物の 溶け方
最終確認日:
この 章で 学ぶこと
第 5 章 から、 〔A 物質・エネルギー〕 領域 が 始まり ます。 5 年生 の A 領域 の 重点 は 「量 を 数値 (g・mL・℃) で 扱う」 こと。 第 5 章 では、 食塩 と ミョウバン を 例 に 「物 の 溶け方」 を しらべ ます。
- 物 が 水 に 溶ける と は どういう こと か を 知る (見え なく なる が なくなって いない)
- 物 が 水 に 溶ける 量 に は 限り が ある こと を しらべる (飽和)
- 水 の 量 を 変える と 溶ける 量 が 変わる こと を 計画的 に しらべる
- 温度 を 変える と 溶ける 量 が 変わる こと を しらべ、 食塩 と ミョウバン の ちがい に 気づく
- 溶けた 物 を 蒸発 と 冷却 で 取り出す (再結晶)
- 食塩水 の 濃さ を 算数 5 年 の 「割合」 と つなげる
ポイント: 「変える 条件 1 つ、 そろえる 条件 ぜんぶ」 の 条件制御 を、 量 を 数値 で 扱いながら 進める の が 5 年生 の A 領域 の 大事 な 力 です。
1. 物 が 水 に 溶ける と は
食塩 を 水 に 入れて よく かきまぜる と、 つぶ が 見え なく なります。 これ が 「水 に 溶けた」 状態 です。
「溶けた」 と 言える 3 つ の 条件
| 条件 | くわしく |
|---|---|
| ① すきとおって いる (透明) | 向こう側 が 見える、 にごって いない |
| ② つぶ が 見え ない | 顕微鏡 で 見て も つぶ が 見え ない (本当 に 細かく ばらばら に なって いる) |
| ③ 時間 が たって も しずま ない | 何日 おいて も 底 に たまら ない |
用語 の 整理
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 溶質 | 溶ける 物 (食塩・ミョウバン・砂糖 など) |
| 溶媒 | 溶かす 液体 (5 年生 では おも に 水) |
| 溶液 | できた 液体 (溶質 + 溶媒 = 溶液) |
れい: 食塩 + 水 → 食塩水。 食塩 が 溶質、 水 が 溶媒、 食塩水 が 溶液。
大事: 溶けて 見え なく なって も、 物 は なく なって いません。 食塩水 を 蒸発皿 で 加熱 して 水 を 蒸発 させる と、 もと の 食塩 が 出て きます。 「重さ も 変わら ない」 こと は 第 6 節 で たしかめ ます。
2. 溶ける 量 に は 限り が ある
水 に 食塩 を どんどん 入れて いく と、 ある 量 から 溶け 残り が 出る よう に なり ます。 これ が 「飽和」 と いう 状態 です。
実験: 50 mL の 水 に 食塩 を 何 g 溶かせる か
水 50 mL を ビーカー に 取り、 食塩 を 5 g ずつ 加えて かきまぜ ます。 溶け 残り が 出る まで くりかえし。
| 加えた 食塩 | ようす |
|---|---|
| 5 g | すぐ 溶ける |
| 10 g | 溶ける |
| 15 g | しばらく かきまぜる と 溶ける |
| 18 g くらい | 溶け 残り が 出る (飽和) |
ポイント: 室温 (約 20 ℃) の 水 50 mL に 溶ける 食塩 は 約 18 g。 これ 以上入れて も 溶け ない。 この 「溶ける 量 の 上限」 を 溶解度 と 言い ます (5 年生 では「溶ける 量」 で OK)。
3. 水 の 量 を 変える と 溶ける 量 が 変わる
「水 が 多 ければ 多く 溶ける はず」 と 予想 でき ます。 条件制御 で たしかめ ましょう。
実験計画
| 条件 | A | B | C |
|---|---|---|---|
| 水 の 量 ← 変える | 50 mL | 100 mL | 150 mL |
| そろえる: 温度 | 20 ℃ | 20 ℃ | 20 ℃ |
| そろえる: 溶質 | 食塩 | 食塩 | 食塩 |
| そろえる: かきまぜ方 | 同じ | 同じ | 同じ |
結果 (室温約 20 ℃)
| 水 の 量 | 溶ける 食塩 の 量 |
|---|---|
| 50 mL | 約 18 g |
| 100 mL | 約 36 g |
| 150 mL | 約 54 g |
考察
- 水 の 量 が 2 倍 に なる と、 溶ける 量 も 約 2 倍
- 水 の 量 が 3 倍 に なる と、 溶ける 量 も 約 3 倍
- → 水 の 量 と 溶ける 量 は 比例 する
大事: 比例 は 算数 5 年 で 学ぶ 大事 な 言葉。 「水 の 量 が 〇 倍 に なる と、 溶ける 量 も 〇 倍 に なる」 の よう な 関係 を 言います。
4. 温度 を 変える と 溶ける 量 が 変わる
つぎ は 温度。 水 の 量 を そろえて、 温度 だけ を 変え ます。 食塩 と ミョウバン を くらべる と 大きな ちがい が 見え ます。
実験計画
| 条件 | A | B | C |
|---|---|---|---|
| 温度 ← 変える | 10 ℃ | 30 ℃ | 60 ℃ |
| そろえる: 水 の 量 | 50 mL | 50 mL | 50 mL |
| そろえる: 溶質 | 食塩 / ミョウバン | 食塩 / ミョウバン | 食塩 / ミョウバン |
結果 (水 50 mL あたり 溶ける 量)
| 温度 | 食塩 | ミョウバン |
|---|---|---|
| 10 ℃ | 約 17.5 g | 約 4 g |
| 30 ℃ | 約 18 g | 約 8 g |
| 60 ℃ | 約 19 g | 約 25 g |
| (参考) 80 ℃ | 約 19.5 g | 約 35 g |
考察
| 溶質 | 温度 と 溶ける 量 の 関係 |
|---|---|
| 食塩 | 温度 を 上げて も ほとんど 変わら ない (少しだけ 増える) |
| ミョウバン | 温度 を 上げる と 大きく 増える |
大事: 物 に よって、 温度 と 溶ける 量 の 関係 は ちがう。 これ が 第 5 章 で いちばん 大事 な ポイント です。 食塩 は 温度 で あまり 変わらない、 ミョウバン や 砂糖 は 温度 で 大きく 変わる、 と おぼえ ましょう。
折れ線 グラフ で あらわす
実験結果 を 折れ線グラフ に する と、 食塩 と ミョウバン の ちがい が ひと目 で わかります。 横 じく が 温度 (℃)、 縦 じく が 溶ける 量 (g)。
| ようす | 食塩 の グラフ | ミョウバン の グラフ |
|---|---|---|
| 形 | ほぼ 水平 な 直線 | 右上 に 大きく のびる 曲線 |
5. 溶けた 物 を 取り出す — 再結晶
水 に 溶けた 食塩 や ミョウバン を、 もう 一度 つぶ の 形 に もどす に は どう したら よい か。 2 つ の 方法 が あります。
方法 1: 蒸発 で 取り出す
食塩水 を 蒸発皿 に 入れて 弱火 で 加熱 する と、 水 が 蒸発 して 食塩 だけ が 残ります。 食塩 は 温度 で あまり 溶ける 量 が 変わら ない ので、 蒸発 が 一番確実 な 方法 です。
| 手順 | やる こと |
|---|---|
| ① | 食塩水 を 蒸発皿 に 少量入れる |
| ② | 弱火 で ゆっくり 加熱 |
| ③ | 水 が 蒸発 して、 白い つぶ (食塩) が 残る |
方法 2: 冷却 で 取り出す (再結晶)
ミョウバン の 場合 は、 もっと よい 方法 が あります。 温度 を 下げる と、 溶けて いた ミョウバン が キラキラ した 結晶 に なって 出て きます。 これ を 再結晶 と 言います。
| 手順 | やる こと |
|---|---|
| ① | 60 ℃ の 水 50 mL に ミョウバン を 25 g 溶かす (飽和近く) |
| ② | ゆっくり 冷やす (氷水 で) |
| ③ | 温度 が 下がる と 溶け きれ なく なった ミョウバン が 結晶 と なって 出て くる |
| ④ | ろ紙 で こ し 取る |
ポイント: 再結晶 は ミョウバン の よう に 「温度 で 溶ける 量 が 大きく 変わる 物」 で うまく 進みます。 食塩 で は ほとんど 出て きません (温度 で あまり 変わら ない から)。 自然 の 中 では、 温泉水 が 冷えて 結晶 が でき る、 と いう 現象 と 同じ です。
取り出した 物 は もと の 物 と 同じ か
蒸発 や 再結晶 で 取り出した 物 は、 もと の 溶質 と 同じ 物 です。 重さ を 計る と、 溶かす 前 の 重さ と 同じ。 これ が 「物 は 溶けて も なく なら ない」 こと の 証拠 です。
6. 食塩水 の 濃さ — 割合 と つなげる
「水 50 mL に 食塩 5 g」 と 「水 100 mL に 食塩 5 g」 では、 同じ 食塩 5 g でも 濃さ が ちがい ます。 算数 5 年 で 学ぶ 「割合」 で 考えましょう。
食塩水 の 濃さ の 計算 (5 年生簡単版)
食塩水 の 濃さ (%) = 食塩 の 重さ ÷ 食塩水全体 の 重さ × 100
※ 「食塩水全体 の 重さ」 = 食塩 + 水 の 重さ。 水 1 mL = 約 1 g として 計算。
れい: 水 100 g に 食塩 25 g を 溶かす
| 計算 | 値 |
|---|---|
| 食塩 の 重さ | 25 g |
| 食塩水全体 の 重さ | 100 + 25 = 125 g |
| 濃さ | 25 ÷ 125 × 100 = 20 % |
くらべて みよう
| 水 | 食塩 | 全体 | 濃さ |
|---|---|---|---|
| 100 g | 5 g | 105 g | 約 4.8 % |
| 100 g | 10 g | 110 g | 約 9.1 % |
| 100 g | 20 g | 120 g | 約 16.7 % |
| 200 g | 5 g | 205 g | 約 2.4 % |
大事: 同じ 食塩 5 g でも、 水 が 多い ほど 濃さ は うすく なる。 「濃さ」 = 「溶質 が 全体 の 中 で どれくらい の 割合 か」 と いう 考え方 が 大事 です。
ポイント: 海 の 水 の 濃さ は 約 3.5 %。 飲める 水 と は ちがう こと、 そして 海 の 水 から 食塩 を つくる 「塩田えんでん」 の 仕組み も これ で 説明 でき ます。
7. 溶ける 前 と 後 で 重さ は 変わる か
実験 で 確かめ ましょう。 食塩 5 g と 水 100 g を 用意 し、 全体 で 105 g を てんびん で 計って おきます。 食塩 を 水 に 溶かして もう 一度計る と…
| 計測 | 重さ |
|---|---|
| 溶かす 前 (食塩 + 水) | 105 g |
| 溶かした 後 (食塩水) | 105 g (変わら ない) |
大事: 溶けて 見え なく なって も、 物 は なく なって いない。 重さ は 変わら ない こと を、 数値 で たしかめ られる の が 5 年生 A 領域 の 重要 な 学び です。 中学 で 学ぶ 「質量保存 の 法則」 へ つながり ます。
8. ふりかえり
- 「物 が 水 に 溶ける」 状態 の 3 条件 (透明・つぶ なし・しずま ない) を 言える
- 溶質・溶媒・溶液 の 区別 が できる
- 物 が 水 に 溶ける 量 に は 限り が ある (飽和) こと を 知って いる
- 水 の 量 と 溶ける 量 は 比例 する こと を 言える
- 食塩 と ミョウバン の 温度 に よる 溶け方 の ちがい (食塩 = ほぼ 一定、 ミョウバン = 温度 で 大きく 変わる) を 言える
- 蒸発 で 食塩 を 取り出せる、 冷却 で ミョウバン の 再結晶 が でき る こと を 知って いる
- 食塩水 の 濃さ を 「溶質 ÷ 全体 × 100」 で 計算 でき る
- 物 は 溶けて も 重さ が 変わら ない こと を 言える
この 章の 安全配慮 (加熱・薬品 の 章 — 最重要)
- 保護 めがね を 必ず つける (蒸発中 に 飛び散る 可能性)
- 加熱中 の 蒸発皿 を 上 から のぞき 込まない (やけど の 危険)
- 熱い 蒸発皿 は 必ず ピンセット や ぬれ ぞうきん で 取り扱う (素手 で 触ら ない)
- ガスコンロ・アルコール ランプ の 火 は 横 に 物 を 置か ない (本・紙・髪 が 燃える)
- 使った あと は ガス の 元栓 を 必ず 閉める
- ミョウバン や 食塩 を 口 に 入れない (実験用 の 物 は 食用 で は ない)
- 目 に 飛び 入った ら すぐ 水 で 5 分以上洗い、 先生 に 報告
- 再結晶 の ガラス容器 は 急 に 冷やさ ない (割れる 可能性)
- 実験 が 終わったら 必ず 手 を せっけん で 洗う
次の 章: 第 6 章 では、 振り子 の 運動 を しらべ ます。 第 5 章 と 同じ よう に、 「変える 条件 1 つ、 そろえる 条件 ぜんぶ」 の 条件制御 を 使い、 さらに 「平均」 で 測定 の 誤差 を 減らす 方法 を 学びます。 おもり の 重さ・振れ 幅・ひも の 長さ の どれ が 周期 に 効く か、 自分 で 計画 して 確かめ ましょう。