.00 秒 |
| 50 cm | 14.2 秒 | 1.42 秒 |
| 100 cm | 20.0 秒 | 2.00 秒 |
| 200 cm | 28.4 秒 | 2.84 秒 |
考察: ひも の 長さ を 長く する と、 周期 は はっきり 長く なる (1.00 → 2.84 秒、 約 3 倍)。 つまり 周期 を 決める の は ひも の 長さ だけ。
| ひも の 長さ | 周期 |
|---|---|
| 短い (25 cm) | 短い (速く 振れる) |
| 長い (200 cm) | 長い (ゆっくり 振れる) |
ポイント: 「周期 は ひも の 長さ だけ で 決まる。 おもり の 重さ・振れ幅 で は 変わらない」 — これ が 振り子 の はたらき の **一番大事 な きまり です。 ガリレオ と いう ピサ の 人 が 約 400 年前 に 教会 の シャンデリア を 見て 発見 した と 言わ れて い ます。
くらべて まとめ
| 変えた もの | 周期 は どう なる? |
|---|---|
| おもり の 重さ | 変わら ない |
| 振れ幅 | 変わら ない |
| ひも の 長さ | 変わる (長い = ゆっくり) |
6. 身近 な 振り子 と その くふう
「振り子 の 周期 は ひも の 長さ だけ で 決まる」 = 同じ 長さ なら いつも 同じ リズム を きざむ。 この 性質 を 利用 した 道具 が 身近 に あり ます。
振り子時計
おじいちゃん や おばあちゃん の 家 に ある 振り子時計 (ふりこどけい) は、 振り子 の 動き で 「カチ・カチ」 と 1 秒 ずつ きざみ ます。
- 周期 が 約 2 秒 (1 往復 に 2 秒) に なる ように、 ひも の 長さ を 約 1 m に 調節 して ある
- 1 往復 の 半分 = 1 秒 で 「カチ」 と 音 が 鳴る
- ひも の 長さ を 少し 変える と、 時計 が 進ん だり 遅れ たり する → 時計屋 さん が 直す
メトロノーム
ピアノ や バイオリン の 練習 で つかう メトロノーム も、 振り子 の しくみ で リズム を きざみ ます。
- 上下 さかさま の 振り子 で、 重り の 場しょ を 上下 に ずらす と 速さ が 変わる
- 重り を 上 に する と 遅く (周期長い)、 下 に する と 速く (周期短い)
- 「♩ = 60」 = 1 分 (60 秒) に 60 回 きざむ = 1 きざみ 1 秒
大事: 振り子 の 性質 が 「正確 な リズム」 を 作る から、 時計 や 楽器 に つかわ れて 来 ました。 今 は ぜんまい や 電池 や 水晶 を つかった 時計 が 多い けれど、 もと は 振り子 が 時 を きざむ 始まり でした。
公園 の ブランコ
公園 の ブランコ も 大きな 振り子 です。
- ブランコ の くさり (= ひも) は ふつう 3 〜 4 m
- だから 周期 は 約 4 秒 (1 往復 に 4 秒)
- いくら こいで も (= 振れ幅 を 大きく しても)、 周期 は ほぼ 同じ
- 大人 が こい でも 子ども が こい でも、 同じ ブランコ なら 周期 は 同じ
公園 で ブランコ に 乗った ら、 「自分 で 時間 を 計って みる」 と 振り子 の きまり が 確かめ られ ます。
7. ふりかえり
この 章 で 学んだ こと を ふりかえり ましょう。
- 振り子 の 支点・ひも・おもり の 部分 が わかる
- 1 往復 の 数え方 (左 → 右 → 左 で 1 往復) が 言える
- 周期 = 1 往復 に かかる 時間 と 言える
- 10 往復 を 計って 10 で 割る = 平均 で 誤差 を 減らす やり方 が 言える
- おもり の 重さ で 周期 は 変わらない と 言える
- 振れ幅 で 周期 は 変わらない と 言える
- ひも の 長さ で 周期 が 変わる (長い = ゆっくり) と 言える
- 振り子時計・メトロノーム・ブランコ が 振り子 の しくみ と 言える
- [ ]条件制御 (変える 1 つ、 そろえる ほか) が 第 2 章 (発芽) と 同じ やり方 と わかる
この 章の 安全配慮
- おもり の 落下 に 注意 — ひも が ほどけ たり 切れ たり する と、 おもり が 飛んで 来る (顔・足 を 守る)
- 支点 を しっかり 固定 — 机 の 角 や つくえ 上 の フック が 動く と、 周期 が ばらつく だけ で なく 危険
- おもり の 下 に 物 を 置か ない — 落ちて 割れる もの (コップ・ガラス) は どけ る
- 強く 振り 過ぎ ない — 振れ幅 30° 以上 は 周期 が 変わって しまう し、 おもり が 飛び 出す 危険 も
- 公園 の ブランコ で 立ち 乗り は しない — 落下 の 大きな 事故 の 元、 4 m の 高 さ から 落ちる の と 同じ
次の 章: 第 7 章 で は 「電流 が つくる 磁力」 を 学び ます。 4 年生 で 学んだ 「電気 の はたらき」 が 電磁石 と いう ものづくり へ 進化 します。 鉄しん に コイル を 巻いて 電気 を 流す と 磁石 に なる ふしぎ、 電流 の 大きさ や コイル の 巻き数 で 磁力 が どう 変わる か、 自分 の 手 で たしかめ ましょう。