ことばの ひろがり(複合語・思考に 関わる 語句・語感・共通語と 方言・語順・話し言葉と 書き言葉)
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はじめに
5 年生では、 知っている言葉を 使い分ける力 がぐんと育ちます。 この章では 言葉のはたらきと広がり を 6 つの観点で学びます。
この章でできるようになること:
- 複合語 のしくみを理解して、 自分でつくれる
- 思考に関わる語句(理由・条件・結果・対比等) を文の中で使える
- 同じ意味の言葉の 語感 を比べられる
- 共通語 と 方言 のちがいを知り、 それぞれの良さを理解する
- 文の 語順と係り方 が意味や印象にあたえる効果を考えられる
- 話し言葉 と 書き言葉 の違いを区別できる
ポイント:言葉には 伝える・考える・つながる の 3 つのはたらきがあります。 5 年生では 「相手とのつながりをつくるはたらき」 を強く意識する学年です。
1. 言葉のはたらき
| はたらき | せつめい | れい |
|---|---|---|
| 伝える | 物事を相手に知らせる | 「明日は雨です」 |
| 考える | 自分の中で整理して結論を出す | 「なぜそうなるのだろう」 |
| つながる | 相手との関係をつくる・あたためる | 「ありがとう」「お元気ですか」 |
「ありがとう」 と言うだけで場がなごみます。 これが つながるはたらき の力です。
2. 複合語のしくみ
複合語 とは、 2 つ以上の語を組み合わせてできた 1 つの語 のことです。 組み合わせ方にはいくつものパターンがあります。
複合語の 4 タイプ
| タイプ | 組み合わせ | れい |
|---|---|---|
| 和語 + 和語 | やまと言葉 + やまと言葉 | 山 + 桜 = 山桜、 春 + 風 = 春風 |
| 和語 + 漢語 | やまと言葉 + 漢字熟語 | 試合 + 場 = 試合場、 青 + 信号 = 青信号 |
| 漢語 + 漢語 | 漢字熟語 + 漢字熟語 | 学校 + 生活 = 学校生活、 図書 + 委員 = 図書委員 |
| 外来語を含む | 外来語と他の組み合わせ | マラソン + 大会 = マラソン大会、 バス + 通り = バス通り |
音便(読みやすさのための音の変化)
複合語をつくるとき、 つなぎ目の音が変わることがあります。 これを 音便 と言います。
| もとの形 | 複合語 | 音の変化 |
|---|---|---|
| 手 + 紙 | てがみ | か → が(連濁) |
| 雨 + 傘 | あまがさ | あめ → あま、 か → が |
| 三 + 本 | さんぼん | ほん → ぼん |
| 八 + 百 | はっぴゃく | ち → っ(促音) |
やってみよう: 「青」 と 「空」 を組み合わせると 「青空(あおぞら)」。 「空」 が 「ぞら」 に変わるのが音便です。
接頭語・接尾語を使った複合語
| 接頭語 / 接尾語 | れい |
|---|---|
| お〜 | お電話・お仕事・お元気 |
| 御〜(ご〜) | 御本・御家族 |
| 〜的 | 科学的・歴史的 |
| 〜化 | 機械化・国際化 |
| 〜さ | 美しさ・大きさ |
接尾語 「〜さ」 を形容詞につけると、 程度を表す名詞 になります。
3. 思考に関わる語句
考えを整理したり文章を読み解いたりするときに役立つ 思考の道具となる言葉 があります。 5 年生からは意識して増やしましょう。
| 種類 | 言葉 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 理由 | なぜなら・というのは・〜 からである | 主張を支えるとき |
| 条件 | もし〜 なら・〜 ときに・〜 場合 | 場面を限定するとき |
| 結果 | そこで・したがって・その結果 | 原因から結論を導くとき |
| 対比 | いっぽうで・反対に・〜 のに対し | 二つを比べるとき |
| 比較 | 〜 より・〜 に比べて | 程度を比べるとき |
| 要約 | つまり・要するに・言い換えると | まとめるとき |
| 例示 | たとえば・具体的には | 例を出すとき |
| 補足 | なお・ちなみに | 付け加えるとき |
やってみよう: 「給食はぜんぶ食べた方がいい。 なぜなら食べ物への感謝が大切だからだ。 たとえば農家の人が一年かけて育てた米を残すともったいない。 つまり、 残さないことは感謝を形にすることなのだ。」 ── 思考語を使うと、 主張 → 例 → まとめの流れがはっきりします。
4. 語感 — 同じ意味でもニュアンスはちがう
語感 とは、 言葉のもつ印象や感じ のことです。 同じ意味でも、 言葉を選ぶことで文章の印象が大きく変わります。
やわらかい / かたい
| やわらかい | かたい |
|---|---|
| お母さん | 母親 |
| うれしい | 喜ばしい |
| 食べる | 召し上がる・摂取する |
| わかる | 理解する |
| 早い | 迅速である |
公式 / くだけた
| 公式(あらたまった) | くだけた |
|---|---|
| 拝見する | 見る |
| 申し上げる | 言う |
| お越しいただく | 来てもらう |
| どちら | どこ |
古い / 新しい
| 古い言葉 | 新しい言葉 |
|---|---|
| 美しい | きれい |
| すばらしい | すごい |
| 申し訳ない | ごめん |
場面に応じて、 やわらかい言葉・かたい言葉、 あらたまった言葉・くだけた言葉を選びましょう。 これが 語感を意識する ということです。
5. 共通語と方言
共通語 とは、 日本中どこでも通じる言葉(学校やテレビで使われる言葉)。 方言 とは、 その地方で古くから使われている言葉 のことです。
同じ意味を各地の方言で
| 共通語 | 関西 | 東北 | 九州 | 北海道 |
|---|---|---|---|---|
| ありがとう | おおきに | ありがとがんす | ありがとござします | なまらありがとう |
| とても | めっちゃ | なっし | ぎゃん | なまら |
| 来て | おいでや | きてけろ | きてくれんね | きてしたれ |
| ちがう | ちがうやん | ちがうぺ | ちがうと | ちがうしょ |
共通語と方言、 どちらも大切
- 共通語 はどこでも通じるため、 知らない人と話すときや公の場で役立つ
- 方言 は地域の文化や心の温かさを伝える、 かけがえのない言葉
学校や学級会では共通語で、 家族や地元の友達とは方言で、 と 場面で使い分ける のが 5 年生からの大人の言葉の使い方です。
世代による言葉のちがい
時代とともに新しい言葉が生まれ、 古い言葉が使われなくなることもあります。 どちらかを 「正しい/間違い」 と決めつけず、 言葉は時代とともに変わるもの と理解しましょう。
6. 文の語順と係り方
日本語は語順が比較的自由な言葉です。 しかし、 語順を入れ変えると 強調される部分 や印象が変わります。
同じ意味でも印象がちがう
| 文 | 強調される部分 |
|---|---|
| わたしは明日学校に行く | ふつうの並び(主題 → 時 → 場 → 動作) |
| 明日わたしは学校に行く | 「明日」 を強調 |
| 学校にわたしは明日行く | 「学校に」 を強調 |
| 行く、 わたしは、 明日、 学校に。 | 「行く」 を強調(倒置) |
修飾語の係り方で意味が変わる
「赤い服の女の子」 という文を考えてみましょう。
- 「赤い」 が 「服」 にかかる → 服が赤い、 女の子の服の色は不明でもよい
- 「赤い」 が 「女の子」 にかかる → ちょっと不自然(顔が赤い?)
修飾語がどの語にかかるかを 近くに置く と、 意味のあいまいさを防げます。
やってみよう: 「大きな黒い犬の写真」 ── 「大きな」 と 「黒い」 はどちらも 「犬」 にかかります。 「犬の写真」 と言いたいとき、 「写真」 にかかる修飾語を加えるなら 「古い大きな黒い犬の写真」 のように写真に近く置きます。
文章の構成パターン
文章全体の構成にもパターンがあります。
| 名前 | しくみ | 使う場面 |
|---|---|---|
| 頭括型 | 冒頭で主張 → 理由・例 | 結論を早く知らせたい文章 |
| 尾括型 | 理由・例 → 末尾で主張 | じっくり説得したい文章 |
| 双括型 | 冒頭で主張 → 理由・例 → 末尾でもう一度主張 | 強く印象づけたい文章 |
意見文やレポートでは 双括型 がおすすめです。 詳しくは Ch9 で学びます。
7. 話し言葉と書き言葉
話し言葉 と 書き言葉 には、 いくつかのちがいがあります。
| 観点 | 話し言葉 | 書き言葉 |
|---|---|---|
| 助詞 | 省かれることが多い(「これ、 いいね」) | きちんとつく(「これはいいですね」) |
| 語順 | 自由度が高い | 整っている |
| 文末 | 「〜 だよ」「〜 じゃん」 など | 「〜 です」「〜 である」 など |
| くだけた表現 | 「すごい」「ヤバい」 など OK | あらたまった表現 |
| 接続 | 「でさ」「でね」 など | 「しかし」「ところで」 など |
話し言葉を書き言葉に直す練習
話し言葉:
今日さ、 学校でさ、 算数のテストがあってさ、 むずかしかったんだよね。
書き言葉:
今日、 学校で算数のテストがありました。 とても難しかったです。
書くときは 「さ」「ね」「よ」 などの終助詞を削る、 主語と述語をきちんと整える ことが大切です。
8. まとめ
- 複合語 は 和 + 和、 和 + 漢、 漢 + 漢、 外来語を含む の 4 タイプ。 音便で読みやすくなる
- 思考に関わる語句(理由・条件・結果・対比等) を増やすと、 文章が整う
- 語感 を意識して、 場面に合う言葉を選ぶ
- 共通語 と 方言 は 場面で使い分ける
- 語順と係り方で強調と印象が変わる
- 文章構成は 頭括型・尾括型・双括型 の 3 パターン
- 話し言葉と書き言葉は 助詞・文末・あらたまり度 がちがう
次の Ch4 では 仮名と漢字の由来、 漢字と仮名の使い分け、 敬語入門 を学びます。
まとめ — ことばのひろがりを 3 行で
- 複合語 は 「和 + 和」「和 + 漢」「漢 + 漢」「外来語をふくむ」 の 4 タイプ。音便で読みやすくなる。
- 同じ意味でも 語感 はちがう。場面に合う言葉を選び、共通語 と 方言 を使い分けよう。
- 話し言葉 と 書き言葉 では助詞・文末・あらたまり度がちがう。文章構成は頭括型・尾括型・双括型の 3 パターンで整える。
学習ロードマップ(10件)
- 15 年生で ならう 漢字(まえ)97 字 と 漢字の 成り立ち(象形・指事・会意・形声)
- 25 年生で ならう 漢字(あと)96 字 + 用紙全体との 関係(書写)+ 類語辞典の 使い方
- 3ことばの ひろがり(複合語・思考に 関わる 語句・語感・共通語と 方言・語順・話し言葉と 書き言葉)
- 4仮名と 漢字の 由来 + 漢字と 仮名の 使い分け + 敬語入門(尊敬・謙譲・丁寧)
- 5古典入門(枕草子・平家物語・竹取物語・論語、文語の 音読・暗唱、自作短歌)
- 6ことわざ・慣用句・故事成語 の 由来 と 背景(昔の人の知恵 と 中国古典)
- 7物語 を よむ(人物像・相互関係・全体像・表現 の 効果・朗読)
- 8説明文 を よむ(要旨・論 の 進め方・原因 と 結果・文章 + 図表/グラフ・複数文章 の 比較)
- 9書く(意見文・説明文・引用 + 図表入り レポート・物語 の 続き)+ 文章構成パターン
- 10話す・聞く(意見・提案 の 発表・計画的 な 話し合い・討論・資料 を 活用した発表)