この章で学ぶこと
第 8 章で 「ものの体積 が温度で変わる」 ことを学びました。 この章ではさらに進んで、 ものはどうやってあたたまるか (温度がどこからどう伝わるか) と、 水が温度でどんなすがたに変わるか を学びます。
- 金属 は熱せられたところから順にあたたまる (伝導) ことを知る
- 水と空気は熱せられた部分が動いて全体があたたまる (対流) ことを知る
- 水は 100℃近くで 沸騰 して 水蒸気 (気体) になることを確かめる
- 水は 0℃以下で 氷 (固体) になることを確かめる
- 水が氷になると体積が増える (めずらしい性質) ことを知る
- 固体・液体・気体 の 3 つのすがたを区別できるようになる
最重要安全: この章は アルコールランプやガスバーナーで水を加熱 する実験 が出てきます。 必ず 保護 眼鏡 をつける、 器具 を 点検 する、 先生のしじに従うこと (指導要領明記)。 沸騰中の試験管を 覗き込まない。 凍らせる実験 での 容器 破裂 にも注意。
1. 金属 のあたたまり方 — 伝導
金属 のぼう (例: 銅の棒) をろうそくの火で一方のはじだけ温めます。 もう一方のはじもいずれあたたかくなるでしょうか? もしそうなら、 どんな順番であたたまる でしょうか?
示温 (じおん) シール で確かめる
色が温度で変わる 示温シール や 示温テープ を棒にいくつか貼って観察 します。
| 段階 | 何を観察 | 結果 |
|---|
| ① 加熱開始 | はじを温める | 火に近いシールの色が変わる |
| ② 数秒後 | 真ん中を観察 | 次に 真ん中 のシールの色が変わる |
| ③ さらに数秒後 | 反対のはじを観察 | 最後 に反対のはじ のシールの色が変わる |
わかったこと
- 金属 は熱せられた部分から順に全体があたたまる
- 温度が 物をつたわっていく ように動く
- これを 伝導 といいます
大切なきまり: 「金属 は熱せられたところから順に伝わってあたたまる」。 火に近いほうが早く、 遠いほうが遅い。
2. 水のあたたまり方 — 対流
つぎは水。 試験管の 下の方 を火で温めると、 上の方の水はどうなるでしょうか?
線 (せん) 香 (こう) の煙 (けむり) や 示温シール で確かめる
水自体は動きが見えないので、 示温シール を試験管の上と下に貼って比べます。
| 段階 | 観察 | 結果 |
|---|
| ① 試験管の 下 を加熱 | 下のシール | 色が変わる |
| ② しばらく待つ | 上のシール | 意外に早く色が変わる! |
| ③ つぎに試験管の 上 を加熱 | 下のシール | なかなか色が変わらない |
わかったこと — 水は動いて全体があたたまる
- 試験管の 下 を温めると、 暖かくなった水が 上へ上がる
- 上に上がった水が冷たい水と入れ替わって、 全体が早くあたたまる
- 試験管の 上 を温めると、 暖かい水はそこにとどまるだけで、 下は冷たいまま
- これを 対流 といいます
大切なきまり: 「水は熱せられた部分が動いて、 上下で入れ替わることで全体があたたまる」。 だから 「下から温める」 のが 効率 がよい。
3. 空気のあたたまり方 — 水と同じ 対流
部屋をストーブであたためると、 天井 のあたりが一番暖かく なって、 足元が寒いまま だったことはありませんか? これも対流です。
線香の煙 で確かめる
部屋でストーブのそばに線香を立てると、 煙が 上へ上がっていく のが見えます。 つまり、 暖かい空気が上に動いているのです。
部屋の中での空気の動き
| 場しょ | 空気の状態 |
|---|
| 天井 | 暖かい空気がたまる |
| 真ん中 | 中ぐらい |
| 足元・床 (ゆか) | 冷たい空気がたまる |
くふう
冬は エアコンの風を下向きに、 夏は 上向きに すると、 空気がよく入れ替わって部屋全体が 快適 になります。
ポイント: 水も空気も、 同じく 「液体・気体 は動いてあたたまる (対流)」。 金属 (固体) だけが 「動かずに順に伝わってあたたまる (伝導)」。
4. 水をぐつぐつ 沸かす — 沸騰 と 水蒸気
水を強く加熱 し続けると、 約 100℃ で 沸騰 します。 ぼこぼこと大きな泡 (あわ) が出て、 水面がゆれます。
沸騰 (ふっとう)。 約 100℃ で大きな泡 (= 水蒸気) が出て水面がゆれる。 やかんの口から出る白いけむりは 「湯気」 (= 細かい水の粒、 液体)。
沸騰中のようす
| 観察 | 結果 |
|---|
| 温度計を入れると | 約 100℃ になる (それ以上上がらない) |
| 試験管の中から出る大きな泡 | これは 水蒸気 (気体 の水) |
| 試験管の口から出る白いけむり | これは 「湯気 (ゆげ)」 = 小さな水の 粒 (液体) |
大事な区別 — 水蒸気と湯気は別もの
水蒸気 は 気体 で、 目に見えません。 一方 湯気 は 液体 (水の細かい粒) で、 目に見えます。 「白いけむり」 と思っているものは、 実は湯気 (液体) なのです。
| 名前 | すがた | 目に見える? | 例 |
|---|
| 水蒸気 | 気体 | 見えない | 沸騰中の大きな泡 / 部屋の空気中 |
| 湯気 | 液体 (細かい粒) | 見える | やかんの口から出る白いけむり |
注意: 第 4 章で「蒸発で水が水蒸気になる」 と学びました。 沸騰は 激しい蒸発 と考えるとわかりやすい (低温で静かに蒸発 / 100℃ で激しく沸騰)。
5. 水を 0℃ 以下に冷やす — 氷 になる
つぎは反対に、 水を 冷やして 0℃ 以下 にするとどうなるでしょうか?
寒剤 (かんざい) で確かめる
学校の実験 では、 氷 + 食塩 (寒剤) で 約 -10〜-15℃ まで冷やせます。 試験管に水を入れて、 寒剤 につけておきます。
| 時間 | 温度計 | 試験管の中 |
|---|
| 0 分 | 室温 | 液体 の水 |
| 数分 | 0℃ になる | まだ液体 |
| もっと待つ | 0℃ のまま (温度が変わらない時期あり) | 少しずつ 凍り始める |
| さらに | 0℃ のまま | 全部凍って氷になる |
| その後 | -1℃、 -2℃… と下がる | 氷がもっと冷たくなる |
わかったこと
- 水は 0℃ で 凍り始め、 全部凍るまで 0℃ のまま
- 全部凍った後は、 さらに冷やせば 0℃ よりも低くなる
- 凍ったものは 氷 (固体 の水)
6. 氷になると 体積が増える!
ふつう、 物は 冷やすと体積が小さくなる (Ch8 で学んだとおり)。 けれど水は 冷やして 凍ると体積が増える という、 とてもめずらしい性質 があります。
確かめるじっけん
| 段階 | 観察 |
|---|
| ① 試験管に水を 目盛りの線まで 入れる | 水面が目盛りにぴったり |
| ② 寒剤 で 凍らせる | 氷になる |
| ③ 試験管を取り出す | 氷が目盛りの線より上にせり上がっている! |
大切なきまり
「水は氷になると体積が増える」
これは物質の中で とてもめずらしい性質。 多くの物質 (金属 を含む) は固体 になると体積が小さくなりますが、 水だけは 逆 なのです。
身近なれい
- 冬、 水道管がこおってわれる — 水が氷になって体積が増えて、 管を内側 から 圧し破る
- 池の表面がこおる — 氷は水より軽い (体積が大きいから同じ重さでもかさばる) ので、 氷が浮く
7. 固体・液体・気体 — 水の 3 つのすがた
ここまでで、 水の 3 つのすがたが出そろいました。
| すがた | 名前 | 水がこのすがたになるとき | とくちょう |
|---|
| 固体 | 氷 | 0℃ 以下でこおる | 形がきまっている、 固い |
| 液体 | 水 | 0℃ 〜 100℃ で水のまま | 形が自由に変わる、 流れる |
| 気体 | 水蒸気 | 100℃ で沸騰して一気に。 低温でも少しずつ蒸発して空気中に出る | 形が自由、 目に見えない、 軽い |
行ったり来たり
- 水 → 温める → 水蒸気 (蒸発・沸騰)
- 水蒸気 → 冷やす → 水 (結露・凝縮)
- 水 → 冷やす → 氷 (凍結)
- 氷 → 温める → 水 (融解 (ゆうかい))
これらの変化はすべて、 水がなくなるのではなく、 すがたを変えているだけ。 中学で「状態変化」 と呼ばれる重要なテーマです。
8. ふりかえり
この章の安全配慮 (最重要)
- 保護眼鏡 を必ずつける (沸騰や 凍らせる実験 で何があっても目を守る)
- 加熱器具 (アルコールランプ・ガスバーナー) の使い方を先生と一緒にふくしゅうする (指導要領明記)
- 沸騰中の試験管を 覗き込まない (中から熱湯や蒸気が飛び出すことあり)
- 試験管の口を自分や 友だちに向けない
- 凍らせたガラスの試験管やペットボトル は 割れやすい (中で体積が増えて、 内側 から 圧される)
- 寒剤 (氷 + 食塩) はとても冷たい、 素手で長くさわらない (しもやけ・凍傷 の危険)
- 加熱直後の試験管 はとても熱い、 さわらない・置く場しょに注意
次の章: いよいよ最後 の第 10 章では、 〔A 物質・エネルギー〕 の 電気のはたらき を学びます。 第 3 学年の「電気の通り道」 から一歩進んで、 直列 つなぎ・並列 つなぎ、 簡易検流計、 発光ダイオード (LED) まで。 ものづくりで 電気自動車 を作り、 つなぎ方で走り方がどう変わるか体感しましょう。