この章で学ぶこと
4 年生で 「電気のはたらき」 を学び、 直列 と 並列 のつなぎ方で豆電球の明るさやモーターの速さが変わることを確かめました。
5 年生ではその続きとして、 「電流 が流れると 磁力 が生まれる」 というふしぎなはたらきを学びます。 そしてものづくりで 電磁石 を自分の手で作ります。
- 電磁石 のしくみ (鉄しん + コイル + 電流) を知る
- 自分で 電磁石 を作って動かす
- 電磁石 にも N 極と S 極があること、 電流 の向きで入れ替わることを知る
- 電流 の大きさ で磁力が変わることを実験 で確かめる
- コイル の巻き数 で磁力が変わることを実験 で確かめる
- 身近な電磁石 (モーター・スピーカー・リレー・電磁石クレーン) を知る
ポイント: 電磁石 は 「電気を流している間だけ磁石になる」 のがふつうの磁石とちがうところ。 スイッチを切ると磁力がなくなるので、 「磁力を自由 につけたり消したりできる磁石」 と言えます。 これがモーターやスピーカーにつかわれる理由 です。
1. 電磁石 とは
電磁石 とは、 つぎの 3 つの部品 でできた磁石です。
電磁石。 鉄しん (くぎなど) にコイル (導線) を巻いて電流を流すと磁石になる。 電流を切ると磁力も消える。
| 部品 | 何をつかうか | はたらき |
|---|
| 鉄しん | 鉄のくぎやボルト | コイルの中に入れる心 (しん) |
| コイル | エナメル線をぐるぐる巻いたもの | 電流 が流れる通り道 |
| 電流 | 電池とスイッチ | コイルに電気を流す |
エナメル線を鉄のくぎに 同じ向きでぐるぐる巻いて、 電池をつなぐと、 鉄のくぎが 磁石になる のです。
| じょうたい | 鉄しんは…? |
|---|
| 電流 が流れている | 磁石 (鉄を引きつける) |
| スイッチを切る (電流 が止まる) | ふつうの鉄 (磁石でない) |
大事: 電流 を流すとコイルの中に磁力が生まれる。 これを 「電流 の磁気作用」 と言います。 エルステッド という人が約 200 年前に発見 しました。
コイルだけでも磁石になるの?
実は、 コイルだけ (鉄しん なし) でも弱い磁石になります。 でも、 中に鉄しんを入れると 磁力が何十倍にも強くなる。 鉄が磁力を集めるはたらきがあるからです。
2. 電磁石 を作ろう (ものづくり)
実際 に自分の手で電磁石を作ってみます。 5 年生の学習指導要領に 必須のものづくり として入っています。
用意 するもの
| もの | 数 | 役割 |
|---|
| エナメル線 (0.4 mm くらい) | 約 5 m | コイルになる |
| 太い鉄のくぎ (10 cm くらい) | 1 本 | 鉄しん |
| 電池 (1.5 V) | 1 個 | 電流 の源 |
| 電池ボックス | 1 個 | 電池を持つ |
| スイッチ | 1 個 | 電流 を止める・流す |
| クリップ | 5 〜 10 個 | 引きつけられるか確かめる |
| 紙やすり | 少し | エナメル線の先をけずる |
作り方
| ステップ | やること |
|---|
| ① | エナメル線を 鉄のくぎに 100 回同じ向きで巻く (ぐるぐるぐるぐる) |
| ② | 巻き始めと巻き終わりの線を 20 cm くらい残す |
| ③ | 残した線の先 (両はし) を 紙やすりでけずる (エナメルをはがすと電流 が流れる) |
| ④ | 電池ボックスとスイッチとコイルをつなぐ |
| ⑤ | スイッチを入れて、 クリップに鉄しんを近づける |
確かめ方
- スイッチ ON → クリップが 鉄しんにくっつく = 磁石になっている
- スイッチ OFF → クリップが ぽろぽろ落ちる = 磁石でなくなった
ポイント: エナメル線の先を紙やすりでけずる のを忘れると、 電流 が流れず失敗 する。 エナメルは電気を通さないからです。 一番多い失敗 なので注意。
3. 電磁石 の N 極・S 極と電流 の向き
電磁石 にもふつうの磁石と同じように N 極 と S 極 があります。 でも、 ふつうの磁石とちがう大きなとくちょうがあります。
大事: 電流 の向きを反対にすると、 N 極と S 極が入れ替わる。 これはふつうの磁石では絶対 に起きないふしぎなことです。
確かめ方
| やり方 | わかること |
|---|
| 電磁石に 方位磁針 を近づける | どちらが N 極かわかる (方位磁針の N 極と反発する方が電磁石の N 極) |
| 電池の + 極と − 極を入れ替える | 電流 の向きが反対になる |
| もう一度方位磁針を近づける | 「さっきまで N だった方」 が S に入れ替わっている |
| 電流 の向き | 鉄しんの頭 | 鉄しんの先 |
|---|
| → の向き | N 極 | S 極 |
| ← の向き (反対) | S 極 | N 極 |
ポイント: モーターが 回転 するしくみもこれと関係 があります。 電流 の向きを速く入れ替えると、 N と S が入れ替わって 「引きつけ → 反発」 をくり返し、 回り続けるのです。
4. 電流 の大きさで磁力が変わる
「電池を 1 個から 2 個にふやすと、 電磁石はもっと強くなるかな?」 を 条件制御 で確かめます。
じょうけん
- 変える : 電池の数 (1 個・2 個直列)
- そろえる : コイルの巻き数 (100 回)、 鉄しん、 同じ電磁石
- 計る : 引きつけたクリップの数
結果 (例)
| 電池の数 | 電流 (約) | 引きつけたクリップ |
|---|
| 1 個 (1.5 V) | 1 A | 5 個 |
| 2 個直列 (3 V) | 2 A | 10 個 |
考察: 電池を 2 個直列 にすると電流 が 2 倍になり、 引きつけたクリップも約 2 倍になった。 つまり 電流 が大きいほど磁力が強い。
大事: 並列つなぎではないことに注意。 4 年生で学んだように、 直列 = 電流 がふえる、 並列 = 長持ちする でした。 電磁石を強くしたいなら 直列。
5. コイル の巻き数で磁力が変わる
つぎは 「コイルをたくさん巻くともっと強くなるか」 を確かめます。
じょうけん
- 変える : コイルの巻き数 (50 回・100 回・200 回)
- そろえる : 電池 1 個 (1.5 V)、 鉄しん、 同じエナメル線の太さ
- 計る : 引きつけたクリップの数
結果 (例)
| 巻き数 | 引きつけたクリップ |
|---|
| 50 回 | 3 個 |
| 100 回 | 5 個 |
| 200 回 | 10 個 |
考察: 巻き数が多いほど磁力が強くなった。 50 回 → 200 回 (4 倍) でクリップも約 3 倍になった。 つまり 巻き数が多いほど磁力が強い。
まとめ
| くふう | 磁力 |
|---|
| 電流 を大きくする (電池を 直列 でふやす) | 強くなる |
| コイルの巻き数をふやす | 強くなる |
| 両方同時にする | もっと強くなる |
ポイント: 工場で鉄を持ち上げる 電磁石クレーン は、 巻き数を何千回もして、 大きな電流 を流しています。 だから何トンもの鉄板を持ち上げられるのです。 そしてスイッチを切れば一瞬 ではなせるのが強みです。
6. 身近な 電磁石
電磁石は私たち のくらしのあちこちでつかわれています。
モーター
電気で物を動かすほぼすべての道具に入っています。
- 扇風機・洗濯機・電車・エレベーター・電気自動車
- 電磁石とふつうの磁石を組み合わせ、 N と S を速く入れ替えて回転させる
- 4 年生で動かした 「プロペラ付きモーター」 も同じしくみ
スピーカー
音を出す道具。
- スピーカーの中に電磁石とコーン (ふるえる紙) が入っている
- 電流 が速く変わると電磁石も速く変わり、 コーンがふるえて音が出る
- イヤホンも同じしくみ
リレー と 電磁ロック
- リレー : 弱い電流 の電磁石で、 強い電流 のスイッチを ON/OFF する部品 (車や家電 の中)
- 電磁ロック : ホテルやマンションの入り口の電気 じょう。 カードをかざすと電磁石が動いて鍵が開く
電磁石クレーン
工場で鉄板や鉄くずを持ち上げる大型クレーン。
- スイッチ ON で大きな電磁石が強い磁力を出し、 鉄を引きつける
- 運んだ場しょでスイッチ OFF → 一瞬 で鉄が落ちる
- ふつうの磁石では 「はなす」 ができないから、 電磁石でないとできない仕事
7. ふりかえり
この章で学んだことをふりかえりましょう。
この章の安全配慮
- 電池の + と − を直接つながない (ショート = 大電流が流れて電池が熱くなる、 やけど・電池のはれつの危険)
- 巻きはじめと巻き終わりの線が触れないように (これもショートの元)
- コイルと鉄しんが熱くなる ことがある — 長く電流 を流しっぱなしにしない (5 〜 10 秒でスイッチを切る)
- エナメル線を引っぱらない — 切れると火花が飛ぶ・コイルがほどける
- 使い終わったらかならずスイッチを切る (電池が早く切れるだけでなく発熱がこわい)
- 電流計 をつかうときは、 必ず 直列 につなぐ (並列につなぐとこわれる、 4 年生復習)
- 強い磁石を心臓 ペースメーカーの人に近づけない (家族 に確認)、 磁気カード (定期券・キャッシュカード) に近づけない
次の章: 第 8 章では 「流れる水 のはたらきと土地の変化」 を学びます。 4 年生で学んだ 「雨水の行方」 が、 5 年生では 川の上流・中流・下流 という大きなスケールに進化します。 浸食・運搬・堆積 の 3 つのはたらきで土地がどう変わるか、 大雨や 洪水 とどう関係 するか、 自分の町の川を思い浮かべながら学びましょう。