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1級は語彙力が合否を分ける級です。とくにリーディング大問1(短文の語句空所補充)は超難語の知識がそのまま得点になり、ライティング・スピーチ・長文読解の土台にもなります。この章では、約10,000〜15,000語という膨大な語彙を、丸暗記ではなく仕組みで攻略する戦略を学びます。
ポイント: 1級の超難語は「1語ずつ和訳で丸暗記」では到底追いつきません。語源で意味を推測 → 接頭辞・接尾辞で品詞を判断 → 派生語をまとめて → フォーマル語に言いかえ → コロケーションで使い方を固める。この流れで、1語の暗記が複数語分の運用力になります。
1級レベルの単語は抽象的で低頻度のものが多く、似た意味の語が大量にあります。「単語=和訳」の一対一暗記では、似た語と混同したり、すぐ忘れたりします。たとえば次の3語は、すべて「短くする・縮める」に近い意味ですが、含みが違います。
これらを語源やコロケーションで区別すれば、混同せずに使い分けられます。curtail spending(支出を削減する)のように、相性のよい相手とセットで覚えるのが有効です。
超難語の多くはラテン語・ギリシャ語に由来し、語根(root)が意味の核を担います。語根を知っていれば、初見の単語でも意味を推測できます。
| 語根 | 意味 | 例(1級レベル) |
|---|---|---|
| -loqu- / -loc- | 話す | eloquent(雄弁な), loquacious(おしゃべりな) |
| -ben- / -bene- | 良い | benevolent(慈悲深い), benign(良性の・温和な) |
| -cred- | 信じる | credulous(だまされやすい), incredulous(疑い深い) |
| -mort- | 死 | moribund(瀕死の・停滞した), mortify(屈辱を与える) |
| -tenu- | 薄い | tenuous(希薄な・根拠の薄い), attenuate(弱める) |
ポイント: 語根は「意味の家族」です。-loqu-(話す)を知っていれば、eloquent・loquacious・colloquial・soliloquy が一気につながります。1つの語根から複数語をたぐる意識を持ちましょう。
接頭辞(prefix)は語の先頭につき、意味の方向や打ち消しを加えます。1級では、これが初見語の意味推測に直結します。
| 接頭辞 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| circum- | まわりに | circumvent(迂回する・出し抜く), circumspect(用心深い) |
| de- | 下げる・離す・否定 | denounce(公然と非難する), deride(あざ笑う) |
| ob- / op- | 反対・妨げ | obstinate(頑固な), obscure(不明瞭な・覆い隠す) |
| ex- | 外へ | exonerate(無罪とする), exorbitant(法外な) |
| pre- | 前に | preclude(妨げる・不可能にする), precarious(不安定な) |
ポイント: 接頭辞は「意味の方向の矢印」です。circum-(まわり)+ vent(来る)=「まわりを通る=迂回する」のように、知らない語でも分解すれば見当がつきます。否定の接頭辞(in-・un-・dis-)も、肯定形を打ち消した意味と当たりをつけられます。
接尾辞(suffix)は語の末尾につき、品詞を決めます。大問1では「同じ語根の別品詞」を選ばせる問題があるため、得点に直結します。
| 接尾辞 | 品詞 | 例 |
|---|---|---|
| -tude | 名詞(状態) | fortitude(不屈の精神), rectitude(清廉さ) |
| -ity | 名詞(性質) | audacity(大胆さ), animosity(敵意) |
| -ize / -ise | 動詞 | jeopardize(危険にさらす), ostracize(追放する) |
| -ent / -ant | 形容詞・名詞 | belligerent(好戦的な), exorbitant(法外な) |
| -ate | 動詞・形容詞 | placate(なだめる), obstinate(頑固な) |
ポイント: 大問1では「placate / placation / placatory」のように同語根の別品詞が選択肢に並ぶことがあります。空所の前後を見て、名詞が必要か・動詞が必要か・形容詞が必要かを判断し、接尾辞で形を選びましょう。
1つの語根から、品詞ちがいの派生語をまとめて覚えると効率が上がります。
| 動詞 | 名詞 | 形容詞 |
|---|---|---|
| alleviate(緩和する) | alleviation(緩和) | — |
| reconcile(和解させる) | reconciliation(和解) | reconcilable(和解可能な) |
| proliferate(急増する) | proliferation(拡散・急増) | proliferous(多産の) |
| vindicate(潔白を証明する) | vindication(汚名返上) | vindictive(執念深い・別系統に注意) |
ポイント: 単語帳で1語に出会ったら、「動詞・名詞・形容詞」のマスを自分で埋める癖をつけましょう。1語の学習が、そのまま複数語分の運用力になります。vindicate(潔白を証明)と vindictive(執念深い)のように、形が似ても意味が分かれる語は要注意です。
1級のライティング・スピーチでは、日常語をフォーマルな上級語に言いかえると、語彙の評価が上がります。逆に長文では、難語を日常語に戻すと意味がつかみやすくなります。
| 日常語 | フォーマルな上級語 |
|---|---|
| make worse | exacerbate / aggravate |
| make clear | elucidate / clarify |
| use up | deplete / exhaust |
| stop / hold back | curb / restrain |
| praise | commend / laud |
ポイント: 英文要約や意見論述では、日常語を上級語に置きかえると語彙点が上がります。ただし意味がずれない範囲で。exacerbate は「すでに悪い状況をさらに悪化させる」含みなので、使う場面を間違えないようにしましょう。
コロケーションとは、ネイティブが自然に使う語の組み合わせのことです。1級では、この相性を知っているかが、大問1とライティングの両方で問われます。
| よくあるコロケーション | 意味 |
|---|---|
| pose a grave threat | 重大な脅威となる |
| reach a consensus | 合意に達する |
| exert influence | 影響力を及ぼす |
| impose restrictions | 制限を課す |
| wield power | 権力を振るう |
| draw a distinction | 区別をつける |
ポイント: 単語は「単独」ではなく「よく一緒に使う相手」とセットで覚えましょう。exert は influence / pressure / control とよく結びつきます。コロケーションで覚えた語は、ライティング・スピーチでもそのまま自然に使えます。
リーディング大問1(短文の語句空所補充)では、文脈から最も適切な語を選びます。選択肢は意味の近い超難語が並ぶため、文脈とコロケーションで絞り込みます。
ポイント: 大問1は「正解を探す」より「明らかに合わない選択肢を消す」のが速いことが多いです。文脈の論理(プラス/マイナス、原因/結果)と語の相性で、選択肢を1つずつ消去しましょう。