この章で学ぶこと
ふだん私たちは 温度 を気にして暮らしています。 「夏は熱くてエアコン」「冬は寒くてストーブ」。 では、 物が 温められると体積 (大きさ・かさ) がどう変わるか を考えたことはありますか?
この章では、 金属・水・空気 の 3 つを温めたり冷やしたりして、 体積がどう変わるかをしらべます。
- 金属 は温めると 体積 が大きくなる ことを知る
- 水は温めると 体積 が大きくなる ことを知る
- 空気は温めると 体積 が大きくなる ことを知る
- 冷やすとそれぞれ体積が小さくなる ことを知る
- 3 つのうち、 空気が一番大きく変わる (空気 > 水 > 金属) ことを知る
- ふだんのくらしとつなげる (鉄道のレール、 道路橋、 冷暖房)
ポイント: 第 7 章で 「閉じ込めた空気は 圧すと体積が小さくなる」 を学びました。 この章は 「温度で体積が変わる」 という、 またちがう体積変化のしくみです。
1. 金属 を温めるとどうなる?
固い 金属 は、 一見 「温めても何も変わらない」 ように見えます。 けれど、 実は 少しだけ大きくなっている のです。
金属球ぼう張実験器 で確かめる
学校でつかう道具 に 「金属球ぼう張実験器」 があります。 金属 の球と、 ぴったり球が通る大きさの輪 (りん) がセットの道具。
| 段階 | 何をする | 結果 |
|---|
| ① 室温で | 球を輪に通す | すっと通る |
| ② アルコールランプで球を温める | 数分加熱 | — |
| ③ 温めた球を輪に通す | やってみる | 通らない (球が少し大きくなっている) |
| ④ 球を水で冷やす | また室温に | また通る ようになる |
わかったこと
- 金属 は温めると体積が大きくなる (ぼう張する)
- 冷やすと体積が小さくなる (元にもどる)
- 体積の変化は 目ではほとんど見えない くらい小さい (が、 確かにある)
身近なれい — 鉄道のレール
鉄道の レールのつぎ目 を見たことがありますか? 鉄のレールの間に 少しすき間 が空いています。
なぜでしょう? 答えは: 夏 (熱い日)、 レールの鉄がぼう張して長くなるから。 すき間がないと、 レールが 曲がってしまう 可能性があるのです。 道路橋 (どうろきょう) にも、 同じ理由で 「伸縮装置」 (のびちぢみするつぎ目) が入っています。
橋の伸縮装置。 鉄が夏にぼう張して長くなる分を吸収するくふう。
ポイント: ふだん 「ぼう張が体感できない」 金属 でも、 巨大なものや大きな温度差 になると、 工夫 がひつようになるのです。
2. 水を温めるとどうなる?
つぎは 水。 試験管や三角フラスコに水を入れて、 温めてみます。
試験管で確かめる
| 段階 | 何をする | 結果 |
|---|
| ① 試験管に水を いっぱい に入れる | ガラス管をふたに立てる | 水がガラス管の入口までくる |
| ② 試験管を ぬるま湯 につける | お湯で温める | 水が ガラス管をのぼってくる |
| ③ 水で冷やす | ガラス管の水を観察 | また下がる |
わかったこと
- 水は温めると体積が大きくなる (ガラス管をのぼってくる)
- 冷やすと体積が小さくなる (下がる)
- 金属 よりも 目でわかりやすい (ガラス管で数 cm 動くことも)
身近なれい — 温度計
温度計は、 水やアルコールの体積変化 をつかった道具です。 温度が上がるとえきが上にのぼり、 下がるとえきが下にもどる。 これも、 「液体 の体積が温度で変わる」 というせいしつを利用 しています。
安全: ぬるま湯でじゅうぶん体積変化がわかるので、 アルコールランプをつかうひつようはありません (Ch9 で火をつかう実験 がある)。
3. 空気を温めるとどうなる?
最後 は 空気。 三角フラスコの口に ふうせん をかぶせて、 フラスコを温めてみます。
三角フラスコ + ふうせんで確かめる
| 段階 | 何をする | 結果 |
|---|
| ① フラスコの口にふうせんをつける | しぼんだふうせん | ふうせんは しぼんだまま |
| ② フラスコを ぬるま湯 につける | 数十秒待つ | ふうせんが ふくらんでくる! |
| ③ 氷水につけかえる | 冷やす | ふうせんが またしぼむ |
わかったこと
- 空気は温めると体積が大きくなる (ふうせんがふくらむ)
- 冷やすと体積が小さくなる (ふうせんがしぼむ)
- 体積の変化が 目でとてもわかりやすい (金属 や水とくらべて一番はっきり)
身近なれい — 熱気球・冷暖房
熱気球 は、 中の空気を温めて体積を大きくする (空気が軽くなる) ことで浮き上がります。 エアコン の冷房も、 暖かい空気が上にたまるせいしつを利用 して、 上に取り入れ口をつけています。
ポイント: 空気は 目に見えない けれど、 ふうせんをつかえば体積変化が 目に見える ようになる。 第 7 章と同じ工夫 です。
4. 3 つをくらべよう — 体積変化の大きさ
ここまでで、 金属・水・空気の 3 つとも が温度で体積が変わることがわかりました。 では、 どれが一番大きく変わる でしょうか?
同じ温度差でくらべる
10℃ から 60℃ まで 50℃ 温めたときの体積変化 (おおよそ):
| 物質 | 元の体積 | 50℃ 温めたあとの体積 | 増えた量 |
|---|
| 空気 | 1000 mL | 約 1180 mL | +180 mL (大変化) |
| 水 | 1000 mL | 約 1010 mL | +10 mL (少し) |
| 金属 (鉄) | 1000 mL | 約 1002 mL | +2 mL (ほんの少し) |
大切なきまり
「温度での体積変化は、 空気 > 水 > 金属」
これも 4 年生の A(2) で大事なきまり。 言えるようになりましょう。
なぜちがう?
くわしくは中学で学びますが、 4 年生では 「物質によって変化の程度 がちがう」 ことを知ればじゅうぶん。
| 物質 | 変化の大きさ | 理由 (4 年生では「そういうもの」 で OK) |
|---|
| 気体 (空気) | 大 | 中学で「分子の動き」 で学ぶ |
| 液体 (水) | 中 | 同上 |
| 固体 (金属) | 小 | 同上 |
5. ふりかえり
この章の安全配慮
- 試験管・三角フラスコはガラス、 われやすい。 強くにぎらない、 落とさない
- 急な温度変化 (熱湯に急に氷を入れる、 冷たいガラスを急に温める等) は 破裂 の危険
- ぬるま湯 くらい (40-50℃) の温度でじゅうぶん体積変化がわかる
- アルコールランプやガスバーナー をつかう実験 は Ch9 で学ぶ。 この章ではつかわない
- ふうせんは古くなると 破裂 しやすい、 新しいものをつかう
- 片付け の時、 試験管を重ねて入れない (落としたら一気にわれる)
次の章: 第 9 章では、 もののあたたまり方 (金属・水・空気でどこから温まるか) と、 水のすがたの変化 (水 → 水蒸気 → 氷) を学びます。 火をつかう実験 が出てくるので、 安全に気をつけて進めましょう。