5 年生で ならう 漢字(まえ)97 字 と 漢字の 成り立ち(象形・指事・会意・形声)
最終確認日:
はじめに
この章では、 5 年生の漢字 193 字のうち前半 97 字 と、 漢字の成り立ち を 象形・指事・会意・形声 の 4 つに分類して学びます。
この章でできるようになること:
- 漢字を 4 つの成り立ちに分類できる
- 形声文字 の 意符(意味を表す部分) と 音符(音を表す部分) を見つけられる
- 知らない漢字でも意符から意味、 音符から読みを見当つけられる
- 自然・動作・抽象概念の漢字が読めて書ける
ポイント: 5 年生では、 漢字を一字ずつおぼえるだけでなく、 形と音と意味の関係 を整理して理解する力が求められます。 4 年生で学んだ 「部首 から意味を考える」 を、 さらに一歩進めます。
1. 漢字の成り立ち 4 分類
漢字は大きく 4 つの成り立ち に分けられます。 これを知ると、 はじめて見る漢字でも意味や読みの見当がつけられます。
| 分類 | 成り立ち | れい |
|---|---|---|
| 象形 | 物の形をそのまま絵にした | 山・川・日・月・木・目・口・手 |
| 指事 | 数や位置など形のないことをしるしで表した | 一・二・三・上・下・本・末 |
| 会意 | すでにある漢字を組み合わせて新しい意味をつくった | 林(木 + 木)・森(木三つ)・明(日 + 月)・休(人 + 木) |
| 形声 | 意味を表す部分(意符) と音を表す部分(音符) を組み合わせた | 銅(金 + 同)・河(氵 + 可)・清(氵 + 青) |
象形文字のもとになった物のれい:
やってみよう: 「明」 は 「日(太陽)」 と 「月」 を組み合わせて、 明るい という意味をつくり出しています。 これが 会意文字 の考え方です。
漢字の大半は形声文字
実は 漢字全体の約 8 割は 形声文字 と言われています。 つまり、 形声のしくみをつかめば、 たくさんの漢字を体系立てて理解できるのです。
2. 形声文字を分解してみよう
形声文字 は 意符(意味を表す部分、 多くは 部首) + 音符(音を表す部分) でできています。 5 年生で学ぶ漢字かられいを見てみましょう。
| 漢字 | 意符 | 音符 | 読み(音) | 意味 |
|---|---|---|---|---|
| 河 | 氵(水) | 可(カ) | カ | 大きな川 |
| 銅 | 金 | 同(ドウ) | ドウ | 金属の銅 |
| 清 | 氵(水) | 青(セイ) | セイ | きよい・すんだ水 |
| 液 | 氵(水) | 夜(エキ → ヤ) | エキ | 流れるもの・液体 |
| 燃 | 火(れんが) | 然(ネン) | ネン | もえる |
| 識 | 言(ごんべん) | 戠(シキ) | シキ | しる・知識 |
| 講 | 言(ごんべん) | 冓(コウ) | コウ | 話す・講義 |
| 構 | 木(きへん) | 冓(コウ) | コウ | くみ立てる |
「講」 と 「構」 は音符が同じ 「冓(コウ)」 なので、 どちらも読みが コウ です。 意符が 「言」 だから話に関係(講義)、 「木」 だからくみ立てる(構造) と、 意味が分かれます。
やってみよう: 「銅」 を見たことがなくても、 「金」 が意符で金属と関係、 「同」 が音符で 「ドウ」 と読むと見当がつきます。 これが形声の力です。
3. 自然・気象系の漢字(小 5 前半)
水や自然に関わる漢字は 氵(さんずい) や 火(ひへん・れんが) などの意符が多く、 形声で読みをつかみやすいです。
| 漢字 | 音 | 訓 | 成り立ち | れい |
|---|---|---|---|---|
| 永 | エイ | なが-い | 象形(水の流れ) | 永遠・永久 |
| 液 | エキ | — | 形声(氵 + 夜) | 液体・血液 |
| 河 | カ | かわ | 形声(氵 + 可) | 河口・運河 |
| 潔 | ケツ | いさぎよ-い | 形声(氵 + 絜) | 清潔・潔白 |
| 混 | コン | ま-じる | 形声(氵 + 昆) | 混合・混雑 |
| 災 | サイ | わざわ-い | 会意(巛 + 火) | 災害・火災 |
| 酸 | サン | す-い | 形声(酉 + 夋) | 酸性・酸味 |
| 燃 | ネン | も-える | 形声(火 + 然) | 燃料・燃焼 |
| 桜 | オウ | さくら | 形声(木 + 嬰の略) | 桜花・観桜 |
| 鉱 | コウ | — | 形声(金 + 広) | 鉱山・鉱物 |
「災」 は巛(ながれ = こう水) と火を組み合わせた 会意文字 で、 こう水や火のようなわざわいを意味します。
4. 動作・状態系の漢字(小 5 前半)
人の動きやようすを表す漢字は、 心(こころ)・イ(にんべん)・彳(ぎょうにんべん) などが意符になります。
| 漢字 | 音 | 訓 | 成り立ち | れい |
|---|---|---|---|---|
| 営 | エイ | いとな-む | 形声 | 営業・経営 |
| 応 | オウ | こた-える | 形声(心が意符) | 応答・対応 |
| 往 | オウ | — | 形声(彳が意符) | 往復・往来 |
| 仮 | カ | かり | 形声(イが意符) | 仮定・仮名 |
| 過 | カ | す-ぎる | 形声(しんにょうが意符) | 過去・通過 |
| 解 | カイ | と-く | 会意(角 + 刀 + 牛) | 解答・理解 |
| 慣 | カン | な-れる | 形声(忄が意符) | 習慣・慣用 |
| 寄 | キ | よ-る | 形声 | 寄付・寄宿 |
| 救 | キュウ | すく-う | 形声 | 救助・救急 |
| 居 | キョ | い-る | 形声 | 居間・住居 |
| 許 | キョ | ゆる-す | 形声(言が意符) | 許可・特許 |
| 経 | ケイ | へ-る | 形声(糸が意符) | 経過・経験 |
| 採 | サイ | と-る | 形声(扌が意符) | 採用・採集 |
「解」 は 角(つの) + 刀(かたな) + 牛 で、 牛の角を刀でときはずすようすから、 「ばらばらにする → わかる・とく」 という意味になりました。 これが 会意文字 のおもしろさです。
5. 抽象概念系の漢字(小 5 前半)
5 年生では 目に見えないこと を表す漢字が増えてきます。 これらは形声が多く、 意符から大きな意味の範囲を、 音符から読みをつかむとよいです。
| 漢字 | 音 | 訓 | 意味 | れい |
|---|---|---|---|---|
| 圧 | アツ | — | おさえる | 圧力・気圧 |
| 益 | エキ | — | ためになる・もうけ | 利益・公益 |
| 因 | イン | — | もと・わけ | 原因・要因 |
| 移 | イ | うつ-す | 場所をかえる | 移動・移転 |
| 演 | エン | — | 行う・しめす | 演技・演習 |
| 価 | カ | あたい | ねうち | 価格・物価 |
| 確 | カク | たし-か | はっきり | 正確・確認 |
| 規 | キ | — | きまり | 規則・規定 |
| 喜 | キ | よろこ-ぶ | うれしい | 歓喜・喜劇 |
| 義 | ギ | — | 正しさ・意味 | 正義・主義 |
| 件 | ケン | — | 事がら | 事件・条件 |
| 検 | ケン | — | しらべる | 検査・検討 |
| 限 | ゲン | かぎ-る | くぎり | 限界・制限 |
| 故 | コ | ゆえ | わけ・もと | 故事・事故 |
| 護 | ゴ | — | まもる | 保護・看護 |
| 効 | コウ | き-く | きき目 | 効果・有効 |
| 厚 | コウ | あつ-い | あつい | 厚意・濃厚 |
| 質 | シツ | — | なかみ | 質問・性質 |
| 識 | シキ | — | しる | 知識・常識 |
| 準 | ジュン | — | 基づく・もとに | 準備・標準 |
やってみよう: 「効」 と 「厚」 はどちらも コウ と読みますが、 意味が違います。 「効」 は 「効く・効果」、 「厚」 は 「厚い・厚意」。 意符がちがう(力と厂) ことに注目すると区別できます。
6. 似た形の漢字を比べる
形が似ていて間違えやすい漢字を並べて比べましょう。
| 似た漢字 | ちがい | れい |
|---|---|---|
| 囲と困 | 中が 「井」 か 「木」 か | 周囲・困難 |
| 査と直 | 上が 「木」 か 「十」 か | 検査・直接 |
| 再と西 | 縦棒があるかないか | 再会・西方 |
| 講と構 | 部首が 「言」 か 「木」 か | 講義・構造 |
| 旧と田 | 縦棒が突き出るか | 旧式・水田 |
| 件と牛 | 「イ」 があるか | 事件・水牛 |
部首が一字ちがうだけで、 意味も大きく変わります。 書くときは 意符を意識して書き分けましょう。
7. 書写: 字の中心と形のバランス
5 年生の書写では、 字の中心線 と 各部分の大きさのつり合い に気をつけます。
- 左右の部分の幅: 「講」 は 「言(ごんべん)」 が細く、 「冓」 が広い
- 上下の部分の高さ: 「営」 は上が小さく、 下が大きい
- 中心線: 「準」 は縦の中心が揃うように書く
書くときは、 原稿用紙のマスの中心に字の中心を合わせる ことを意識しましょう。 用紙全体のバランスは Ch2 でさらに詳しく学びます。
8. まとめ
- 漢字の成り立ちは 象形・指事・会意・形声 の 4 つ
- 漢字全体の約 8 割は 形声文字、 意符 と 音符 でできている
- 意符から意味、 音符から読みを見当つける力を育てる
- 5 年生前半 97 字は自然・動作・抽象概念が中心
- 似た形の漢字は部首で書き分ける
- 書写では字の中心とバランスを意識
次の Ch2 では 後半 96 字と用紙全体のバランス、 類語辞典 を学びます。
9. この章で出てきた漢字一覧
書き順つき
書き順を見るとき: 上の図は KanjiVG (CC BY-SA 3.0、 言語学者監修) を使って正しい書き順を表示しています。
学習ロードマップ(10件)
- 15 年生で ならう 漢字(まえ)97 字 と 漢字の 成り立ち(象形・指事・会意・形声)
- 25 年生で ならう 漢字(あと)96 字 + 用紙全体との 関係(書写)+ 類語辞典の 使い方
- 3ことばの ひろがり(複合語・思考に 関わる 語句・語感・共通語と 方言・語順・話し言葉と 書き言葉)
- 4仮名と 漢字の 由来 + 漢字と 仮名の 使い分け + 敬語入門(尊敬・謙譲・丁寧)
- 5古典入門(枕草子・平家物語・竹取物語・論語、文語の 音読・暗唱、自作短歌)
- 6ことわざ・慣用句・故事成語 の 由来 と 背景(昔の人の知恵 と 中国古典)
- 7物語 を よむ(人物像・相互関係・全体像・表現 の 効果・朗読)
- 8説明文 を よむ(要旨・論 の 進め方・原因 と 結果・文章 + 図表/グラフ・複数文章 の 比較)
- 9書く(意見文・説明文・引用 + 図表入り レポート・物語 の 続き)+ 文章構成パターン
- 10話す・聞く(意見・提案 の 発表・計画的 な 話し合い・討論・資料 を 活用した発表)